「立憲民主」の選挙政策を見る
今回の選挙で、高知県の野党と市民の共同のとりくみは、市民団体「憲法アクション」が予定候補者と議論を進め、1区は、立憲民主党の武内のりおさん、2区は、日本共産党の浜川ゆりこさんを推薦した。尽力されてきたみなさんに敬意を表したい。結果として、前回と同じ構図となった。前回のように立憲、共産、社民、新社会が政策協定に調印するという明確に形ではないが、それぞれがこれまでの流れを配慮して辛抱強く対応してきた成果と言える。
「立憲民主党によって共闘の基盤が基本的に損なわれている」(3中総)とされているので、その政策の中味は1区での対応にかかわることなる。一昨日の「共同、「読売」の報道を見ると
・21年、コロナ禍での消費税を「時限的5%減税」は、今回、軽減税率制度に代えて、中低所得者に一部消費税の還付制度導入
・国公立大授業料を無償化し、私立大と専門学校は同額程度の負担軽減を行う
・企業・団体献金や政策活動費の廃止、政治資金の世襲制限。
・適切な価格転嫁で最低賃金1500円以上を実現するとした。
・子育て支援 18歳までの子どもを対象に1人当たり月1万5千円の手当を支給する。
・格差是正として、所得税と金融所得課税は累進性を強化、法人税も収益に応じた応分の負担を求める
・21年衆院選の「原子力エネルギーに依存しない社会を一日も早く実現」との記載を22年参院選に続いて見送り、「新増設や地元合意がないままの再稼働は認めない」。
・防衛費増額に関して「予算を精査し、防衛増税は行わない」、辺野古への米軍基地移設中止
・憲法 21年の「コロナ禍に乗じた改憲反対」から、改正を巡る「論憲を進める」
と報道されている。そこで、24総選挙政策が発表されたので、目を通してみた。
今回の特徴は、21年総選挙と違って「政権交代」を正面から打ち出したことである。裏金問題と絡めて「政権交代こそ最大の政治改革」とうちだしている。「7つの政策」と後半の「主な政策項目」がきちんと対応してない。「7つの政策」で打ち出していることが、「主な政策項目」でさらに詳しく展開しているものもあれば、すっぽり抜け落ちていたりしている・・・政権政策2024政治活動用.pdf
なお、「安保法制の違憲部分の廃止」は明記されている。
以下、上記の報道で触れてない部分で、メモ者が注目したもの。最後に若干の感想
- 政治改革
「企業団体による資金パーティー券購入禁止」、「政治資金報告書に関する政治家本人の責任・罰則強化」(メモ者 会計責任者への罪押し付け対策)など
- 行政改革
森加計桜について「タブーなき情報開示」、「官邸による幹部職員人事への行き過ぎた介入を改める」(メモ者 もともと民主党が「政治主導」ということで持ち込んだものだが、安倍政権の悪用・暴走を支えた)、「国民が法律の制定・改変を発議できる制度の導入」(メモ者 台湾オードリー・タンさんの影響?)
