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「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望

毎日新聞4/23 “見えない困窮 拡大する「新しい生活困難層」 専門家が提案する安全網の張り直し方”という記事が配信されている。

“困窮が見えにくくなっている。長らく社会保障政策を研究してきた中央大の宮本太郎教授(福祉政策論)は、公的支援が届かない「新しい生活困難層」が拡大していることが背景にあると指摘する。しかも、この層は社会保障制度の不備によって生み出されてきたという。”

 気になって、「新しい生活困難層」で検索すると、22年3月現代ビジネスの記事が出てきた。

  経済・社会を支える「人づくり」「人への投資」をキーワードに、雇用政策と社会保障の関係を俯瞰的に見て政策を考える上で大切な視点と思う。 

 【宮本太郎氏が語る…日本の働き方が「挑戦できないメンバーシップ型」と「発展可能性なきジョブ型」に分断された理由 現代ビジネス220313 前編】

https://gendai.media/articles/-/93299

【宮本太郎氏が語る…「新しい生活困難層」を支援するために、いまの日本で最初にやるべきこと 後編】

https://gendai.media/articles/-/93303#goog_rewarded

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広がる女性のひきこもり・孤立をどう防ぐか ~ 「共事者」の視点を

“ひきこもり状態にある人は推計146万人。実に50人に1人に上る3月に発表された国のひきこもり実態調査。その結果は、誰もがひきこもり状態になったり、孤立したりしかねない時代の到来を象徴するものでした。

今回の結果で特徴的だったのは、初めて女性の割合が4割を超え、40歳から64 歳の中高年に限っては、52%に上っていました・

--- 非正規の疎外感、家族のケア、性被害のトラウマ、不妊への圧力など多くの生の声で政治・社会のゆがみに迫る番組。

 まさに「個人的なことは、政治的」だ。

 番組は差サンゴに、25年間こきこもり当事者の声を追ってきたジャーナリスト 池上正樹さんの言葉を紹介。

“『女性は黙って耐えるべきだ』という社会の圧力の中で、追い求めていた生きがいや夢を諦めて、そういうものだと自分で自分を納得させて生きてきた人たちは、これまでにもたくさんいたのだと思います。

それが、時代の変化やコロナ渦でみんなが孤立を経験したことで『あ、そうだ、声を上げていいのだ。こんなに同じように苦しんでいる仲間がいる』ということを知って多くの人が声を上げ始めて、顕在化してきたのではないでしょうか。

『もしかしたら自分もそうなるかもしれない』『自分の大事な家族もそうなるかもしれない』と、自分事として受け止めて想像していく。みんなが安心できるような社会にするためにはどうしたらいいのか、一緒に考えて欲しいと思います。

今、自分で自分を責めてしまう苦しみの中にいる人には、『あなたは悪くない』と伝えたいですし、周りを頼っても良いと言うことを伝えたいと思います。”

~  「共事者」として、ともに考え行動していく輪を広げていかなくてはならない。社会に、自分の中に・・・

【広がる女性のひきこもり 孤立をどう防ぐのか クローズアップ現代 23/4/19】

【“女性活躍”が叫ばれる陰で・・・1000超の声が伝えること NHK 23/4/19】

【こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)令和5年3月 内閣府 】

「ひきこもり」推計146万人 主な理由“コロナ流行”内閣府調査 | NHK 3/31

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生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍)  高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 

・ 冬季加算「特別基準」  2015年に国の通知により、「傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難で、常時在宅せざるを得ない」人     に適用することが制度化。通知には①重度の障害のある方、②要介護3以上の方、③1歳未満の児童がいる世帯などに適用が認められている。

・加算額1.3倍化~ 高知市の冬季加算  1人世帯月額2630円、2人 3730円、3人4240円、4人 4580円

  ⇔ 「特別基準」の額は、この1.3倍となる。

・日本共産党(下本ふみお)市議の質問で「速やかに実施へ」 22年度.12月議会

5年以上にわたり、適用してこなかったことがあきらかに。市は「同市が比較的温暖な気候であるため、積極的な議論にならず、現在に至ってしまったことを深く反省している」と陳謝 

対象者は、調査中だが250世帯以上。市は「冬季加算は、11月から3月までが対象。11月にさかのぼり適用する」、また、適用される世帯は、申請でなく、市の「職権」で適用し「こうした世帯に寄り添って対応するむと答弁

