様々な人々が新しい社会の探求に乗り出しえる時代(メモ)
気候正義の運動は、システムチェンジ、グローバルノースの脱成長、ミュニシパリズムの取り組みをよびかけている。コモンをとりもどす運動。格差・貧困・差別、ジェンダー、平和、生物多様性、食料・食品の安全・・・様々な運動があり、多くの研究者やアクティビストが参加し、SNSを通じ、交流・ネットワークを広げている。そうした激動的な時代の中で、日本共産党は、そうした運動の1セクターとし連帯し、学び成長しあう仲間としてある、という立ち位置感が大切に思う。
その関係で、不破哲三さんが著書「激動の世界はどこに向かうか―日中理論会談の報告 – 2009/9/1」で語っていることが、15年経った今とても重要になっていると感じる。引用したい
【パリ・コミューンの評価に対するマルクスの態度について・・p155-7】
マルクスが高く評価したパリ・コミューンでしたが、その指導にあたったのは・・かなりの数の社会主義者が参加していました。インタナショナルの会員も相当数いました。しかし、これらの人々は・・・・マルクスらとは立場のまったく違うプルードン派でした・そのほかにいたのはブランキ派でした。・・・・しかしし、マルクスは、パリ・コミューンの意義と業績を評価するとき、そこで活動した指導的メンバーの顔触れなど問題にしませんでした。
・・・・・
このマルクスの態度には、マルクス主義者やその党が指導しないかぎり、革命はあり得ないとか、社会主義への意義ある前進が起こりえないなどと言った独断的な見解は微塵も見られません。
・・・・・・
私たちが、いま生きている時代は、マルクスの時代よりももっと激動的な時代です。共産党がいないところでも新しい革命が生まれ得るし、科学的社会主義の知識が無くても自分の実際の体験と世界の動きの中から、様々な人々が新しい社会の探求に乗り出しえる時代です。・・・・そういう動き(左翼政権の誕生が続くラテンアメリカの動き)を見るとき、マルクスの見た目で見る、このことが非常に大切になる、ということを強調したい、と思います。
■メモ者 「変革の担い手問題」に関わって・・・
以前からの問題意識。以前、少し問題意識をメモした。
【資本主義の変革主体・・・どう形成するか 2021/05】
http://wajin.air-nifty.com/jcp/2021/05/post-8ecda5.html
マルクスの資本論は、資本主義経済のメカニズムを解明し、生産性を高度化する歴史的役割とともに、資本の論理が「貧困の蓄積」や、「人間と自然とりの物質代謝」を「攪乱」することなど、次の「人間的な社会」に移行せざる負えない道筋をあきらかにした。
一方、それ変革の過程は、その矛盾を自覚した「労働者階級」の団結の高まりによって、政治の=上部構造での「決戦の舞台」で決するとの展望を明らかにした。
「資本論」はすごい、と感じながらも、最後の「収奪者が収奪される」という規定は、大局的にはその通りだとおもうが、資本主義生産のもとで「鍛えられた労働者階級」が生れ、それが「革命」の必然性と述べている部分は、現代社会に引き付けて発展させることが必要だと思う。
エンゲルスが「イギリスにおける労働者階級の状態」を書いた当時は、「理性の王国」をつくるとしてフランス革が、結局は資本主義にそくした社会をつくるものであり、労働者の惨めな生活を拡散したことへの告発であり、生命力を発揮した。
が、10年ごとの恐慌を通じ、一時は疲弊・混乱しても、資本主義は新たな活力、より高い生産性を獲得し復活。それに応じて、労働者階級の中に、「より豊かな生活」を実感できる層がうまれた。
マルクスもエンゲルスも、50年半ばから、イギリスの労働者階級が下火になっていることを「なげいている」。
20年後、「イギリスにおける労働者階級の状態」の「今日版」を書いては、という要請にも、「その時期できはない」と拒否している。
*問題意識・・・・矛盾は明確だが、それを変革する主体をどう形成するか、というのは科学的社会主義の分野において、真剣に探究されてきただろうか
資本論、とくに第一部は、生産現場なおける資本と労働者の対決を主軸に論を展開し、そして最後の「収奪者の収奪」に整理されている。以前から、なにか「飛躍」というか、段階を省略している。という感をずっと持ち続けてきた。
(第Ⅰ部は、「生産過程」に限った理論的探求である、という制限との関係か?)
