「台湾有事」参戦 安保法制の本質を示した高市発言 メモ
「台湾有事は存立危機事態になりうる」(高市首相 11/7、衆院予算委員会)は日本が攻撃を受けていなくても米軍の戦争に参戦できる安保法制の本質を示した、と思う。発言撤回で済む問題なのか・・・そのことを整理するための学習的メモ
- 海外の武力行使に道開い た安保法制
・戦後の歴代政権の「専守防衛」論 ~9条との関係から、実力行使は、日本が武力行使できるのは「我(わ)が国に対する急迫不正の侵害」の場合に限らる。海外で他国の戦争に参戦する集団的自衛権の行使は違憲としてきた。
・安保法制による解釈変更、 安倍政権による14年7月の閣議決定、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合=いわゆる「存立危機事態」で武力行使が可能だと憲法解釈を変更。15年に強行した安保法制で、存立危機事態における武力行使(集団的自衛権の行使)を可能とした。
→歴代政府答弁 「台湾有事」が存立危機事態に該当する可能性は認めるも明言せず/高市答弁はそれを明言した
・中国側の反発、緊張の高まりをうけ、発言を撤回するか、どうかに焦点があたっているが・・・
- 日本が戦場となる仕組みの撤廃を 安保法制、安保条約
台湾有事をめぐって、高市発言のように日本が武力行使すれば、当然、日本も戦争当時者となり、相手からの反撃の対象とされる。しかし。直接、日本が武力行使しなくても、在日米軍基地が出撃、補給などのために使用し、それを日本が許容すれば、同じく戦争同時者となる。
1974年、国連で可決された『侵略の定義に関する決議』がある。その第3条の(f)
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第3条 (侵略行為) 次に掲げる行為は、いずれも宣戦布告の有無に関わりなく、二条の規定に従うことを条件とし て、侵略行為とされる。
(f) 他国の使用に供した領域を、当該他国が第三国に対する侵略行為を行うために使用することを許容する国家の行為
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(f)は、在日米軍基地が侵略のために使われ、日本がそれを 許容しているとき、日本も侵略を行った加害者として扱われるということである。
だから新生イラクは、米軍との間で、イラク内の米軍基地を他国の武力攻撃に使用できないことを地位協定で定めている。先日のイランの核施設への米軍の爆撃も、カタールにある中東最大の米軍基地を使用せず、本国から30数時間かけてB2爆撃機が飛来したが、カタールが自国内の米銀基地を他国の武力攻撃に使うことを禁止しているからである。これらは、米軍が関わる戦争に巻き込まれないための防衛策である。
日本には、事実上、米軍の自由出撃を認めている。過去のベトナム戦争、イラク戦争では、相手に直接日本を攻撃する能力がなかった(国際世論を味方につける政治的判断もあっただろうが・・)だけの話。
台湾有事は違う。日本が戦場になる危険性が、国際法上も、能力的にも存在する。一国が戦争するかどうかを他国にゆだね、そのために米軍基地強化のためにせっせと税金を投入するという属国ぶり。ここに米国の世界戦略に日本を 総動員するという対米従属の本質がある。
高市発言は、安保法制、安保条約の持つ危険性を示したもので、発言を撤回しても、危険な本質はかわらない。元からただすことが求められている。
- 台湾情勢めぐり、米軍は軍事介入を繰り返してきた
・米国は、54年から台湾と軍事同盟
・1958年の台湾海峡危機 米軍作戦本部が中国本土に対する核兵器使用計画を準備するよう、ホワイトハウスに提言(ランド研究所66年報告書)
・95~96年 中国は、初の台湾総統選を妨害するため台湾近海にミサイルを発射/これに対し、米軍は空母や爆撃機を台湾海峡に急派し、中国を威圧しました。(第3次台湾海峡危機)
→ 日本政府内では、日米安保条約に基づく共同作戦の検討に入るべきだとの意見(96年3月15日、梶山静六官房長官)も出されたが、海上自衛隊元幹部は、当時は法的にも能力面でも限界があり、「同僚はみんな黙っていた。話題にすることを避けていた」と証言。
★今は違う -- 法的な口実となる安保法制が存在し、能力面でも、中国艦船や中国本土まで攻撃可能な長射程ミサイルの配備が進められている。日米で統合司令部を設置。
日本を守るどころか、緊張激化をもたらしている安保法制廃止、大軍拡ストップは、いよいよ急務
- そもそもの原因 「1つの中国」路線を敷いた米政府
・戦後、米国は、中華民国を中国の唯一の正統(本土と台湾)な代表とする政策を堅持(中華民国による再統一路線)
→51年 サ条約議論の中、吉田首相の等距離外交と取られる発言を米政府が問題視。吉田は、中華民国を唯一の代表とする態度を明確にした書簡を発表。サ条約締結へ (この時期的背景として、朝鮮戦争中であった。後述)
・米国は、54年から台湾と軍事同盟 -- 中華民国を足場に「1つの中国」を再現する意図が指摘されている。
(60年代 植民地が相次いで独立、ベトナム戦争の泥沼化・金ドル交換停止⋰/世界の構造的変化 )
・71年 中華民国に代わり中華人民共和国を「中国」の国連代表と認めるアルバニア決議採択/ 中華民国の国連脱退
・72年 日中共同声明 中華人民共和国を中国の代表と認め、中華民国との国交断絶 (民間の連絡機関は残す)
・79年 米 中国と国交を正常化。中華民国との同盟破棄。が、その後も国内法である「台湾関係法」に基づき関与継続
(背景に、対立する中ソ間にさらに楔を打ち込む一方で台湾への既得権益の維持したい米国と、経済再建の支援を必要する中国の事情。/米台同盟の解消、武器援助容認で折り合い)
