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ジェンダー平等の遅れと安倍政治・統一協会 ~性教育、中絶、家庭法制   

 日本のとりくみの遅れ、特に性教育・安全な中絶、家庭法制の遅れは、女性の権利を侵害しているとともに、子どもの虐待や社会の発展の重しとなっている。

 その遅れは、いわゆる右派勢力だけでなく、統一協会が深くかかわっていることをメディアも取り上げはじめた。

 この最近の気になる赤旗記事と各紙の報道をまとめたもの

 

ジェンダー平等へSDGs国連が報告書 「現状では目標達成まで程遠い」

 9/7 ジェンダー平等に関する「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成状況をまとめた報告を公表

~ 2030年までの目標達成に程遠い状況を指摘。 

〇国連報告書~ 現状のままでは各国議会でパリテ(男女同数化)が達成されるまで40年以上かかると指摘

⇔ 世界の地方議会 女性議員比率 34・3% /2030年までに目標達成するために「適切に設計されたクオータ制を幅広く実施する必要がある」と提起

・ジェンダー平等が進まない背景へ ~ 女性への攻撃を指摘/ 女性の政治家や人権活動家が、性暴力、ハラスメント、脅迫の被害に遭い、政界などから追い出される事態にも直面していると明記

  • ジェンダー平等はSDGs達成の土台 ~ 各国は予算拡充と迅速な行動が必要

 〇 日本の取り組みの遅れ 浮き彫りに

・国会議員に占める女性の割合(下院の議員数)~ 今年7月時点で26・4%/「10%未満の国は23カ国」と明記

⇔23か国の中に 日本 衆院9・9%

・国政地方の選挙で男女の候補者数を「できる限り均等」とすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」 20188年に全会一致で成立。が、昨年の衆院選の女性候補者も全体で約18%。

→ 日本の現状/ 列国議会同盟(IPU)も指摘 ~「議会における女性議員」の順位 日本、186カ国中165位

 

【「なぜ女性が妊娠するか」を学校で教えない日本の性教育を世界最悪にした原因は旧統一教会にある President 10/4

【独紙が問題視「日本の子どもが虐待から守られないのは時代遅れの家族法制のせいだ」 10/12 COURRIER  】

【安倍元首相と旧統一教会系が共鳴した「家庭教育支援法案」の危うさ 地方でも推進し106市では条例化 東京9/3

 

 「安全な中絶」の日(9/28) 女性の自己決定権の保障こそ

9/28  「国際セーフ・アボーション・デー(安全な妊娠中絶のための権利の日)」

→ 1990年のこの日、中南米の女性ネットワークが、ブラジルでの奴隷制度廃止の記念日にあわせて、中絶合法化のための行動を開始。2011年からは国際行動デーに

〇日本の立ち遅れ打開急務

・ 妊娠・出産は女性の人生にとって大きな出来事 ~

・妊娠期間 約40週 ~ 吐き気、眠気、疲れやすいという症状、わけもなくいらいらして精神的に不安定になることも。血液量も増え、心臓の負担は大きくなる。母体の心肺機能が徐々に鍛えられ、妊娠後期には約3キロの胎児に血液を供給できる体になる。  / 精神的ストレスをできるだけためず、平常時よりも十分な休息をとることが必要

・出産後の産褥(さんじょく)期 ~ 人によっては妊娠中以上に体調がすぐれない場合も/ 涙もろくなったり、これからの子育てに不安を感じて気分がふさいだりするマタニティーブルーズを経験

・妊娠・出産により、1年の間に心身が大きく変化 ~ そのためキャリアの中断、働き方をゆるやかにすることを検討する人も ⇔ 女性自身が、子どもをいつ何人産むのか自己決定することが欠かせない。

・が、日本ではこの権利の保障が大きく遅れている

→ 中絶/ 母体保護法により、配偶者同意が必要 ~ 世界で11カ国・地域しかな

・中絶方法 ~ 80カ国以上で経口中絶薬が使用 /が、日本は未承認。心身に負担の大きい掻爬(そうは)法が主流⇔ WHO 「妊娠初期の9週までは中絶薬を、12週から14週までは真空吸引法または中絶薬を推奨」。

