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加速する「経済安保」 (メモ)

急速に力をつける中国に対し、米国が覇権を維持するために、軍事・経済を一体に、民主国家VS専制国家という偽りの対立軸、冷戦型の米戦略の先兵とし て、つき従う日本政府が唱える「経済安保」の現在位置

~ 赤旗22/9/1-3 「経済安保」の連載などからのメモ

. 深まる米台の半導体依存

2.法律の具体化を急ぐ政権

3.次の狙いは適性評価制度

補論 「研究インテグリティ」とは 小森田秋夫・東京大学名誉教授

【参考】 「緊張時こそ対話を」~ 米国務長官 中国外相と会談 9/23 

 

※以前整理したメモ

【 経済安保の深層(1) メモ ~ 米国の対中戦略を軍事・経済で補完、その矛盾 22/03 】

【 経済安保の深層(2)メモ ~ 無視されている食料安全保障 22/03 

~ エネルギー自給率10%ちょい、食料37%(しかも、化学肥料100%輸入、野菜タネ9割輸入)を無視した安全保障はありえない。再エネ・省エネ、アグロエコロジー推進こそ求められる。

【 加速する経済安保 メモ 】  

1.深まる米台の半導体依存

 日米両政府は、対中国を念頭に置いた経済安全保障の具体化を推進しています。世界の覇権を狙う米国の戦略に日本経済を巻き込み、自律性を阻害する危険なもくろみです。

・「中国が台湾に侵攻すれば関係国すべての敗北だ」~8/3 TSMCの劉徳音会長は米メディアでの発言

→ 台湾をめぐる米中の軍事的緊張に対して警鐘

 

〇台湾訪問に報復

8/2ペロシ米連邦下院議長率いる米議員台湾訪問に対し/中国 軍が台湾周辺で実弾射撃を伴う軍事演習/台湾からの食品輸入規制の措置などの報復行動を実施。

 

・ペロシ氏 3日発表の「台湾訪問を総括する声明」~訪台のハイライトが、

(1)安全保障に関する台湾への米国議会の支援継続の確認

(2)米国議会が7月末に可決した対中国の半導体産業への支援法「CHIPSおよび科学法」(CHIPS法)の説明

(3)気候危機への取り組み

~ だったと指摘。半導体生産の協力強化が主目的の一つだった。

 

・バイデン米大統領 8/9CHIPS法の大統領令に署名~ 今後5年間で半導体の研究開発や製造を行う各産業に約527億ドル(約7兆2億円)の直接支援と数百億ドル規模の税額控除 / 量子コンピューター、AIなどの先端技術を含めれば支援総額は2800億ドルの見込み

⇔ 同法による支援をの条件~ 「中国や他の懸念のある国」で特定の施設を建造しないこと

→ 米国半導体産業協会(SIA)…「半導体における米国のリーダーシップを再び示すための出発点」と歓迎/ 海外企業を誘致した半導体の工場新設が相次ぐ~ 2020年、TSMCがアリゾナ州に120億ドルを投じる新工場建設を表明、21年 韓国サムスン電子によるテキサス州への最先端半導体工場(総投資額170億ドル)の新設など、

・CHIPS法~誘致の動きを後押しし、「(中国という)敵対国からの依存を低減する」(レモンド米商務長官)との狙い

・中国商務省報道官 8/18記者会見~CHIPS法に対し「中国は断固反対する」として、関連企業の中国における正常な経済や貿易などの活動を制限し、「明らかな差別的性質を持っている」と批判(新華社通信)

 

〇覇権争いに影響

米中対立の背景 ~ 半導体受託製造分野で世界シェアの60%以上を占める台湾の存在

・IoT機器用の40㎚IC  生産能力 ~ 台湾の主要4企業で53%

・5G用など最先端の7㎚、5㎚のロジックIC ~21年時点 生産能力の92%が台湾に集中

⇔「世界最先端の半導体製造技術も今後台湾を中心に発展していく」(5月、日本貿易振興機構報告書)

・最大手のTSMC ~米国に続き、18年に中国にも生産拠点/ TSMC販売先 北米が65%、中国10%(21年)

