「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望
毎日新聞4/23 “見えない困窮 拡大する「新しい生活困難層」 専門家が提案する安全網の張り直し方”という記事が配信されている。
“困窮が見えにくくなっている。長らく社会保障政策を研究してきた中央大の宮本太郎教授(福祉政策論)は、公的支援が届かない「新しい生活困難層」が拡大していることが背景にあると指摘する。しかも、この層は社会保障制度の不備によって生み出されてきたという。”
気になって、「新しい生活困難層」で検索すると、22年3月現代ビジネスの記事が出てきた。
経済・社会を支える「人づくり」「人への投資」をキーワードに、雇用政策と社会保障の関係を俯瞰的に見て政策を考える上で大切な視点と思う。
【宮本太郎氏が語る…日本の働き方が「挑戦できないメンバーシップ型」と「発展可能性なきジョブ型」に分断された理由 現代ビジネス220313 前編】
https://gendai.media/articles/-/93299
【宮本太郎氏が語る…「新しい生活困難層」を支援するために、いまの日本で最初にやるべきこと 後編】
https://gendai.media/articles/-/93303#goog_rewarded
【宮本太郎氏が語る…日本の働き方が「挑戦できないメンバーシップ型」と「発展可能性なきジョブ型」に分断された理由 現代ビジネス220313 前編 】
岸田文雄首相は「新しい資本主義」を政策の看板に掲げている。しかし、歴史の流れを押さえたうえで現在の日本社会が陥っている状況を精査していくと、この「新しい資本主義」には様々に不十分な点があることが浮かび上がってくる——中央大学教授で『貧困・介護・育児の政治』(朝日新聞出版)などの著書がある宮本太郎氏はそのように指摘する。
「新しい資本主義」や、それとともに岸田首相が推す「日本型資本主義の復活」の何が問題なのか、ジャーナリストの佐々木実氏が聞いた。
〇「日本型資本主義」の原型
佐々木 岸田文雄首相は、首相就任前に著した『岸田ビジョン』(講談社+α新書)で「私が目指すものは、日本型資本主義の復活です」と語っていました。実際に、岸田内閣は「新しい資本主義実現会議」を創設したわけですが、私は「日本型資本主義」と聞くと、日本経済のピークだった1980年代にさかんだった日本型資本主義論を思い起こします。
宮本 チャルマーズ・ジョンソンの『通産省と日本の奇跡』(1982年)などのいわゆる日本特殊論がありましたね。日本でも日本型資本主義を肯定的に捉える動きがあり、とくに大平正芳元首相のブレーンは際立っていました。
たとえば村上泰亮・公文俊平・佐藤誠三郎『文明としてのイエ社会』(1979年)は、欧米の個人主義をベースとした近代化と異なり、日本はイエ型の集団組織をベースに近代化を成し遂げた、というような論を唱えました。かつて丸山真男が「家族国家」観として否定的にとらえたものを、中間集団がさまざまな機能を引き受けていると肯定的に描き出していました。
佐々木 岸田首相はデジタル田園都市国家構想を唱えていますが、これは宏池会の先達である大平元首相の田園都市構想を継承したものですね。1978年12月に発足した大平政権は9つの政策研究会を立ち上げましたが、大平首相が重視したのが田園都市構想研究と家庭基盤充実研究でした。
大平はこのふたつの構想を核にした「日本型福祉社会」を提唱したのですが、なぜ家族基盤の充実かといえば、端的にいえば、専業主婦が介護や保育を担う家庭モデルのもとで社会保障費を抑制するねらいがありました。1970年代半ばから国債発行が急増するなか、財政再建と両立できる福祉制度を唱えたわけですね。
宮本 欧米の福祉国家のさまざまな問題点を挙げながら、「日本的」な家族やコミュニティ、さらには企業福祉の優位性が強調されました。
