高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機(メモ)
元衆院議員・経済研究者である佐々木憲昭氏の「議会と自治体26年4月号」からのメモ
【高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機 佐々木憲昭 議会と自治体26.04】
以下に、軍拡・経済安全保障を掲げた「積極財政」が、如何にくらし・経済を破綻させる危険な道なのかをまとめてみた
高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機
佐々木憲昭 議会と自治体26.04
■はじめに 薄氷を踏むような゜状況が続いている
「過度な緊縮志向、将来の投資不足の流れを断ち切」る (所信表明演説2/20)と、「責任ある積極財政」を標榜
・財政資金を集中的に投入する「戦略17分野」を提示~防衛、科学技術、経済安全保障」「インフラ更新」にど
・「給付付き税額控除」の導入までの間の負担軽減として、2年間の食料品のゼロ課税・・・「実現に向け」「議論を加速」
・軍事費GDP2%の前倒し達成、 3.5%、5%の米国からの要求に前向き対応/武器輸出の解禁、非核三原則見直し
➡これらを全て実行するには大規模な財政出動が不可避 /市場は、国債価格急落、長期金利上昇をもたらす
/「赤字国債は伴わない」と鎮静化へ ~日本の財政運営 薄氷を踏むような「危機の時代」へ踏み込んでいる
■1 「時限爆弾」はいつ破裂するのか
・財政制度審議会(95.12.12)の衝撃的報告 「現状は、例えて言うならば、近い将来において破綻することが予想される大きな時限爆誕を抱えた状態であり、かつ、その時限爆弾を毎年大きくしていいると言わなければならない」
→ 当時の債務残高 GDP89%、現在234%
・当時の危機の想定~ 財務残高の累積が阻止できず、クラウディングアウトの顕在化すりば・・・
「利子率の上昇」「利払い費のいっそうの増大」、「財政状況の悪化がいっそう進むという悪循環に陥る危険性があり、その後長きにわたって我が国経済の足を引っ張ることが危惧される」
*クラウディングアウトとは 「国債発行→資金需要増→金利上昇→民間投資減少」と繋がる財政経済危機
・なぜ、いままで「破裂」しなかったのか?
日銀が長期にわたり超低金利政策を続け、国債を大量に買入れ・市場での国債供給の圧出/家計・企業の貯蓄が大きく国債が国内で消化された ~ 金利が上昇しにくい構造を形成
・現在は? 前提が崩壊しつつある
日銀が政策金利を引き上げる局面に移行、国債の買入れを縮小 ➡ 30年前の警告が現実味
政府債務残高 WWⅡ中の204%越え (日米金利差による円安 ➡ 燃料・材料。食料など輸入物価の状況)
・この状況で、赤字国債にたよる「積極財政」の意味 /25補正11兆、26当初案30兆円+特会分4兆と大量発行
■2.大軍拡が財政膨張を招いている
・NDS2025(26.1) 「中核的軍事支出にGDP3.5%、安全保障関連支出に追加で1.5%、合計5%」、「世界中、で同盟国とパートナーがこの基準を満たすよう提唱していく」 /25.5 ヘグセス国防長官 “アジア同盟国も5%に引上げるべ”
(メモ者 「2%)目標の2年前倒し達成は、この要請に対する高市政権の姿勢のあらわれ)
1.軍事費が「自動的」に膨らむ
・GDP2%維持でも、金額は自動的に増える
安保三文書策定時 GDP560兆円 2%は11兆円
内閣府見通し・26年度 692兆円(物価・賃金高騰) 2%14兆円と3兆円増 / 3.5%・24兆円 5%・35兆円
→2012年 軍事費5兆円の実に7倍。社会保障関係費(25年度) 38.3兆円に匹敵
2.概算要求を上回る軍事費の大盤振る舞い
