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会計年度任用職員制度の改善、さらに (メモ)

 新自由主義改革の中で、民営化、外部委託の広がりとともに、正職員の削減、非正規の置き換えが劇的に進んだ。同時に、不登校・いじめ、虐待、子どもの貧困、一人親支援、生活困窮者支援、地域包括ケア、防災、生活交通確保、消費者相談、人口減対策、多文化共生などなど・・・行政需要はどんどん膨らみ複雑化している。が、国の財政手当は部分的だ。そのギャップを埋めるように非正規、任期付きなどで対応をカバーしてきた。非正規(会計年度任用職員)問題の解決は、働く人々の権利保障であるとともに自治体サービスの質の向上、安定化として住民に直接かかわる問題でもある。

その問題点やこの間の「改善点」、今後の課題について、雑誌「経済」2026年2月号の特集(川村雅規、渡辺百合子、仁木将 各氏の論稿)からのメモ。

なお、論考の中で紹介された川村 雅則・ 北海学園大学教授が運営する「北海道労働問題情報NAVI」を訪問して、議会質問・要請を通じ、人事委員会が会計年度任用職員の待遇問題を調査・勧告をした新潟市の経験が極めて興味深い。

 川村雅則「新潟市議会議員・中山均さんの実践報告を聞いて(議員ネット学習会の記録)」 - 北海道労働情報NAVI

【会計年度任用職員制度の改善、さらに 】メモ

・非正規公務員問題は、奥行きがひろい

  1..公共サービスの民間委託の際の賃金基準として使われている~行政がワーキングプアをつくる

  2.非正規の多くが女性 ~扶養されているから、安くて不安定でよい思想が残っている

         デイーセントワークの実現には、ジェンダー平等が不可欠

1 制度の問題点

 「全体の奉仕者」として働くのに、公務労働者としての「身分」と職務にふさわしい賃金・労働条件」が保障されてない

・担っている業務は、ほとんどが恒常的業務であり、専門性・経験を伴うものも少なくない。

・自治体リストラの中で急増

  例 大阪06-25 正規11万人→7.1万人 35%減  非正規 2.8万人→4.2万人 1.5倍

        44自治体のうち非正規比率40%以上35自治体、50%以上15自治体

 

〇民間ではありえない設計

  ・公務員 労使対等の雇用関係ではなく、任命権者の意思が優先される公法上の「任用」、  労働基本権も制約 

         → 正規公務員の場合 地方公務員法、地方自治法でその身分は守られている

  ・会計年度任用職員    1会計年度毎の「任用」という解釈が厳格になされている

   → 条件付き採用期間=試用期間が毎年設定される。雇止めに対し無力

      さらに、総務省の「助言」によって3年毎に公募(雇止め)のルール化をしている自治体が少なくない

    *ほぼ同じ人を任用するのに、毎年、公募・選考業務に、限られた正規職員のマンパワーを消費する理不尽さ

  ・民間に適用される「無期労働契約への転換」(労働契約法18条)、「雇止め法理が法定化」れた19条の公務への適用

     日本労働弁護団 24年11月 「非正規公務員制度立法提案」

     民間非正規の無期転換逃れ=5年雇止めの課題とあわせて追及していくことが労組の使命

 

〇賃金改善も正規と大きな格差

・期末手当・勤勉手当の支給。が、フルからパートの枠に移されたり、実質変わらない運用の多発

 ・人勧制度がストレートに機能してない   プラス改定でも遡及適用されない、一時金の月数で正規と格差など

 

2 ジェンダー不平等

  〇女性差別が日常化した日本

会計年度 3/4が女性~一般事務員 約8割、保育士・看護師等 ほぼ100%、学童指導員。図書支援員 9割

    女性が従事する仕事、ケアの仕事への軽視 

   ジェンダーギャップ指数 118位(25年)  賃金、政策決定の場へ  の参加で大きな格差

  男性の長時間労働、社会保障の公的支出の低さ・企業内福祉による包摂という長く続いてきた構造

   → 女性を夫・子どもなど家族のケアを担い手、補助的な稼ぎ手とする構造が生み出す

 