佐々木 かつての日本型資本主義をめぐる議論は日本企業の強さの秘密を探るという動機ゆえなのか、日本型経営や産業政策に関心が集中して、日本の社会保障制度が家族や企業と独特の形で一体化している点を軽視していました。もっとも、バブル崩壊後は日本型資本主義論そのものが雲散霧消してしまいましたけれども。
宮本 日本型資本主義はもはやかつてのような姿では存在しません。90年代の終わりごろから、とくにいわゆる小泉構造改革で徹底的に壊され、長期的雇用慣行など今や残骸のようになっています。ところが、雨風をしのぐ場所がほかにないから、とくにサラリーマンは日本的経営の残骸の陰に隠れて息をひそめている、というのが現状ではないでしょうか。
岸田首相もそのような心理に乗るかたちで、新自由主義の見直しを言い、いわば「新・日本型資本主義」として「新しい資本主義」を打ち出そうとしています。けれども、そこには明らかな矛盾も見えています。
〇日本型の生活保障
佐々木 宮本先生は、日本型資本主義の本質を「日本型生活保障の仕組み」と捉えていますね。かつての日本型資本主義論が見逃した重要な論点だとおもいます。まず日本型生活保障とは何か、説明していただけますか。
宮本 生活保障とは、雇用と社会保障を合わせた言葉です。日本型生活保障の仕組みの特徴は、雇用と家族への依存度が高いことでした。よく言われるようにただ雇用と家族に責任を丸投げしたというより、そこに依存することを可能にする仕掛けがあったということが重要だと思います。
具体的には、護送船団方式の行政指導に守られた大企業の長期的雇用慣行、土建業界を支える公共事業、零細な流通業や中小企業の保護政策など、所管官庁が企業や業界を保護することで成り立っていました。
雇用保障の仕組みの対象となるのは男性の稼ぎ主で、家庭では専業主婦が家事全般から育児、老親の介護を担って男性稼ぎ主を支える。ただし、男性稼ぎ主は定年退職を迎えるし、病気やけがもする。したがって、男性稼ぎ主の家族扶養を安定させるためにも、多大な税を投入して皆保険皆年金を実現しました。
〇半壊した「三重構造」
佐々木 それが日本型の家族モデルであり家族規範につながったわけですね。宮本先生は、日本型生活保障は行政、企業、そして家族や地域が連携する「三重構造」だとも指摘されています。
宮本 岸田首相が『文藝春秋』(2022年2月号)に寄稿した「私が目指す『新しい資本主義』のグランドデザイン」を読むかぎり、「新しい資本主義」はその「三重構造」のバージョンアップとして打ち出されているようです。
岸田論文では、「新しい資本主義」には3つのキーワードがあり、「官民連携」、「モノから人へ(人への投資)」、そして「地方」だという。この3つは、かつての「三重構造」の3つの要素に対応しています。すなわち、護送船団方式での経済成長、長期的雇用慣行で人を育てる「人本主義」、そして公共事業等による地方への雇用の分配です。『岸田ビジョン』ほど「日本型」が強調されているわけではないですが、まさにオマージュです。
そして、バージョンアップの結果、新しい資本主義では、グローバル経済にふさわしい「人への投資」やデジタル田園都市国家構想などが実現することになっています。ただし、それがどう可能か話がつながっていない。とくに従来の日本型資本主義が半壊状態になるなかで、成長と分配の接合点として最重視される「人への投資」がいかに困難になっているかが、みえていないのではないか。
佐々木 なるほど。行政、企業、家族・地域からなる「三重構造」の現在の姿をみていないということでもありますね。1990年代後半以降、労働規制の緩和による非正規雇用の拡大や公共事業の大幅な削減などによって、政府が率先してその「三重構造」を破壊してきたわけですからね。
宮本 イギリスやアメリカの新自由主義が福祉国家の縮小を目指したのに対して、日本の新自由主義は福祉国家の縮小というよりも男性稼ぎ主の雇用保障の仕組みを崩していきました。とりわけ小泉構造改革は、地方の雇用を維持する仕組みを徹底して解体した。
佐々木 現在、就労者の3人に1人は非正規労働者で、生活保障の前提だったはずの雇用保障の仕組みはすでに破綻してしまっています。
