政策メモ 22/7-8 物価高、インボイス、コロナ対策
赤旗・政策メモ 22/7-8月
1.物価高、インボイス、コロナ対策
2.経済 アベノミクス総括、経済安保
3.社会保障、ジェンダー、教育、デジタル
4.格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和
下段にまず(1)
全体のファイルは・・・・
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1 物価高、インボイス、コロナ対策
【 物価高 】
◇政府対策でも負担増7.8万円 止まらぬ物価高騰 みずほリサーチ&テクノロジーズ試算 8/23
7月の全国消費者物価指数 生鮮食品を除く総合指数 102・2 前年同月比2・4%の上昇。11カ月連続
・試算は6月の消費者物価指数などを踏まえ、為替相場や原油価格に一定の仮定を置いて負担増を算出
・政府が物価高対策を実施しない場合~22年10~12月期に消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合指数は前年比3・0%増/とりわけ、22年度の食料品、エネルギー、家具・家事用品の価格上昇に伴う支出負担 1世帯約9・8万円
・「物価高騰対策」として燃料油への補助金などのを実施~負担増は世帯平均で年7・8万円
→リポートは政府の対策について「今回予備費での支出が決定された節電プログラム参加者に対するポイント支給はCPIには影響を与えないほか、農家に対する補助もCPIへの影響は限定的だろう」と効果を疑問視
★深刻なのは低所得者ほど負担増の割合が大きいこと~対策をした場合/ 年収1000万円以上の世帯 負担増0・7%、同300万円未満の世帯 2・6% ~ 「消費税率3%引き上げ以上に相当する計算だ」と指摘
◇主張 中小企業過剰債務 軽減・免除の仕組みづくり急げ 8/23
コロナ危機と原材料・燃料などの物価高騰。そのうえ、コロナ危機の対応で受けた融資(ゼロゼロ融資)の返済が迫る
・ゼロゼロ融資~ 金融機関に都道府県が利子を補給、元本は信用保証協会が保証することで実質無利子・無担保で最長3年間お金を借りることができる仕組み。/ゼロゼロ融資を含めたコロナ対応の融資残高 21年4月末で56・3兆円
・帝国データバンクの調査(2月14~28日) コロナ関連融資を「借りた・借りている」52・6%と過半数。小規模企業では61・8%。使い道は、賃金などの「人件費」が50・1%でトップ。次いで「原材料や商品の仕入れなど」の43・4%
~ 同調査には「コロナ関連融資を受けたことにより経営の延命はできたと思うが、急速な景気回復がない限り、返済に支障をきたす恐れがある」(旅館・ホテル)との不安の声が寄せられています。
・東京商工リサーチ「債務の過剰感についてのアンケート調査」(4月1~11日)~債務が「コロナ後に過剰となった」21%。「コロナ前から過剰感がある」13・1%を合わせると、合計34・1%が「過剰債務」と回答/ コロナ関連融資の返済は、これから本格化
・ロシア侵略の悪影響~ 中小企業家同友会全国協議会 「中小企業の調達難や価格上昇に関する調査」(1~3月期)、調達難や価格上昇で「何らかの影響がある」92%/上位項目 「資材、部品などの価格上昇」が57%、「ガソリン価格の上昇」が48%、「資材、部品などの調達難」が32%
・帝国データバンク 7月の物価高倒産 月としては過去最多の31件/ 前年同月は17件~今後の急増の懸念
*国の財政支援が必要 資金繰りへの支援制度の継続・拡充とともに、早急に中小企業の過剰債務を軽減・免除する仕組みをつくるべき/ 国・自治体が責任を持つ「地域金融活性化法」などの制定も必要。消費税減税とインボイス中止を
◇目でみる経済 物価高 お年寄り世帯ほど影響 8/25
・総務省「消費者物価指数」~ 世帯主の年齢別の指数/生活実感に近い「持ち家の帰属家賃を除く総合」
