日本経済「没落」の真相 村上研一 (メモ)
150頁で、戦後日本経済の変貌を解説している。注で示される書籍やその著者は、メモ者のなじみのものが多く、改めて頭が整理され勉強になった。様々な経済の勉強の基礎になるものであり、備忘録を作成させてもらった。ぜひ実物を手にとってもらいたい。
同署の分析とシンクロする疑似
先進国のなかで一人負け…“名目GDPが28年間でマイナス24%”の日本、「国内生産」より「海外投資」に注力し過ぎた末の悲劇
日本経済「没落」の真相 貧困化と産業衰退からどう脱却するか 村上研一 2505
序章 日本経済の変容―「経済大国」から衰退、没落へ
・実質経済成長率 70‐80年代 5%前後 /90年代以降低迷 93.98.99.08.09.18.20年マイナス
・一人あたりGDP・対米比率 70年代前半2/3 87年100%越え、00年下回り10年代60%強、22年44.5%
・10年以降、貿易特化係数マイナス、実質家計最終消費支出原則、法人企業の経常利益の顕著な増加
第1章 かつての日本は、どのように「経済大国」になったのか?――輸出依存的成長と日本の産業・社会の歪み
1 冷戦と高度成長
55年~ 10%近い経済成長、重化学工業中心への転換
- 冷戦下米国の世界戦略と日本経済
・対日政策 農地改革・労働改革・財閥解体~軍人の供給源と軍国主義の経済的基盤一掃/復金債と物価高騰
・中国革命 「反共の防波堤」となる米国の同盟国として、経済復興路線へ転換
ドッジライン、1ドル360円固定レート、労組弾圧、財閥解体の中止、世界銀行の融資、最新技術導入
・実際の復興の主因 朝鮮戦争による特需~対外援助依存からの脱却、高度成長へ、65年の過剰生産能力の蓄積にもベトナム特需で成長の維持 ➡ 戦後の経済復興・成長の背景に、米国の世界戦略と軍事行動
- 高度成長の展開とその要因
・50‐60年代 民間最終消費支出と民間企業設備投資の増大~生活改善と人口増、臨海部の新鋭重化学工業の構築
「投資が投資を呼ぶ」成長で、国内消費から独立した巨大な生産能力の形成
・重化学工業を軸にした高度成長の要因
- 欧米技術の導入 沿海部の大規模一貫製鉄工場 低コスト・高品質/電化製品、化学繊維など
- 臨海工業地域のメリット 欧米 鉱山・炭鉱に近い内陸部にあり大きな輸送コスト
- 勤勉な若年労働者の豊富な供給~ 日本社会の「三層格差」
・大企業と 日本型労資関係 昇進による生活保障/上司による人事考課 /寿退社と専業主婦
・下請け、中小企業 重層的下請け構造、賃金格差による元請けの利益確保
・農村から労働力供給 零細企業下回る低賃金 60年代農村から80万人が就職
60年 500人以上の製造業正社員 1198円/日、5‐29人 542円、農業所得525円、農業雇用382円
➡大量の低賃金労働者に依拠した構造(労働力再生産の私事化)は、少子化・人口減に帰結する
2 輸出依存的成長と「経済大国」化
70年代前半・変動相場制への移行、高度成長の終焉、ドルショック、経済低迷/「輸出主導的成長」で経済大国へ
(1)ニクソンショックと高度成長の終焉
・ドルの変動相場制移行 多国籍化、ベトナム戦争→在外ドルの金保有超え。ドル金交換停止
→ドル安、金融規制緩和による国際収支悪化(メモ 他国の膨大なドル保有がドル暴落を防ぐ力に)
・石油ショック きっかけは第4次中東戦争。が資源ナショナリズム。ドル安による減収への対応日➡日本狂乱物価高
・調整インフレ 円高ドル安に対し、金融緩和で円安誘導~物価高放置、輸出産業の利益優先/74年物価高24.5%
➡物価高策として「総需要抑制」で景気悪化、実質成長率・戦後初のマイナス、競争力の低下、スタグフレーション
(2)「減量経営」と輸出依存型的「経済大国」化
・日本 いち早くスタグフ脱し、高成長へ。80年代後半・一人あたりGDPで米国抜き「経済大国」へ
→ 輸出寄与度の高まり /電気製品と自動車で輸出の8割 /成長の中心が素材産業から機械産業へ
・コストダウンの徹底~忠誠度含む人事査定が家族の生活条件を規定(公的支援の弱さ)/会社人間・自発的労働強化
- 人員 一人1作業の欧米と違う多能工によるチームの生産ライン 生産性を維持した柔軟な対応可
- 賃金 チーム毎の人事考課 協力、若手育成、業務の改善など/最も効率的なものを標準に設定し強制
- 下請け犠牲 トヨタ ジァストインタイム 在庫管理・輸送コストを下請けに転嫁/定期的な値引き
- 競争力支えた国家支援
- ME化 76年 通産省による6大メーカーと超LSI技術研究組合/自動制御技術による機械化・自動化推進
- 過剰生産能力の計画的削減 素材・造船 カルテル容認、税制・金融支援 破綻回避・技術力保持
→対象的 2000年代の新自由的産業調整 破綻・リストラで技術・人材が流出
3 「経済大国」日本の特質と歪み ~今日につながる
- 外需依存の必然化と脆弱性
- 労働生産性向上と「生産と消費の矛盾」
75‐85年 生産 自動車2倍強、電機4倍弱 雇用 自動車1.2倍、電機1.5倍/長時間過密労働、
→ 雇用の伸び低迷・輸出依存へ 車生産 74年400万台 85年800万台/国内販売250-300万台
・08年リーマンショック 米国上回るGDP落ち込み/輸出産業支援のために政治的対米従属の深化
- 「コストカット経済」の定着
・輸出産業 国内顧客の比重が小さく、ためらいなく労働コストカットを追求 /「合成の誤謬」を意識せず
(2)産業・貿易構造の偏倚(へんい) ~高度成長の終焉とともに過剰精査能力の顕在化・輸出に活路へ
- 食料、エネルギーの輸入依存 ~自給率 エネ 60年1% 80年12.6% 食料 60年79% 80年53%
- 産業・貿易の偏倚 「集中豪雨型輸出」、貿易摩擦 ➡米国から農産物輸入自由化の圧力
昨今の貿易赤字、円安、物価高騰も産業・貿易構造の偏倚がある
- 円安志向の定着 輸出産業の既得権益化 アベノミクス・円安誘導(円建て利益増)/産業転換疎外
(3)地域社会の荒廃 輸出産業を核とする階層的企業社会、食とエネの輸入依存/過疎化、地域の共同性の喪失
(4)人口再生産の困難 東京一極集中、労務管理に従属した生活保障・非正規雇用の拡大、孤立の広がり、
第2 章 私たちはなぜ、貧しくなっているのか?――格差・貧困の広がりと内需停滞
1 「失われた30年」への転換――バブル崩壊と冷戦終結