* 工業経済学の藤田実・桜美林大学教授 ~ 最先端技術の台湾一極集中が「米中の覇権争いに大きく影響を及ぼしている」と指摘 / コロナ・パンデミックとウクライナ危機で半導体のサプライチェーン寸断問題が顕在化。「ペロシ氏の訪台が米国のこの間の対中国の供給網確保の動きの一つだ」「米国も中国も、軍事的緊張を高めてでも、自らの覇権のために動いている」と強調

 

2.法律の具体化を急ぐ政権

・岸田首相 8/10 第2次改造内閣発足の記者会見冒頭~「経済安全保障推進法を実行に移し、機微技術の流出防止や、サプライチェーンの強靱化等を急ぐ必要がある」/経済安保法の具体化加速を訴え

( また、半導体の安定供給について「国内における産業基盤の整備とあわせて有志国、地域との連携強化を進めていかなければならない」として、米国との共同歩調を示唆)

 

〇憲法違反の兵器

8/30 経済安保戦略で研究開発を支援する重要技術27項目を選定 /対象の「極超音速」はミサイル開発を念頭

・研究開発は防衛省も参加可能な官民協議会が支援  ⇔ 「経済安全保障重要技術育成プログラム」(経済安保基金)は5000億円規模、昨年度の2500億円から倍増を狙う/ 内閣府に設置された経済安全保障推進室(8月1日)には、防衛省職員が参加/ 先端技術の軍事利用(デュアルユース)の現実的な危険が高まっている

 ・一方、半導体受託製造の世界最大手TSMCの国内誘致に4760億円など、半導体特定企業に巨額の助成金を拠出

→ TSMCの熊本新工場を運営するJASMの堀田祐一社長~「日経」(8月23日付朝刊)のインタビューで、雇用全体1700人のうち、台湾300人、ソニー200人、派遣会社500人となり、残りの700人が新卒・中途採用の社員と説明

⇔日本共産党・小林久美子・菊陽町議 「富士フイルムやソニーなどこれまでの大企業誘致でも地元の雇用活性化にはつながらなかった」として、「町や県の新たな負担増になるのではないか」と指摘

 *電化製品の制御を担う半導体~演算に使用されるロジックIC(集積回路)、情報を記憶するメモリーICなどからなり、パソコンやスマートフォン、自動車、工場の自動制御装置など幅広い分野で使用

⇔ 回路線幅を「45㎚」、「10㎚」以下と細めて、より多くのトランジスタ(電流増幅・切り換えの素材)を集積して高速動作を早めるなど性能向上を微細加工技術で競っている

・半導体は、日本ではかつて「産業のコメ」と言われ、1988年には日本の売上高が世界シェアの50・3%を占めてトップ。が、86年から10年間の「日米半導体協定」で米国の圧力を受けて衰退をたどり、2019年にはシェアが10%に凋落/ 現在、日本に22㎚以下の製造能力はない( メモ これは前工程の1部。各種の半導体を組み合わせて回路をつくる後工程も中国にある台湾系メーカーが中心。日本は後工程技術もない)

 

〇産業の空洞化も

・TSMCなどが実現した微細化半導体の量産化~日本での再現は、製造装置の巨額生産費用から非現実的(メモ者 技術者もいない)

⇔ 日本/半導体の製造装置と素材という独自の強みを生かす必要~ 製造装置の塗布装置は、日系企業が世界シェアの9割を占め、ICチップを切り出す素材のシリコンウエハー(基盤)では約6割のシェア

(メモ者 じわじわとシェアの低下 湯之上)

*藤田実・教授「米中対立の激化が、日本の製造装置・素材部門の産業の育成の障害になりかねない」 

⇔ 米・中両国  半導体生産が海外委託から国内製造に回帰。「日系企業の工場も米国などに海外移転を余儀なくされ、日本国内の産業の空洞化の恐れがある」と指摘。「米中両大国の戦略のどちらにもくみしない国の姿勢が自律的な産業復興の条件だ」と強調

 

3.次の狙いは適性評価制度

・政権の次の狙い~機微情報を扱う民間企業や研究者を政府が審査・評価する「セキュリティー・クリアランス(適性評価制度)」の導入/ 米国と経済安全保障戦略で連携するうえでのスパイ防止体制参入に向けた動きと一体

