地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる
党県議団として、産業政策の基本的考えとして、地域の資源を生かした地域循環型経済、医療介護福祉分野は最大の雇用の場であり、産業振興計画の中で位置付けること、さらに脱炭素・・省エネ・再エネ推進で、県外・国外に流出する支払を削減し、地域に還元すること、などを大きな柱として論戦してきた。
その繰り返しの提案があって、次期の「産業振興計画」に医療介護福祉が位置付けられた、また地域循環経済では「地産地消」でなく、県民のニーズに合わせて生産する「地消地産」へ発展させる提案も、議会後の庁議の中で、5つの重点課題の1つとして提起された。
〇4/8庁議 「第一四半期の重点課題について」
知事 「5点目は地消地産、地域で消費するものは地域で作ろうという話。リーサスの分析等も含めて研究をしていく方向で進めているが、県の経済成長につながらないと意味がないと考えている。公共調達の地元優先のように具体的に意味のある話をどう仕掛けていくか、第一四半期の内によく考えて勉強していただきたい。」 〈「庁議の概要」より〈〉
〇医療介護福祉分野の充実の合意を得るために、~ 人権として「社会保障の大事さ」という角度だけでなく、県経済・雇用対策としての位置づけを明確にすれば、行政や議会最大会派の自民党も含めて「充実が必要」の共通の土台をつくることが出来る、と考えて繰り返し提起してきた。今までも「経済。雇用にとって大事な分野」との答弁はあったが、遂に゜産業振興計画」に位置付けるところにきた。
以下に、2月県議会での、関連部分の質問と答弁。
2024年2月議会 中根佐知議員の代表質問(2024.02.29) | 日本共産党 高知県議団 (jcp-kochi-pref.jp)
中根議員 ・・・第5期産業振興計画(案)は、これまで位置づけが弱かった保健医療・福祉と建設分野に言及し、この「経済動向にも目配りし、県内産業の活性化に向けて、よりトータルな形での取組を進める」との文言が入ったことは、県内最大の付加価値を生産する保健医療・福祉分野を、県経済の要として明確に位置づけることを、県議会で一貫して求め続けてきた日本共産党として、歓迎するものです。
どのような考え方で第5期計画に、保健医療・福祉と建設分野を位置づけたのか、知事にお伺いいたします。
○県知事 次に第5期の産業振興計画に保健医療・福祉分野及び建設分野を位置づけたその考え方についてのお尋ねがございました。
保健医療・福祉分野及び建設分野は、県の経済におきまして大きなウエイトを占める産業であります。これから、県民所得をさらに向上させ目指すべき高知県像を実現するためにも大変重要な分野だという認識がございます。
今後、生産年齢人口の減少が見込まれる中でこれらの産業の成長を支え、かつ県民ニーズに応えていくためには、デジタル化などを通じました生産性向上の取り組みが欠かせません。また就業者数も多いということがございますので、これらの分野におきます人材の確保 あるいは働き方改革の取り組みがますます重要となってまいるところであります。
これまで、こうした分野につきましては、例えば健康長寿県構想でありますとか建設業活性化プランにおいて、それぞれに取り組みを進めてまいりましたけれども、県における経済政策の一体性あるいは整合性ということを確保するという観点から、今後より一層の目配りをし、施策を講じていく、そうしたことが重要ではないかという考えに至ったところでございます。このために、第5期の産業振興計画では、これらの産業分野を明確に位置づけまして、よりトータルな形で取り組みを進めてまいる考えであります。
- 中根議員 また、産業振興計画において、依然として、地域循環型経済の視点は弱いと考えます。
政府が提供する「RESAS(リーサス)」では、地域経済循環図が提供され、地域の自立度を示すとされる地域循環率が示されていますが、高知県は、地域循環率80.4%(2018年)となっており、これは全国で数えてみると44位と下位です。
この地域経済循環の強化をはかるためには、2つの方策があります。一つは、高知県が進めてきた外商に代表される移輸出産業の強化、もう一つは、地域内での取引を活発化させる施策等で地域外への資金流出を少なくすることです。RESASの地域経済循環図を見ると、高知県は、支出の面で、県外に資金が流出している額が大きいことがわかります。
特に、地域内産業の移輸出入収支を反映するその他支出の計1兆194億円のうち、地域外への流出が5908億円をしめ、流出入率は-58.0%と大幅なマイナス、全国順位は43位です。この点に、高知県経済の課題があるとわかります。外商によりこの域外収支の赤字を縮小していくことも当然必要ですが、併せて、地域内で産業の連関を強め、資金が域外に流出しない産業構造に転じることが必要です。
