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少子化~女性に「コスト」と「リスク」を押し付ける日本社会の帰結

 結婚するか、子どもを持つか、何人持つかは、個人の選択によるものであり、外から押し付けられるものてはない。また、地球が有限であることを考えれば、ある程度の人口で安定するのが、いいのだろうと思う。

 この記事は、自民党政治の「少子化対策」が、いかに的外れなのか、浮き彫りにする。

【生んだら貧しくなる国で子どもが生まれるわけがない!重すぎる負担を女性に押し付ける日本と「異次元の少子化対策」が完全に見落としたこと 24/4/14 現代ビジネス】

https://gendai.media/articles/-/127751

https://gendai.media/articles/-/127752

・結婚・子育てで退職、子育て一段落後、非正規で再就職 ~ 生涯賃金で1億6千万円のマイナスとなる。

・シングルマザーになるリスク  相対的貧困率は5割近く先進国で突出。しかもほとんどが就労していての貧困。児童扶養手当は年間所得230万円を越えるとゼロになる。

 しかも、虐待、DVなど、様々なリスクも・・少なくはない。

 ようは、男性の長時間労働の是正をふくめたジェンダー平等の到達点の低さの結果であり、家父長制の価値観に染まり切った自民党政治では、対応不可能ということではないか。

 関連して

【大学生の19%、子ども望まず 大幅増加、物価高影響か 共同 2/14

https://www.47news.jp/relation/2024021408

「世界の人口 二極化」国連人口基金報告書 “個人の選択尊重の政策が重要” 23/4

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230419/k10014042861000.html

【少子化で危機扇動にご用心 「世界人口白書」から  国連機関「雇用主の利益に」 赤旗3/14

【生んだら貧しくなる国で子どもが生まれるわけがない!重すぎる負担を女性に押し付ける日本と「異次元の少子化対策」が完全に見落としたこと 24/4/14 現代ビジネス】

原田 泰名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員

■女性に「コスト」と「リスク」を押し付ける日本

政府が異次元の少子化対策をやっても、日本の少子化は止まらないだろう。

なぜなら、子どもを生み、育てることは、女性に対して「コスト」が高く過ぎて、なおかつ「リスク」も高いからだ。

子どもを育てるために、女性は約16000万円のコストを払う可能性があり、なおかつ、貧困に陥るリスクも背負っている。

私は、これが少子化の原因だと考えている。

その理由をこれから説明していくが、その前に、政府の「異次元の少子化対策」についてみてみよう。

政府は公的医療保険の保険料を上げて「支援金制度(仮称)」を新設するという。これがすこぶる評判が悪い。あたりまえだろう。子どもが生まれると、国民の健康が増進されるならわかるが、そんなことはないからだ。

理屈に合わない財源を捻出しても国民は納得しないだろう。

政府はムリヤリかき集めた財源を、児童手当の高校卒業までの延長、所得制限の撤廃、第3子以降への増額(現状3歳児まで1.5万円、3歳以降1万円を3万円にする)、育休時の手取り所得の10割維持(現状8割)、大学授業料無償化などに使うという。

はたして、このくらいのことで子どもが増えだすだろうか。これまでの少子化対策の失敗を考えれば、私にはそうは思えない。

1974年まで2を超えていた合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の数)は徐々に低下し、2005年には1.26まで低下した。その後わずかずつ上昇し始め、2015年には1.45まで上昇したが、その後は低下し2022年には1.26と過去最低に戻ってしまった(厚生労働省「人口動態統計」)。

それほど、少子化対策はうまくはいかなかった。

では、それはなぜか。冒頭にも示した通り「女性が子どもを生むコストとリスクが膨大」だからだ。ここにメスをいられないのかと、私は考えるのだ。

では、いかに女性が子どもを生み育てるコストとリスクを背負っているかを考えてみよう。

コストのなかには、もちろん、養育費、教育費があるが、最大のものは母親が仕事を離れて育児することにともなうコストである。

女性の生涯年収は、大卒の場合で2.4億円である(厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2022年)」第2表 年齢階級、勤続年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額。年収は所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額の合計。この年収を累積したもの)。

子どもを産み育てるために母親が仕事を辞めなければならないとすると、この期間の収入が得られなくなる。この期間を30歳から34歳までとすると、失われる収入は2100万円になる。その後、元の職場に戻れず、パートで働くとすると、扶養対象者に保険料支払いが発生する年収の壁130万円以下で働くことが通常となる。

この場合の34歳以降の年収の差の累計は13800万円となる。子どもを持たずに働き続けた場合に比べると、15900万円(13800万+2100万)の減収となる。

この減収分が子育てのコストなのである。

1億5900万円のコストに対して、多少の児童手当の増額では間に合わないから、政府も保育所の拡充(これは異次元対策の前にすでにしている)、育休時の手取り所得の補助など、母親が働き続けやすくなるように援助しているが、子どもの急病など、他にも母親が働き続ける上での制約は多い。