⇔15年を100とした推移/ 19年以降、若い世帯で下がり、お年寄り世帯で上がる。18年まではおおむね同じ傾向
・年齢による消費傾向/若い世帯 教育費、携帯電話。お年寄り世帯 食料費、在宅時間が長く水光熱費が影響
~ 19年10月、消費税率10%の一方、幼児教育の無償化。21年携帯料金引き下げ/一方、年金減
◇経済は甘くない 政治的思惑と経済運営 8/5
・「スタグフレーションの気配」が論じられている~ 不況なのに物価が持続的に上がる状態
・第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミストのリポート 「今、スタグフレーションが現実味を帯びている理由」/不況と物価上昇が同時に起きるのは「供給ショック」で価格上昇圧力が高いときで、いまがそう。/米国主導の対中国規制が半導体の供給不足の大きな要因となり、「経済安全保障という名前で、サプライチェーンから中国を外そうとすると、対ロシア制裁と同じように需給ひっ迫が生じる」と指摘。
⇔ 「政治的思惑に基づいて経済を振り回すと、とんでもないしっぺ返しを食らう」「経済を甘くみてはいけない」(『みんなで行こうアホノミクスの向こう側』)と同志社大学の浜矩子教授。
◇飼料高騰 各地で独自支援 国渋るなか直接補てん 農民連などが要請 7/14
・JA全農 7~9月期の配合飼料価格を4~6月期に比べ全国全畜種平均で1トンあたり1万1400円の値上げを発表。乳用牛飼育用では1トン9万円超に
⇔ 国は、飼料メーカーや農家などが負担金を拠出している「配合飼料価格安定制度」への基金積み増しなどを行っているが、生産者への直接補てんは行おうとしない
⊛地方創成臨時交付金を財源に
・岩手県 6月補正予算案 、飼料購入経費を補助する事業(2億9千万円)を計上
・ 群馬県 安定制度に加入している農家に、使用予定の配合飼料1トンあたり600円を補助
・ 静岡県 安定制度の加入農家(今後加入予定も含む)に1トンあたり7873円を補助
・岐阜県 安定制度に基づく契約数量に対し1トンにつき5300円を上限に補助
・滋賀県近江八幡市 牛(乳用雌牛、肥育牛、繁殖牛)1頭につき1000円(限度額20万円)、ニワトリ(採卵鶏、肉用鶏)10羽につき500円(限度額10万円)を補助
*農民連 「地方創生臨時交付金」について国が「地域の実情に応じて」幅広く活用できるとしているとし、各地で都道府県や自治体に畜産・飼料への支援を要求していこうと呼びかけ
★鳥取県 乳牛を飼育する酪農農家に対し、飼料高騰分の3分の1(1頭につき1日当たり上限額2300円)を支援。肉牛を飼育する畜産農家についても、出荷輸送費の補助を検討中。/養鶏農家と個人経営の養豚農家に対し、配合飼料価格安定制度で補てんされる上限(鶏肉1キロ当たり13円など)を超える飼料代の2分の1を支援/ 水田転作小麦については、暗渠による排水対策など技術導入に10アール当たり1万5千円、作付けの拡大に同1万円、機械設備の導入(必要ならばトラクターも)の2分の1を支援/ 沿岸漁業者には、出荷用発泡箱購入費に高騰分の3分の2(20円)を支援
◇非課税世帯に物価手当 新潟市が1万5千円支給へ 8/27
生活保護世帯を含む住民税非課税世帯8万2千世帯を対象に、物価高騰対策として1世帯1万5千円を支給へ。
物価高騰対策支援金事業~物価高騰に加え、冬期の灯油購入費等の一部を支援するもの、事業費13億4千万円。
全国や県・市町村の生健会~生活保護の1・5倍の所得、準要保護世帯までを対象に1世帯5万円の支給を求めてきた。
~きっかけとして。市町村が実施する低所得者への給付金に県が2分の1の助成を予算化したことも後押しになった
◇くらしの安心確立に向けた提言 知事会8/18