・20年度 生活保護世帯数8557世帯(32.9) なので約3%の世帯が対象

★この制度、全国でも実施されてない自治体が多いとのこと。ぜひチェックを

★ 4つの地裁で、生活保護基準の引き下げは「違法」との判決がでた。引き下げの結論にあわせるよう、別の2つの統計モデルを継ぎ足したり、大場価格低下した家電・情報機器を含む物価水準を採用したり、生活保護で捕捉できていない貧困世帯を含む所得層と比較したり、とデタラメの「基準」の是正、物価高を反映した見直しは喫緊の課題。すべての社会保障制度の土台・基準である保護基準は影響が広範におよぶ。

 そもそも20世紀初頭、イギリスの貧困対策で政策的に確立した失業給付や年金・・・「生きていくためにどんなひどい条件ではも働かざるを得ない」現実を変えるために導入された(チャールズ・ブースの「雇用政策」、「労働市場の組織化」)

生活保護基準引き下げ違憲訴訟  横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ

 安倍政権が、1割削減の選挙公約を実現するために、算定方法をゆがめ削減を強行。データ改ざん問題に共通するひどいやり方であった。

これに、全国で約1000人が、憲法の生存権を守れと裁判に訴えたたかってきた。4件目の勝訴判決。

生活保護基準は、様々な制度の利用にかかわる住民税の非課税基準、国民健康保険料の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減免基準、就学援助金の利用基準など多様な分野の施策に関連し、最低賃金の指標にもなっている

国は控訴せず、削減額をもとにもどすとともに、憲法にふさわしい社会保障制度を確立すべきである。

それは、公正で温かい社会、政治をとりもどす土台ともなる。 

10月19日、横浜地裁で全国4例目の原告勝訴判決が言い渡されました!(判決要旨・全文、弁護団声明を掲載しています)|ニュース|いのちのとりで裁判全国アクション (inochinotoride.org)

 下段に、赤旗主張のメモ、弁護団声明など

 

関連して以前、整理したブログ記事

生活保護 異なる計算方式で比較 “物価偽装”で大幅削減: 土佐のまつりごと (air-nifty.com)

本当に困っている人だけ救う」制度は、本当に困っている人も助けられない~労働者と社会保障 : 土佐のまつりごと (air-nifty.com)

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政策メモ 22/7-8 格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和

格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和

~ 主に国際的な動向

ダウンロード - e694bfe7ad96202208.docx

 

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「高齢者優遇」のウソ。元凶は貧困な社会保障~1人あたりの社会支出 日欧米6か国比較

 「全ての人に最低生活保障を 唐鎌直義・佐久大学教授 経済2022.4」よりメモ

 政府の言う「高齢者優遇型から全世代型の社会保障」・・・ 国民1人当たりの社会保障支出を、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、米国、日本の6ヵ国で比較し、日本の「高齢者」分野も貧困であり、「貧困解消」分野が極端に低く特に現役世代にとって大きい家族手当、失業給付・就労支援が貧困さが、世代間に「不公平」を抱かせる元凶になっていることを明らかにし、「全ての人に最低生活保障」を行う「貧困解消型社会保障」の確立を主張している。

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子どもの貧困~連鎖のリスク明確に  初の全国調査・内閣府

 「赤旗」記事に読み、元の報告書が公表されてないか、調べたせあった。報告書はかなりの量があるので、ブログでは、座長の「総括・メッセージ」を下段に添付している。

 赤旗記事ではわからなかったが、まず、初の全国調査であったこと。相対的貧困の観点で接近していること。子どもの貧困は親の貧困の問題との視点を持っていること。分析は、貧困線以下の「貧困層」と、貧困線以上・中央値までの「準貧困層」、中央値以上の「その他層」で分析し、「準貧困層」も貧困の連鎖のリスクは無視できないと、より広い層への支援が必要であること、など極めてまともな分析になっており、公的な調査とその総括という点で、地方議会でも使えることが多い。

 ちなみに、12月高知市議会では、「子ども食堂」が、居場所やSSWとの連携など学校・行政などとのネットワークの起点として役割を発揮していることを確認する論戦を行えた。

 

【「食料買えず」4割 低収入世帯で深刻さ増す 子ども生活状況 内閣府調査報告 赤旗12/25のメモ】

・内閣府は24日、子どもの生活状況についての調査報告書を発表(メモ者 初の全国調査!)