宮本 旧来の制度は壊されてきたけれど、それに代わる制度構築はされなかったために、旧制度が半壊状態で残っている。この状態から「人への投資」を広げていくことは困難を極めます。
まず先ほども言ったように、大企業のサラリーマンは長期的雇用慣行の残骸に依存せざるを得ない。子どもの学費も住宅ローンも年功賃金から捻出しなければならないので当然です。でも一歩間違えると放り出されかねないので、いろいろ新しい挑戦をするリスクは犯せない。
企業側も研修・教育の余裕がない。日本企業がOff-JT(職場外での従業員の教育訓練)に使う費用のGDP比はきわめて低く、2010年から14年までの平均で0・1%、イギリスの1割程度、しかも下がり続けています。このような状態では、いわゆる「メンバーシップ型雇用」の強みは活かせません。
佐々木 労働政策が専門の濱口桂一郎氏は日本の雇用システムを「メンバーシップ型」と呼び、欧米の「ジョブ型」と区別しています。ジョブ型では労働者が遂行すべき職務が雇用契約で明確に規定されるのに対して、メンバーシップ型の雇用契約では職務が特定されない。ほかの職務へ移動可能なので長期雇用の慣行ができ、給与も勤続年数や年齢を基準にした年功制になったといいます。実際、日本以外の社会ではジョブ型が主流ですね。
宮本 日本では非正規層は「ジョブ型雇用」になるわけですが、ジョブを身につけてもそれだけでは正規雇用への通行証にはならない。さらに日本の場合、非正規雇用であるかぎり知識や技能を高める機会は制約されます。
「挑戦できないメンバーシップ型雇用」と「発展可能性なきジョブ型雇用」が組み合わされているのが、半壊状態の日本型資本主義の実態なのです。ここをどうするかという具体的な見通しがなければ、「人への投資」は幻想に終わります。
岸田首相の掲げる「新しい資本主義」の軸となる「人への投資」を困難にしているもう一つの問題は、社会に広がる分断と格差です。とくに日本型生活保障が揺らぐなかで、旧来の制度のいわば死角ともいうべきところに、多様な困難を抱えた低所得・不安定就労層が増大しています。
この層の抱えている困難をそのままに、技能訓練や教育など「人への投資」をしても、この層の人たちが活躍できるはずはありません。安定就労層ではなく、さりとて福祉受給層でもない、制度の狭間に落ち込んでいる状態の人々を私は「新しい生活困難層」と呼んでいます。
【宮本太郎氏が語る…「新しい生活困難層」を支援するために、いまの日本で最初にやるべきこと 後編】
〇「新しい生活困難層」
佐々木 宮本先生は『貧困・介護・育児の政治』(朝日新聞出版)で、「新しい生活困難層」をこう定義しています。
「(1)複合的な困難を抱え世帯内で相互依存にある場合も多く、(2)それゆえに雇用と社会保障の制度の狭間にはまり現行制度で対応しきれず、(3)横断的で、低所得不安定就労層、ひとり親世帯、低年金の高齢者、ひきこもり、軽度の知的障がい者など、多様な人々を含む」
宮本 要するに制度の狭間で支援が届かない人たちが急増しているわけですが、その背景については説明が必要でしょう。
男性稼ぎ主による家族扶養を軸とした日本型生活保障は、社会保障を抑制したといわれますが、必ずしもそうではありません。男性稼ぎ主の雇用頼みだったからこそ、その定年退職や病気・けがに対応する社会保険が決定的に大事だったのです。
社会保険は、本来は保険料を財源とするものですが、日本では社会保険財源に社会保障の税支出の大半が投入され、国民皆保険・皆年金を1961年という早い段階で実現してきました。しかしその分、生活保護などの税財源は十分に確保されず、給付対象が狭められました。
日本はこのように、〈安定雇用+社会保険〉と〈働くことが困難な人たちに事実上絞り込まれた生活保護〉の二極構造になっていました。日本型生活保障が半壊状態の今、この二極の間で「新しい生活困難層」が急増しているわけです。この層は安定して働けていないので保険料拠出も困難ですが、なんとか働けているということで生活保護も受給できない。