国においては「物価・賃金・生活総合対策本部」が設置され、ロシアのウ クライナ侵攻等に伴う物価高騰に対応するため、農産物の生産コスト上昇を抑える肥料の購入支援金、電気料金の負担軽減を図る節電プログラム等、地 域の生活・産業の厳しい実情を踏まえた対策に早速に着手頂いている。 あわせて、岸田総理からは、輸入小麦価格の抑制対策やガソリン等の燃料油価格の負担軽減等とともに、地域の実情に応じたきめ細かな支援を展開するため、地方創生臨時交付金の更なる増額等を指示された。全国知事会の要望に応えるものとして心から感謝申し上げる。
全国知事会としても、昨今の円安の進行や、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵攻等に伴う物価高騰等の影響など重なる危機を突破し、疲弊している地域の生活・経済を守るべく、国と一体となって全力で取り組んでいく決意である。 長期化が見込まれる原油やエネルギー価格等の物価高騰に対しては、全国的な課題であり、まずは、国の一元的な対応が必要であることから、機動的な予備費の活用や大型補正予算の編成等を通じ、住民生活・地域経済活動の更なる支援のため、国と地方が総力を挙げて取り組むことができるよう、以 下の項目について大胆かつ強力な対策を講じて頂くことを強く求める。
1.エネルギー及び原材料・資材価格の高騰対策の拡充
円安の進行に加え、原油をはじめとするエネルギー価格や半導体、農林水 産物等の様々な原材料・資材価格の高騰は、国民生活や社会経済活動に幅広く多大な影響を及ぼしていることから、こうした影響への緩和対策について、燃料油価格激変緩和対策事業の延長等の「コロナ禍における『原油価 格・物価高騰等総合緊急対策』」の拡充を含め、全国一律で、更に強力な経 済対策を講じること。
また、電気料金の高騰は、国民生活をはじめ、公共施設等の運営、各種事業の経営等の圧迫に直結することから、国として実質的な電気代の負担軽減等の対策を講ずること。
2.エネルギーや重要物資の確実かつ安定的な確保・供給
我が国は、多くのエネルギー源や半導体、食料等の重要物資を海外からの輸入に依存しているが、地域経済を回復させるためには、これらの安定的な確保・供給が不可欠であることから、当面の調達に努めるとともに、食料自給率の向上も含め、将来に向けて海外への依存を低減する体制を構築するなど、国として万全の対策を講じること。
また、輸入に頼る食料や肥料、飼料等について、価格の安定化に向けた仕組みの構築や安定的に調達できる体制づくり等、必要な対策を講じること。
3.飲食事業者、農林漁業者等への支援
農産物や水産物等の食品原材料の価格高騰等により、飲食事業者に大きな影響が生じていることから、GoToイート事業の再実施等による飲食業の需要喚起を図ること。
また、肥料、飼料、燃料油の価格高騰等により、農林漁業者に大きな影響が生じていることから、国産農林水産物の消費に対する理解の促進を図ると ともに、経営安定化を図るためのセーフティネットの大幅な拡充や国が一律 かつ十分に飼料や燃料油等の価格高騰対策を講じるなど、農林漁業者等への支援策の一層の拡充を図ること。
4.社会福祉施設・医療機関等への支援
食事提供に必要な食材費や光熱水費の高騰等により、国が定める公的価格等により経営を行う社会福祉施設や医療機関等に大きな影響が生じ、厳しい経営を強いられていることから、患者・利用者等に安心・安全で質の高いサービスや医療の提供、公衆衛生の維持ができるよう、臨時的な公的価格の改定等の対策を早急に講じ、全事業者に対して公平に財源を措置するほか、国において全国一律の助成を行うなど、地方創生臨時交付金以外の制度の創設も含め、一層の拡充を図ること。
5.中小企業の事業支援
全国で幅広い事業者がより厳しい状況に立たされていることを踏まえ、中小企業の資金繰り支援の継続・強化や収益力改善・事業再生・再チャレンジ を総合的に支援する「中小企業活性化パッケージ」を強力に推進するととも に、「事業復活支援金」と同様の支援策を創設するなど、事業継続や事業再構築等に対する支援策の一層の拡充を図ること。