・調査は今年2~3月に全国の中学2年生とその保護者5000組を対象に実施。2715組から回答

・「食料が買えなかった経験」があったとする世帯~ 全体11・3%、収入水準が中央値の2分の1未満の低収入世帯(全体の12・9%)37・7%、ひとり親世帯では30・3%、そのうち母子世帯では32・1%。

・現在の暮らしが「苦しい」または「大変苦しい」と回答した世帯~ 全体では25・3%、低収入世帯57・1%、ひとり親世帯51・8%、母子世帯は53・3%といずれも2倍以上

・新型コロナウイルス感染症の拡大で世帯の収入が減ったと回答した割合~全体32.5%、低収入世帯47・4%。

・報告書はコロナの影響でこうした世帯の生活状況が厳しくなっている可能性があると指摘している。

 

【令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書 21年12月 内閣府】

【総括 子供の貧困の実情と求められる支援: 令和2年度 子供の生活状況調査からのメッセージ】

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ILO 社会保障なし 世界人口の53%、41億人  コロナ復興戦略の中核に

ILO9/1発表。新型コロナウイルス危機の中で世界各国は失業手当などの社会保障給付を拡大したにもかかわらず、世界人口の53%に相当する約41億人がいまだに社会保障が全くない状況にある(医療保険はこの数字の対象外)。社会保障の対象となる子どもは26%しかなく、失業労働者で給付対象となるのは19%にとどまっている。また、各国の新型コロナ対応にはばらつきがあり、先進国と途上国の社会保障格差はさらに広がっているとも指摘。

ILOのガイ・ライダー事務局長は、各国のコロナ対応がかつてない規模の社会保障給付の活用をもたらしてきたと評価する一方、「各国は岐路に立っている。今こそ世界中で社会保障制度に投資し、強化する時だ」と述べ、社会保障の充実をコロナ復興戦略の中核に据えるよう求めた。(赤旗記事より)

 【ILO新刊:何らの社会的保護も得られない人が世界にはまだ40億人以上 9/1

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コロナ危機と資本主義    格差危機と、その問い直し(メモ)

 コロナ危機は、資本主義経済の構造的矛盾をあぶりだした。その内容について「赤旗」連載などのメモ

 ・「同じボートに乗っている」という虚構/格差・矛盾を隠蔽

・コロナ危機前から崖っぷち

・6割占める非公式労働者を直撃、所得8.3%減  

・格差拡大  問われる政府介入の正当性 

・働く貧困 1億800万人増  ILO報告 意識的対策求める 

・深刻化する世界の飢餓 紛争・気候危機・コロナ禍の複合危機 /日本の食料システムの脆弱さ

・労働者のたたかい

 20での最低国際税率の合意、クローバルタックスへの模索、EUの金融取引税導入の努力、バイデン新税制(大企業・超富裕層への増税で、子育て・教育・貧困対策)、アマゾンでの労組結成のたたかいなど、そして気候・環境危機、貧困と人権擁護など世界的規模で広がる市民運動のネットワーク・・・巨大な変化が起きつつある

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コロナ禍 休校が教育格差を拡大  調査レポート

コロナ禍が子どもに与えた日本財団、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングによる調査。「世帯収入や成績によって、学校外の勉強時間の差が学校再開後に拡大したほか、中止や縮小となった学校行事が、子どもの非認知能力や生活習慣に影響を与えていることが裏付けられた。」とのこと

 

・調査レポートの最後にある【今後に向けた示唆】

○ 臨時休校期間中は勉強時間・生活時間等の格差が拡大し、学校再開後もそれが残っている。そのため、厳しい状況に置かれた子どもに対する支援が重要となる。

○ 臨時休校下で有効だったのは、双方向形式のオンライン授業であり、オンデマンド教材や自主学習教材はあまり効果を発揮しなかった。臨時休校が今後再度必要となる場合に備えて、平時からそうしたインフラを整備しておく必要がある。

○ しかしながらもともと学力の低かった子どもについては、双方向形式であってもオンライン授業が効果を発揮していない可能性がある。そうした子どもに対しては、個別最適化されたよりきめ細かな対応が必要となる。

○ 例えば海外の研究では、個別指導(対面・オンライン共に)は学習の遅れた子どもに対して効果的な支援策だとされている。

○ 学校行事の中止・縮小は、特に低年齢児の非認知能力・生活習慣等に悪影響を与えているため、学校内外で失われた機会をカバーする努力が求められる。

○ 例えば、小学校の運動会や修学旅行など、非認知能力等への影響の大きい学校行事を重点化して行ったり、学校外の少人数制が維持できる環境において、特に低年齢児に対して、様々な体験の機会や生活支援を提供したりすることが考えられる。

 【コロナ禍が教育格差にもたらす影響調査  調査レポート6/29

【休校が格差拡大を裏付け 行事中止が非認知能力に影響 教育新聞2021629日】

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