→ 憲法違反の秘密保護法制の拡大。深刻な人権侵害を引き起こす危険

 

〇法制化急ぐ考え

・高市・経済安保担当相 8/29インタビュー~ 適性評価について「確実に検討しなければいけない課題だ。個人情報の調査を含むので、まずは求められる具体的な事例の把握と検証を早急に行いたい」と 法制化を急ぐ考えを表明

・自民 参院選公約~ 「重要情報を取り扱う者への資格付与について、可及的速やかに制度整備を含めた所要の措置を講ずるべく検討」する

高市氏  対中国の適性評価制度を繰り返し訴えてきた人物~ 昨年の自民党総裁選への立候補時に出版した著作で、中国の国家戦略である「中国製造2025」(15年)と「軍民融合」(16年)に対抗するためだとして、「学術機関・研究機関・企業が『機密にアクセスできる人材を認定』する為のスクリーニングを実施する制度も導入する」と指摘

 

・ 「適性評価」を実施している米国~ 適性評価の有資格者が400万人といわれる /米連邦捜査局(FBI)が審査の実務を担当し、家族や交友関係、資産、飲酒歴、犯罪歴、麻薬使用歴、財務状態などが審査項目

→ 適性評価制度の日本導入は秘密保護法の拡大につながる~プライバシーと学問の自由の侵害や、労働者の不利益取り扱いを招く重大な憲法違反の制度

 

〇米国と情報共有

・適性評価制度導入 ~ 米国と機密情報を共有し、スパイ防止体制を構築する狙い/安保戦略の一体化

・米国は英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドとともに機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」を形成。適性評価の適格者を相互承認 

→ この枠組みへの加入に適性評価が必要とされる

 

・自民党 新国際秩序創造戦略本部 20/12提言「『経済安全保障戦略策定』に向けて」~ 「民間企業における経済インテリジェンスの機能強化」として、ファイブ・アイズへの参画を提案

・昨年の自民党総裁選~ 候補者だった河野太郎・現デジタル担当相がファイブ・アイズ加入を訴え

・高市経済安保担当相 21/8ネットメディア「エス・エス・エル フォーラム」での対談で、ファイブ・アイズ加入に「賛成」だと表明し、加入に向けて海外で活動する日本の諜報機関の設置や刑事訴訟法の改定に言及

・経団連と公安調査庁 6/2米連邦捜査局(FBI)を招待し、経済安保に関する大規模シンポジウムを開催

~FBIのボイデン法務官が基調講演を行い、中国政府が「無慈悲で容赦ない経済スパイ」の方針と人材、能力を持っているとして、対中国の諜報活動を“指南” / 和田雅樹・公安調査庁長官 同庁とFBIが「緊密に協力している」 / エマニュエル駐日米国全権大使  知的財産の窃盗対策など「重要課題における日米協力は極めて重要だ」 

*日米両政府は、軍事も含めた機密情報の共有が経済安保戦略に欠かせないと位置付け、急ピッチに体制づくりを推進

 

 

「研究インテグリティ」とは 

赤旗9/13 小森田秋夫・東京大学名誉教授。 1946年生まれ。比較法学。元日本学術会議第1部長

 

〇経済安保のもと意味変容 研究機関の主体性が重要

・近年、科学技術に関連する政策文書に「研究インテグリティ」という言葉が登場 ~ インテグリティとは、一貫した倫理的規範の信奉、全体的で不可分の状態といった意味をもち、高潔、清廉、完全などと訳されている

~ 従来「研究インテグリティ」の概念は、捏造・改ざん・盗用などの研究不正を行わない研究の公正性という意味

・が、先端科学技術をめぐる米中の覇権争いの激化というアメリカ発の状況認識のもと、先端科学技術に関する機微な情報の外国への流失を防ぐという文脈で、意味が拡張されてきている

⇔ 新たな用法と密接に結びついているのが、経済安全保障論

 