6.地域経済活動への支援
地域経済の成長の果実が十分に住民へ分配されるためには、地域の中小企業等が賃上げの原資を確保できるようにすることが必要である点を踏まえ、成長分野への積極投資や生産性向上の支援のほか、価格転嫁の円滑化等による取引適正化等を進め、地域の企業の自発的な賃上げを可能とする環境整備を推進すること。
また、原油・物価高騰が長期化する可能性も見据え、地域経済がこの変化を乗り越える力を付けることが肝要であることから、エネルギー転換等の事業構造の転換に係る取組に対し、強力な支援を行うこと。
7.原油・物価高騰の影響を受けやすい生活困窮者への支援
生活が困難な方を支える生活福祉資金の特例貸付について、令和5年1月からの貸付金の返済開始に先立って、生活再建を最優先に考えた償還免除要件の見直しを行うとともに、償還猶予制度の積極的な活用を推進すること。 また、生活が困難な方への償還期間中の相談対応や支援の中心となる自立相談支援機関の就労・家計改善支援機能の強化に対する財政支援を継続する こと。
8.コロナ禍における原油・物価高騰に対応する地方の取組への支援
かつてない感染力を有するBA.5系統等の猛威に加え、長引く物価高騰等 が経済に影を落とす中、地方において、国が打ち出す対策を補いつつ、生活 者支援、事業者支援等の地域の実情に合った効果的できめ細かな対策や省エネルギー・再生可能エネルギーの利活用促進等の効果が中長期に期待できる支援が、より一層、早急に求められている。
このため、必要な地方創生臨時交付金の増額や留保分の早期配分、交付要件・繰越要件の緩和等の措置を速やかに講じること。また、地方創生臨時交付金の重点化などの見直しを行う場合には、現場を担う地方側の意見を十分に踏まえた上で制度設計を行うこと。
令和4年8月18日 全国知事会 くらしの安心確立調整本部
本部長 鳥取県知事 平井 伸治
本部長代行 岡山県知事 伊原木 隆太
副本部長 宮崎県知事 河野 俊嗣 岩手県知事 達増 拓也 大分県知事 広瀬 勝貞 和歌山県知事 仁坂 吉伸
本部員 41都道府県知事
【 インボイス 】
◇ 登録慌てないで 取引先の圧力に違法性 全商連呼びかけ 世論と運動で中止は可能 7/13
インボイス発行事業者の登録申請書提出期限は、原則2023年3月末。が、「困難な場合は23年9月まで」の特例も
⇔ 全商連 「慌てて登録せず、事業の見通しや取引先との関係などをじっくり考え、インボイス発行事業者になるかどうかを判断することが大切です」と呼びかけ
・ 取引先から「インボイス事業者にならなければ、取引価格を引き下げる」「応じなければ今後の取引を考えさせていただく」などの通知が免税業者に届いていますが、これは法律に反するも。~ 国税庁は、買い手の事業者が、免税事業者である仕入れ先に対し、著しく低い取引価格を一方的に設定したり、それに応じない相手との取引を停止したりするなどの行為は独占禁止法上問題となる恐れがあるとの考えを示しています。
・ 課税業者になった場合の消費税負担額 財務省の試算~農林水産業などを除く免税業者約372万社のうち、約161万社が課税業者になると想定し、導入による増収は2480億円、1社あたり15万4千円の負担増に
~ 年収300万円のアニメーター、1カ月3万円の経費とすると、消費税は13万6200円で、1カ月分の所得を失う
・政府は、23年10月から実施の意向~ が、日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組の野党4党が消費税減税とインボイス廃止を求める法案を共同で提出(6月)。242を超える地方自治体で実施中止や延期を求める意見書が可決。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」のオンライン署名は5万人を超え、「インボイス制度の中止を求める税理士の会」に357人の税理士が賛同