- 内閣
公務員の労働基本権の回復、公務員の正規化・体制強化、知る権利を守るため「特定秘密保護法の見直し」。学術会議の独立性を担保・推薦してきた候補者をそのまま任命」「規制改革推進会議、国家戦略特別区域諮問会議」、カジノ事業中止、悪質ホストクラブ被害の防止・救済
- デジタルIT
EU一般データ保護など基準にした個人情報保護法改正、
- 災害・復興支援
予備費でなく補正予算対応、公費解体・生活再建支援政策など拡充、被災自治体への権限・予算を委譲する法制度の検討(メモ者 国の指示権廃止と一体で、専門家・現場に意見に即したもの)
- 財政金融・税制
金融所得「将来的に総合課税」、インボイス廃止、災害損失控除の創設
- 人権
同一価値統一賃金、女性差別禁止条約の選択議定書批准、事実婚に対して法律婚と同等の支援(メモ者 同姓婚までは踏み込めず? それと「7つの約束」で明記されている「選択的夫婦別姓」の項目が欠如。ミスだろう)/多文化共生/差別解消/消費者行政/法務 共同親権で、双方の合意の無い場合は単独親権と「法改正」、国による養育費の建替えと徴収
- 地域、国土交通
地方への権限・財源移譲(メモ者 ナショナルミニマムとの関係で課題は残る)、地方交付税増額(メモ者 地方一般財源・基準財政需要額の充実の意味だと思う)、補充的指示権廃止、自治体行った処分に再審査要求できる確定的関与の見直し(メモ者 辺野古新基地をめぐり、防衛省が「私人」として訴える無茶苦茶なやつ)、/地域公共交通・移動の権利、公共事業・生活密着型優先・防災力高める鉄道、道路。港、橋梁・水道など老朽化対策 (メモ者 リニア・整備新幹線・大深度地下使用については言及なし)
- 外交・安保
・「専守防衛」「急増した防衛予算を精査」とはいうが「減らす」とか「1%枠堅持」とかの言及はなて
・安保法制の違憲部分の廃止(21年総選挙・野党共同要求と同じ)、非核3原則堅持・核兵器禁止条約のオブザーバー参加、地位協定改定めざしつつ立ち入り調査など米側と交渉のための検討委員会設置
- 教育・子育て
・「7つの約束」で明記されている学校給食無償化、高校専門学校大学の無償化、奨学金返済支援、科研費・大学運営費交付金の抜本拡充、について「政策項目」にない
・「市町村立の小規模高校・スリースクール支援・夜間中学・オンライン学習」など多様な学びの場。大学入試見直しと一体で自由で創造的な学校運営。教員定数改善・給特法の廃止も含めた処遇改善、子ども子育て関連予算GDP2%(現状の倍)、育児休業給付を雇用保険から独立させ非正規雇用者、フリーランスも受けられるようにする。(メモ者 保育・学童など基準・処遇の改善部分が欠落)
- 社会保障
・「7つの政策」で強調されている「紙の保険証残す」は、「政策項目」にない、低年金への一定額上乗せも同様
次期改定を待たず障がい福祉サービス報酬の見直し(メモ者 「7つの約束」には「医療介護福祉分野の賃上げ」「訪問介護の報酬引き上げ」に言及も「政策集」にははっておらず、医療分野は医薬品の安定供給のみと、急いで作った感が隠せない)、家賃補助制度の創設、社会保険料の上限額見直し(メモ者 累進性の強化) /労働・・インターバル期間の制度化、新たに増やした正社員の人数に応じた中小企業の社会保険料負担の軽減、労働者性のある個人請負に対応する労働法改正
- 経済産業 中小企業憲章に言及
- エネルギー
気候正義/再エネ2030に50%、2050に100%・出来るだけ早期に脱化石燃料・原発、省エネ2030に30%・2050に60%、熱利用拡大、
- 環境 水俣病問題の解決、PFAS対策、拡大生産者責任に則った対策強化、
- 農林水産
食料安保と多面的機能の発揮を基本に政策展開、かつて実施された戸別所得補償制度の新たな直接支払制度転換、規模拡大を要件とない多様な担い手支援、国産種子の開発普及・安価での提供、輸入農産物労働者の人権確保、違法伐採木材の流通阻止、
- 憲法
解散権の制約(メモ者 いわゆる「7条解散」)、自衛隊明記反対、公正公平な国民投票法に改正(メモ者 最低投票率は?)、緊急事態法必要なし、
【メモ者 感想】
・「日米同盟基軸」、「消費税は社会保障のための基幹税」など基本政策は違う政党であるが、具体的な項目では一致する内容の多さを再確認した。一方、「急増した防衛費の削減」を言えない限界も。
・財源が明示されていない。無駄の削減とかいっているが・・・ ここが致命的な弱点
・なにより、維新との接近。「希望の党」騒動(東西で希望と維新で議員・候補者調整)の再現であり、その改憲二大政党づくりに抗して生まれたのが「立憲民主党」なのだから、立党の足場を、自ら否定することになる。そこが最大の問題。
・「裏金問題」とは、犯罪者集団が、政治権力を振るっているという問題であり、それは財界の金の力で政治がゆがめられことであり、「政治に国民の声が届かない」という今の政治の本質問題だと思う。この角度からの論戦が重要。
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