ヒトとしての発達に欠かせない心身両面での共感力・創造力、それをはぐくむ共同の営み・・・その最重要の子ども期をどう過ごすか・・・ これもコロナと向き合ううえで、極めて重要な論点。
【小児のコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に関する医学的知見の現状 第二報 小児科学会20/11/11】
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342
“子どもは多くの場合、家庭で感染しているが、幸いほとんどの症例は軽症である。しかし、COVID-19 流行に伴う社会の変化の中で様々な被害を被っている。”と、学校・保育の閉鎖や活動制限にもたらす被害の方が大きくなると予想される、と指摘(以下)
◆教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身に影響を及ぼしている
・学校閉鎖は、単に子どもの教育の機会を奪うだけではなく、屋外活動や社会的交流が減少することとも相まって、子どもを抑うつ傾向に陥らせている [55, 56]。
・療育施設では密な環境でのケアが避けられないため、COVID-19が発生すると施設内に蔓延しやすい。一方、療育施設の閉鎖により受け入れが困難になった医療的ケア児への対応が世界的に求められている [57]。
・就業や外出の制限のために親子とも自宅に引き籠るようになって、ストレスが高まることから家庭内暴力や子ども虐待のリスクが増すことが危惧されている。加えて、対応する福祉施設職員が通常通り就業できない状況が虐待増加に拍車をかけている [58, 59]。
・「子ども貧困」問題がクローズアップされている中、養育者の失業や収入減のために状況はさらに悪化している上、福祉活動や「子ども食堂」などのボランティア活動も滞っている [60]。
・乳幼児健診の受診が減少し、子どもの心身の健康上の問題を早期に発見し介入することが制限され、大きな健康被害やQOLの低下に繋がることも危惧されている [61]。
・予防接種の機会を失う小児が増えている事も大きな問題となっている。世界的にも1億2千万人近い子ども達が麻疹ワクチンの接種を受けることができない状況が危惧されている。ワクチンで予防可能な疾患に罹患してしまうことによる被害は甚大となる [62]。実際わが国においても、COVID-19流行下での予防接種の差し控えが起こっており [63]、ワクチン未接種の乳児が重症百日咳を発症したことが報告されている [64]。
・子どもでは、COVID-19が直接もたらす影響よりもCOVID-19関連健康被害の方が大きくなることが予想される(図)。
◆図.知見のまとめ:子どもの COVID-19 関連健康被害 (日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会作成)
子どもは多くの場合、家庭で感染しているが、幸いほとんどの症例は軽症である。しかし、COVID-19 流行に伴う社会の変化の中で様々な被害を被っている。
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