「話し合いが果し合いに」 日本人のわかり方 ある先輩の教え
私が党専従になって、しばらくして素敵な先輩からいろいろ教えてもらった。私もその当時の先輩の年齢になった。その財産を、思い出しまとめてみた。(わすれていることも多々あると思うが・・・)
・「人のわかり方」の癖 ・・・ 目の前で言われて、真に「わかった」というのはあやしい。その後の体験の中で「あ~ あの時言っていたのはこういうことか」という、わかり方が、ほとんどである。その時に、その人の思想が真に成長する。ガンガン言ったら「わかる」というものではない。むしろ、イヤな思い出が蓄積されるだけ。
・「聞く能力が大事。人は自分の意見を聞いてくれる人の話だけを聞く」というのも、印象的だった。確かに、わが身を振り返って、強く納得した。「なんでも話せる組織」とは、「なんでも聞いてくれる仲間」の存在と一体。共感し、受け入れられているという実感、自分の居場所があってはじめて「自分の組織」という思いが育つ。
・日本文化のくせをわかって活動しなくてはならない。「枝葉末節にこだわる」「(内容より) 言い方がきにくわない」と反応する。「坊主憎けりゃ袈裟までにくい」と、意見の違いが拡大し、「話し合いが果し合い」に発展するなどなど・・・。素敵でおもしろい先輩だった。「そんなこと、どこで勉強を?」聞いたら「すれっからしのリアリズムよ」と笑っていた。
・学習では「概念砕き」といって、まず思い込みを壊し、柔軟に考え様々な知識に接近できる状態が築くのが大事。
・学習とは対話である。自分の狭さを克服するのは他人との交流でしかない。書物の学習も、今ここにいない人との対話である。だから書いている知識よりも、なぜそう考えたか、という道筋をトレースし、自分の見方を鍛えることが重要、とも言っていた。
・日本人の文化的な癖を踏まえると、常に、どこまで意見が一致しているか、確認することが重要であり、そうすれば、残りの不一致店は大きくない。その差異は、運動の豊かさを生み出す源泉でもある、という、今で言う「包摂」を軸にした話の例を様々聞かせていただいた。
貴重な体験だったし、37歳で、全然知らない地で、初めて党地区委員長したとき、「思いをあつめれば前進できる」という腹のくくり方をできたのは、先輩の教えがあったからこそ、と思っている。
今思うと、「ベルトをかける」的なやり方とは違い、人の内発的な力にどう働き掛けるのか、を大事にした文字通りの教育者だった。
哲学で学ぶ、弁証法~矛盾論、内部発展論とか、対立物の統一と闘争とかの見方を、日々の実戦、生きた活動の中で分かりやすく示してもらった。 そういう人物でありたいし、そういう組織づくりに、少しでも貢献したい。
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