実質経済成長率 80年代前半3.2%、後半4.8% ➡90年代前14%、90年代後半1.0%と停滞・衰退へ
- バブル崩壊と不況転換
- 金融自由化とバブル生成 米金融資本の圧力 83-84日米円ドル委員会
外為取引の実需原則・外貨を転換し運用する円保有高の規制の撤廃 /投機的為替取引きが可能に
85年プラザ合意 ドル高是正→ ドル急落・日独の低金利策→87年独・インフレ懸念で利上げ・日本維持
→金融自由化と低金利のもと値上がり目的の株式・不動産購入、バブルへ
- バブル崩壊と背景 日経平均 89年末 3万8915円 92年末 1万6924円 98年末 1万3842円
89年 米インフレ懸念から金利7%、日本も3度の利上げで4.25%、大蔵省が不動産融資の抑制求める通知
が、直接要因 ソロモンブラザーズによる株価下落を見越した「少量現物買い・取引所外での大量先物売り」
③バブル崩壊後の「複合不況」
バブル期の土地担保融資拡大した銀行経営悪化→貸し渋り・企業経営圧迫/景気循環に金融不況が重なる
- 冷戦終結と米国の対日姿勢の変化
- 冷戦終結とクリントン政権の登場 89年ベルリンの壁・91年ソ連崩壊~巨大な市場登場・
ク大統領92年「開かれた競争的な貿易は米国民全体を豊かにするものでなければならない」
「戦略的通商政策」の推進 ライバル諸国の市場開放と米企業の利益追求~軍事技術の民間開放、高度情報通信網構築による新興企業支援/WTO・二国間交渉、自由貿易協定を通じた市場開放の追求
- 米政府の対日姿勢の一変 ソ連崩壊後の世界で、日本経済を「最大の脅威」と位置づけ
- 米国の対日要求と日本の「改革」
- 日米貿易摩擦から日米構造問題協議へ
・ㇾ政府 86日米半導体協定 半導体の赤字を安保上の問題視、日本国内の外国製半導体シェア20%目標
→巨大なDRAM生産設備を抱えており、CPUの開発・生産を断念。結果としてインテルの独占的地位確保
(坂本 国内シェア争いから韓国・台湾に日本式工場を建設・技術の流出→半導体凋落のきかけとなる)
・89年~日本の内政に踏み込んだ貿易不均衡是正として、投資拡大、土地利用の自由化、流通規制緩和、排他的取引慣行の廃止、系統関係による排他性の除去、内外価格差の是正を要求し
→10年間で430兆円(後に630兆)の公共投資、都市近郊農地の優遇税制廃止、大店法廃止、独禁法の強化、
対日投資を事後報告制とする外為法改正を実現
- 日米包括経済協議と「年次改革要望書」 ~日本の諸制度改革は、ク政権登場で拡大・深化
・93年 日米包括経済協議 分野別の数値目標を含む市場開放。毎年「年次改革要望書」取り交わすことを約
束。進捗を評価する「客観的基準」の設定し結果を迫る仕組み
→ 米国の要求を拒否した場合に、「円高容認」発言(一時1ドル80円上回る円高に)で日本を揺さぶった
政府調達 スパコン、人工衛星、医療技術、テレコム分野での外資参入
規制改革 金融、保険、競争政策、通信、流通政策の規制撤廃
経済的調和 外国直接投資拡大、知財権強化、系列取引の見直し という米国要求が貫徹された
・労働者派遣の自由化(進出企業の負担減)、医療費患者負担増大(保険市場拡大)の入っている
- 日本市場開放と米国企業の参入拡大
日本企業の国内独占体制の切り崩し 例) 94年保険協定 生損保の相互参入、外資参入
がん保険など「第三分野」で5年間、日本企業の参入禁止
郵便局の簡易保険を問題視 郵政民営化要求から05年「郵政選挙」へ
13年 民営化し、がん保険の許可凍結をうけたかんぽ生命とアフラックの業務提携、18年資本提携
電信電話 97年法改正、99年再編 KDDI、ソフトバンクなど参入 、NTTのシェア低下
→電通ファミリーの富士通、NECの収益悪化・研究開発能力の低下、短期収益追求で競争力を失う
(4)中国の外資導入と米中連携
- 中国の外資導入・輸出主導型成長 92年 改革・開放路線の推進 鄧小平「南巡講話」
- 96年 台湾海峡危機」から米中「戦略パートナーシップ」へ
・97年 江沢民訪米、98年ク大統領訪中、中国のWTO加盟支援、01年WTO加盟
情報通信関連機器を中心とした在中外資系企業による対米輸出で急成長/韓国・台湾のICT企業も中国活用
→ 日本 00年代以降、情報通信機器貿易で赤字に転じ、以降赤字額を拡大 (中国利用した日本打倒!「経済成長すれば民主化が進む」とした中国戦略の見直し。米覇権に挑戦する唯一の存在として「包囲網」の形成)
2 「新時代の『日本的経営』」と非正規雇用拡大
冷戦後の大激動に対応した、輸出産業を中心とした財界、政府の施策が生活悪化と内需縮減につながった
- 円高と「ドル高転換」
・95年 1ドル80円上回る円高 /輸出の低迷と日本企業のグローバル展開の本格化
・95年 G7共同声明 ドル安是正へ /米政府 ドル高追求 製造業から金融サービス中心の産業構造の転換
- 新時代の「日本型経営」と労働法制改定
- 「新時代の「日本型経営」」とその背景
・ドル高転換は、輸出依存的成長を再現の可能性/が、東アジア諸国の輸出依存型成長との競合
当時の賃金格差 韓国・台湾1/3、タイ1/30、中国1/90 → 非正規雇用拡大によるコスト削減を打ち出す
・「長期蓄積能力活用型」(正規)「高度専門能力活用型」(有期)「雇用柔軟型」(非正規,派遣)
- 労働者派遣の拡大
86年16業種、96年10業務追加、99年製造、建設、、警備、医療、港湾運送以外原則自由、04年製造業
(3)97-98不況とリストラ・非正規雇用拡大
①橋本6大改革と97-98不況 消費税5%、健康保険の患者負担2割へ引上げ 9兆円負担増
深刻な景気後退、不良債権を抱えた銀行の破綻、貸し渋り・貸しはがしによる企業倒産増/マイナス成長に
- 非正規雇用の拡大
企業倒産・リストラ 失業率 97年3.4% 02年5.4%へ上昇
正規雇用の減少と非正規雇用の拡大 非正規率 95年20.9% 05年32.3%
(4)2000年代の「いざなぎ超え」景気の内実
00年代初頭 米国ITバブル崩壊、不良債権処理に伴う倒産の増加による景気後退 01年マイナス成長
- 輸出依存型成長 ~ サブプライムローンによる米国の架空の繁栄
・02年2月~07年10月 期間としては高度成長期の「いざなぎ景気」上回る好景気
→ 輸出と設備投資は伸びた。自動車、一般機械、金属、化学が牽引/が、民間最終消費の伸びは低迷