・中絶薬のミフェプリストンとミソプロストール ~効果も安全性も高い医薬品として、医師だけでなく助産師や保健師が処方する国もある

→ 日本でもようやく年内に薬事承認される見通し/が、費用や処方(販売)方法など不明瞭 / 中絶手術 10万~20万円。 これと同水準では利用が制限される。

・緊急避妊薬(アフターピル)~ 性交後72時間以内に服用が必要/ 約90カ国で処方箋なしで薬局入手可/が、日本は医師の診察・処方箋が必要 ⇔ 間に合わない事態が発生。

・包括的性教育の実施を~ 予期せぬ妊娠を防ぎ、互いの性を尊重する人間関係を築くため科学的知識を

 〇堕胎罪の廃止を求めて

・中絶に「悪の烙印」を押している刑法の堕胎罪 ~ その廃止も急務

⇔ 女性の権利を一切認めない明治時代につくられた堕胎罪/日本国憲法が保障する個人の尊厳と相いれない

女性差別撤廃条約 16条で女性の出産の自己決定権を定め、2条で女性差別的な刑法の廃止を求めている/ 権利としての安全な中絶の早急な整備は世界の流れと合致するもの

 

【「なぜ女性が妊娠するか」を学校で教えない日本の性教育を世界最悪にした原因は旧統一教会にある President 10/4

 安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会と自民党の関係に注目が集まっている。その関係は長年にわたるものだが、なぜこれまで正面から責任を問われてこなかったのか。ジャーナリストの浜田敬子さんがその背景を取材した――。

〇「世界最悪の性教育」をめぐる闘い

  20年以上にわたり、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)と闘ってきた一人の女性医師がいる。広島市で産婦人科医として、1020代の女性たちの性被害や望まない妊娠の問題に向き合ってきた河野美代子さんだ。河野さんと旧統一教会の闘いの主戦場は、学校における「性教育」だった。

  河野さんは日本の性教育は「世界でも最悪の状態」だという。中学高校で正しい避妊方法や妊娠の知識、自分自身を大切にするという考えの下でのセックスについて教わっていない。男女の体の成長段階や人の受精卵が胎内で成長する過程は学ぶが、受精の前提となる性交については教えていないのだ。学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わない」という「はどめ規定」があるためだ。

  なぜこうした規定が残り、“中途半端な”性教育が続いてきたかは後述するが、河野さんは「性交やセックスという言葉すら使えず、セックスに対する正しい知識を教えられなければ、避妊方法や性暴力、性被害について伝えることもできない」と話す。

〇信者からの攻撃、通報、そして裁判へ

  学校現場で「教えることのできない」性の知識を知ってもらおうと、河野さんは広島県内だけでなく、全国各地で講演会を開いてきた。そして「講演会を開くたびに、旧統一教会から執拗(しつよう)な妨害を受けてきた」と証言する。

  講演会に紛れ込んだ信者により、その内容が「小学生にピルを飲めと言った」「中学生にセックスをそそのかしている」と歪曲され、攻撃された。県教委などにも通報され、「あなたたちのグループは何をやっているのか」と責められた。教育委員会に講演会の後援を断られれば、現場の教師たちは講演会への参加を躊躇う。

  広島市PTA協議会の会長には、月刊誌に「中学生にセックスをそそのかして家庭を崩壊させ革命を狙っている」とまで書かれた。河野さんは事実無根として、20051月に会長を名誉毀損(きそん)で提訴した。

 この裁判の過程でこの会長は、旧統一教会の関連団体である世界平和女性連合の人たちとともに、「10代の性を考える母と医師と教師の会」なるものを作り、喫茶店で会合を開いていたことが判明した(会合には56人しか集まらなかった)

〇「日本の伝統的家族観」を守る政治家たち

 2000年代は広島県だけでなく全国で組織的な性教育排除、バッシングが広がっていた。国会では、今旧統一教会との深い関係を指摘されている山谷えり子参院議員が、「過激な性教育が学校に広がっている」と質問した。

 今その質問を見返すと、極めて抑制的に正しい性の知識を伝えている副読本や、知的障害のある子どもたちに体の仕組みを教えるために教師たちが苦心して作った家族人形を「セックス人形」だとしてやり玉に挙げた。