母親は、子どもを育てるのに、膨大なコストを支払うだけでない。大変なリスクも背負うことになる。ひとつは、シングルマザーになるリスクである。

なお、この記事の中に、シングルマザーと一人親世帯(父子世帯を含む)という2つの言葉が出てくるのは、国際比較の統計ではシングルマザーだけを取り出した数字がないことがあるからだ。日本では一人親世帯のうち9割弱が母子世帯である。

離婚した夫から養育費を受け取っているシングルマザーは少ない。子どものある夫婦が離婚して母親が親権をもてば、父親から養育費をもらうのが普通だと思っている人もいるかもしれない。しかし、現実には、離婚した夫から養育費を受けている母親の比率は28.1%にすぎない。

また、シングルマザーの86%が働いているが、うち46.5%が非正規で、平均就労収入は年236万円でしかない。

リスクを小さくするためには、政府が夫から強制的に養育費を取ること、母子家庭の児童扶養手当を上げることが考えられる。

しかし、現状の児童扶養手当は、月額44130円から10410円まで所得によって分かれており、母親の年間所得が230万円を上回るとゼロとなる(男女共同参画局>児童扶養手当)。母子世帯の年収は230万円を上回ってはいけないと言われているようなものだ。

結果、1人親世帯の相対的貧困率(中位人の所得の半分以下の所得の人の比率)は48.3%にのぼる。

これはOECD加盟36ヵ国のなかで、最高値である。

つまり、日本は子どもを増やしたいと思っているくせに、シングルマザーに膨大なコストとリスクを押し付けて、その対策をしようとはしないのである。

しかし、シングルマザーの貧困率が下がれば、子どもが生まれる可能性があることも、近年のデータから見えてくる。

■少子化の原因は、一人親の貧困対策をしないからだ

日本は子どもを増やしたいと思っているくせに、シングルマザーに膨大なコストとリスクを押し付けて、その対策をしようとはしないのである。

私は、これが少子化の原因だと考えており、あるべき対策を考えることが本稿の主題である。

しかし、シングルマザーの貧困率が下がれば、子どもが生まれる可能性があることも、近年のデータから見えてくる。〈グラフ略〉

■出生率と一人親世帯の貧困率の関係

OECD加盟国で1人当たり購買力平価GDP3.5万ドル(2015年ドル)以上の国で、一人親世帯の相対的貧困率と合計特殊出生率の関係を見ると、下の図のように右下がりの傾向線がひける。

この傾向線のばらつきを大きくしているのはアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド(NZ)である。いずれも人口密度の低い移民大国であり、このことが出生率を引き上げているのだろう。

この3ヵ国を除くと、傾向線の式は出生率 = 0.0158×一人親世帯の相対的貧困率 + 1.9555(決定係数= 0.4616)となる。決定係数(この場合、貧困率がどのくらい出生率を説明しているかを表す係数。0から1の値を取り、1に近いほどよく説明している)から見て、貧困率がある程度出生率を説明していると言える。

この傾向線の式から、1人親世帯の相対的貧困率が10%ポイント下がると出生率が0.158上昇することになる。つまり、シングルマザーで貧困に陥る可能性が低くなれば、子どもは生まれるということだ。

■出生率が「6.64」のイスラエル

シングルマザーが貧しいのは当然という日本の現状は望ましくないことがわかるだろう。そして、もちろん、貧困率を引き下げること自体に意味があると私は思う。

日本映画やアメリカ映画を見ていると、シングルマザーは当然貧しいものとして描かれているが、ヨーロッパ映画ではそうでもない。

なお、イスラエル(1人当たり購買力平価GDP3.9万ドル)は、出生率が3.0と先進国の中では突出して高いはずれ値である。一人親世帯の貧困率は33.9%で、先進国の平均32.3%だから貧困率は平均的である。はずれ値なので、傾向線の式から、イスラエルは除外している。

イスラエルの出生率の高い理由として、ホロコーストに遭遇したイスラエル人は生き延びなければならないという国民的意識があること、また、超正統派のイスラエル人は、聖書の教え「産めよ、増えよ、地に満ちよ」に従って生きており、その出生率が6.64と高いことによる。

超正統派の男性は、一生を宗教にささげ、就職せず、英語や数学などを学んだことのない人も多い。そのため超正統派は貧困率が4割を超え、生活保護を受けている人も多く、徴兵義務も免除されている。これを不公平だと不満を持つイスラエル人も多いという(「聖書の教えで出生率6.64」東京新聞2023810日などによる)。

なお、超正統派を除いた人口の出生率も2.47と高い。ならば、貧困に陥らないという意識は、出生率に影響していると考えてもいいかもしれない。

そうであれば、日本だって膨大なコストとリスクを背負って、シングルマザーをしている母親たちの支援を厚くしたっていいじゃないかという気にさせられる。

■シングルマザー世帯の貧困リスクを軽減すればよい

出生率を上げるには、子どものコストとリスクを減らすことだ。

母親が働けないコストを直接補填しようとすれば、まさに異次元の財政支出が必要になるから、なんとか働き続けることができるように工夫して援助するしかない。一方、100万人のシングルマザーに月5万円余計に給付したとしても年に6000億円にすぎない。

貧困のリスク軽減のために、異次元の財政支出は必要ないのである。

 

 

