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不登校 きっかけは「先生」最多・考~ 組織の構造的問題として

 文部科学省が公表(10月4日)した2022年度調査によると、小中学校の不登校児童生徒数は前年度比で5万人以上上回り、22%増加し、過去最多の30万人弱。。他にも、小中高の児童生徒の自殺者数が400人を超え一昨年に迫る数。今や学校を希望を育む場から、希望、生きる意欲をそぎ落とす場となっているのではないか。

そこに、2つの当事者家族などのアンケート調査が注目される。2つの調査とも、不登校のきっかけは「先生の言動」。

文科省の調査は、教師が回答するうえ、設問が「学校復帰」を目的としたものなどの課題があるという。

 権力的関係にもとづく、ハラスメント対応も同じだが、個々人の心がけ(研修の徹底とか。。)で済ますのではなく、そうしたことを生みだす組織の在り方こそ問題であるべき。

「熱意がすぎた」「行き違いがあった。配慮が不足した」などのと語っているのは改革したくない言い訳と思う。

 災害時の支援する際に、ケア従事者にこそ「温かい食事を」というものがある。熱意・自己犠牲を美談にしてはいけない、継続的で質の高いケアを行うための鉄則という。教師のおかれている現場とどうか・・・そこが問われている。

以下、赤旗と毎日の記事。そして文科省の調査結果をうけての声明。

ちなみに、高知県は県教委に配置されている教員・「あて指導主事」(学力向上などで学校を訪問・指導)が136人と率でダントツの全国一。実数で東京に並ぶ。管理統制をつよめた結果が不登校、重大ないじめで全国トップクラスという実態。

不登校は、希望、意欲を削る今の学校教育に対する、子どもたちの危機回避行動ではないか。そして自己責任のもと貧困と孤立が蔓延する社会の鏡である。と思う。

 

【不登校の子と親 支援へ声寄せて NPO 期限は年末 政策提言へ  赤旗23/11/2 】 

 学校外で学ぶ子の育ちを支えるNPO法人「多様な学びプロジェクト」https://www.tayounamanabi.com/ が、不登校当事者の実態とニーズを調査するインターネットアンケートを実施

・プロジェクト代表理事の生駒知里さん 、不登校の増加について、一律にすることを押し付ける学校教育やコロナ禍でのストレスを指摘します。子どもたちから「根拠のない『なぞ校則』が多い」「先生のストレスを自分たちにぶつけられていると感じた」などの声を聞いた。

 当事者とずれ

 文科省の調査では、不登校の要因の半数以上を占めるのは「無気力・不安」です。生駒さんは「これは要因ではなく結果。本人起因にしてしまうと、学校が変わらない」と指摘。

・これまでに集まっている保護者向けのアンケートの回答~ 、「先生との関係」が最大の要因~「先生が悪いというのではなく、先生が人間らしく働けていない中、コロナでさらに先生のストレスが強くなり、そのしわ寄せが子どもにいっているのでは」と分析。文科省の調査は教師が回答するため、当事者とのずれが生じていると推測。/アンケートは「保護者」「子ども」「元不登校当事者」の三者に分けて、設問を変えている。子どもや保護者らとの会議を重ね作成。

 回答しやすく

 特に子ども向けの設問は難航したとのこと~ 文科省が行った実態調査では「学校に戻りやすいと思う対応は」など、学校に行くことを前提にした質問には6割の子が無回答/そこで、設問や選択肢を子どもや元不登校経験者の言葉からつくり、回答しやすくした。

・今後、調査結果を専門家と分析し政策提言する予定~当事者と行政とのコミュニケーションのずれをなくすと同時に、「不登校の人だけではなく多様な人が安心して学び、子育てできる社会にしていきたい」と語ります。

 アンケートURLはhttps://www.tayounamanabi.com/research2023。回答期限は12月31日まで。調査結果は来年1月11日、文科省と合同開催予定のシンポジウムで報告予定

(記事内容は、メモ者の資料集用に加工したもの)

 

不登校のきっかけ、最多は「先生」 文科省調査と違う結果に 滋賀  毎日23/11/15

 不登校の当事者と家族の実態と思いをまとめたアンケートの調査報告書を、滋賀県フリースクール等連絡協議会(柴田雅美会長)が公開している。それによると、回答のあった小中高生のうち、不登校のきっかけを「先生」(合わない、怖い、体罰、不信感など)と回答した子供が約3割にのぼり、最も多かった。また自由記述では、子供も保護者も、周囲の偏見や無理解について悲鳴を上げている実態も明らかになった。【北出昭】

 

要因は学校関係 国の調査と隔たり

 滋賀県東近江市の小椋正清市長が「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」「不登校の責任の大半は親にある」などと発言する前の調査だが、同協議会は「不登校、フリースクールの問題を誤った知識や経験則だけで議論せず、不登校の原因は多岐にわたると知るきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。

 同協議会は、文部科学省が学校を通じて毎年実施している「問題行動・不登校調査」は必ずしも実態を反映していないとして、県内で初めて昨年11月~今年1月、不登校の子供とその家族にアンケートを実施した。

 回答した小中高生75人のうち、「不登校になった年齢」は小学13年生が60%を占め、小学生全体で76%に達する。「不登校のきっかけ」(複数回答)で最も多い要因は、「先生」(合わない、怖い、体罰、不信感など)の23人。「友達」「身体不調」「カリキュラムが合わない」が同数の20人、「先生が誰かを怒るのを見るのがしんどい」(18人)、「勉強が分からない」(16人)など学校関係が多い。