・23年以降、軍事予算が「概算要求」を毎年上回る ~ 各省の概算要求は、財務省の精査により、削られるのが通例
3.補正予算でかさ上げ
・補正予算とは 当初予算の編成時には予期できなかった事態への対応(自然災害など)、が、当初予算を小さく見せるために悪用 ~第二次安倍政権から常態化 /25年度 当初・8兆7005億円 補正・8472億円 計9兆5477億円
4.使い残しが毎年1兆円
・「はじめに規模ありき」で、まともな戦略と調達計画が不在 →攻撃型ドローンの大量導入 運用のための環境も構想もなく、「省内外で『ハリボテ構想』とも呼ばれている」(「朝日」26.2.12)
・財政上「不用額」「繰越額」 →23年度・「1368億円」「8766億円」 24年度「1172億円」「9689億円」
・1億円あれば・・・
5.軍需産業の利益率を15%まで引上げ
・平均8% → 最大15%に引上げ(03年度) コスト変動分1~5%(契約期間による)、企業努力分5~10%
・大手企業の製品販売による利益率(営業利益率) 全上場企業平均 7.05%
6.ローン地獄 年度予算を大幅に上回る後年度負担
・26年度案 後年度負担 17兆9524億円 当初予算の約2倍/ ローンが当初予算超え 2019年度より
・ローン返済分 歳出化経費 26年度案 4兆6857億円 、防衛省予算全体の51・9%
7.国営の軍需工場つくる 構想の浮上
・国有化し、民間に委託し、弾薬を大規模に製造する計画(メモ者 現状は中小企業が製造)
・戦前戦中 軍隊直轄の軍需工場「工廠」が存在 ~自民・安保調査会提言「国営工廠を導入」
自・維「政策協議文書」にも「工廠」の文言
8.殺傷能力のある武器輸出に踏み出す
・自維「連立合意文書」 装備品輸出の「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)の撤去を明記
→ 3/6 自維が政府に提言 「5類型」の撤廃、殺傷能力のある武器など「原則可能」/高市「全く同意見」
・輸出先 「防衛装備品・技術移転協定の締結国17
「現に戦闘が行われてない国」への輸出も「特段の事情がある場合」は政府が判断すれば「例外的に認められる」
★対米従属化で、軍産複合体が形成されつつある(メモ者 「NSS2025」 インド太平洋地域 同盟国による力の拮抗)
■3 「危機管理投資」とは何か
・「成長戦略の肝は『危機管理投資』」、「戦略的に財政出動を行」う (25.11.4 日本成長戦略本部 高市)
・危機管理投資とは~ 3つを柱で構成する「国家的投資」
①「安全保障の強化」 防衛産業の基盤強化、弾薬・ミサイルの生産能増強、宇宙監視、衛星通信、サイバー防護
②「供給網の強靭化」 半導体の国内生産力確保、レアアース確保、医薬品・医療機器の国内生産、造船、輸送力
③「国土・エネルギーの強靭化」 防災・減災、重要インフラ更新、エネルギー安保(LNG、再エネ、原子力、核融合)
これらを核に、「戦略17分野」「8つの分野横断課題」を設定、26の分科会・作業部会を林立 /従来よりはるかに広く、かつ「安全保障」色が格段に強く、従来の投資水準の2~3倍に引き上げる規模と言われている。
*従来の規模 軍事5‐6兆円、国土3兆円、エネ安保1-2兆円、半導体0.5-1兆円、サイバー数千億円 計・年10兆円、
→ 高市内閣 年1.5-2兆円に拡大する構想。中長期では50-100兆円規模の国家投資に発展する可能性が高い
■4.食料品の消費税ゼロは実現するか
1.なぜ「国民会議」なのか 自民の協力を求められる場、まとまらなかったら「協力しなかった野党の責任」とする場
2.財源 「赤字国債にたよらない」「租特の縮小などで確保」
産業向け補助金4.7兆円(24年)、法人向け租特2.9兆円(23年)のカット ⇔企業献金に頼る自民ができるか?