・インボイスの登録申請者 66万6709人(6月末現在)にとどまる
⇔ インボイス導入の改定所得税法(2016年)付則 「事業所の準備状況や事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要があると認めるときは、法制上の措置やその他の必要な措置を講ずる」と明記
*世論と運動をさらに大きく広げれば、インボイス制度を実施中止に追い込むことは可能だと強調
◇インボイス 登録者情報の公開 本名公表恐れ 商用利用も可能 7/15
・インボイス(適格請求書)発行事業者の登録~ 個人事業主の氏名の他、任意で登録する住所や屋号、通称、旧姓などの情報も国税庁の公表サイトで公開され、反発の声が上がっている。
⇔すでに12万件超が登録、その個人データを誰でも入手できる状態に/「偽インボイスの流通阻止」が公表の理由。
⊛漫画家らが反対~ インボイスの登録番号で検索すれば、芸名やペンネームで仕事をしている人の本名を調べ、公表される恐れも~日本漫画家協会 7/4、「個人情報保護への懸念を抱く漫画家も少なからず存在する」と現行のインボイス制度に反対すると表明
・しかも、登録情報について、国税庁公表サイトの利用規約は「複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できます。商用利用も可能」とし、運営方針では、事業者情報の「検索機能」とともに「データダウンロード機能」を提供するとしている
→ 個人情報を使った「商用利用」を促進するもので、プライバシー侵害につながるとの批判の声
・国税庁 6/17、全国商工団体連合会(全商連)に「偽の登録番号が記載されたインボイスを受け取った場合、消費税の仕入れ税額控除は否定される」と答えながら「最新の会計ソフトには、インボイス登録事業者かどうか検索できる機能も搭載される」と説明 → 。こうしたソフトの開発・提供に登録情報がすでに利用されていることが明らかに
⊛実施中止運動を ~ 全商連 「営利目的の企業に、制約なく利用させる政府の責任は重大だ」と指摘/取引先からインボイス登録を促す動きが強まっていることに対し「あわてないで! インボイス登録申請」リーフレットを作製し、一方的な登録要請は独占禁止法上問題になる恐れがあると周知~登録は急がず、実施中止の世論と運動を広げよう
◇インボイス 地方自治体 対応に混乱 地域経済 大打撃のおそれ 8/25
政府が来年10月からインボイス(適格請求書)制度の導入を狙うもと、地方自治体で混乱が生じています。地方自治体から商品・サービスを仕入れている事業者にインボイスを発行しなければならなくなるのに、その準備が進んでいません。このままインボイス導入を強行すれば地域経済に大打撃を与える危険があります。(清水渡)
インボイス制度への地方自治体の対応は、総務省が日本共産党・田村貴昭衆院議員に示した資料から判明しました。
⊛遅れは明らか
総務省の資料は6月20日付で全国の都道府県・市区町村の税務担当課に対し送付されたもの。3月に総務省が各自治体の一般会計・特別会計・公営企業会計の計1万5431会計のインボイス対応状況を調査したところ、インボイス発行者の登録申請が必要だと認識しているのは6021会計と4割程度。検討中は3645会計で23・6%、不要だと考えているのは5765会計で37・4%でした。
インボイス制度では消費税の課税取引を行う事業者が税務署に課税者登録を行うことが必要です。課税者番号を記載したインボイスを仕入れの際に受け取れなければ、事業者の消費税負担額が増えてしまいます。この制度は自治体でも例外ではありません。例えば、課税業者が自治体の保有するホールを借りて有料の公演をおこなったり、自治体直営店から特産品を仕入れて販売したりする場合は、自治体からインボイスを受け取る必要があります。