 2005年には、安倍晋三元自民党幹事長代理(当時)を座長、山谷議員を事務局長とする「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が結成され、全国の教育委員会に対して性教育の実態調査が行われる。その結果、山谷氏が問題視したような“過激な”性教育はなかったにもかかわらず、「性交や避妊指導は不必要」として学習指導要領や教科書から消えた。

 こうした活動を展開してきた自民党の一部の議員の裏には、伝統的家族観を重視する日本会議や神社本庁など宗教右派と言われる存在があることは、ジェンダー関連の取材が長い記者たちは気づいていた。私もその一人だ。

 彼らは性教育に限らず、男女共同参画や選択的夫婦別姓制度、同性婚などは、「日本の伝統的家族観を崩壊させるもの」として、ことごとくジェンダー平等、女性の権利に関わる政策に執拗に反対し続けてきた。  だが正直、このジェンダーバッシング、ジェンダーバックラッシュとも言われる動きの中で、旧統一教会がここまで草の根的に執拗に動いていたことは、私は恥ずかしながら安倍元首相襲撃事件後、取材をするまで気づいていなかった。先の河野さんはこう話す。  「私は旧統一教会の問題についてはずっと言い続けてきました。ですが、当時はメディアもほとんど聞く耳を持ってくれなかった。PTA連合会会長を提訴した時には記者会見も開きましたが、関心を持ってくれた記者は少なく、小さい記事になっただけでした」

〇富山県議らに送り付けられた1冊の冊子

 安倍元首相が凶弾に倒れるという事件が起きて改めて、旧統一教会のさまざまな問題が噴出している。2010年代に入っても強引な勧誘や、財産の収奪のような手法が続いていること、信者の親に育てられた宗教2世がいまだに苦しんでいること……。

  こうした実際の被害者の救済も急がなければならないが、もう一つ解明し忘れてはならないのが、彼らが政治家を通じて、自分達の「価値観」をどこまで政策に反映させてきたかということだ。

  自民党の富山県議で産婦人科医でもある種部恭子さんは、県議会の質問などで県に対して、同性・異性にかかわらずカップルであることを公的に証明する「パートナーシップ制度」の創設を求めてきた。

  県は2021年の議会答弁で「導入の検討」を明言したが、その後20225月になって自民党県議らに送り付けられてきたのは、「世界日報LGBTQ問題取材チーム」による『「LGBT」隠された真実 人権」を装う性革命』という冊子だった。世界日報とは統一教会系の新聞である。

 この冊子では、「偏見や差別の裏返しとして、同性愛を安易に美化してはならない。同性愛行為を行うことのリスクを客観的に評価する必要がある」と訴え、「パートナーシップ制度の拡大は、最終的には『夫婦』や『家族』についての日本人の考え方に混乱をもたらし、やがて夫婦を核とした伝統的な家族を破壊する」「パートナーシップ制度は行政による個人の信条・信仰への侵害だ」と主張している。

〇旧統一教会の政治的活動は報道されなかった

  この7月には富山を拠点にするチューリップテレビが、2019年と20211月に、統一教会の関連団体、国際勝共連合の幹部が富山市議会の自民党議員らに勉強会の講師として招かれていたことを報じた。この時の内容も、同性愛に反対する内容だったという。男女による合同結婚式を重要な儀式と位置付ける旧統一教会は、同性婚に強く反対している。  性教育だけでなく、パートナーシップ制度の導入についても、旧統一教会は保守系議員への働きかけを続けてきたが、この活動がメディアに出ることは最近までほぼなかった。

  背景にはメディアがこの20年、旧統一教会の動きに注目していなかったこともあるが、「メディア自体が男性中心組織で、特にどの記事を掲載するかを決めるデスク以上に女性が少ないことが関係しているのではないか」と種部さんは指摘する。

 性教育や同性婚、夫婦別姓の問題、ジェンダー平等に関する問題に関心を持つのは比較的女性の記者やディレクターが多い。これまで長くデスク以上の責任者を男性が占めるという構造だったメディアでは、ジェンダー関連のニュースの優先度が下がるという状態が続いてきた。