- 飛来機雇用拡大による競争力強化
・00‐05年 従業員総数159万人減、常用雇用の平均賃金24万円減
成長した自動車、機械、金属、化学は、微増または減少
電機47万人減、建設94万人減、商業・飲食店80万人減、一次産業60万人減、繊維24万人減
増は労働者派遣業など対事業者サービス、介護を中心とする医療・社会保障分野/いずれも低賃金の分野
- 格差・貧困を伴う「実感なき好況」
3 新自由主義的改革と税制・社会保障
- 税制改革とその帰結
①法人税収の空洞化 消費税導入当時、法人税40%が2018年23.2% +投資減税、研究開発減税
2023年度 政府税収 消費税23.09兆円 所得税22.05兆円、法人税15.86兆円
②消費増税と逆進性、輸出産業支援 89年3% 97年5% 14年8%、19年10%
消費性向が高い低所得者ほど負担が重い。消費を抑制し不況を深化させる
輸出品はゼロ税率 仕入れ分の消費税額が還付 12年度、消費税5%税収16.6兆円、還付3.2兆円
→ 実際は下請け単価引下げで消費税分を負担せず/54年 仏で輸出補助金禁止を受け付加価値税が導入
③金融所得税の軽減 高所得者層・金融機関支援
・株式売却益・配当 一律20%の分離課税 所得が年1億円を越えると、税負担率が低下
*法人税減税は期待する効果をあげなかった 与党税調25
(2)社会保険の逆進性とその強化
①社会保険の逆進性 負担額に上限がある /国保には平等割、均等割りなど所得によらない負担額がある
フリーランス、非正規雇用が加入する国民年金は、未納率3割
社会保険料の事業者負担 日本1/2 仏69.8%、英71.2% SW80.3% と比べ低い
②逆進性の強化 小泉政権「聖域なき構造改革」
健康保険の患者負担 97年1割が2割に 03年 2割が3割に
年金 04年 マクロ経済スライド /給付抑制の大部分は基礎年金部分
協会けんぽ 平均保険料率 12年に、8.2%から10.0%に /赤字の中小企業圧迫、非正規雇用への置き換え
*その結果、貧困と格差を拡大、内需の抑制、停滞をもたらした
(3)社会保障の市場化
①福祉領域の市場化・民間参入 00年介護保険、 13年子ども子育て支援制度・19保育無償化、放課後デイ
②市場化の本質的問題点 利用者の消費者的性格の強まり、収益事業化による困難を抱える利用者が排除
労働生産性向上が困難な領域~収益拡大は、低賃金・非正規化・労働節約によるサービス低下、人手不足
③福祉分野の労働条件悪化 民間全産業平均439.3万円、介護362.8万円 (22年)
④ベーシックインカムの問題点 現物サービスが基礎の上にないと、バウチャー制度・市場化に直結する
*一連の税制・社会保険制度改革は、輸出産業・金融などの利益を守る一方、所得再配分を弱め、格差と貧困の拡大、内需低迷に帰結し、経済にマイナに作用
4 人口減少と内需縮減、内需産業の衰退
(1)人口減少
①人口減少と将来推移 08年1億2808万人ピークに減少/70年代初め毎年200万人出生数 24年72万人に
②要因 労働条件の悪化と未婚、「自己責任」論
既婚者の子どもの数の減少は大きくない/50歳時点の未婚率 高度成長期1%、20年男28.3%女17.8%
30歳代男性の未婚率 正規30.7%、非正規75.6%➡ 非正規雇用の拡大による未婚の増加が主因
➡日本 公的福祉が貧弱、企業内福祉で労働者を包摂。企業の「減量経営」の結果、生活困難が直撃/その後も「生活保護バッシング」に見られる「自己責任」論が大手をふり、人口減と経済衰退を促進
③ロスジェネ世代、シンママの将来不安の高まり
(2)家計支出の減退と輸入品の浸透
①実収入の低下
・97年ピークに低下、消費支出、消費者物価も低下・低迷 ~ 長期「デフレ」というが貨幣現象でなく内需低迷
→アベノミクス 「物価低迷」を、貨幣現象と捉え異次元の金融緩和。が、円安による物価高、実収入の低下
②可処分所得と家計支出の縮減
19‐20年比較 実収入 56.3万円-54.3万円 非消費支出8.8万-11.0万 可処分所得47.4万-43.3万 ‐8.6%
消費支出34.2万-32.4万(実質31.2万) 実質 食料‐8.8%、服靴-25.4%、書籍など-42.9%、交際費-36.7%
③安価な輸入品の浸透 被服、パソコン・スマホ(中国産など)
(3)内需産業の衰退
①国内諸産業の衰退 家計消費の減退と安価な輸入品の浸透
・00-19年 経済活動別国内生産額 名目+3.6%/製造業全体-6.1%(繊維製品-53.0%、窯土-21.8%、情報通信機器-64.2%、電子部品‐32.7%)/実質ベースは情報通信機器+99.8%、電子部品307.2%。機能向上分調整のため
・名目生産額増~製造業・化学、金属、機械、車の輸出系 非〃・事業所向サービス58.2、保健衛生社会事業60.7%
②公共事業削減と建設業衰退
・建設業従業員数 00‐23年 653万人-483万人 -170万人
・政府の建設投資額 95年35.2兆円 05年19.0兆円、2015年20.2兆円、20年24.1兆円
→ 新自由主義改革により、90年代後半から2010年民主党政権の間に大きく減少
・小泉政権下の「三位一体改革」による市町合併と公務員削減とあわせ、地方経済の衰退、人口流出が進んだ
第3章 日本産業はなぜ、衰退しているのか?――米国式経営、経済政策と供01-04給力低下
1 国内生産能力の衰退と設備投資の縮減
国内消費 90年代に鈍化するも2010年代初頭ま゛増加。国内生産能力 90年代後半以降 停滞・減退
(1)国内生産力の減退
・製造業全体 01-04年落ち込み 05-08年機械工業大きく伸び97年超え、製造業全体では97年の95.8%
→ 22年 製造業全体87.5 機械工業93.3 に低下 国内消費も、13年ピークに低迷
(2)産業別投資額の推移
・産業合計の投資額 95年3.4兆円、00年2.3兆円、05年0.5兆円 11年1.6兆円
・純投資額(生産拡張のみ) 95-05 増加は機械工業のみ~非正規雇用を拡大し、内需を犠牲に輸出競争力強化
・11年各産業 純投資大幅減、15年、各産業増加も、機械工業含め05年水準下回る /輸出産業も投資が停滞に
(3)企業経営の変貌
・80年代まで 内部留保が若干高いが、国内売上高、経常利益、納税額、人件費、設備投資、配当が並行して伸び
