米国の「ベネズエラへの軍事攻撃」批判 と マドゥロ政権の評価
他国への武力行使は許せない。一方でマドゥロ政権は問題だらけであり、ベネズエラ国民の手による平和的解決が求められている。
- アメリカの蛮行にたいする声明
・米、ベネズエラに大規模攻撃/国連憲章蹂躙する侵略 直ちに中止を求める/志位議長が声明 | しんぶん赤旗|日本共産党 26年1月4日
・新しい植民地支配の宣言/「米国がベネズエラ運営」/志位議長がXで発信 | しんぶん赤旗|日本共産党 1月5日
- マドゥロ政権の国民の暴力的弾圧の告発、政権の正統性を認めない、とした主張
・主張/ベネズエラ危機/国民多数の意思による政治を 2019年1月30日(水)
・ベネズエラのマドゥロ政権による人権侵害の資料 2019年2月22日(金)
(2017年5月9日の日本共産党のベネズエラ政府への申し入れ)
米、ベネズエラに大規模攻撃/国連憲章蹂躙する侵略 直ちに中止を求める/志位議長が声明 | しんぶん赤旗|日本共産党 26年1月4日
日本共産党の志位和夫議長は3日、X(旧ツイッター)に次の声明を発表しました。
◇
一、トランプ米大統領は、3日、自身のSNSで「ベネズエラへの大規模な攻撃を成功裏に実施した」、ベネズエラのマドゥロ大統領について「妻と一緒に拘束され、国外に連行された」と表明した。ベネズエラ政府は、米国による「極めて重大な軍事侵略」と非難している。
一、いかなる理由であれ、主権国家に対して軍事攻撃を行い、指導者を拘束・連行する権利は、どの国にも与えられていない。
一、トランプ米政権の行動は、国連憲章と国際法を乱暴に蹂躙(じゅうりん)する侵略であり、強く非難する。無法行為をただちにやめることを強く求める。
新しい植民地支配の宣言/「米国がベネズエラ運営」/志位議長がXで発信 | しんぶん赤旗|日本共産党 1月5日
日本共産党の志位和夫議長は4日、「米国がベネズエラを運営する」とトランプ大統領が前日の記者会見で述べたことを受け、以下のコメントをX(旧ツイッター)で発信しました。
「これは新しい植民地支配の宣言だ。21世紀のいま、19世紀の遺物の復活を公言するとは、何たる荒唐無稽な時代錯誤か! 高市首相は、この無法に抗議ができなければ、『法の支配』を説く権利を自ら放棄することになる」
各国・政党に送付
志位議長が米国によるベネズエラ侵略を強く非難した3日の声明と4日のこのコメント(いずれも英訳)は、国連事務局はじめ米国、ベネズエラなど在京の大使館および関係を持っている外国の政党や政党指導者らに送られました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主張/ベネズエラ危機/国民多数の意思による政治を 2019年1月30日(水)
南米ベネズエラのフアン・グアイド国会議長は23日、憲法を根拠に暫定大統領就任を宣言し、大統領選をやり直す方針を表明しました。野党の有力候補を締め出した昨年の大統領選結果を認めず、1月10日から2期目に入ったとするマドゥロ氏に大統領としての正統性はないという主張です。
民主主義破壊、国民犠牲
日本共産党はかねて、ベネズエラ問題は暴力的弾圧、人道危機という点で、すでに国際問題であるという立場から、国民多数の意思にもとづく政治の実現を同国に申し入れてきました。現在の問題の核心は、大統領選挙のやり直しを通じて、政府の正統性の確立と民主主義を回復することです。
グアイド氏については、米国、ブラジルなど米州の半数近い国が支持を表明しました。マドゥロ氏はこれを「米主導のクーデター」と非難し、ロシア、中国などは同氏の支持を確認しています。
ベネズエラ国民は2015年12月の国会選挙で、生活悪化を背景に野党連合が3分の2の議席を占める圧勝をもたらしました。ところが、マドゥロ政権は国民の審判を受け入れず、新国会の発足前にその権限を可能な限り骨抜きにし、発足後は国会決議のほとんどについて最高裁から違憲、無効判決を引き出してきました。
政府の国会無視は、一昨年8月の制憲議会発足で極まりました。その目的は、国会の権限を根本からはく奪し、強権を支える「最高権力機関」を打ち立てるためでした。制憲議会議員を選出する選挙は、1人1票の投票原則さえ逸脱するなど徹底的に政権に有利になる仕組みでした。昨年の大統領選をお膳立てしたのも制憲議会でした。
マドゥロ政権下で、国民は食料や医薬品不足、今年は1000万%と予測されるほどのハイパーインフレに苦しんでいます。国連は、人口の1割近い300万人がすでに国外に脱出し、年内に500万人と予測しています。
