システム照準化 運用コスト爆上がり! 「3割削減」の想定を上回る分は国が責任を 中核市市長会
公開日 2025年01月30日中核市市長会は、「地方公共団体情報システム標準化に関する緊急要望」について、1月29日(水)に、デジタル庁及び総務省へ要望書を提出し、要望活動を行った。
当初から懸念され、2~4倍になる、事実上一択のアマゾンのガバクラの機能のうち、「標準化」で活用するのは2割程度であり割高になっていることや、為替の変動の影響をうけるので予算を立てにくい問題など。以下の記事参照
・デジタル庁関係者「ガバメントクラウドの8割は自治体には不要なもの」…牛耳るアマゾン勢と、マイナのミスは富士通に押し付ける河野太郎 - みんかぶ(マガジン)
・運用コスト増にAWS寡占、ガバメントクラウド推進法案の陰で「こんなはずでは…」 | 日経クロステック(xTECH)
・ガバメントクラウドは共同利用方式でも安くはならない 高橋 広和/Hirokazu TAKAHASHI
・費用は安くならず移行困難自治体も続出、ガバメントクラウドの進め方に疑問 | 日経クロステック(xTECH)
中核市市長会は 「少なくとも3割削減」の想定を上回る標準化後のシステ ムの運用経費については、「少なくとも3割削減」の想定を上回る標準化後のシステ ムの運用経費については、国の責任において適切に財政措置を行うこと。」とと要望している。というか、「それ以上支払わない」という姿勢で対峙することを議会が住民が支えるべきだろう。
≪以下、中核市市長会 提出書類≫
地方公共団体情報システム標準化に係る緊急要望[PDF:4.25MB]
地方公共団体情報システム標準化に関する緊急要望
中核市市長会においては、これまで、政府に対し、地方公共団体情報システムの標準化に関し、移行経費の全額国庫負担と移行期限延長への柔軟な対応を要望してきたところであるが、政府においては、昨年12月の補正予算と閣議決定により、移行経費の財政措置と移行期限の延長に関し一定の措置を講じていただいたことに、感謝申し上げる。
引き続き、令和8年度以降の移行経費についても、全額国庫負担による財政措置 をお願いする。
一方、情報システムの運用経費については、「少なくとも3割削減を目指す」と閣議 決定されているが、本会において標準化後の運用経費等のフォロー調査を実施したところ、標準化前と比べた平均倍率で2.3倍と大幅に増加する見込みであることが 明らかとなった。
その要因については、まだ十分に分析できていないが、国の定める標準仕様の増大により開発・保守費用が肥大化したこと、またシステムの肥大化と相まって、当初期待されたガバメントクラウド利用の低減効果が得られなかったことが大きな影響を与 えていることも想定される。
標準化移行後の運用経費の大幅な増大は、デジタル化による行政の効率化を進める自治体にとって大きな痛手であると同時に、重い負担である。国策として自治体情報システムの標準化が強力に推進されてきたことを踏まえ、想定を上回る運用経費の増大分については国の責任において適切に財政措置を講じるよう、強く要望する。
自治体システム標準化は国策として進められたものであるが、運用経費 は「少なくとも3割削減を目指す」との方針に反し、大幅に増大する見込みである。 その要因として、国の定める標準仕様の増大により開発・保守費用が肥大 化したこと、またシステムの肥大化と相まって、当初期待されたガバメントク ラウド利用の低減効果が得られなかったことも十分に想定される。 このため、想定を上回る運用経費の増大については、国の責任において 適切に財政措置を行うこと。
◆詳細説明
1. 中核市市長会の調査によると、中核市における移行前の運用経費の平均は、3 億3千8百万円である。これに対して、移行後の運用経費の平均は6億8千4百万 円、平均倍率2.3倍に大幅に増嵩し、5割以上の自治体で2倍以上の増、最大で 5.7倍にもなっている状況である。 運用経費の削減を図ろうとする取組の中で、平均で3億4千6百万円、最大で8 億7百万円も運用経費が増大するのは、中核市にとって大きな痛手であり、重い負担である。
2. その要因は十分分析できていないが、調査結果からはガバメントクラウドの利用による運用経費の低減効果は確認できない。 また、全国的にシステム標準化に従事しているベンダーからヒアリングしたところ、標準仕様書の要件数が平均で1.2倍、一部は3倍以上に増えており、それに伴って 開発・保守費用が大幅に肥大化したことが明らかになった。
一方、一部市の事例でいうと、標準化システム以外の情報システムの運用経費の増は1.1倍程度にとどまっており、人件費高騰等一般的なコスト増大による影響は必ずしも大きくはないものと想定される。
標準化後の運用経費について国の補助はなく、自治体負担とされている。
国策である標準化のために肥大化したシステムの開発・保守費用を、自治体が 運用経費として負担せざるを得ないことが見込まれる状況となっており、自治体の 財政に将来にわたり大きな影響を与えることとなる。
こうした状況を勘案し、「少なくとも3割削減」の想定を上回る標準化後のシステ ムの運用経費については、国の責任において適切に財政措置を行うこと。
令和7年1月29日 中 核 市 市 長 会
【中核市市長会】地方公共団体情報システム標準化に関する調査結果概要
1.調査概要
(1)調査目的:標準化後の運用費の増嵩について、中核市の状況を確認するもの。
(2)調査対象:中核市62市
(3)調査期間:令和7年1月8日~
2.調査結果概要(62市中59市の状況)
(1)運用費の標準化前後の比率別自治体数
(2)運用費前後の差額の最大値、平均値及び合計金額(年額)
なお、特定移行支援システムに該当している場合等、標準化後の運用経費を算定で きていない業務が多数あり、今後さらに費用が増加する可能性がある。
(3)(2)のうち、ガバメントクラウド利用料に相当する費用の増分
① 標準仕様書の要件の増加により、システムが肥大化 (福島市の場合 平均1.2倍、一部業務は3倍)
② システムの肥大化と相まってガバメントクラウド利用料が増加 なお、62市中41市の合計値は以下のとおり
【参考】自治体情報システム標準化移行後の運用経費[PDF:166KB]
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