〇約40年間で主要3紙の関連記事はわずか

  実際、データベースで198011日から2022831日の間、朝日、毎日、読売の各新聞で、「統一教会」とジェンダー政策の関連性を検索してみても、記事はほとんどヒットしない。「統一教会と性教育」というキーワードで検索すると、朝日新聞で1件のみ、選択的夫婦別姓では朝日1件、毎日3件、同性婚では朝日1件、毎日7件という具合だ。  同じく伝統的家族観を重視する宗教団体や有識者らでつくる日本会議は、ここ数年その存在がクローズアップされてきたが、それでもこの団体とジェンダー政策との関係性を報じている記事は少ない。同じように3紙を検索すると、性教育では朝日が2件、毎日3件、読売1件、選択的夫婦別姓では朝日が6件、毎日9件、読売1件だ。

  元朝日新聞記者でジャーナリストの竹信三恵子さんは、1995年の北京女性会議前からジェンダー政策について取材し続けてきた数少ない記者だ。2000年に入ると男女共同参画審議会の専門委員にも就任。竹信さんの30年間は、記者として、宗教右派や保守系議員によるバッシングの影との闘いでもあったという。

〇「ジェンダー」でさえ言葉狩りの対象に

 19962月に選択的夫婦別姓などを盛り込んだ民法改正案要綱が法政審議会で決定され、1999年に男女共同参画社会基本法が制定されると、保守勢力からの攻撃は加速した。男女平等を意味する言葉として使われていた「ジェンダーフリー」を男女の区別を無くす概念だと歪曲化。「ジェンダーフリー」だけでなく、「ジェンダー」という言葉すら、言葉狩りにあったかのように、行政やメディアから消えていった。

 最近でこそ、朝日新聞でも「Think Gender」というキャンペーンも始まったが、メディアでも長らくこのジェンダーという言葉は使いづらい空気が蔓延していた。

 ジェンダー叩きの極め付きは個別の記者や有識者に対するバッシングだった。竹信さんも、世界日報に名指しで「札付きのフェミニスト記者」と書かれた。当時、世界日報では男女共同参画会議に参加しているメンバーやフェミニストのバッシング記事が相次いで掲載されていた。

  だが闘いは、宗教右派や保守系議員との間だけではなかった。新聞社内でも、男女平等やジェンダーに関する記事を取材し、掲載しようとすると、ある時には露骨に、ある時には無言の圧力があったという。当時の新聞社内は幹部も管理職も圧倒的に男性だった。「男女平等は大事だと言いながら、それに関する記事は嫌がる空気が社内にあった」と竹信さんは話す。

〇「ジェンダー問題」から距離を置く男性たちの事情

 「一つは、ジェンダーは自分達にはよく理解できない問題だから介入できないし、したくないという姿勢。もう一つはこの問題を追及すると、自分たちの足元の家族の関係性が揺らぐという懸念があったのだと思います。

 長時間労働や転勤が当たり前だった新聞社の働き方は、夫が稼ぎ、妻が家事育児をするという性別役割分業が前提で成り立っていたので、男女平等という概念を突き詰めると、自分たちの存在が否定されるような気持ちになったのではないでしょうか」

 実際、私自身、週刊誌『AERA』時代、働く女性の記事を書くときでさえ、長年「ジェンダーという言葉は避けて」と釘を刺されてきた。当時私も、男性たちがこの言葉に微妙な忌避感を抱いていることは感じ取っていた。それは声を上げる女性を敬遠する空気と一体だった。

〇宗教右派という日本メディアのタブー

 日本のメディアは、例えばアメリカの中絶論争や同性婚は重要な政治的イシューだとして、大きく取り上げてきた。20226月には、中絶権は憲法で保証されているという重要判例を覆した米最高裁判決が新聞一面で取り上げられ、背景にキリスト教福音派と言われる宗教的価値観があることも詳しく解説された。

 一方で、日本のジェンダーバッシングの動きや、伝統的家族観を頑なに守ろうとする宗教右派や保守系議員の動きは、一部の記者やジャーナリストが報じてきてはいたが、それが決して大きくメディアで取り上げられることはなかった。  『日本会議の正体』の著者である青木理さんは、ジェンダー政策の遅れの背景に宗教右派の存在があることを指摘し続けたジャーナリストの一人だが、日本のメディアにおいて宗教右派の存在はある種のタブーだったと話す。