マドゥロ氏は前政権以来の失政と国民生活の過酷な実態を認めず、国連などによる国際人道支援の受け入れも拒否しています。政権批判を容赦なく弾圧し、国連の調査によると一昨年の120人以上の犠牲者のうち、判明しているだけでも半数以上は治安当局の弾圧と政府支持派の暴力によるものでした。
移住者・難民の大規模な流出は近隣諸国の社会保障や治安、疫病の広がりの恐れなど多くの面で困難をもたらし、財政を圧迫しています。ベネズエラ危機は、ここに至って一層深刻な国際問題になっています。
弾圧も軍事介入も許さず
今後の情勢がどう展開するにせよ、マドゥロ政権は弾圧をただちに停止すべきです。反政府集会などの中で30人以上が犠牲になり、約800人が拘束されたといわれます。グアイド氏ら野党幹部への弾圧の恐れが指摘されています。
トランプ米大統領は今回の事態について、「すべての選択肢が机上にある」と述べました。一昨年8月にはベネズエラに対する「軍事介入の選択肢」を検討していると強調し、中南米諸国からいっせいに反発されました。
国際社会が一致して求めているのは、ベネズエラ国民による平和的な解決です。外国の軍事介入は絶対に許されません。
ベネズエラのマドゥロ政権による人権侵害の資料 2019年2月22日(金)
2017年5月9日の日本共産党のベネズエラ政府への申し入れ
日本共産党の緒方靖夫副委員長は2017年5月9日、都内のベネズエラ大使館を訪ね、セイコウ・イシカワ駐日大使を通じて同国政府と与党・統一社会主義党に日本共産党としての申し入れを行いました。申し入れの内容は以下の通りです。
◇
貴国では、食料や医薬品、日用品の欠乏による国民生活の窮乏化のもとで、国民の抗議行動が広がっており、政府側の抑圧的措置がとられるもとで犠牲者が多数出ていると伝えられています。在留邦人の間からも生活と安全への不安の声が上がっています。
貴国で起きている問題は今年1月、中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)第5回首脳会議の政治宣言が冒頭でその民主的解決を訴え、4月17日には中南米11カ国が共同声明で事態を憂慮し、問題の平和的解決を呼びかけるなど、国際問題になっています。
この間起きているベネズエラの事態を強く懸念していることを表明します。抗議行動への抑圧的措置を直ちに停止し、事態の平和的、民主的解決をはかるとともに、民主的秩序の回復のために貴国政府と与党・統一社会主義党が責任ある措置をとられるよう求めます。
国連の二つの報道発表から
反政府抗議行動の参加者に対するベネズエラのマドゥロ政権による人権侵害について述べた「国連人権高等弁務官の報道発表」(2017年8月8日)と「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)報告に関する報道発表」(18年6月22日)の要約を紹介します。
国連人権高等弁務官の報道発表(2017年8月8日)要約
デモ参加者に対する広範かつ組織的な力の過剰行使がベネズエラにある。暴力的な家宅捜査や抗議行動に関連して拘束された人々への拷問や虐待を含め、他の人権侵害が存在する。
目撃者らは、治安部隊が反政府デモ参加者に事前の警告抜きに催涙ガスや散弾を発射していたと述べた。催涙ガスの弾薬筒(缶状)が至近距離から発射され、警官が散弾銃でビー玉や散弾、ナット、ボルトを弾丸として使用したと断言した。それらの情報によると、治安部隊はデモ参加者に死に至る力も行使していた。
検察庁は7月31日まで、デモに関わる死者124人のケースを調査してきた。OHCHRチームの分析によれば、それらの犠牲者のうち少なくとも46人は治安部隊に、27人は「コレクティーボ」と名付けられている政府系の武装集団に責任がある。そのほかの死者については、だれが犯行におよんだかはまだはっきりしていない。
拘束者数に関する公式のデータはないが、もっとも信頼できる数字は、デモが始まった4月1日から7月31日までに5051人が横暴に拘束されたことを示している。1000人以上はデモに関連していまも拘束されている。OHCHRが調べたいくつかのケースでは、治安部隊が残虐で非人道的、また、品位を傷つける扱いを拘束者に負わせたという信頼に足る報告があり、拷問したケースもいくつかある。
それらの方法の中には、電気ショックや、手錠をされた拘束者に対する警棒やヘルメットによるものを含む殴打、縛り上げた手首からの長時間のつりさげ、ガスによる窒息と死の脅し、そして、いくつかのケースでは拘束者あるいはその家族に対する性暴力の脅しもある。