自治体の一般会計は消費税法上、消費税の申告義務はありませんでした。一方、特別会計や公営企業会計には消費税の申告義務があります。ただ、その場合でも年間売上高が1000万円以下の小規模な特別会計であれば免税事業者として消費税の申告義務はありません。
そのため自治体の一般会計や、小規模な特別会計・公営企業会計は現在、課税業者登録をしていません。現状のままインボイス制度が導入されれば、自治体から仕入れている課税事業者の消費税納税額が増えてしまうことになります。しかし総務省の調査によると、一般会計では1788会計のうち1088会計しか対応が必要と認識していません。特別会計では8420会計のうち885会計のみです。総務省は各会計が「原則としてインボイス制度に対応する必要がある」としており、自治体の対応の遅れは明らかです。
⊛負担増に疲弊
インボイスは事業者が税務署に課税者登録するだけで発行できるわけではありません。対応したシステムへの改修が必要な場合があります。総務省の調査では、対応が必要だと判断している6021会計のうち、改修不要は384会計、着手中は1068会計と対応しているのは4分の1にも届きません。改修の必要性を認識していながら着手していないのが2475会計と4割を超え、要否検討中が2094会計と3分の1を超えます。遅れは明白です。
同時に自治体と免税事業者との取引にも問題が発生する危険があります。多くの自治体では上下水道事業や公営交通事業などは特別会計で営まれています。これらの事業で地場の小さな工務店などに依頼されてきた、修繕工事などが、インボイスが発行できないという理由で取引対象から外されてしまうかもしれないのです。あるいは取引継続のために課税業者への転換を求める可能性もあります。自治体との取引が地域経済を支えている地方も少なくありません。小規模事業者の消費税負担を増やし、地方経済を疲弊させるインボイス制度は導入を中止すべきです。
◇免税業者と取引中止 商工リサーチ調査 インボイス導入で企業の1割 8/25
来年10月に導入が狙われるインボイス制度(適格請求書等保存方式)をめぐり、民間信用調査会社の東京商工リサーチが実施したアンケート調査で、約1割の企業が免税事業者との取引を中止すると回答したことがわかりました。調査結果は20日に公表。
インボイス制度は、これまで消費税の申告・納税義務が免除されてきた課税売上高1000万円以下のフリーランスや中小・零細企業に納税義務を課す制度です。免税事業者と取引した企業は納税額が大きくなることから、免税業者との取引を解消したり値下げを要求したりする懸念が指摘されています。
制度の導入後、免税事業者との取引について、「これまで通り」が41・2%と4割を占めました。一方、「免税事業者とは取引しない」が9・8%、「取引価格を引き下げる」が2・1%に上り、1割強が取引中止や取引価格を引き下げる意向を示しました。
規模別では、大企業の6・4%、中小企業の10・4%が免税事業者と「取引しない」と回答。中小企業が大企業を4ポイント上回りました。「検討中」は、大企業が53・8%と過半数に達し、中小企業の45・5%を8・3ポイント上回りました。東京商工リサーチは「今後の方針決定で取引関係が大きく変わる可能性がある」と指摘。そのうえで、「企業は、基本的に取引先の選択を自由にでき、税負担が増す免税事業者との取引縮小の動きが加速する可能性は高い」と危惧しています。
調査は1~9日に実施。6441社から回答を得ました。
【 コロナ 】
◇コロナ「第7波」 検査拡充 早期治療へ転換を 新規感染者11万人超 専門家はどう見る 7/18
・参院選公示日6月22日 新規感染者 1万7182人→ 7/16日 11万675人と過去最多/感染力の高い「BA.5」