・80年代後半 経常利益、納税額に続き、設備投資も顕著に増加/00年以降、経常利益が拡大しても、設備投資は抑制され売上高を上回らず/内需低迷・輸入品の浸透という面だけでなく供給サイドの変貌は無視てせきない
・90年代以降 売上高が低迷の中、配当金、経常利益、内部留保が顕著に増加
・10年代 経常利益の大幅増加、が、納税額増加せず、設備投資と人件費は停滞
➡売上高停滞の中、設備投資・人件費を抑制し短期的利益を拡大。それを配当と内部留保(金融投資)に振り向けた
・90年代以降、海外の売上高、設備投資、従業員数は拡大
2 米国の対日要求と企業経営の変貌
(1)米国式企業経営への転換 --- 会社制度改革
①米国による系列批判と企業経営改革の方向性
・米国 株式持合い解消と株主重視の経営へ の転換迫る/株式持合いで株主の発言力制限、中長期見越した経営
99年OECD報告「コーポレートガバナンス原則」 「株主・・・の利害に高度の優先順位を与える」
②自社株買いの解禁94年 発行ずみの株式数を減少させ、株価上昇、一株当たりの配当増加
97年ストックオプション解禁9 (01年 取引先、関連会社役員に拡大)/経営陣と株主の利害一致
③企業買収・合併の容易化と高株価志向
・97年 持ち株会社解禁、99年会社分割法制定・株式交換解禁、06年会社法改定(外資系企業も利用可能に)
➡ 他企業の買収、買収からの防衛の両面で、高株価が有利になることから、株価上昇に繋がる株主還元が増大
④米国式経営形態の導入 ~ 委員会設置会社 /取締役と執行役の分離
株主から選出された社外取締役を中心とする指名・監査・報酬委員会が執行役の人事と報酬を決定
→ 機関投資家による短期的利益を追求し、配当増を求める経営に/赤字でも内部留保を崩して配当する例が増加
(2)米国式企業経営への変革が何をもたらしたか ~ 米国式経営導入の「優等生」 ソニー、東芝
①ソニー 収益が低下していた半導体部門の売却を画策。短期的利益見込める音楽。映像分野中心に積極的M&A実施も4年連続で赤字、12年業績回復・売却まぬがれた半導体部門が開発したスマホカメラのイメージセンサーが大きく貢献
②東芝 短期利益至上主義の圧力のもと、利益かさ上げ偽装の不正経理発生し経営破綻に
*中長期視点から設備投資、研究開発を抑制する米国式経営は、企業自体の持続性を失われる事態が懸念される
(3)株主の立場からの会計制度改革 --- 国際家系基準の導入
①国際会計基準の導入 企業に投資する株主の立場からの企業評価
退職金引当金の不足分を債務計上、グループの連結会計導入、
②キャッシュフロー会計と設備投資の抑制 99年キャッシュフロー計算書の公表義務付け
同会計では、設備投資、有価証券投資の拡大は、キャッシュフローをマイナス表示、長期的視点の経営弱める
③時価会計と企業集団の解体 00-01年 時価評価の義務付け
当時、株価低迷で保有株式の時価が簿価を下回る「含み損」を抱えていたため、評価損の計上をさけるために、持ち合い株の売却を迫られた。/株価急落による銀行経営悪化をうけ、政府・日銀が銀行保有株の買い入れ決定。持ち合い株の解消を支援。6大企業集団を解体/放出された株式を機関投資家含む外国人保有が増大。株主還元の圧力に/ 経団連企業 外国人等保有持ち株比率 90年6.34% → 19年 31.23%
④減損会寡計(06年)と研究開発。設備投資の抑制
大企業は、工場含む事業用固定資産について、事業の収益性が低下し投資額を回収する見込みがなくなった場合に、帳簿価格を減額しなければならない減損会計を強制適用
→収益性が低い部門の分社化・リストラ、新分野への研究開発、設備投資を抑制する原因に。
⑤企業買収の容易化 企業買収額と被買収企業の純資産を上回る分である「のれん代」の定期償却が不要に
・・・それまでは「20年以内に減価償却として費用計上することが義務づけ」 ~買収後の経営負担の軽減へ
(4)米国金融資本の狙いと日本企業の変貌
一連の「改革」は、米国の金融資本・投資家が日本企業を買いたたくためのインフラ整備。日本企業の健全な発展に 貢献するものではない(角瀬)
(5)不良債権処理と分社化・リストラ
①「年次改革要望書」と不良債権の直接処理
米国 銀行の抱える不良債権の直接処理を要求。小泉政権が実行 ~引当金増額、不良資産を取り除く直接処理
→ 倒産・廃業の広がり /99年以降「金融検査マニュアル」作成、検査官の調査など銀行業務の健全性に努める
②「金融再生プログラム」(直接処理の推進 02年)業務改善の厳格化 と 銀行破綻
検査忌避による役員逮捕、会計処理の変更で資本不足したりそな銀行の役員交代・公的資金資金投入
資本不足の足利銀の破綻処理など金融庁の強力な対応で不良債権比率の急速な低下
➡貸出先企業は、単年度利益で債権の「健全」「不良」評価にさらされ、短期的収益拡大に迫られた。
③広がる企業倒産~ 不良債権処理の強行 /02-04年廃業率が開業率上回る、完全失業率00年4.7-03年5.3%
00年代前半 製造工業全体、機械工業の国内生産能力 大きく低下 /銀行の破綻・合併 3大メガバンク誕生
④「ハゲタカファンド」の進出
不良債権処理の対象企業を安価で買い取り、リストラ等で収益性を高め、再上場し高めで株売却する商法~米投資ファンド 日本政府が4.5兆円の公的資金を投入した旧長銀を10億で購入1200億円増資、瑕疵担保契約に戻筑原価した貸出債権を当初価格で預金保険機構に買い取らせるなど、貸出金を3年で半減させる不良債権処理〈貸出先の倒産など〉すすめ、4年後、再上場の時価7132億円と、支出した1210億円の約6倍に膨張。さらに宮崎シーガイヤ、日本コロンビアでも同様の手口で巨額の利益を獲得。
→ マネーゲームの対象として日本企業が売買され、従業員、取引先、立地地域を翻弄された
⑤不良債権処理処と技術流出
大企業が不良採算部門を分社化し、リストラ・売却する動きが加速
➡半導体、家電事業の分社化・リストラ、事業撤退、海外企業との提携を通じ、海外へ技術が流出。競争力失う
⑥市場・収益性原理に基づく過剰生産調整
米要求による不良債権の直辣処理、会社・会計制度改革により、短期収益追求され。中長期的に意味を持つ研究開発、現場の技術・ノウハウを継承してきた長期雇用を軽視し技術流出、競争力低下を招いた
★70‐80年代の素材産業の不況にあたり、政府介入により、破綻を防ぎながら計画的な生産調整で技術を守った!