【大学生の19%、子ども望まず 大幅増加、物価高影響か 2/3 共同】

 大学や大学院を2025年に卒業する見込みの学生のうち、5人に1人に相当する19.2%が「子どもはほしくない」と考えていることが、就職情報サイトを運営するマイナビ(東京)の調査で3日、分かった。

24年卒の前回調査の13.1%から大幅に増加した。回答者は学生生活で物価高の影響を大きく受けた世代で、調査担当者は「経済面への不安が人生観に影響を与えている可能性がある」とした。

 ほしくないと回答したのは女子が23.5%と、男子の12.1%を大きく上回った。育児休業の取得が仕事に影響する不安や、家庭での育児の分担の男女差などが要因とみられる。

複数回答で男女に理由を尋ねたところ「うまく育てられる自信がない」(57.4%)が最多だった。次いで「自分の時間がなくなる」(51.5%)、「経済的に不安」(51.0%)となった。

 ニッセイ基礎研究所の坂田紘野研究員は、少子化に拍車がかかれば「働き手や消費者が減り、経済全体を押し下げてしまう」と指摘した。

 

【「世界の人口 二極化」報告書 “個人の選択尊重の政策が重要” 2023年419日】

報告書は、
出生率に数値目標を定めるような政策は長期的な効果が小さく、女性の権利が損なわれることが歴史上も明らかになっているほか、
子どもを産んだ女性や家族に金銭的な報酬を与えるような政策も、十分な効果を上げていないと指摘しています。

さらに、報告書は、多くの国の女性が経済的な事情や、職場や家庭での性差別を背景に、希望する人数の子どもを持てない状況にあるとして、むしろ、女性の自己決定権など個人の選択を尊重する政策を重視すべきだとしています。

UNFPAのカネム事務局長は「人口が多すぎるか少なすぎるかを論じるのではなく、基本的人権が守られているか、子どもを持つか持たないか、持つなら、いつ何人持つかという個人の希望をかなえていくことが重要だ」と話しています。

 

【少子化で危機扇動にご用心 「世界人口白書」から  国連機関「雇用主の利益に」 赤旗3/14

・急速に進む日本の出生数減少を受け、国家財政や社会保障が維持できなくなるとの言説が政府などから流されている /一方、性と生殖に関する健康推進を目的とした国連人口基金の「世界人口白書2023」は、人口問題を切り口に破滅を予告する言葉に接したら「このような議論は誰の利益になるのかを考えるべきです」と警告。白書は日本の現状を考えるうえでも示唆に富んでいる。

・厚生労働省 2月末、日本の2023年の出生数 前年比約5%減の75万人台と発表。16年に100万人を切ってからわずか7年 ~ 米実業家のイーロン・マスク氏 直後にSNSで「日本は消滅する」と発信。岸田首相 3/4参院予算委員会で「歯止めをかけないと、わが国の経済・社会システムを維持することが難しくなる」

 

  • 「経済に重圧」論

・白書~ 出生数低下が問題になると往々にして「急速な高齢化で年金や医療、社会福祉のニーズが、先細る現役世代の支払い能力を上回り、国の経済に背負いきれない重圧がのしかかる」との主張が出てくると指摘

➡ それら主張を「終末論的人口論」と命名したうえで、「特定の経済的利益を追求する場合(安価な労働力に依存するビジネス企業など)に生じがちだ」と分析。/「低い出生率が人口全体の崩壊をもたらすという終末論的な主張も、労働者より雇用主の経済的利益に資する」と指摘 ~ 社会保障費の企業負担軽減による「安価な労働力」を求める財界と一体になって、少子高齢化を口実に、年金、医療、介護、生活保護などを次々改悪してきた自民党政治を言い表しているかのよう

 

・自公政権 さらなる社会保障改悪を狙いながら、出生率上昇に照準を当てた「異次元の少子化対策」を標榜

白書は、そもそも人口が「多すぎる」「少なすぎる」という問題設定自体が間違っており「有害」と批判/問うべきは「一人ひとりが性と生殖に関する自己決定権を含め、基本的人権を行使する術を持っているかどうか」だと強調/ 各国のこれまでの出生率引き上げ政策についても「長期的には効果がほとんどない」とし、出生率上昇に照準を当てた政策から、生殖に関する権利を支援する政策へ転換すべきだと主張。

 

  • ジェンダーが鍵

・白書は「職場でのジェンダー不平等、家庭でのジェンダー不平等、勤労者世帯への構造的支援の欠如という三重の足かせ」が、少子化が進む国の特徴と指摘~ 出生率を上げるために伝統的家族観が強調されることについても、「『伝統的な家族観』を説けば説くほど、現実には親が自分たちの望む規模の家族を持つための助けになるどころか、これを妨げ、結果として少子化をさらに進めることにもなりかねない」と忠告

・白書は、出生率低下が目立つ日本と韓国に焦点を当てた特集~ ここでも「韓国の場合と同様、若い日本人女性の多くが、結婚して子どもを産むかどうかわからないと答えているのは、キャリアを続けることを望み、無給の家事や育児に縛られたくはないと考えているから」だとし、ジェンダー不平等が出生率低下の背景にあるとの認識を示した。

 

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