・沖縄県でコロナ医療に携わる筑波大客員教授の徳田安春医師~ 「BA.5」は免疫をすり抜け、ワクチン接種をしていても感染すると強調。7~8月は「かなり厳しい状況になる」。「重症者は少なくても軽症者が大量に発生すれば、結果的に医療崩壊につながる」と警告
・二木芳人昭和大教授~オミクロン株の感染は重症化が少なく、「海外ではそういうなかで経済活動を回していることもあって、(日本では)警戒感が低下/それに伴う感染対策のゆるみがあった」と指摘~ 6月1日以降、空港検疫など水際対策の緩和を一気に進め、「外国からのBA.5」の流入を加速させた。/「ウイルスは2週間に1度、変化。常に変化をする相手。臨機応変に必要な対応も変化していく」。ゲノム解析により、ウイルスの監視体制を維持する重要性を指摘
→ 「新たな変異ウイルスが南アフリカやヨーロッパで広がってきていることは、わかっていた。アメリカでも一気に置き換わりが進んでいたことは、明らかだったにもかかわらず、日本の水際対策は一気に規制を緩め過ぎた。ゲノム解析など厳格な調査をして、規制を強めるのか、緩めるのか。そのタイミングを見極めていく必要がある」
・東京大学医科研究所の佐藤佳教授らの研究~動物実験ではウイルスが肺で増えやすい特徴が見られた。以前よりも「重症化リスクが高い可能性がある」との見解
▼岸田首相 7/14記者会見「現時点では行動制限することは考えていない」「いまのところ重症者や死亡者は低い水準にある」と、これまでのコロナ対策を継続する考えを示した。/こうした姿勢を専門家が厳しく批判
・徳田氏 「ウィズ検査」を提唱~無料検査を抜本的に拡充し、早期の治療へつなげる戦略へと転換すべき/が、現状は「検査へのアクセスが十分ではない」と指摘。一部の治療薬も一般のクリニックなどで簡単に使えない制限があると批判。~「日本はアメリカ以上のワクチン接種率に到達したが、検査を拡充することを怠ってきた。医療機関をパンクさせないために、いまやるべきは、検査・治療センターを各自治体につくり、検査と治療薬に誰もが簡単にアクセスできる体制を確立させることだ」
◇データで見るコロナ 第6波の死亡者数 新規感染者数と相関 7/22
新規感染者が急拡大した後、2~3週間遅れて死亡者数も急増する関係にあることが判明/厚生労働省データ
~第6波 新規感染者数のピーク 2/1 10万4484人。死亡者数のピーク 約3週間後、2/22日 277人
・年齢別の死亡者数(1月5日~3月30日
60歳代以上 約96・7% だが / 20代以下15人、30~50代278人と少なくない
・首相7/14会見 第7波の到来に「こうした状況が起こりうることを想定していた」「感染者数は増えているが、いまのところ重症者数や死亡者数は低い水準にある」などと楽観的な評価を強調
~会見同日の東京都モニタリング会議 「2週間後の27日には5・29倍(増加比)の約5万3482人/日となり、これまでに経験したことのない爆発的な状況になる」との懸念/科学的根拠に基づく迅速な対策が求められる。
◇減収・費用増の病院多数 WAM調査 経営さらに圧迫 7/22
・6月実施 病院経営動向調査~ 医業利益のDI(増と減少の割合の差) 一般病院 前回3月調査から20ポイント低下、マイナス23に / 4月の診療報酬引き下げ(5回連続)、物価高騰が影響とみられ、厳しい経営がさらに圧迫
・調査は3カ月ごとに実施/ 一般病院は今回160病院が回答 医業収益DI マイナス2 前回比15ポイント減。医業費用DI プラス53、15ポイント増 =減収病院に
・「原油価格や物価高騰による影響」を調査~ 療養型病院・精神科病院を含む268病院のうち9割弱の232病院が前年同時期と比べ「影響あり」と回答。うち前年度上半期比で5%以上増加する見込みと答えた病院は半数超
◇介護事業倒産が大幅増 “コロナ支援策縮小・値上げ響く” 8/10
「老人福祉・介護事業」の倒産 、今年上半期(1月~6月) 53件/前年同期(38件)の1・4倍に/東京商工リサーチ