~ 不況下での公的関与の在り方の違いが、中長期的な国内供給力と産業競争力に甚大な影響をあたえた
(6)コーポレートガバナンス改革
①民主党政権から第二次安倍政権へ
・06年経団連「社外取締役」などの導入批判/民主・鳩山政権 経済財政諮問会議廃止、「年次改革要望書」停止
・菅・野田政権 消費増税、TPP参加 /安倍政権 経済財政諮問会議復活、TPP参加、「世界で一番企業が活動と安い国」を掲げ、新自由主義路線を加速
②社外取締役の義務付け(15-19年) 世界基準の自己資本利益率(ROE)の重視 /14年以降配当が急激に増大
③コーボネントガバナンス改革とその狙い~単年度のROE向上➡配当増大よる株主の短期的利益偏重に
④GPIFの資産運用変更(14年)と米国金融資本
年金積立金の運用 国内債券の比重を下げ。国内株式・海外債券株式の比重を高めた
→95年日米包括経済協議 年金基金の運用に投資顧問会社の参入を認めた/が、政府は、安全な国内債券中心の運用のため、投資顧問会社は事実上算入制限 /その状態を変え、参入に道を開いた。
⑤対米従属としてのアベノミクス
」安倍内閣の成長戦略のほとんど゛の項目は、・・・米国の要求に基づいて・・・20数年間で日本がまだ実現できてなかった項目を・・・総決算しようと」するもので、日本の資本主義を「機関投資家、すなわち大株主にのみ顔を向けた経営を企業に強いるもの体制であり、大多数の日本企業に長期的成長の途を閉ざし、外資の蚕食、跳梁をしいる政策である」(坂本雅子「空洞化と属国化」
(7)改革の帰結
①米国式経営の導入 短期収益追求/ポーター 92年・米日独の企業経営比較 長期的視点持つ日独を評価
②「株式市場の逆機能」と投資抑制 90年代末~上場企業で配当と自社株買いによる株主還元額が、株主からの資金調達額を続けている (「株式市場の逆機能の20年 スズキトモ) ➡ 利益拡大や株価上昇が人件費・設備投資・研究開発の削減によって実現。「利益・株価が・・・実態経済や市民生活の幸福との間の高い関連性を失った」
③昨今の株高の内実 円安による海外収益の円建て額の増大、株主還元優先の経営、(資産バブル)
3 既得権優先の経済政策――「アベノミクス」の帰結
(1)金融緩和の意図と効果
①量的・質的な金融緩和
・「量的」 目標を金利からマネタリーベース(現金通貨量と市中銀行保有のる日銀当座預金残高) 年60‐70兆円増
→ 市中銀行から国債など有価証券を買入れ、代金支払いを通じ日銀預金残高をふやし、貸出しやすくする。
・「質的」 日銀が買入れた有価証券を、長期国債やETF・JREITなどリスク証券買入れ(株・不動産高)を拡大
➡ 物価上昇率2%の目標を2年以内に達成と公約。が目標達成できず・・
②「インフレ目標」達成の失敗――金融政策の限界
・「物価が上がらなかった30年」の要因を、内需の弱さでなく、「貨幣現象」とした誤り
→ 日銀の預金残高膨れ上がったが、実態経済は低迷、貸出は増えず
③金融緩和の真の狙い 円安と金融利得の拡大
・安倍12.12総選挙 「金融緩和すれば、円の金利が下がるので、円が売られやすくなる」」「円高に苦しむ輸出産業が息を吹き返し、景気もよくなる」 と、金融緩和の狙いを明言
→が、現実輸出メーカーは海外展開しており、為替レートに左右されない体制を築いている/実際、円安でも輸出数量は伸びず、円換算での額が増えただけ、一方、輸入品の価格上昇が襲った/実質賃金の連続的な低下
・日銀の国債保有残高 13年4月127兆円→23年4月580兆円 日銀の国債・財投債の保有47.4%
→ 政府の赤字国債発行を通じ、防衛費の拡大、既存大企業への巨額の補助金を支えた
同時に、低金利を維持するため、国債の円滑な売却を担保するため、大手金融機関が落札した国債を額面価上回る額で日銀が購入。この「日銀トレード」で大手金融機関は巨額の利益を手にした。
(2)「機動的な財政政策」による産業支援策の実態
①外資に席巻されるICT分野
マイナ- 3兆円 NTTなど国内大手 使い勝手悪いシステム /多重下請け
自治体デジタル 仕様書だけ各自治体が開発する無駄・経費増 /基盤となるクラウドはAmazon。グーグル
→ 政府主導のデジタル化は、競争力を失った国内大手の救済。企業側は寄生的性格強める
②五輪・カジノリニアと不動産・建設業界
・五輪 東京圏を「国家戦略特区」。容積率など規制緩和、大規模な都市再開発で、大手不動産、建設業の利益確保
・IRリゾート 基盤整備としての万博の開催 関連事業13兆円
・リニア 「採算がとれない」とJR自体が言っている事業に、財政投融資3兆円の異例の出資
③公共領域の民営化、民間委託 PFI、コンセッションなど管理運営、コロナ禍の給付など業務委託、教育IT化等
④「成長戦略」と官民ファンドを通した企業支援 国の出資金が大半、国会審議を経ずに運用
⑤農業・漁業分野の改革 農協の営利事業化、種子法廃止、種苗法改定、漁業権の解放
(3)「気候危機」とエネルギー政策
①電力改革 15年パリ協定 18年1.5度報告書 10年比 30年45%減、50年ネットゼロ
安倍政権 原発をベースロード電源、成長戦略として原発・火発のインフラ輸出/05比25%減を3.8%に引下げ
託送料金に電源開発税、原発事故賠償金、廃炉円滑化負担金(再エネ電力にも負担させる)
不完全な発送電分離、出力抑制で再エネ経営難、発電量引き締め小売価格高騰による新電力つぶし
➡ 再エネ普及を妨害してきた
②日本の「脱炭素」政策の特徴 脱炭素目標が世界平均以下、G7で唯一石炭火発固執、再エネ目標の低さ