 一方、文科省の「問題行動・不登校調査」では、不登校の要因は「無気力、不安」(51%)▽「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)▽「友人関係の問題」(9%)など「本人」とする回答が際立っている。協議会は「結果が大きく違う。両方の結果を踏まえて解析が必要だ」と指摘する。

 

保護者の半数超が働き方に変化

 不登校によって「保護者の働き方は変化したか」の問いに、保護者148人のうち55%が「変化した」と回答、「変化なし」は27%だった。35%が「世帯収入が減った」と回答し、「食費」「光熱・通信費」「交通費」「フリースクール利用料」などの費用が増えたという。

 自由記述の回答を多く公表しているのが特徴だ。子供たちは「不登校の子として見るのではなく、一人の人間として見てほしい」「最後までちゃんと話を聞いてほしい」「責めないでほしい」などの思いを記している。保護者は「『不登校は家庭に問題がある』という偏見による決めつけや根拠のないアドバイスはやめてほしい」「学校に代わる居場所がない」「頑張って学校へ来なさいという言い方をされる」など周囲の無理解や孤立感を訴えている。

 調査報告書は県教育委員会にも提出されている。今月13日に開かれた県総合教育会議で大杉住子副知事が、不登校のきっかけは「先生」が多いとのアンケートを引用し、「これをどう捉えるか。何か課題があったのか見ていきたい」と発言。福永忠克県教育長も14日の定例記者会見で「先生が不登校の児童生徒にどのように寄り添い、気持ちを理解し、対応していくか。そのための知識、理解を深めることが必要だ」とアンケートへの見解を示した。

 アンケートは、同協議会のホームページ(https://www.shigafs.org/)で公開されている。

 

【文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」に対して

2023 年 11 2 日 全日本教職員組合 書記長 檀原毅也 】

10 月 4 日、文部科学省は「令和 4 年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を公表しました。小・中学校の不登校児童生徒数が前年度を 5 万人以上上回り、 約 29 9 千人となったことが衝撃を持って受け止められました。他にも、小中高の児童生徒の自殺者数が400人を超え一昨年に迫る数となっていることなど、子どものいのちと安心・安全をめぐって 危機的な状況が改善されていないことが明らかにされました。

不登校については、中学校が深刻で、とくに公立中学校では 16 人に 1 人(6.3%)が不登校で、ど のクラスにも 2 人いることになります。国公私立合わせた学年別不登校児童生徒数は、中学に入ると 急激に増加し、23 年生では約 7 万人ずついることがわかります。その上、不登校の状態が前年度から継続している生徒も学年が上がるごとに増加え、中学 3 年生では 68.4%となっています。さらに、高校の不登校も 2021 年度以降増加率 18%台で推移し、6 万人を超えました。不登校児童生徒数がすべての学校段階で増加し続けていることが明らかにされ、きわめて大きな課題となっています。

 自殺については、調査開始以来過去最多となった 2020 年度より減少したとはいえ、それに迫る数 となっています。2022 年度調査の「自殺した児童生徒が置かれていた状況」に初めて「教職員による体罰、不適切指導」の項目が追加され2 名計上されたことも社会に衝撃を与えました。文科省自身も「極めて憂慮すべき状況」としています。

暴力行為の状況については、小中高における暴力行為の発生件数は 9 5 千件(前年度比 24.8% 増)と増加傾向が続いています。特に低年齢化が顕著です1000 人あたりの暴力行為発生件数は、 小学校 9.9 人、中学校 9.2 人となり 2 年連続で小学校が中学校を上回っています。

いじめについては、認知件数の増加が止まるところを知らず、2022 年度には約 68 2 千件(前年 度比10.8%増)となっています。とくに小学校の増加が激しく、2022年度には1000人あたり89.1人 と初めて 80 人を突破し、35 人学級で考えると平均 3.1件となりました。また、年度末でいじめの解消が確認されていないものが 22.8%あり、長引くいじめの解消の難しさが表れています。

文科省はこうした課題に対して、2024 年度概算要求に「学びの多様化学校(旧・不登校特例校)」 の設置促進など「不登校の児童生徒全ての学びの場確保」や、スクールカウンセラー・スクールソー シャルワーカーの拡充を計上しています。一方で、「1 1 台端末等を活用した『心の健康観察』」の 導入や「SNS 等を活用した教育相談体制の整備推進」など、過剰なほどに ICT 頼みの施策を展開し ようとしています。

しかし、いま、本当に求められているのは、学校で、地域で、子どもたちや保護者、そして教職員 に寄り添い、声を聴き取り、支える人の存在ではないでしょうか。そのために教職員を増やすことは きわめて重要なことです

さらに、競争と管理で子どもたちを苦しめる学校教育を改めなければ、子どもたちがえがおで学校 にやってくることはますます難しくなります。不登校数の激増が表すものは、子どもたちがそんな学 校は嫌だと拒否しているものと受け止める必要があります。 全教は、子どもたちがえがおでのびのびと学び、遊び、生活することができ、一人ひとりが大切に され、成長と発達が保障される学校づくりのために全力をあげてとりくみをすすめる決意です。 以 上

 (下線はメモ者)

 なお「ハラスメント根絶」について、前衛6-8月号に掲載された論考のエッセンスを紹介している下記ブログ記事は学びが多い              

大和田敢太「ハラスメント根絶のために」 紙屋研究所

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