「マイナ保険証」~ 暴走の狙いとひずみ
・河野太郎デジタル相 13日の記者会見 ~マイナンバーカードと健康保険証の一体化を前倒しするために「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明
・マイナンバーカードを来年3月末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指し、最大2万円分付与するマイナポイントなどで取得を誘導しましたが、いまだに交付率は5割程度 ~ そこで無理筋、法律違反の強制という暴走に!
※デジタル庁が8~9月に行ったアンケート調査~ マイナ保険証を申し込まない主な理由 「メリット・必要性を感じない」29%、「手続きが面倒」19・4%、「情報流出が怖い」14・7%
→ 同カードに対しては、指紋の1000倍ともいわれる本人識別機能をもつ顔認証データを行政機関が網羅的に把握することによるプライバシー侵害の危険性など専門家からさまざまな問題点が指摘されている
そこで
「なぜカードにこだわるか」
「義務」化で、齟齬をきたす「利用規約」
「保険証の強制」問題
として整理してみた
〇なぜカード普及にこだわるか 情報の営利化、監視国家化
・マイナンバーは法律で利用制限がかかっているが、カードの発行番号は制限がないので自由に営利活動に利用できる。発行番号はマイナンバーと紐づいており、脱法的な迂回したやり方。
⇔ その中心的な舞台が「マイナポータル」
・マイナポータルに医療情報、銀行口座情報、教育・学習状況など、自己情報をまとめ閲覧できるようにしていく
→ 政府は、「最適なサービスを案内できる」 /政府は、全データを把握しているということ
・データ漏洩、悪用の場合の補償制度もない。各自が裁判をおこすしかない。自己責任の世界。
★マイナポータルの利用規約
・ 第3条では個人情報の管理責任にデジタル庁は一切責任合わない
・第24条では利用規約は通知する事なく改正でき、それ以降に利用したら同意したとみなす
・民間利用 健康状況のデータと民間保険(健診をうけデータを提供する人の保険料を安くする)、教育データと予備校・学習塾(データ提供の人は利用料を安くする、または最適なサービスを提供する) など
→ サービス提供すめアプリ活用の「一括同意」で、発行番号を利用して、マイナボータルに侵入を可能とする仕組み
★「教育データ利活用ロードマップ」~デジタル庁 1月7日に発表。
個人の教育データを生涯にわたって蓄積・活用できるようにするもので「健康や体力の履歴、テスト履歴、自宅での学習履歴、どのような本を読んだかという情報、奨学金や職業のデータまで行政や民間企業などが広く利活用できるとされている」と規定。
★行き着く先・・プロフィリングを可能にし、情報をあらたな市場開拓や消費者心理の誘導に利用する、システム開発など税金使った特定企業の利権。中国並みの監視国家をつくる。カジノ入場に必要だから ・・・ というところか
〇「申し込み」から「義務化」で、制度にひずみ
ただし、あくまでマイナカードもマイナポータルも義務でなく、利用者の「申し込み」という建付けで、損害に責任おわない、とか、必要と判断したら勝手に規約を改正することにも「同意」している、という建付けなので、こんな乱暴が規定も「可」となっている。
しかし、保険証と一体化・義務化すれば(保険証の確認などはマイナポータルで行う)、こんな勝手な運用はできなず、仕組みの再構築をまねくことになる。そうしなければならない。
利用制限、利用する場合に1つずつの項目への本人同意、損害補償、運用改正の国会承認などなど・・・すると、マイナカード、マイナポータルに込めた真の狙い壁となうる
以下、以前、整理したメモ
【デジタル関連法案の問題点~一部企業の利益確保と中国化への道(メモ) 2021/04】
http://wajin.air-nifty.com/jcp/2021/04/post-851b81.html
〇マイナンバーカードの保険証 21年10月に本格運用開始したが・・・
・使うための登録をした人は全人口の約2割、専用のカードリーダーを設置した医療機関や薬局は約3割/ 来年4月からのシステム導入の原則義務化にも医療関係団体から撤回を求める声
※ 医療現場からの異論が・・・
・マイナ保険証の表面に被保険者の情報は書いてない~ 医療機関は専用の電子システムを導入し、端末機器で被保険者の資格をいちいち確認することを義務づけ/ 現行保険証なら目視で確認。費用と手間を強いられる
・全国保険医団体連合会(保団連) 医師・歯科医師を対象に8月に行ったアンケート ~ 保険証の原則廃止とオンラインでの資格確認の義務化に約8割が反対/ 「医療従事者はコロナで大変。こんな時にやる必要性を感じない」「ほとんどメリットのない制度。医療機関・患者双方に負担」「拙速しかも高圧的」など怒りの声
⇔ マイナ保険証を利用できる医療機関は現時点で3割/ システムなどのトラブルの報告も
〇記者会見での質問 カードを取得しない人への対応~ 村上統括官は、有資格証明書の発行など「保険証がない人への対応策は現在でもある」
→メモ者 国保の資格証明書は、10割負担で、保険サービスを受けられる保険証ではない
★山添拓議員・参院予算委10/20 カード取得の強制になる 健康保険証の廃止撤回を
・山添議員 「保険料を払っていても、マイナンバーカードがなければ、全額窓口負担させるのか」と質問
・加藤厚労相 「保険料を払った方が医療提供を受けるのは当然の権利だ」
・山添議員 「デジタル庁は違う説明をしている。資格証明書の仕組みがあると言って、そういう方向に進みかねないような説明をしている」と指摘
・山添議員 保険証は廃止しないと約束してほしい、と質問
・厚労相 きめ細かな対応をしていきたい。