 「キャラバン隊と称して、地方から改憲運動や、伝統的家族観に基づいた政策の実現という草の根活動を展開し、第2次安倍政権に強い影響力を及ぼしてきた日本会議ですら、海外のメディアが書くまで、日本のメディアはほとんど書いてこなかった」

〇メディアが伝えてこなかった大きなツケ

 確かに2014年から2015年にかけて欧米メディアはこぞって日本会議のことを報じている。青木さんが2016年に出版した『日本会議の正体』によると、

 「国粋主義的かつ歴史修正的な目標を掲げ、戦前の古き良き時代のように天皇を敬う」(英ガーディアン紙)、「日本会議~日本版ティーパーティー~のような反動的グループが安倍内閣を牛耳り、歴史観を共有している」(CNNテレビ)など、極めて復古的、国粋主義的な団体の性格だけでなく、「奇妙なことに、この団体は日本のメディアの注目をほとんど集めていない」(ガーディアン紙)とも報じている。

  海外メディアが相次いで報道し、青木さんの著書などが出版されてやっと、朝日、毎日なども「日本会議の研究」などと本格的な報道を始めている。

 それでも、今回の安倍首相襲撃事件が起こるまで、多くの人たちに日本会議や旧統一教会など宗教右派の活動が知られることはなかった。今になって、「メディアはなぜもっと早く知らせてくれなかったのか」という声をよく聞く。

 そこにはこれまで書いてきたようなメディア内部の構造上の問題やジェンダー関連報道の優先度の低さ、また「政治報道を担当する政治部が、支援団体である宗教まで踏み込んでこなかった」(青木さん)など、さまざまな要因が絡んでいたのだと思う。

  青木さんは『日本会議の正体』のプロローグでこう書いている。

 「足下で起きている出来事であっても、メディアが伝えようとしなければ、私たちは出来事を認識することすらできない。その出来事が驚愕すべきようなことであったり、きわめて異常なことであったり、あるいは早急な対処が必要なほど深刻な事態であっても、メディアがきちんと伝えてくれなければ、私たちは(中略)出来事自体の発生を認知できず、漫然と事態をやりすごすしかなくなってしまう」

 さまざまな場面で当事者たちは小さな声を上げてきたが、メディアはそれを汲み取り、継続的には伝えてこなかった。そのため「やり過ごされてきた」問題が、今私たちの目の前に吹き出しているのである。

 ---------- 浜田 敬子(はまだ・けいこ) ジャーナリスト 1966年生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業後、朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、99年からAERA編集部へ。2014年に女性初のAERA編集長に就任した。17年に退社し、「Business Insider Japan」統括編集長に就任。20年末に退任。現在はテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」などのコメンテーターのほか、ダイバーシティーや働き方改革についての講演なども行う。著書に『働く女子と罪悪感』(集英社)。

 

◆くらしのなかのジェンダー “ 性教育バッシング 統一協会からも執拗に  10/24

 人間と性”教育研究協議会代表幹事 金子由美子さんの寄稿の整理メモ

・安倍元首相が凶弾に倒れたことで、メディアは連日、旧統一協会と政界との関連を報じ、最近は「宗教2世」の存在がニュースに / が、旧統一協会と安倍氏の関係、さらに性教育、ジェンダーフリー教育に多大な影響を与えている自民党参院議員の山谷えり子氏や教育学者の高橋史朗氏などとの関係についての言及は今のところ見当たらない

・メディアが性教育に注目したのは、学習指導要領の改訂により小学5年生の教科書に「月経・射精」「生命の誕生」が登場した1993年のこと ~ 「性教育元年」と騒がれ、中でも「性器」「性交」をどう扱うかに話題が集中

・“人間と性”教育研究協議会(以下、性教協)がすすめる性教育実践は、時を同じく92年より、旧統一協会関係者から執拗(しつよう)な攻撃を受けることに

⇔  「行き過ぎた性交教育、家族破壊、国家転覆」などと歪曲され、実践する学校や実践者に電話、ファクス、抗議文などを送り、やむなく積み上げてきた性教育を中断せざるを得ない学校もあった