・82年 「改革開放」路線をとる鄧小平が従来の「台湾解放」から「平和的統一」「一国二制度」を打ち出す
・01年 米国の支援により、中国のWTO加盟
(冷戦終結後、「最大の脅威」となった日本経済への対抗策。在中米企業による輸出拡大)
・中華民国 2000年代半ばまで「1つの中国論」に清算しきれなかった /が、ドイツ、朝鮮半島のような二国論の立場に
・中華人民共和国 2000代以降「核心的利益」と表現
- 歴史的背景 日本帝国の植民地支配/中国 国民党と共産党の抗争
・中国本土は、国民党の支配に抗する中国共産党の抗争。同時に、日帝との対決の国共合作
・日本の台湾植民地支配 帝国日本の敗北 /連合国の同意 「台湾は中華民国に」
・49年 共産党が本土制圧、国民党が台湾に脱出 /国民党。共産党の抗争の継続として、台湾海峡危機
~ 2000年半ばまで、中国の唯一の代表をめぐる抗争 / 台湾独立という問題ではなかった。
・現状は、そのフェイズがかわりつつある・・・ 台湾の独立志向と、これまでの「1つの中国」政策の齟齬
・中国の主張 「武力行使」を排除すれば、独立派が勢いづく
→ 一つの中国とってきた国民党。独立をめざすのか、一国二制度なのか・・・現実としての、あいまい戦略
- 日中 4つの基本文書
・1972年の「日中共同声明」~ 日中が「相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力または武力による威嚇に訴えない」と確認。「両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する」。
78年の「日中平和友好条約」、98年の「日中共同宣言」にも明記 /三つの文書は、いずれも「主権および領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等および互恵並びに平和共存の諸原則」の上に平和友好関係があることを確認
・08年 「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」~ 「三つの文書の諸原則を引き続き遵守すること」を確認。「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した」と明記しました。
★ 台湾問題での日中間の確認
・72年「日中共同声明」~中国は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する」、日本は、この中国の立場を「十分理解し、尊重する」と明記。その後の各文書でも、この見解が引きついでいる。。
・「十分理解し、尊重する」とした文言をめぐっては、さまざまな解釈が存在するが、中国は明確に「台湾は中国の一部」であるとの立場を示しており、中国から見れば、台湾は「内政問題」となる。
・日本共産党の立場 台湾海峡の平和と安定は、地域と世界の平和と安定にかかわる重要問題であり、平和的解決を強く求める。/台湾問題の解決のためには、台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきであり、中国の台湾に対する武力行使や武力の威嚇に反対する。同時に、日本や米国の武力介入にも反対。「危機」をあおり、緊張を激化させ、大軍拡の口実にすることは許されない。
- 戦争への対応を巡っての教訓 朝鮮戦争と日本共産党の50年問題
・1950年6月25日に北朝鮮が、事実上の国境線と化していた38度線を越えて韓国に侵略戦争を仕掛け、勃発。
→ スターリンの思惑 米国をアジアの戦争に引き込み力を分散させる(第二戦線の構築)のため・・
・49-50.1 コミンテルン内の役割り分担 アジアは中国が指導(鉄砲から革命が生まれる) 日本共産党への干渉
・北朝鮮の武装蜂起をソ連が容認(中国抜き)、起こってしまった戦争への中国の参加(国連軍の仁川上陸後)を要請。
・ソ連は、中国の国連代表問題を口実に国連安保理を朝鮮戦争開始時期までボイコット。米軍を中心とした「国連軍」の結成が可能となるお膳立てをする
→50年8月、この不可解な行動をスターリンに手紙で直接ただしたのがチェコスロバキア大統領のゴトワルトに対し、スターリンは8月27日付の手紙で説明 ~ ボイコットは、「米国政府にフリーハンドを与え…さらなる愚行をおこなう機会を提供」するため意識的に取った行動だと説明し、朝鮮戦争への参加によって「米国が現在ヨーロッパから極東にそらされていることは明らか」、そのことは「国際的なパワーバランスからいって…われわれに利益を与えている」、「米国はこの戦いで疲弊してしまうだろう」 /不破「スターリン秘史」
・日本共産党50.6月中央委員会分裂、臨中の立ち上げ・・・米・韓国による武力攻撃と間違った規定)
武力闘争・51年「綱領」(コミンフォルムから党正常化の動きを「分派」と認定(51.8)されたことから、「全国統一会議」を解散。宮本らは「自己批判」させられ戻る。指導部としてては復帰されず、それは武装闘争路線が行き詰まった54年となる)。「五全協」(51.10)を 「形の上では統一」と当時の規定)
➡ 武装闘争方針の押し付けは、在日米軍の背後で攪乱を担ったもの
・国会議員ゼロの大打撃をうける。再統一にむけた「6全協」(55.7)で武装闘争路線の放棄を決議、58年7回大会で規約決定、綱領草案を2/3が賛成するも、討議と実践にゆだね8回大会で決定。、
(参考とすべきと思う論稿)
「台湾有事」真っ先に巻き込まれる沖縄の"脆弱性" 佐藤 優 東洋経済 11/29
https://toyokeizai.net/articles/-/920133?display=b
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