・山添議員 きめ細かな対応をするくらいなら、現在の保険証を廃止しないのが一番簡便だ、指摘し、「カードを取得しない理由の第一は、情報流出が怖いからだ」、医療機関からも対応できない懸念が表明されている、と保険証の廃止撤回を求めた。
★各方面からの声
・制度の不備 現場の負担に 自治体情報政策研究所代表 黒田充さん
マイナンバーカードに健康保険証などさまざまな機能を持たせることは導入時から検討されており、政府にとっては計画通りということでしょう。 しかし、必要性は全くありません。現行の制度に「不便だ」「困っている」という声があるのでしょうか。無駄な「IT公共事業」です。
マイナンバーカードの保険証化(資格確認)では、カードに内蔵された電子証明書が使われています。証明書は、ネットワークを通じて行政機関のコンピューター(サーバー)から個人情報を取り出す“鍵(キー)”です。
運転免許や医師などの国家資格の証明なども同じ方法で計画されています。マイナンバーカードで証明できる資格を増やすと、“鍵”で、開くことができる個人情報が入ったファイルも増えることになります。大丈夫なのでしょうか。
マイナンバーカードを無くした時の不安は、保険証と比べて、格段に大きいでしょう。顔写真つきなのも決定的です。紛失するとマイナンバーカードは再発行に1カ月ほどかかります。その間の受診は、臨時の保険証を発行することになるのではないでしょうか。制度の不備の穴埋めを現場が負担するようになることが目に見えています。
・医療の現場も患者も無視 東京保険医協会副会長 吉田章さん
医療機関側もカードの電子証明書を読み取り、顔認証システムを備えたカードリーダーや専用のパソコンなどデータセンターと交信するシステムを用意しなければなりません。これを扱う人手も必要です。今、対応できている医療機関は全体の2割といわれています。
システム導入にかかる費用は国の補助金では足りないうえ、ランニングコストは補助の対象外です。国はそうしたシステムを来年の3月までに導入しろと、無理やり医療現場を追い込んでいます。
政府が導入を急ぐのは、このシステムを使って全国の電子カルテをオンラインでつなぎ、全国の医療情報の大きなデータベースをつくること、それを医療以外の企業の経済活動にも利用していくためです。その入り口と位置付けられているマイナンバーカードの取得強制や健康保険証の廃止には反対です。
・取得強制は違憲・違法 日弁連情報問題対策委員会副委員長 水永誠二弁護士
河野太郎デジタル相は会見で「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」に向けた取り組みを前倒しするために、2024年秋に現在の保険証の廃止を目指すと打ち出しました。
この方針は、これまで政府がいってきた「原則廃止」ではなく「廃止」だというのです。記者からマイナンバーカードを取得したくない人はどうなるのかという質問に「しっかり広報をやる」の一本やりで、まともに答えていません。マイナンバーカード保険証しか認めないという強権的な方針です。
現行の健康保険証の廃止は、実質的なカード取得の義務化につながります。
マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)は、17条で住民の申請にもとづきカードを交付すると「任意取得の原則」を定めていますが、現行法に反するのではないでしょうか。しかも国民にカードの取得を強制するとなると、憲法違反になると思います。
会見では「前倒し」という言葉が目立ちました。国が考える「利便性」や「データの利活用」という方向に前倒し、「プライバシーの保護」については一言も言わないのもおかしなことです。
本来は、プライバシーを保護しながら利便性を追求すべきで、プライバシー保護がないと国民の不安は消えないばかりか、逆に権利侵害になると思います。
そもそも政府は、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートなので、国民全員が持つのが当たり前だという発想です。もしかしたら、国民のカード取得率が8~9割に達した段階でマイナンバー法の改定に踏み込む可能性があり、カードの取得を「事実上の義務」というより「法律上の義務」に踏み込むのではないかと思います。任意取得の原則を百八十度転換し「国が決めたからマイナンバーカードを持て」となるわけで、それ自体が大転換ですし、たとえ法律を変えたとしても、憲法上の問題に発展していくと思います。
≪メ モ≫
マイナンバー法」第16条の2・・・マイナンバーカードは「申請に基づき」発行されるものであり、つまり「任意」。したがって「健康保険証の原則廃止」でマイナンバーカード所有を事実上義務付けする事は違法
→ 閣議決定で強行するなど独裁国家のやり方
★マイナ保険証がなければ医療機関にかかれないわけではない。·
第151回社会保障審議会医療保険部会 議事録 22/5/25~ 水谷医療介護連携政策課長 「現行法令上、被保険者には被保険者証を交付しなければならないという法令上の義務が課せられている。マイナンバーカード取得はあくまで任意。加入者から申請があれば保険証が交付されることは言うまでもない」 / 山添質問も参照
https://mhlw.go.jp/stf/newpage_26304.html…
→ カードをつくらず、被保険者証の交付をもとめよう。立ち枯れさせよう
※河野デジタル相 「資格証明書」に言及 ・・・・国保の資格証明書 保険料の長期滞納などで発行されるもの。医療の窓口負担10割、その後、手続きをして、保険分(7割、8割)が、滞納した保険料に充てられる1ねというもの
→ カードつくらないと、保険料滞納者と同じ、事実状の罰則扱いにするやり方は、到底容認できない
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