・攻撃の意図  「性器、性交」の学習が定着すれば、「霊感商法」「合同結婚式」が成立せず、組織の存続をかけて団体が提唱したのは「新純潔教育」 「性の乱れ、子どもの荒れ、不登校、夫婦の危機」などの現象を、親子関係、父母の役割など、家族問題にすり替えたもの

⇔ 「新しい歴史教科書をつくる会」、保守派の議員などの思想や思惑と響き合い、一丸となった性教育、ジェンダーフリー教育のバッシングが、日本の各地で展開された。

・「性教育のネグレクト」の被害者 ~ 性教育バッシングにより、性教育、ジェンダーフリー教育がストップした間に学校生活を過ごした子どもたちは、子どもにとって必要な教育を享受できず

→ 私たちのNPО法人が出会う、不登校、ひきこもり、障がい、虐待、ネグレクトなどの渦中にいる若者たちも、学校や家庭での性教育を受けたことがなく、ジェンダーという言葉さえ知らない/異性への興味関心から、セクシュアルハラスメントやストーカーなどの被害、加害を起こすことも少なくない

・性教育 ~ 教育の主体が子どもであるという原点に立ち、子ども、若者が奪われた学習権を、取り戻すことから始めなくてはならない

 

【独紙が問題視「日本の子どもが虐待から守られないのは時代遅れの家族法制のせいだ」 10/12 COURRIER  】

G7の国でもっとも遅れた日本の家族法

 独紙「南ドイツ新聞」が、日本の家族法の問題を指摘している。そこでは日本の子ども政策はあまりバランスが取れておらず、親の離婚に際しても、弱者である子どもが守られないことが問題視されている。

 家族の問題への公的介入が非常に限られる日本では、家族内の紛争があっても公的機関はあまりかかわらない。離婚に裁判所が関与するケースはごくわずかで、当事者間の合意のみで成立する。養育費の支払いや離婚後の子どもへの関与については、原則として離婚する夫婦同士で取り決め、実行することが期待されている。 しかし、これは欧米から見ると驚くべきことだ。「G7の中でこれほどまでに家族法に後ろ向きな国は他にない」と記事中では述べられる。

欧米では離婚に際しても裁判所が関与し、離婚後の取り決めがなされる。そこで離婚給付や養育費も算定され、執行される。子どもにとって適切な養育環境があるかも公的機関が判断し、必要があれば子どもは保護されることになる。

一方、日本において離婚の9割を占める協議離婚では、子どもの養育や親権についても別れる親同士が決める。それで子どもが守られるかを公的機関は判断せず、離婚後の取り決めには法的義務も生じない。 養育費もきちんと払われないことが多い日本では、たいてい子どもが困窮する。子どもの親権を持った母親が精神的に不安定になり、子どもと心中したケースも例として取り上げられる。

 〇子どもを守らない日本の制度

南ドイツ新聞は、そんな当事者任せの仕組みによって苦しい子ども時代を過ごしたモデルの田中れいか(26)に注目する。児童養護施設で育った彼女は、親元を離れて暮らす子どもたちへの理解や支援を深めるための活動に取り組んでいるのだ。

幼少の頃、田中の父親は彼女の母親に暴力を振るった。両親の口論や悲鳴、物が投げられる音を寝室から夜に耳にし、眠れない夜を田中は7歳まで強いられたそうだ。 しかしある日、限界を感じた母親は一人で家を出て行ってしまった。田中は、当時11歳の姉と当時10歳の兄とともに暴力的な父親の元に残された。その3人の子を父親がきちんと育てられるのか、疑問を持ちうるところだが、守ってくれる人はいなかったという。

そんな父親との暮らしでは、「私たちは怒りをぶつけられました」と田中は同紙に説明する。兄は箸をきちんと持っていないとして食事中に殴られ、姉と彼女は些細なことで家の外に追い出されたそうだ。

ある晩、耐えられなくなった姉が家を出るというので、田中もパジャマ姿で一緒に東京のアパートを抜け出した。そのまま二人は交番に駆け込み、そこで姉が事情を説明した。すると彼女たちは親元には帰されず、児童相談所に送られたという。それから児童養護施設に移り、田中はそこで高校を卒業するまでの11年間を過ごすことになった。

