昨年は、もっとも暑い1年となった。しかし、温暖化ガスの排出はとまらず、カーボンバジェットは、あと数年しかないのではないか・・・。それにしては、政治の世界では危機感がないし、マスコミもさわがない。
もっとも被害をうける国・地域、階層の人々が、国際政治の舞台から遠い位置に追いやられているからだ。
温暖化は、森林火災、永久凍土の融解、氷河消滅などでさらに加速されるにもかかわらず・・・。未来への責任からいっても、全体としては今最も力をいれるべき課題ではないか。強くそう思う。
2021 年に公表された IPCC 第 6 次評価報告書(第 1 作業 部会)によると、1850 年から 2019 年までの世界の CO2 の累 積排出量は 2 兆 3900 億トンで、今後、気温上昇を 67%の 確率で 1.5℃以内に抑えるための残余のカーボンバジェットは 4000 億トンとされている。
今と同じペース(年間約 336 億トン) で CO2 を排出し続ければ、約 10 年(2029年)で使い切ってしまう、とされていた。
一方、著名な気候科学者50人が昨年6月8日に発表した新しい研究結果は、残余のカーボンバジェットは、わずか3年で半減したと報道された。2020年、IPCCでは残余のカーボンバジェットをCO2t換算で5000億トン(50%確率)とだったが、2023年初頭には約2500億トンに。世界の年間温室効果ガス排出量の約5700億トンであり、4年5カ月分しかない。2027年半ば、ということ。
*カーボンバジェットは、1.5度目標達成の確率の違いやメタンなど含めたC02換算か、C02のみかの数字による試算かで、多少のずれがある。
共通だが差異ある責任・・・
◆CO2累積排出量(1750~2020年)」
1位は、米国の4167億2308万トンで、世界の累積排出量(1兆6965億2417万トン)の24.6%。2位はEU(17.1%)、3位は中国(13.9%)
◆2020年、世界で二酸化炭素(CO2) 世界の排出量(348億725万トン)
中国 106億6788万トン(30.6%)、米国が47億1277万トン(13.5%)、EU(7.5%)、インド(7%)、ロシア(4.5%)、日本(3%) ・・・10位 韓国1.7%
◆2.8兆トンのカーボンバジェットを公平な分配すると・・・現在の人口比で算出
日本 455憶トン 1.3億人/80億人
中国 5005億トン 14.3億人
米国 1190億トン 3.4億人
◆累積排出量 2.4兆トン
日本 排出累積の5.1% 1219億トン
中国 13.9% 3336億トン 残余 1669億トン 101/年 ➡ 16年
米国 24.6% 5904億トン
欧米など先進国は、すでにカーボンバジェットを使い切っており、現在排出量世界一の中国は、約16年分のこっている。
◆2019年、世界の所得・財産上位1%(約7千万人)の1人当たり年平均110トンのCO2を排出。世界の炭素排出量の17%を占めた。上位10%(7億7100万人)は1人当たり年平均31トンのCO2を排出、世界の炭素排出量の48%。
下位50%(38億人)の1人当たりの年平均CO2排出量は1.6トン。世界の炭素排出量の12%
◆消費ベースの排出量
経済のグローバル化は、中国など低賃金の国で生産され、米国など先進国に輸入されるようになった。他国で生産された消費財を、輸入している国は、炭素排出も輸入しているとカウントするのが、より正確かつ公平である。が、統計上、計算が複雑となり、数値ができるのに、5年くらいかかるとのことで、生産ベースの数字が使われている。
スウェーデンは、消費ベースでの目標をもっている。
OECDの推計によれば、2018年における我が国の消費ベース排出量は約13億1,200万トン(CO2換算)。生産ベース排出量(約11億5,100万トン)を約1億6,000万トン上回っている
◆統計にのらない数字がある。
国際的な移動――航空機、船舶の排出量は、各国の排出量にはカウントされていない。もう一つが軍事部門。95年の京都議定書の際に、アメリカの要求で除外され(パリ協定で報告免除は撤廃されたが義務とはなっていない)。米軍だけで中規模の国の排出量に匹敵すると指摘されている。アフガン、イラク、ウクライナ、カザと戦争自体が巨大な排出源。
【カーボンバジェットとは?CO2はあとどれくらい排出できる? shishido 2023/11/30】
【カーボンバジェットと2030年までに急ぐべきこと 22/1/27 安田 陽・京大大学院特任教授】
【温室効果ガスのバケツ?カーボンバジェットとは ゼロカーボン板23/12/7】
【COP27、足踏み許されぬ1.5度目標達成、「炭素予算」の残り わずか! 日本海事新聞22/12/2】
【カーボンバジェットとは?炭素予算は残り何年分?カーボンニュートラル実現のための取り組み具体例を解説 offsel.blog 2023/12/26】
【消費ベースの温室効果ガス排出量もネットゼロへスウェーデンが世界で初めて消費ベース排出量の削減目標を設定 MUFJ 2022/05/27森本 高司 】
【気候安全保障の観点から見たCOP28の成果と課題 | 公益財団法人日本国際フォーラム (jfir.or.jp)
関山 健 京都大学大学院准教授 24/1/9 】
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