「新しい資本主義」論は「勤労者皆保険」を唱えていてこの点でも「夢よ再び」なのですが、いったいどうやって実現するのか。まして、この層に属する現役世代に「人への投資」をいかに届かせるのでしょうか。
〇困窮のジャングルジム
佐々木 「新しい生活困難層」のなかでも、30代後半から40代前半までのいわゆる「就職氷河期世代」の問題はきわめて深刻ですね。
宮本 かつて社会運動家の湯浅誠さんが『反貧困』(岩波新書)で日本を「すべり台社会」に喩えました。安定雇用から非正規へ、そして深刻な困窮へと容易に滑り落ちるというイメージですね。でも就職氷河期世代にみる「新しい生活困難層」の実態は、このイメージすら妥当しない。この世代はその後の世代より非正規雇用が100万人ほど多く、そもそも最初から不安定就労だったので、「上」に位置する正規雇用から滑り落ちたわけでもありません。
コロナ禍は就職氷河期の子ども世代にも深刻な影響を与えていて、子どもたちは人生のスタートラインから可能性を制約されています。まさに「親ガチャ」ですね。
そして、コロナ禍で所得がさらに低下しても、生活保護の受給は容易ではなく、そちらに移行できるわけでもない。実態として、コロナ禍のなかでも生活保護の受給者は減少すらしています。児童公園の比喩でいうなら、「すべり台」というより、困窮という「ジャングルジム」のなかに閉じ込められたかたちです。
佐々木 男性稼ぎ主の雇用を保障することで家族の扶養を支えるという仕組みが機能不全に陥ってすでに久しいわけですけれども、こうした制度の問題はどこから手をつければいいのでしょうか。
宮本 「人への投資」が「新しい生活困難層」に届く条件について考えましょう。岸田首相の『文藝春秋』論文では「人への投資」として100万人程度を対象に能力開発支援、再就職支援等をおこなうことになっているのですが、「新しい生活困難層」を現役世代に限定しても、そうした支援を活用する条件はあるでしょうか?
この層の人たちは、家族のケアや自分のメンタルヘルス、さらには生活費の確保に追われている。能力開発どころではないのではないか。まず所得保障の拡充などで、生活を安定させることが必要です。たとえば現在、ヨーロッパであるような社会保障給付としての住宅手当で家賃負担を免れれば、一息つけるという世帯も多いでしょう。
さらに踏み込んで制度の転換についていえば、生活保障の「内付け」を「外付け」にして人々のキャリア形成を可能にすることだと思います。日本型生活保障では生活維持機能が正規雇用にいわば「内付け」され、年功賃金や企業内福利厚生で提供されています。先ほど住宅手当の話をしましたが、住宅手当といえば、日本では会社の手当を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。でもヨーロッパの生活保障では、雇用に対して「外付け」されています。住宅手当もヨーロッパであれば福祉国家をとおして供給されてきたわけです。
「人への投資」でいえば、そもそも教育費の家計負担がきわめて重い日本では、子どもの学費も年功賃金からなんとか捻出するという意味で「内付け」です。その他、医療や家族手当なども含めて、正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の仕組みを、雇用のポジションにかかわりなく利用できる「外付け」の仕組みに転換しなければ、「人への投資」は成り立ちません。
佐々木 雇用に「内付け」された仕組みは、メンバーシップ型という特殊な雇用システムが可能にしたともいえますね。しかし現状はといえば、非正規ゆえに正規雇用に「内付け」された制度から排除された「新しい生活困難層」が大量に存在しています。
宮本 ここに大きなジレンマがあります。「内付け」を利用できる側は決して特権層であるわけではなく、年功賃金や福利厚生で子供の学費や住宅ローンをなんとかまかなっている。「外付け」の制度ができる前に、「不平等だから半分は困難層の人に回しましょう」ともっていかれたら生活が破綻する。かといって、そのままでは「新しい生活困難層」は放置状態です。