〇子どもの声を受け止める

彼女がそんな道を辿らなくてはいけなかったのは、現在の日本の家族法が、子どもを充分保護しないためだと同記事は指摘している。

田中も、日本の家族法制度は大人のことしか考えていないと言い、「子どもたちの意見を真摯に受け止めてほしいです」と同紙に述べている。

 田中は幼少期の家庭の苦労についてほとんど話さない。一方、児童養護施設での学びについては頻繁に語り、その意義について著書や講演、ソーシャルメディアで訴えている。10代でモデル事務所にスカウトされた田中は、ミスユニバース2018茨城県大会準グランプリになったことから注目を浴びた。

 彼女は、児童養護施設は窮乏に満ちた悲しい場所だと誤解されているものの、実際は多くの子どもが命を救われ、健やかな世界観を形成できる場だと言う。彼女自身、「多様な年代の子どもたちと一緒に育ち、さまざまな個性を受け入れることを学びました」と同紙に語っている。 離婚後の子どもの共同親権の欠如を指摘され、法務省は現在家族法の改正案を準備している。しかし、それが実現しても子どもの保護は充分ではなく、見かけのものに過ぎないと、同紙に対して専門家は指摘している。

 

【安倍元首相と旧統一教会系が共鳴した「家庭教育支援法案」の危うさ 地方でも推進し106市では条例化 東京9/3

 自民党が制定を目指した「家庭教育支援法案」は、伝統的な家族観を重視してきた安倍晋三元首相らの肝いりの政策であり、保守系団体や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が後押しをした。根強い批判の中で、地方では同じ趣旨の条例を制定する動きが進む。どんな内容か。(太田理英子)

 〇家庭は「愛の学校」うたう

 「今こそ家族を守れ」「『家庭教育支援条例・基本法』で絆を取り戻せ」

 教団関連団体「国際勝共連合」の月刊誌「世界思想」の182月号に、特集が組まれている。神奈川県内の議会に、法制定を求める陳情が相次いで出されていた時期と重なる。

 記事は、家庭について「人間の心に腹の底からの幸せ感を体験させることができるようにする『愛の学校』なのだ」などと説明し、家庭教育支援の重要性を強調。国家による家庭への介入だとの法案への批判は「的外れ」と断じた上で、法制定を急ぐべきだと主張している。

 〇「古い家族像」教団と共鳴か

 法案は家庭の教育力の低下を根拠に、家庭教育を支援する施策の推進を目指し、国や学校、地域住民の責務や役割も盛り込んでいる。基になったのは、第1次安倍政権下で06年に成立した改正教育基本法だ。「保護者が子の教育に第一義的責任を有する」とし、国や地方自治体に家庭教育の支援施策に努めるよう定めた。

 「教団は家長主義的な思想で、男女共同参画や性の多様性を否定してきた。法案には女性の社会進出の視点が欠け、古い家族像が前提となっており、教団が共鳴する内容といえる」。教団に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は、関連団体が法案を推進する背景をそう指摘し、「日本会議などとも連動して地方議会から中央に意見書を出させ、法整備を働きかける動きは他の政策でも見られる」と話す。

 〇支援名目で親を「教化」

 法制化と並行するかたちで、地方では同じ趣旨の「家庭教育支援条例」が導入されてきた。昭和女子大の友野清文教授(教育史)によると、今年6月までに静岡県や茨城県など106市が制定。自民議員が提案するケースが多く「思想が近い親学推進協会(一般財団法人としては解散)や日本会議と連動して広がった」と友野教授は分析する。

 法案や条例に対し、野党や各地の弁護士会は「家庭教育への公権力の介入を招く」と批判。法案は17年に提出を断念後、棚上げされているが、地方議会ではなおも立法化を求める意見書が昨年は5件、今年も8月までに2件が可決され、国会に提出された。岡山県議会は今年4月に条例を制定した。

 友野教授は「支援という名の下に、特定の家族像に合うよう親を『教化』する意図が見える。子どもを権利の主体でなく、客体と捉えている。条例制定は、行政があるべき家族像や子ども像を押しつける危険をはらむ」と警鐘を鳴らす。