2040年 4割を火力発電、 原発2割(現状8%。新規建替えを想定)
容量市場(4年後の発電量確保)など原発、石炭火発の建設など全小売電力から負担金を取り支援
オークション制度 脱炭素電力にも小売電力の拠出金で20年の固定収入 /原発、アンモニア混焼も対象に
③原発推進への転換 24年第7次エネ計画 「段階的縮小」の文言削除、「最大限活用」へ
④水素・アンモニア利用 製造過程でCO2排出、高コスト・・石炭火発延命の「見せ金」
CO2地下貯留 発電由来CO2の半分年2.4億トン/実験施設30万トン/1トンあたり0.8‐1万円の高コスト
⑤再エネ導入の遅れ 大手電力・重電メーカーの既得権益優先 /22年電源構成に占める自然エネ~デンマーク 84%、SW68%、ドイツ43%、英41%、中国31%(24年39%)に対し、日本22%と低い
*再エネ関連機器・蓄電池・電力調整など技術開発・投資競争で後れをとり、産業衰退につながっている。
本章~米国式企業経営のもと短期的収益追求による不採算部門の分社化・リストラによる技術流出で衰退の道へ。その後の政策も旧来型技術に基づく国内独占の既得権益を保護するだけで、世界的な産業転換から取り残されている。
第4章 なぜ、貿易赤字が続くのか?――グローバル化と空洞化、産業競争力低下
1 世界経済のグローバル再編
(1)日本経済の地位低下
・00年世界産業連関表 GDP構成比 米33.0、日14.1、独5.4、英4.6、仏3.5/中印ロ・ブ 7.7%
14年 米23.7、中13.0、日6.0、独4.3、英3.7、仏3.5%/ G7計46.1、BRICs21.0 /00-14 日半分、中3倍
・固定資本形成(設備投資、公共事業、住宅)の比 00-14 米31.7-18.3、日16.0-5.6、中5.5-24.9%
➡固定資本形成中心に中国の比重が増大、一方、日本の地位は大きく低下
(2)世界産業の構造変化と日本 ~ 00-14年産業連関表から各国の産業供給力シェアの変化
・製造業 米23.5-12.5、日153-5.5、中8.4-32.1%
・電気機械 中8.3-41.2%、米24.8-8.0、日20.3-6.0、英2.6-1.0仏2.4-0.9、しかも額自体で減少
・車、一般機械 中3.5-27.5、10.1-33.4。G7国は低下、日本19.6-7.8、14.3-5.1と大幅減
*中国 改革開放政策と輸出主導型成長。日本を脅威視した米国の中国WTO加入支援と米企業の中国での生産
2 グローバル資本主義と日本産業の競争力低下、空洞化
(1)日本産業のグローバル展開
・00年代 電機産業 海外設備投資・小幅増 海外従業員数 大きく増
輸送機 海外設備投資・従業員数 ともに大きく増
・10年代 電機 設備投資・従業員数 減退傾向 /輸送機 投資額・従業員数 大幅増加
輸送機 設備投資14年、従業員数18年をピークに横ばい・減退傾向
一般機械、化学、食料品の各産業も世界展開が進む
(2)電機産業の衰退 ~ 国内供給力と国際競争力の動向
①情報通信機器の貿易赤字拡大・・・電機産業の貿易黒字 00年代後半以降、急速に減少、23年に赤字
・ 90年代初頭1.5兆円黒字の電算機が00年代から/1兆円弱の黒字の通信機が00年代後半から /3兆円の黒字の映像音響機器も10年代 から 赤字に転落。以降赤字幅の拡大、
・半導体 00年以前、2兆円超えの黒字。10年代前半に、大幅に縮小
②日米半導体協定と競争力喪失
・91年協定 日本国内の外国製半導体シェア20%以上の目標設定 →日本企業、大きな生産力を有するDRAM生 産に特化/数値目標達成のためCPUは米国製品に依存。インテルの優位が固まる
→ 高性能のDRAMは、パソコン普及とともに廉価な半導体(韓国、台湾参入)が主流となるなか、国内の過当競争の中、人件費の低廉なアジアでコピー工場を展開(日本の技術・ノウハウの完全移転→技術流出に)
・00年、DRAM生産から撤退、不採算部門の分社化・リストラで技術者が流出 /韓国、台湾と立場が逆転
・この時期の企業経営改革 短期的収益重視、不良債権の直接処理、時価会計・減損会計が技術流出を促進
③スマホ普及と通信機生産からの撤退
・日本企業 端末・通信設備とも国内通信キャリアへの納入で収益を確保
・海外メーカー 通信インフラ運用も請け負うビジネスモデルを展開。米国の戦略的通商政策を背景に進展した世界的な通信事業の自由化、通信規格の高度化のもとで販路を拡大
・日本メーカー 携帯電話端末を国内専用規格に依存、国内通信キャリアの販売戦略に従ったことでスマホ生産への参入が遅れた。国内規格のみに対応した製品に特化(ガラパゴス化)したことで、10年代、日本国内でスマホ、4Gが普及する中、競争力を失い、主たるメーカーは携帯端末生産から撤退
④薄型テレビの競争力喪失
・00年代シャープ、パナソニック 巨額の国内投資で先進国向きに輸出を拡大。08-09不況で先進国需要が剥落。新興国事業でサムスン、LGに敗退。巨額投資した二社は経営破綻、経営不振に
・液晶ディスプレイ 90年代後半以降、過当競争状態の日本メーカー、 韓国、台湾、中国で生産/技術流出招く
*グローバル展開する中で、短期的利益求める経営により技術流出・アジアの新興戦力の台頭を招き、衰退した
(3)自動車産業の空洞化
①「深層現調化」と空洞化の深化 コスト競争に勝つため、研究開発、部品生産含め全体を海外移転
→ 企業収益拡大と国内経済成長がいっそう乖離