ゼイド高等弁務官は、検事総長を解任した8月5日の制憲議会の決定を深く憂慮していると述べ、治安部隊と「コレクティーボ」による人権侵害に関する独立した実効性ある調査を保証するよう当局に要請した。ゼイド氏は、解任された検事総長の保護を保証する措置をベネズエラ政府に求めた米州人権委員会の呼びかけに注意を払うよう当局に勧告した。
デモ参加者のいくつかのグループも暴力をふるっており、治安部隊を攻撃していることが報告されている。8人の治安部隊員がデモの中で死亡した。
ゼイド高等弁務官は、デモ参加者に対する過剰な力の行使を直ちに停止し、横暴な拘束をやめ、不当に拘束されたすべての人々を釈放するようベネズエラ当局に要請した。ゼイド氏は、人権に関する国際法のもとで拷問を用いるのは無条件に禁止されていることを当局に想起させ、市民を裁くために軍事裁判所を用いることをやめるよう要請した。
「急速に悪化しているこの国の緊迫状態を解決するために協力しているすべての関係者に、暴力の使用を放棄し、意味のある政治的対話にむけた措置をとるよう呼びかける」とゼイド氏は表明した。
国連人権高等弁務官事務所報告「ベネズエラ・ボリバル共和国の人権侵害:終わりの見えない下降スパイラル」に関する報道発表(2018年6月22日)要約
ベネズエラ当局は、殺人やデモ参加者に対する過剰な力の行使、恣意(しい)的な拘束、虐待、拷問などを含む重大な人権侵害について、加害者に責任をとらせていない。食と医療の権利という点でこの国が直面している経済、社会危機の重大な影響もあらわだ。
超法規的処刑についての信頼しうる衝撃的な証言が存在する。超法規的処刑は、「国民解放作戦」(OLP)という名で15年から実施された。
検察庁は15年7月から17年3月にかけ、治安部隊が手を下した505人の死者を記録した。それらの殺人は治安部隊の明確な行動パターンに特徴づけられていることを示唆する。命令のないまま「犯罪者」を拘束する目的で貧困地区に侵入、特定のプロフィルに当てはまる青年らの殺人、殺人を抗争による銃撃の応酬の結果だと見せかける現場の工作等だ。
OLPは17年1月に「国民解放人道作戦」に置き換えられたが、はるかに透明性に欠け、調査するのはより困難だ。
ベネズエラ当局は、力の過剰行使や治安部隊の行動後のデモ参加者の死亡について適切かつ効果的な方法では調査してこなかった。
重大な人権侵害を犯した治安部隊に責任を取らせていないという事実は、ベネズエラには事実上、法の支配が欠如していることを示している。
度重なる要請にもかかわらずベネズエラ政府は国連人権事務所の入国を認めていない。高等弁務官は国連人権理事会に、ベネズエラの状況を調査する委員会を設置するよう勧告した。
医療専門家は国連人権事務所に対し、医療施設の深刻な荒廃について説明した。医療機器と重要な医薬品の欠乏や、低い給与とハイパーインフレーションを背景とする医師の国外流出、政府の透明性の欠如がこの国の劇的な医療危機をもたらしている原因だ。
政府は食料危機の規模を認めず、医療と食の権利の行使を保障するために可能なことをすべて行うという国際的な規範を順守していない。幼児の栄養失調が急増している。
ゴミ箱から食べ物を探さなければならない家族がいる。推計によれば、人口の87%は貧困に苦しみ、61・2%は極貧状態だ。14年以来、150万人がこの国を去らなければならなかった。
国民の人権状況は惨たんだ。高血圧の薬1箱の価格が月々の最低賃金を超え、赤ん坊の粉ミルクは最低賃金の2カ月分以上もするのに、これほど絶望的な状況に抗議すれば刑務所に連れていかれる可能性があり、極度の不当措置があらゆる暴力とともにむきだしになる。
人権問題に取り組む市民団体も引き続き、厳しい法的制約や評判をおとしめるキャンペーン、脅し、いやがらせ、また、テロ行為や国家反逆罪などを犯したとする非難に当面している。
国連人権事務所が受けた情報によれば、政治的意見の表明や人権の行使あるいは政府に対する脅威とみなされることによって一方的に自由を奪われた少なくとも280人が引き続き、痛ましい条件下で収監されている。
« マルクス 複線的・非還元主義的な歴史理論への探求 | Main | 裏金追及が築いた「26予算案」の変化 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 会計年度任用職員制度の改善、さらに (メモ)(2026.01.12)
- 米国・移民問題~自らの中南米への支配・介入政策が要因(2026.01.10)
- 裏金追及が築いた「26予算案」の変化(2026.01.08)
- 米国の「ベネズエラへの軍事攻撃」批判 と マドゥロ政権の評価(2026.01.06)
- 高市発言の深刻さ 日中共同宣言(1972)の再確認(2025.12.07)


Recent Comments