 〇自治体の男女共同参画、女性活躍政策を問う

  ・首長は、公務員の任命権者として、政策を実行する責任を負っている・

  ・地域のおける最大の雇用主は、大都市部を除いて自治体職場→ 政策実現のための分析・提案は不可欠

   ➡公務の非正規は民間より劣る(労働基本権、無期転換ルールの有無)/市民啓発の前に自己点検が必要

      旭川市  非正規対象の調査 扶養・被扶養の実態、賃金・雇用への希望、ハラスメント被害など

  ・女性活躍推進法 事業所行動計画策定指針(15年11月20日)  「行動計画の策定・推進に当たっては、常勤職員はもとより臨時・非常勤職員を含め、全ての職員を対象としていることを明確にし」と釘をさしている

 

3 制度改善 の兆し

 〇「総務省マニュアル」の改善点への注目

  ・第一版は、17年8月発出され、改定を重ねられてきた/自治体の制度は、国準拠。国の改善を自治体に反映を!

  例) 国の非正規 休暇制度が25年4月から改善  病気休暇の有給化(週5日勤務なら年10日取得可能)

      → 国の水準超えての改善は可能   1疾病につき正規と同じ90日を有給とする自治体もある

 ・休暇の差 傷病休暇 正規・有給90日  大阪 フル10‐60日無給・6自治体 パート9自治体無給

        生理休暇  大阪 フル10自治体無給、 パート25自治体無給

 

 〇公募に関する総務省の「助言」規定の廃止

   ・「3年公募」の助言規定の廃止(24/6)  運動の成果 → 自治体が公募廃止するかどうか、は別

     例)道と道内35市の調査 17市が廃止または導入していない

        首都圏106自治体調査 廃止・導入せず 65自治体         4-5割が「公募」

 

   ・残る課題  1.会計年度の任用という制度(解釈)は残ったまま

          2.公募廃止の陰で「人事評価制度」悪用の懸念   「成績不良」で終了の一方的通告

           ➡制度設計が必要 評価項目・手続きの適正化、本人への結果開示・説明義務、異議申立て機会など

 

 〇軽視される「会計年度任用職員」の離職  「大量離職通知制度」の活用を

   「公募廃止」を後押し~労働施策総合推進法27条による「大量離職通知書」を自治体に適切に提出させる取組み

 ・ 1自治体(但し任命権者毎) 1カ月に30人以上の離職者が発生した場合に、最後の離職が生じる日の1カ月前まで 

  に「大量離職通知書」を作成し、ハローワークに届け出る義務が生じる 

    ・・・・30人には、正職員も含み、離職者とは、離職が確定したもの

 ・「離職通知書」の意味・・・・離職者が大量発生する事態はね地域の雇用安定行政にとってゆゆしき事態で、いち早く察知し対策が求められるため

  ➡多くの自治体は、通知書提出は念頭になく、年度末ぎりぎりで公募・選考を行ったり、離職者を発生させたりしていた。離職者の次年度の雇用や再就職支援の必要性を考えていない現れ。そもそも離職者の集約把握さえしてない自治体も少なくない / これに「待った」をかけたのが「通知書」提出

  • 年度末の忙しい時期に通知書提出を避けたいなら、「離職の可能性を高める公募」をしなければよい。

 

 〇地方創生策が非正規公務員問題に言及

  24年末、地方創生政策で、非正規公務員・会計年度任用職員の待遇改善が取り上げられるように

(例 24/12/24「新しい地方経済・生活環境創生本部)。そこで、総務省職員講師に学習会開催

 ・「骨太方針2025」「地方創生2.0基本構想」「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改定版」などの政府決定文書に、会計年度任用職員の「処遇改善」や「常勤化」の記載がある。もちろん、「能力実証を経た常勤化」であが、深刻な労働力不足、関係者の運動を背景に、政府内でも動きが生じている。

 