②産業技術の海外流出と部品メーカーへの負担転嫁
・収益性追求で、部品の現地調達、国内部品メーカーの需要減/国内企業開発技術の流出~20年 テスラとトヨタ EVの基幹部品に用いる電磁鋼板に中国宝武鉄鋼集団の製品採用 /21年、日本製鉄が、トヨタと共同開発した電磁鋼板技術を無許可で持ち出したとしてトヨタと中国企業を訴えた
・ルネサス トヨタと結び車搭載マイコンで世界シェアトップ。が、価格決定権をトヨタに握られ収益悪化。研究開発の低迷、人材流出で競争力失う。
3 既得権優先と産業転換の遅れ
(1)「気候危機」と「脱炭素」めぐって
①再エネ関連機器の国際競争力喪失
・重電分野 10年代も貿易黒字。近年、発電機の輸出が伸びず、輸入が拡大
安倍政権の原発・火発のインフラ輸出戦略 大半が失敗 ➡海外の再エネの急速な普及・低廉化が要因
➡ 政府が、短期的収益追求する企業の原発・火発の温存支援 /再エネの開発普及が遅れる。かつて世界トップ水準の再エネ関連機器の競争力低下。貿易赤字拡大の一因に
・22年 脱炭素関連投資 中国72兆円、米19兆円、EU24兆円、日本3兆円
同年の中国の再エネ導入1.8憶kW、日本の総再エネ発電設備容量上回る
②太陽光パネルのシェア低下
・00年代前半 日本製品 世界シェア4割強 → 20年 0.3%
・中国 この10年 EUの約10倍6.8兆円投資 22年パネル出荷量 71% 企業別では9位まで中国
③風力発電機製造からの撤退
・エネ基本計画で風力が主力電力とされたのは2018年。普及が遅れ、20年日本から大型風力のメーカー消失
・23年 世界シェア 中国企業 44..2%
*再エネ関連機器分野の日本の凋落、 メーカーに配慮し原発・火発温存・再エネに後向きの国の政策の結果
(2)自動車産業とEV、PHEV 日本の遅れと中国の躍進
①EV、PHEV 普及の遅れ
・IEA 「世界EV見通し2024」 23年新車販売数 前年比35%増 1380万台、シェア18%
・23EV販売数 中国+37% 810万台、EU+22% 330万台 米+40% 139万台 日本+5割 14.1万台
・新車販売比率 NOR93%、SW60%、FNL54%。中国38%、仏25%、独英24%、米9.5%、韓7.9%、日3.6%
②日本メーカーのEV転換の遅れ 各国 内燃機関の期限決め廃止方針。日本 HVを規制外に
③EV販売の失速と技術的課題 蓄電池の重さ、タイやの消耗と粒子状物質飛散、事故の甚大化/開発も加速
④中国車載電池メーカーの躍進 中国2社52.6% レアアースの調達、精錬・精製で独占状況
レアメタル用いず低価格のLFP蓄電池の実用化量産でも中国2社が先行
全個体電池 鵬輝能源 24年開発成功 26年量産開始と発表
23年自動車生産台数で日本を凌駕
(完全自動運転タクシー 1000台が商業運行 )
4 現代日本資本主義の世界的位置
(1)現代日本産業・経済の世界的位置
①「戦略的通商戦略政策」と米国のグローバル独占
・経済的覇権求めたクリントン 日本経済を冷戦後の最大の脅威と捉え、市場開放と株主優先経営改革
中国のWTO加盟支援、中国での事業展開で日本企業に対抗
一方、軍事技術の民間開放、公的機関の技術開発など推進/プラットフォームとデータ独占
世界各国に市場開放・米国式制度を強要(ワシントンコンセンサス)
②中国の台頭と米中グローバル独占資本の角遂 ~東アジアの輸出型成長、その中でも・・・
・外資による産業振興・技術移転、政府支援、海外留学・就労による技術獲得で米企業と覇権争う存在に
(メモ 米ATエンジニアの38%は中国人で最多。豪州シンクタンク ・・・・・・・・・・・)
③日本の既得権益保護志向の国家独占資本主義
・2010年代以降、旧来の独占企業の温存をはかる政策に固執・・・デジタル。グリーンは煙幕
→ 世界的な産業構造の変化・技術革新から落伍。/高度成長を支えた従順な労働者を育成する教育による、批判的思考力・研究開発能力の低下として産業転換を妨げた。
(2)従来型産業構造、既得権の温存と貿易赤字
①「出口なき金融緩和」と貿易赤字、円安もむ
・巨額の長期債務、日銀による国債の半分の引き受け・・・利上げは公債費増、日銀の自己資本棄損(既存の国債の減価、円の信用の棄損)・・・円安による物価高の是正には利上げが必要(日米金利差解消)、が、発行済み国債の利払いの増加(予算作成の硬直化)、日銀保有の国債の時価票での減価による日銀の債務超過・円の信用棄損 か 利上げ回避で、物価高・不況の継続か、という悪魔の選択に
*貿易赤字が続き、円安が継続すれば、食料・材料・エネを輸入にたよる日本は行き詰まる
第5章 日本の産業・経済の再建に向けて――衰退の脱却と資本主義の超克
1 衰退の根因――外需依存、対米従属、長期政権
これまでの概観~ コストカットによる内需縮小=70年代以来の輸出依存的「経済大国」に内在 → 冷戦終結後とグローバル競争激化のもと、低コスト狙いを狙った非正規雇用拡大=格差・貧困の広がり、国内経済の縮小再生産を招く/米国要求を背に、株主優先・短期的収益志向の経営への変貌〈技術の海外流出〉、既得権益を優先する政策で産業転換の遅れ、国内供給力の衰退、輸出産業のグローバル展開による産業空洞化と競争力低下につながる
(1)衰退日本の規定要因
①外需依存経済の成功体験と輸出産業の既得権益化 ②対米従属の継続・深化 ③政権交代の欠如
・①外需依存は、内需抑制に繋がり、③と相まって既得権益層の中心をなす輸出産業の利益優先の政策で、産業転換を妨げ、供給力低下につながった。