 

◆自殺対策白書  いのちを守る支援強化が急務 10/18

 10/14閣議決定した「自殺対策白書」(2022年版) 

・21年の女性の自殺者 20年より42人増の7068人、2年連続で増加 ~ コロナ大の20年、19年比 935人の大幅に

・男性 1万3939人(21年比116人減)、全体 2万1007人(同年比74人減) ~G7で最悪水準

 〇女性に大きな矛盾が集中

・日本の自殺者 03年の3万4427人をピークに減少傾向。19年 2万169人

⇔が、20年 11年ぶりに増加/ 要因 女性の自殺者の急増 

→ 政府は、失職や収入減が背景にあることを認める/女性が7割を占める非正規雇用の雇い止め、シフト減

・22年版白書 コロナ感染拡大前の15~19年の平均自殺者数と20~21年とを職業や同居人の有無などを比較・分析

・コロナ禍で激変した労働市場と無職女性の自殺者数との関係~ 「有効求人倍率の低下が無職の女性自殺死亡率の上昇と統計的に関係」、「生活困窮対策や社会的セーフティネットの拡充などの強化が求められる」と記載。

・同居人のいる有職の女性  20~21年は20歳~59歳を中心に自殺者が増加 /夫妻ともにフルタイム就業の場合、仕事のある日の家事労働は妻が夫の2倍になったという調査結果もあり、有職女性の自殺増の背景には「仕事と家庭の両立にかかわる生活環境の変化等が影響している可能性」を指摘。

※ 専門家から指摘~ 配偶者の暴力、育児・介護疲れなども自殺につながりかねない/ 女性に負担をかけている日本社会のゆがんだ構造がコロナ禍でさらに女性に犠牲を強いて、命の危機にまで追い詰めていることは重大

・女子中学生の自殺者 19年 46人、20年 69人、21年 74人 と増加/ 女子高校生 19年 80人が、20年 140人、21年145人と大幅増 ~コロナ禍の行動制限で周囲に相談できなかった影響などの反映とも言われている

(メモ者 親の失業・家庭にいる時間の増加など、虐待も含め「逃げ場」の喪失の指摘も)

〇自殺総合対策大綱 /白書と同時に閣議決定~  、高水準の自殺者数、子どもの自殺者数増などを挙げて「非常事態はいまだ続いており、決して楽観できる状況にはない」と強調

・自殺の多くは「追い込まれた末の死」 ~ 個人の問題ではない/ WHO「多くが防ぐことのできる社会的な問題」と提起~ 社会全体で自殺のリスクを減らす取り組みが必要/ 自己責任、分断をあおる政治からジェンダー平等、個人の尊厳守る政治への転換が重要

 

◆刑法性犯罪規定 実態と離れた改定の危険   国際人権団体が警鐘  10/4

 法制審議会部会で進んでいる刑法性犯罪規定改正の議論をめぐり、ヒューマンライツ・ナウ、一般社団法人Spring、一般社団法人「Voice Up Japan」(ボイス・アップ・ジャパン)が3日、オンラインで記者会見。不同意性交等罪の創設、性交同意年齢の引き上げ、地位関係性を利用した罪の新設の3点について、被害当事者や支援者の要望が十分反映されず、実際の被害が救済されない危険があると指摘。抜本改正を求めた。

 ・不同意性交等罪をめぐり現時点で有力視されているのは、「(被害者が)拒絶の意思を形成・表明・実現することが困難」という要件を課す案で、「なぜ拒絶しなかったのか」と被害者が責められ、加害者側が「拒絶の意思があると分からなかった」と抗弁する余地を与えるなどの危惧があると強調。

 12の団体・個人が発言し、幼少時から続き、おとなになっても逃れられない性虐待や、拒否してもしつこく迫られて諦めざるを得ない事例などが被害と認められるのかといった疑問が出されました。

・ 地位関係性の利用をめぐって~  独立の条文が創設されない危険を指摘。職場などでの力関係に基づく成人同士の被害・加害の問題が部会では俎上(に載っていないことに疑問を呈した。

 

 

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