〇賃金制度改善の兆し

 総務省マニュアル改定通知25/6/25 改定のポイント

 ①報酬水準決定~常勤職員と同様に「知識、技術及び職務経験」が考慮要素となることを明記

 ②会計年度任用職員の給与等の水準について必ずしも上限を設ける必要がない、と新規に記載

 ③常勤職員の初任給を会計年度任用職員のうち定型的・補助的業務に従事する事務補助職員の給与などの上限の目安とする規定の削除 

 ④保育士・看護師等の専門職の給与等は、1級の水準に限る必要はないと新規に記載

 ⑤再度任用時の給与決定については、厚労省が2018年に取りまとめた「同一労働同一賃金ガイドライン」を踏まえ、常勤職員の初任給決定基準や昇給制度との「均衡」を求めていくことが課題となる

 

 *マニュアル改定で自動的に改善されるわけではない現状を把握し、マニュアルに示された考え方と照らし合わせ、働き掛ける必要がある

*なぜ非正規はこんなに低いのか、仕事に見合った賃金なのか、経験やスキルが評価されないのか 最賃の引上げ、均等待遇実現など民間非正規の運動との「合流」が期待される

 

〇全国のとりくみの評価  短時間正規職員の導入 鳥取(メモ者 高知も)

   先鞭をとけた取り組みは評価できるが、範囲・人数が非常に限定的

   大多数の会計年度任用職員の処遇はどうなのか・・・・公募制の存在など

 

〇運動のネットワークづくり

 ・優れた取り組みなどを交流し、全体の水準を引き上げる

例) 人事委員会の活用例 新潟市「会計年度任用職員実態調査報告書」25/10/9

   厚労省「職務分析実施間マニュアル」を参考に、市の会計年度任用職員、当該職員の係長級職員ヒヤリングを行い、

専門性が高い職種を中心に仕事が適切に評価されてないとの総括がまとめられ、是正の必要性が勧告されている。

 *教科書的に言えば、人事委員会等は、首長(任命権者)から独立した人事機関で、地方公務員の人事行政に対する専門的、中立的な機関である。任命権者の人事権の行使をチェックするなどして、人事行政の適正化はもちろんのこと、地方自治の本旨が実現するよう働く機関とされる。とりわけ人事委員会には、職員の給与、勤務時間等の勤務条件について、議会と首長に勧告(いわゆる人事委員会勧告)を行う権限がある。

 *都道府県、政令市に必置義務。人口15万人以上の市は、人事委員会、公平委員会を選択

  ➡ 人事委員会・公平委員会にまっとうな機能をさせる必要性、会計年度任用職員の仕事を第三者的に調査する必要性を示すもの

 川村雅則「新潟市議会議員・中山均さんの実践報告を聞いて(議員ネット学習会の記録)」 - 北海道労働情報NAVI

――地方を変え、地地方から国を変えよう。そのため情報を共有し、運動の交流・ネットワークを強めよう。

 

◆公務非正規女性全国ネットワーク はむねっと 25年度調査(5回目)

 回答480名、新規64%  回答の7割が「パートタイム会計年度任用職員」

・「名前で呼ばれない」 36%が経験  「補助員」「会計年度」「会任」「年度」さん

・仕事内容

  正職員に仕事を教える26%、決裁書の起案25%、物品の購入・支払い担当21%、人材育成20%、

新人研修講師10%、業務シフト表促成9%、クラス担任3%

・年収  200‐250万円未満が最も多い傾向は変わらず(21‐24年24%以上、25年19%)

 総務省 期末手当・勤勉手当など「改善」進めているが、「勤務時間を突然30分削減」「毎月の給与が削減され年収変わらず」などの訴えが多数寄せられている。

・雇用歴  〃職場で11年以上 21%、6年以上 ほぼ4割

・情報からの遮断 「人事評価制度」「結果の開示」 わからない、どちらも20%

            「病気休暇」の有無 わからない28%

            「不服申し立て窓口」  〃   60%

・働く中で感じる問題点 「雇用の不安定」「正規への道がない」「給与が低い」「やりがい搾取」と続く

  細切れ雇用 学校で学期ごとの雇用  担当8校、週20時間上限゛ /残業代なし、有給なし  などなど・・・

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