「新しい政治プロセス」の光と闇
今回の衆議院選挙、ながらく続いた、そして、日本の統治機構にズタズタにした「一強政治」にストップをかけ、改憲の発議に必要な2/3を崩したたことで大きな意義があった。
さらに、各政党の公約をみると、企業団体献金の禁止、最低賃金1500円、高等教育の無償化、選択手的夫婦別姓、軍拡増税反対などで、その実現にむけた大きな足掛かりをつくった。
選挙では、与党は議席を減らした。一方、野党第一党の立憲は、議席はのばしたが比例得票は伸びていない。維新と共産が議席減、国民、れいわ、そして今回が初選挙の参政党と保守党が議席を獲得・・・という、次の政治への明確に方向性がしめされなかった。
自公過半数われで、要求実現の条件の拡大、が、次の政治の方向性は、模索の途上ととらえて「新しいプロセス」なのだと言う。
要求実験の道を拡大した、そのもとで掲げた公約への態度が厳しく問われる状況であり、大いに頑張りたいと思う。
そう思いながらも・・・結構な危機感が襲ってきている。
都知事選の石丸現象、そして兵庫知事選の様相。まるでトランプ現象とかわらないような熱狂のあらわれである。
新自由主義がもたらした格差と貧困の拡大、それと一体となった自己責任論の圧力。
2016年の米大統領選挙にあたり、映画監督のマイケルムーア氏は、 差別と貧困が拡大する社会で、人々の苦しみに訴え、社会への仕返しの1票=億万長者と同じ力を持つ一票、が、はるかに多数の1票を今ある仕組みを破壊してくれる人へと動員する”という主旨の話をし、新自由主義がもたらす民主主義の危機を訴えた。
投票率の低迷、政治へのあきらめの表現だった。が、「分断と対立」の場となったXなどが状況を変えた。社会から排除されてる怒り、やるせなさが、それ仕組みを支えていると思える「勢力、体制」への攻撃が「正義」として拡散され、ある種の「流れ」が形成されていることである。
戦前、あの無謀な戦争への突入に、国民が熱狂させられたのが、感覚としてわかると思えるような状況と言える。
この危機に、どう対応するのか。
「誰ひとり取り残さない」社会制度をつくっていくことになるのだが・・
まず、その怒り、やるせなさに寄り添う態度、そのことへの様々なアプロ―トをリスペクトをもって対応すること・・・そして共同していく努力。
これを、組織の文化としないと、この社会の危機に対抗できないように思う。
尊敬する先輩の言葉 「人は自分の言うことを聞いてくれる人の意見だけ聞く」
なお、このコラム不満顔の民主主義 - 内田樹の研究室は考えさせられる
「 近代市民社会は、私権の一部、私財の一部を手離し、それを公共に負託する方が、成員たちが自己利益の最大化を求めて喉笛を掻き斬り合うよりは長期的には自己利益を安定的に確保できるという合理的判断の上に成立した。ロックもホッブズもそう説いている。 公共の利益と市民の自己利益は短期的には相反しても、長期的には一致する。だから、選挙結果にどの党派も、どの個人も等しく不満顔というのは「よいこと」なのである。」
さらに ルモンド紙 特集記事: 「米右派テックはいかに権力を奪取したか」
石田英敬東京大学名誉教授(記号論、メディア論)による要約・解説
https://x.com/nulptyx/status/1857913838261375“”
6つ示されたポイントの4つめ・・・
“暗い啓蒙思想と国家改造
ピーター・ティールを中心とする一部の億万長者たちは、民主主義の限界を批判し、国家運営を企業経営に類似した形に移行すべきだと提唱している。この思想は「CEO国家」の概念として具現化され、国家の意思決定を集中化し、効率性を重視するモデルを志向している。 これらの思想の基盤には、カーティス・ヤーヴィンのような思想家が寄与しており、「現代社会は再起動が必要である」とするラディカルな主張が含まれている。彼らは、民主主義を「無駄で非効率的」とみなし、独裁的な統治を理想化する傾向を持つ。
”
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