資本論が書かれた当時には、社会保障の制度もなかった。人権規定が次々と確立したのも20世紀後半。生産と環境との矛盾も地球的規模では深刻になっていなかった。
が、こうした人権規定の発展と生産力の発展をもとで、資本と対決する民主的な知識層の量と力量は格段にたかまってきた。そして、ネットで世界中の運動が連携できる時代となり、平和、人権、環境など様々なテーマにもとづく市民社会の運動が連携をとりながら・・・多国籍企業の横暴に対抗する力(消費行動、投資行動を通じ、企業行動に影響も与えてきている)を発揮してきている。
それを踏まえると・・・ が、総資本の行動と、労働者階級の矛盾は、生産現場での労働条件をめぐる闘争のわくを超えて、人類の生存にかかわる環境問題、乱開発と子どもの貧困も児童労働の深いかかわりがあるなど、資本の矛盾は、様々な形で噴出し、それに対抗する多様な市民運動が展開されている。
総資本の「利潤第一主義」が生み出す矛盾に、総労働側の反撃=市民社会の多様な活動の活発化、という構図が生まれている。ととらえている。
各種のテーマを掲げての市民運動との連携、リスペクトし共同し、合意の内容を豊かにする取り組み、というのは、「収奪者を収奪する」という結論を、実際に実現していく努力方向ではないかと考えている。
*支配層のイデオロギーも=自己責任論がまん延し、その文化の中で育ってきた人たちが、「変革主体」=「主権者」として自らを捉えなおす場を、どう提供できるか・・・・
*「変革主体」は、どうしたら形成できるのか・・・理論面とともに、活動、組織運営の在り方も含め、真剣な探求が求められている、と考えている。
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【追記】
◆マルクス、エンゲルスが悩んでいた状況については、「甦る資本論 内田樹×石川康弘 2023」での内田樹氏の指摘が印象的である。
内田氏がとりあげたのは「ルイボナパルトとブリューメル18日」の中で、ボナパルト側を支援したルンペン・プロレタリアートの記述。
「放蕩者、落ちぶれたブルジョワジー、無宿者、兵士くずれ、釈放者、奴隷、詐欺師、ペテン師、すり、手品師、賭博師、女衒、くず屋、刃物研ぎ、いかけ屋、乞食・・・ 」 革命の隊列に加わるはずの人々ならこんな軽蔑的な描き方としない、と。
また、エンゲルスも、イギリスの労働者が植民地からの利益により、ブルジョワ化しているとの嘆きを手紙でマルクスにつたえたことを紹介している。
どう突破するか・・・実践的には大きな課題だった、と認識している。
◆物質代謝の亀裂 気候危機 人類生存にかかわる課題
今日、資本主義のゆきづまりは、人類の生存に係る課題として、より多くの人々の意識を捉えている。
斎藤幸平氏、佐々木隆治氏の著作に詳しいが、資本論」刊行後のマルクスが、資本の持つ「巨大な弾力性」が、「人間と自然との物質代謝」をかく乱することの探求に力を尽くしたことを明らかにしている。これは、冒頭に書いた「新しい社会の探求に乗り出す人々」を生み出すこと、「変革の担い手」の形成に結びつく視点である。
気候危機打開の運動は「気候正義」の運動として「格差・貧困」と結びつき、資本の横暴の制限に通じる労働者の処遇改善の運動をもエンパワーメントしていると思う。
・マルクス 資本論 「資本主義生産は同時に、あの物質代謝の単に自然発生的に生じた状態を破壊することを通じて、その物質代謝を、社会的生産を規制する法則として、また十分な人間的発達に適した形態において、体系的に再建することを強制する」
まさにそういう時代だと思う。こうした多様な運動との連帯、そして距離感がますます重要に思えてくる。探求・努力が求められる。
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