・②では、それ崩壊後、日本経済を「最大の脅威」(メモ者)と定めた米国から「年次改革要望書」など、数値目標を含む市場開放、米国式経営への転換促す会社・会計制度改革を通じ(短期利益重視~設備投資、研究開発、人材の軽視)、国内産業の供給力、競争力の衰退。成長の原資が株主還元、金融利得として吸い上げられている/ 米国は日本との軍事同盟を強化しつつ、中国のWTO加盟を支援、米企業の中国での現地生産・生産委託通じ、日本に対抗
・③は、政治資金、天下り(天上がりも)を通じた政財官の癒着が固定化し既得権益を擁護する性格を強める。/米国では、クリントン政権の情報スーパーハイウェイ構想のもとIT。企業が族生、バンデン政権下で再エネ関連企業が成長。と政権交代を通じ、新産業の成長が実現
(2)「経済大国」 日本の歪みの克服 上記①~③克服には、戦後日本の在り方自体を問い直す必要がある
2 衰退日本が直面する諸問題
(1)既得権保護と財政赤字、円安
・金融緩和が円安・物価上昇を招き、22年4月より実質賃金が連続低下/円安でも輸出は伸びず、円換算出の見かけ上の利益拡大・株高をもたらした。/一方、食・材料・エネの輸入額拡大。ICT分野の競争力低下と日米デジタル貿易協定(19年)、デジタル・サービス収支の赤字拡大が輸出産業の黒字を上回る。海外現地法人の利益は海外留保・再投資にまわる産業空洞化の進展(国内に還流せず、円が買われない)で、経常黒字でも円安が進行する事態に
・財政赤字は、金融緩和による日銀の国債購入が支えた/富裕層・金融所得者の利益に合致する税制改革による税収空洞化を補いつつ、既得権益層向け支援の原資となった(10年代の消費税2度増税 税収空洞化を補うとともに、内需を低迷させた)
・財政赤字、金融緩和の継続→膨大な保有国債を抱える日銀の政策をしばり、(日米金利差の拡大による)22年以降の急激な円安、物価上昇をもたらしている/生活悪化とともに、産業・経済構造の転換がなければ、食料、エネなど海外からの調達困難も招く事態が懸念される。
(2)人口減少と地域社会の衰退
・人口減~戦後日本 生活保障を労務管理に組み込んだ高度成長依頼の企業社会が継続、公的支出が増えない中、「コストカット経済」の追求、非正規雇用の拡大は、未婚率の急激な増加、人口減少を加速させ、内需の不可逆的衰退を決定づけるとともに、「8050問題」、低年金高齢者、孤独・孤立など様々な課題を抱え込んだ
・地方の人口流出~高度成長期以来の人口流出、新自由主義改革による都市から地方への地域間の所得再配分 が断たれた農村部の人口流出・地域社会の存在を脅かす(市場化をすすめ医療・社会保険部分の経営難、撤退)、
他方、最も出生率の低い東京圏への一極集中が人口減少を加速
・地方の共同性の喪失、企業の成果主義など人々の孤立、孤独の深化
・学校教育への影響 労務管理。減量経営の成功体験は、管理・権威に従順で批判的思考の喪失、ハラスメント、異論・少数者排除、科学研究の停滞にもつながっている
(3)公的領域の解体と寄生的独占資本
社会保障の公的支出抑制が逆進性を高め、貧困を拡大。福祉領域での労働条件の悪化(人手不足)、公的年金の海外金機関の収益拡大に活用、鉄道の分割・民営は全国的な鉄道網の衰退、郵政委民営化による米国保険の代理店化とサービス悪化、水道。種子など生存に係る分野ビジネスチャンスに供されようとしている。
五輪・カジノ、リニアなど含む再開発・公共事業、行政や教育分野のデジタル化と民間委託が進み、国際競争力を失った電機産業含め寄生的な資本が補助金、官製市場に群がっている/社会的基盤を切り刻むもの
3 産業・経済再建の課題
従来のあの方とは異なる発想と経路を通じての再建が必要
(1)労働条件改善と格差是正 最賃・中小企業の社会保険料負担軽減、公的領域の再建、支配的企業関係の改善、
(2)持続的な国内供給能力の再掲・拡充 食料・エネルギーの持続可能な供給体制確立
(3)地産地消と市場の重層化 食・エネの供給、福祉の展開/東京集中是正と少子化抑制/地域経済圏への支援
(4)公的領域・公的関与の拡充 男性稼ぎ・女性ケア担当の企業社会(公的福祉の貧困)の解体、
→非正規雇用の拡大、多様な家族形態のもと公的福祉サービスの再建が必要
基礎研究の重視(国立大学運営交付金削減や貧困な研究体制の改善)、産業構造転換への公的支援
4 資本主義の超克に向けて
(1)「新自由主義からの転換」の動き
国連 SDGs人権とビジネス、国際法人最低税率、富裕税枠組条約、/この面でも日本の周回遅れ
(2)新たな生産関係の課題 私的所有権を最優先する基本思想の転換(コモンの再構築)
様々な収益権に設定された所有権は有限責任で転売可能な証券形態をとり短期的収益を希求
(→人間と自然の持続可能性の尊重する経営へ) 意思決定を行う株主=私的所有の専制の抑制が不可欠
(3)利潤原理・私的所有の専制からの転換
農業、再エネ、福祉などの分野で、利潤原理超える新たな生産関係の構築の必要性
多様な当事者・関係者が参加できる経営形態・組織形態の構築
→これらは、単一で無差別な世界市場、私的所有の支配に基づく生産関係、利潤・収益性原理を最優先する生産・投資決定という資本主義の原理自体の見直しとその彫刻が求められている。
*メモ者 気候危機 資本が作り出した、人間含む自然、生態系への壊滅的な脅威
システムチェンジ=利潤(価値)から使用価値重視への転換を軸に 時間はそんなにない
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