〇 罰則つき守秘義務

・「官民技術協力」~ 経済安全保障の構成要素のひとつ /国の資金による宇宙・海洋・量子・AIなど「特定重要技術」の研究開発については、個別のプロジェクトごとに「協議会」が組織

→ 「協議会」 研究代表者、プロジェクトを所管する関係省庁や資金配分機関、関係省庁や民間企業、シンクタンクなどによって構成/ 参加者 「機微な情報も含む有用な情報」の提供・共有を求められ、罰則つきの守秘義務

・ここでの「研究インテグリティ」 ~ 軍事利用と関連するものはもちろん、より広い範囲の機微情報の流出を防止し秘密を保護するための規制と一体/ 秘密情報を扱う資格を各種の個人情報にもとづいて認定する「セキュリティ・クリアランス」の制度化も議論に

※日本学術会議  7月に公表された「科学者コミュニティからの研究インテグリティに関する論点整理」

「研究インテグリティ」を「研究活動のオープン化、国際化が進展する中で、科学者コミュニティが、資金や環境、信頼等の社会的負託を受けて行う研究活動において、自主的・自律的に担保すべき健全性と公正性及び、そのための、透明性や説明責任に関するマネジメント」と定義

⇔  研究が国際的に開かれた場で行われるものであることを前提に、それに伴って生じる情報の適切な管理という問題にどう取り組むかという課題に応えようとする概念

~ 例えば、留学生や外国人研究者をいたずらに「スパイ予備軍」と見ることなく、研究交流の妨げとならないようにどのように適切に処遇するかといった慎重な配慮を必要とし、研究機関に多くの負荷を与えるさまざまな論点がある

⇔学術会議の姿勢/  状況認識においては経済安全保障論と重なる面があるが、学問の自由・研究の自律性を守るという観点から科学者コミュニティーが主体的に対応することを重視

 

〇政府の介入に懸念

・学術会議 2017年「軍事的安全保障に関する声明」 → 「大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」という認識にもとづいて、とくに研究成果の公開性の担保を重視する観点から、「軍事的安全保障研究では、研究の期間内及び期間後に、研究の方向性や秘密性の保持をめぐって、政府による研究者の活動への介入が強まる懸念がある」とし、大学等の研究機関に対し、「軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度」を設けることを求めた。

⇔ いわゆる「デュアルユース」(軍民両用)について  民生的研究と軍事的安全保障研究との区別が容易でないのは科学技術につきまとう問題であるという認識が前提となっている / 軍事研究に対する立場を変えたかのような一部の報道があった  

→が、17年声明の立場は、「研究インテグリティ」論においても変更されていない。むしろ経済安全保障論に向き合うさいにも生かされるべきもの

 

 

【参考 「緊張時こそ対話を」~ 米国務長官 中国外相と会談 9/23 】

・ブリンケン米国務長官は23日、国連総会に合わせて訪米している中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相とニュ国務省ーヨークで会談しました。米の発表によと、ブリンケン氏は「緊張が高まるときにこそ米中が開かれた対話を維持し、責任を持って両国関係を管理する必要性」について協議しました。

 米中外相の会談は、ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問して以来初めてです。

 ブリンケン氏は、「一つの中国」政策に沿って、台湾海峡の平和と安定の維持に取り組むと表明。バイデン米大統領が今月、米メディアとのインタビューで、中国が台湾に侵攻した場合、米軍を介入させる考えを明言していましたが、ブリンケン氏は、歴代政権の「一つの中国」政策に変更はないとの立場を強調しました。

 ロシアによるウクライナ侵略を非難し、中国がロシアへ支援を提供した場合の影響について説明しました。

 中国外務省によると、王氏は台湾問題に関し、「米国は、『台湾を利用して中国を制す』ことを行い、台湾を防衛すると公開で語るなど、誤った危険なシグナルを発している」と批判。「各種の台湾独立分裂勢力の活動に明確な反対を表明すべきだ」と求めました。

 その上で王氏は、中国は台湾の平和的統一を堅持しているとしながら、「台湾独立活動がはびこれば、平和的解決の可能性が消えてしまう」と警告しました。

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は7月に行った電話会談で、対面での首脳会談の時期を模索することで一致しています。

 

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