内訳をみると、本来は、多彩な一次産品がある高知県で連動して強みとなるべき食品加工分野で、県際収支のマイナスが目立ちます。また、2020年6月の経済センサス産業別集計を見ると、食料品加工が33事業所減と急減しています。新型コロナの影響が直撃し、いっそう食品加工分野が落ち込んだことがわかります。
産業振興計画(第4期)には、「食品加工産業の集積に乏しく、その多くが小規模であることから第一次産業の強みを生かした食品加工への展開、食品周辺への産業への波及が弱く、一部の加工工程を県外でせざるを得ない」と記載されています。施策の展開として、輸出商品の開発等に力を入れていますが、海外展開にはロット数が必要とも指摘しており、小規模が多い食品加工分野全体を視野に入れた施策とは言えません。
食品加工分野の弱さをどのように、分析し、打開をはかってきたのか、産業振興部長にお聞きいたします。○産業振興部長 食品加工分野の弱さの分析と打開に向けたこれまでの取り組みについて お尋ねがございました。
本県の食品加工業は小規模零細事業者が多いことから、商品開発や営業を行うための体制が脆弱で衛生管理や大規模発注への十分な対応ができないといった課題がございました。そのため、まず商品開発においては本県の強みであります一次産品を原材料として活用することを促しますとともに、専門家によるマーケットインの視点を取り入れた商品作りを支援してまいりました。
また、衛生管理や大規模発注にも対応できる商品づくりに必要となります。機器の導入といった設備投資に対する支援にも積極的に取り組んでまいりました。
さらに、平成21年8月には、地産外商公社を設立いたしまして、全国の小売店や飲食店への県産品の紹介や斡旋を行いますとともに、展示会への出展を通じました商談機会を数多く創出し販路拡大につなげてまいりました。
その結果、地産外商公社の活動を契機といたしました成約金額は令和4年度には 57億円まで拡大をしてきております。今後も、地域に根ざした魅力ある一次産品を活用しながら消費者に選んでいただける商品づくりや、事業者それぞれの状況に応じた販路開拓へのチャレンジを引き続き支援をしてまいります。
〇中根議員 また、小規模事業者は、地域で必要とされ、県民のニーズを満たすことで事業継続しており、地域の食文化を守る重要な役割を果たしています。小規模であっても、多様な食品が生産されることは、その地域に根差した食文化をつくり、観光や「外商」にとっても、高知ならではの魅力となります。
食品製造業を「外商」の視点だけでなく、地域循環型経済の視点で検証することが重要です。地域住民の食品ニーズを掴み、地域の一次産品を活用した食品加工製品の消費をさらに増やしていく施策展開が必要と考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
○県知事 最後に地域の一次産品を活用した食品加工製品の消費を増やしていく施策展開について、お尋ねがございました。
ご指摘のありました地域循環型経済とは、地域で消費するものを地域で生産をするという地消地産を推進し、地域内に雇用と所得を持続的に生み出す自律的な経済構造を構築する、そういった概念でありまして、地域経済の発展を図るための1つのモデルであるという風に考えます。
しかしながら 食品の加工分野に関して申しますと人口が急激に減少し、地域の市場が急速に縮小しております本県におきましては、地域住民のニーズに合った食品を生み出すだけでは事業者の経営が立ち行かなくなっているというのが実態であると考えます。このために、活力ある国内外の市場から外貨を取得することによりまして、地域経済を活性化するそうした意味を持ちます地産外商を産業振興計画の柱につれこれまで取り組みを進めてまいりました。
お話のありました地域循環型経済の考え方のもとで、できる限り地域で生産されたものを地域で消費する、そういった体制を目指していく、あるいは地域で消費するものは地域で生産を目指していくといった取り組みを行っていくということは有効な施策であるという風に考えております。
他方で現実的な問題といたしまして、地域以外、県外との経済取引が全くなくして、地域が完全に自給自足できる自立できるということはあり得ないと思っております。これは不可能ではないかと思います。このため、この問題は二者択一ということではございません で地産外商は積極的に進めながらしっかりと地産地消あるいは地消地産にも取り組んでいく、そういったいわばハイブリッド型の県経済の姿が望ましいものだという風に考えているところでございます。
私からは以上であります。
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