「円安でホクホク」と称した「外為特会」 ⇔ 米国債の大量売却 アメリカ政府が「ノー」と言う。
*すでに大軍拡のために(自民党として)可能な財源を使いはたしている/食料品ゼロの制度設計は時間がかかる
➡ 消費税5% 必要な財源16.3兆円 / 法人税改革14.3兆円、超富裕層の所得税改革3.5兆円
■5.トラス・ショックを受け入れるか
・アベノミクス以来、事実上の「日銀引き受け」。が、「2%消費者物価目標」も「デフレ脱却」も出来ず、完全に破綻
➡ 円安是正には金利アップ必要、が、利払が増え、財政困難が増す。その懸念から身動きとれない状態に
・「赤字国債」の歴史~ 1964年まで発行されず /戦費調達のために乱発し、戦後の大インフレ引き起こした反省から、
財政法で、赤字国債を禁止。
転機・東京オリンピックと景気悪化を理由に、65年に戦後初の発行、その後、「建設国債」が定着
借金だが、インフラとして資産が残る、ということで「是認」
次の転機 75年、財政の穴埋として、国会の議決を経て特例で国債発行に道。現在につづく
・国債費の見通し 財務省 「後年度影響試算」(26.02)
26年度・31.3兆円 29年度・41.3兆円で、社会保障関係費41.0兆円を上回る
想定金利 26年度3.0%、29年度3.6% ➡利払 26年度13.0兆円、29年度21.6兆円
➡金利が想定より1%高いと、29年度までの利払 45.1兆円に
2.「トラス・ショック」とは 22.9 英国 リズ・トラス首相 過去50年で最大の減税、財源は赤字国債を打ち出す
発表直後から、ポンドの急落、英国債の利回り急騰、株式下落で、減税策の撤回・辞任に(在任44日の最短政権)
→ 高市政権の大軍拡、大企業奉仕の「国債だのみの「積極財政」は、トラス・ショックのような危機が起こりうる
■6.物価とインフレーション
1.物価高の実態は、消費者物価指数の7倍
・消費者物価上昇率・・・前年の同じ月と比べての比率
26.1の消費者物価指数(生鮮食料品除く総合) 2.0。25年12月の「2.4%」から低下。
・物価上昇の実感を示す日銀の「生活意識に関するアンケート」 25年12月 17.8% /消費者物価上昇率の7倍
・なぜ、乖離が生まれるのか ~ 「帰属家賃」ウエイトの大きさ
帰属家賃 ~持ち家の人が「自分の家を借りるとしたらいくらか」を計算し、消費者物価指数に組み込む
帰属家賃はほとんど上がらない。しかも全体の約15‐20%を占める。これが物価上昇率を下げる最大の要因
2024年度の消費者物価上昇率 3% → 「帰属家賃除く」上昇率 3.5%
2.物価の上がる要因
①重要に対して供給が足りない時 最近のコメ不足
②大企業の独占価格
③円安による輸入価格の上昇 これが一番大きい
④インフレーション 通貨供給量の膨張によるお金の価値の低下
→ 今の物価高の要因・・・③と④
3.円安による輸入物価の上昇
・物価上昇の1~2割と推計 なかでも食料品は、輸入原材料の日率が高い
・為替レートの推移 ~ 2011~12年 1㌦ 79.8円 → 26年3月 159円 と 15年間で円のt価値が半減
。円安の原因
① 日米金利差 09~14年 ほとんどなし /2020年以降拡大 日本ゼロ、米国 5.9%
② 貿易収支が赤字基調に転落 2011年・東日本大震災以降
貿易収支が赤字・・・外国から買った額の方が大きい ➡ 円を売ってドルに換えて支払うから
*24年度の経常収支+30.4兆円(貿易▲4.0兆円、サービス▲2.6兆円、海外投資収益41.7兆円等)
➡この数字は見せかけ 「海外投資収益」・・・そのまま海外で再投資されることが多い(円買いにならない)
③金融収支 26.2兆円黒字。が、円買いにつながらない
日本の機関投資家 米国債を売却しても外貨のまま、別の海外資産に投資するのが一般的
海外の機関投資家 円建て資金を日本の銀行から調達するので、円の現物をかわないでよい
4.インフレーション
・お金の値打ちが下がり、物価があがる――最大の要因は、通貨が過剰に供給されること
・最大の要因は、国債の大量発行 ~日銀が国債を大量に購入。そのための新しい通貨が発行