「内付け」から「外付け」への転換を資源の取り合いにしてはいけません。「人への投資」の現実的基盤が形成され、誰もがキャリアづくりを可能にしていくその効用をみすえて、しかるべき財源を確保し、合意形成を図りながらすすめる必要があります。
佐々木 特定層に負担を負わせるのではなく、「内付け」から「外付け」に徐々に制度を転換していくという考え方ですね。雇用から切り離された「外付け」の制度になれば、安定した「メンバーシップ型」と不安定な「ジョブ型」といった、これまでの雇用の構図は根本的に変わってきますね。
宮本 雇用のポジションの如何を問わず、「外付け」の、つまり「社会保障給付として制度化された生活保障」にアクセスできるようになったとき、「メンバーシップ型」か「ジョブ型」かというのは、より純粋に人と仕事の関係、働き方の相違になりうるかもしれません。つまり、「人に仕事をつける」メンバーシップ型か「人を仕事につける」ジョブ型かという働き方の違いです。
ただ併せて強調したいのですが、「新しい生活困難層」が参加できる働き方は、より柔軟に、「人に合わせて仕事を調整する」ようなかたちを含めて考えるべきだと思います。いわば「オーダーメイド型」です。
家族のケアや自分のメンタルヘルスの関係で午後からの出勤になるとか、対人関係が苦手だとかいうのを特性ととらえて仕事を調整すれば、社会を支える人材は大きく広がります。
たとえば、「ウチらめっちゃ細かいんで」という株式会社は引きこもりの人が引きこもったままホームページなどを制作する会社として知られています。引きこもりの人たちが引きこもるきっかけになった繊細さは、リモートワークを活かして仕事を調整すれば、そのまま細部がよくできたホームページを作成する武器に転じるわけです。
地域では一方で「新しい生活困難層」など多くの人たちが働けずにいて、他方では多くの中小企業が人手不足に悩んでいます。「オーダーメイド型」の雇用を調整することで、両者を架橋することができると思います。
「人への投資」は、これまでの生活保障や働き方をそのままにして、人々の能力だけ引き上げようとしたら、まず頓挫するでしょう。逆に、生活保障の拡充と働き方の柔軟化と連動できれば、きわめて大きな効果をあげるのではないでしょうか。
〇どっちつかずの日本
佐々木 制度のどこが問題なのか、総合的にとらえる視点が必要になるわけですね。
宮本先生は麻生太郎内閣で「安心社会実現会議」の中心メンバーとして、また、民主党政権でも「社会保障改革に関する有識者検討会」の座長を務めるなど政策形成に関わってこられました。
『貧困・介護・育児の政治』では、「社会民主主義的な観点に近い提言を重ねたが、予想以上に議論が受け入れられたと思う」とふりかえりながら、日本で福祉の機能強化の議論が全面に出てくるのは「政治的な例外状況」に限られるとも指摘されていますね。
宮本 こうした政策形成に関わるなかで、経済団体からもヒアリングをする機会も多かったのですが、社会保障については年金の財源は消費税でとか、要するに企業の負担を減らしたいという話ばかりでした。「人への投資」を活用するという発想は、少なくとも経済団体からは聞こえてくることはなく、ヨーロッパの資本主義との落差を痛感しました。個別の経営者にはいろいろなビジョンをお持ちの方がおられることは知っていますが。
佐々木 日本では、どっちつかずの状態のまま、それでも日本型生活保障の制度を維持しつづけています。まさに“ゆでガエル”の状態ではないでしょうか。
宮本 「挑戦できないメンバーシップ型雇用」と「発展可能性なきジョブ型雇用」が組み合わされている、といったのはそのことです。このままではどちらの強みも発揮できないまま沈み込んでいく。「新しい資本主義」というとき、このあたりをどうするつもりなのか。ぜひリアルな議論をしてほしいと思います。
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