~メモ者 マルクス経済学では、本来は貨幣現象を差す。供給不足で物価があがりつづける局面、購買力が低迷し、物価が低迷する減少も、「インフレ」「デフレ」と称されるが、日本の現在のインフレは、古典的・典型的な現象
・赤字国債の大量発行によるインフレを見逃してはならない重要課題--高市「積極財政」の危険性を示すもの
■むすび 大軍拡の阻止こそ、経済とくらしの危機を救う
2.28 アメリカとイスラエルの国際法違反の侵略行為。中東が一気に緊張、原油価格が高騰
・が、高市政権は、一言の非難をせず、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と惨めな追従を続けている
➡「強い経済」をつくる「積極財政」は。アメリカの世界戦略にそった大軍拡・経済安保投資を加速。それは国債の大量発行に行き着かさざるを得ない。その道は、国債の暴落・長期金利高騰を招き、物価の高騰、経済破綻を招く危険なルート
*大軍拡をやめ、財源をくらしし・福祉・教育に回すことが、日本の財政と経済を救い、国民本位に再掲・発展ざせる道
« 自営業・フリーランスに出産育児応援金~被用者保険との格差埋める 本山町 | Main | 「戦争への道をどう止めるか。平和をどうつくるか」~ 深めるための:検討メモ »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機(メモ)(2026.04.06)
- 第二次トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS2025)と国際秩序(メモ)(2026.03.26)
- イラン攻撃に在日米軍出撃 許す日本政府の行為は「侵略」 ICCローマ規程(2026.03.17)
- 2602地方議員学習交流会・資料(課題整理版・改)(2026.03.11)
- 給付型税額控除とバウチャー制度の親和性(2026.02.17)
「備忘録」カテゴリの記事
- 「戦争への道をどう止めるか。平和をどうつくるか」~ 深めるための:検討メモ(2026.05.10)
- 高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機(メモ)(2026.04.06)
- 第二次トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS2025)と国際秩序(メモ)(2026.03.26)
- トランプ政権の国家安全保障戦略と「力の支配」(2026.03.21)
- 2602地方議員学習交流会・資料(課題整理版・改)(2026.03.11)
「自衛隊・安全保障」カテゴリの記事
- 「戦争への道をどう止めるか。平和をどうつくるか」~ 深めるための:検討メモ(2026.05.10)
- 高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機(メモ)(2026.04.06)
- 第二次トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS2025)と国際秩序(メモ)(2026.03.26)
- イラン攻撃に在日米軍出撃 許す日本政府の行為は「侵略」 ICCローマ規程(2026.03.17)
- 「台湾有事」参戦 安保法制の本質を示した高市発言 メモ(2025.11.29)
「科学・研究・技術」カテゴリの記事
- 高市内閣の「強い経済」とは何か 大軍拡が招き入れる危機(メモ)(2026.04.06)
- 農薬使用による食物のPFA汚染 規制に立ち遅れる日本 (2024.03.06)
- 世界経済の構造転換(メモ)(2023.12.22)
- 「汚染水」放出の愚挙 ~合意無視、コスト高、廃炉・核廃棄物処理の見通しなし (2023.08.23)
- 日本学術会議 総会声明 4/18 「説明」ではなく「対話」を、「拙速な法改正」ではなく「開かれた協議の場」を(2023.04.20)


Recent Comments