~「コロナ禍で経営体力が落ち込んでおり、追加の支援などがなければ、年間の倒産件数は過去最多を更新する可能性も出てきた」と分析
・倒産53件 ~ 介護保険開始の2000年以降、20年同期の58件、19年同期の55件に次いで、3番目の高水準
・負債総額~ 149億8500万円/ 前年同期の約9倍増。
・倒産規模 約8割が小規模・零細事業者/が、前年同期はゼロだった負債10億円以上の大型倒産も3件発生
・原因別~ コロナによる「売上不振」が38件(前年同期27件)で約7割
・倒産急増の要因 ~商工リサーチ「(介護事業所への)コロナ支援策が徐々に縮小し、人材確保に難航する事業者が増加。円安の進行で食材や衛生用品などの値上げが相次ぎ、光熱費も上昇するなどコスト増が響いた」
◇「全数把握」見直しに批判 感染拡大防止こその声 8/22
・政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は2日、「全数把握」を段階的に中止し、新たなサーベイランス(感染の監視体制)の導入を求める提言を公表。17日にも加藤勝信厚労相に意見を伝えた
・島根県 丸山達也知事 4日会見 「根本的に間違っているのは、全数把握をいらないといっている方々は、感染者が行動することで感染を増やすという感染症の基本的な理解が欠如している」「できるだけ(全数把握を)実施すべきだ」。
・和歌山県 仁坂吉伸知事 19日、県HP 「一番大事なのは、いまそこにいる患者を救うことと感染の拡大防止だ」。感染者の報告業務でこれらの本業ができないなら「全数把握」を省略することは理解できる/一方で、重大な懸念があると強調。重症者だけを相手にすると考えているなら大問題。「コロナはうつる病気ですから、はじめから重症者とそれ以外とに分けられるはずがない」「『全数把握はもうやめる』ということの意味を厳しく追究する必要がある」
・日本医師会 19日厚労相へ提出した要望書~見直し検討に対して「全数把握の利点の継承」を要求
★療養証明もとめ、発熱外来に殺到する、軽症者が急変した場合に対策が示されてないなど懸念
◇感染症 病院減収補てん 保険者も一部負担 厚労省案 8/21
厚生労働省は、新たな感染症の流行初期に収入が減った医療機関に対する減収補てんの財源を国や都道府県が負担するだけでなく、保険者にも一定の費用を負担させる仕組みを19日の社会保障審議会医療保険部会に提案。同省は早期に感染症法改定案を国会に提出したい意向。
・コロナ対策 通常医療を制限してコロナ病床を確保し、減収となった医療機関 ~ 厚労省の提案
・ 平時に都道府県と医療機関との間で、新興感染症等に対応する病床を提供する協定を結ぶ仕組みを法定化
・「初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関」について、感染症医療の提供を行った月の診療報酬収入が感染症流行前の同月の診療報酬収入を下回った場合、その差額を支払うもの
・事業の実施主体は都道府県/ が、費用は保険者も一部を負担。
*部会議論/ 保険者負担について、「診療体制を維持する費用は公費で賄われるべきだ」(村上陽子連合副事務局長)、「診療行為がないのに保険者が負担するのはおかしい」(佐野雅宏健康保険組合連合会副会長)、「公費負担で行われるのが原則だ」(安藤伸樹全国健康保険協会理事長)などと異論が相次ぐ
◇新型コロナ後遺症 最大400万人働けず 米・シンクタンクが分析 NHK8/27
アメリカのシンクタンクは、アメリカ国内で、新型コロナウイルスに感染したあと息が続かないなどの後遺症に苦しむ人の数がおよそ1600万人にのぼり、このうち最大で400万人が仕事ができない状態に陥っているという分析を発表しました。
アメリカ・ワシントンにあるシンクタンク、ブルッキングス研究所は24日、新型コロナの感染拡大が社会に与える影響について分析した結果を発表しました。
それによりますと、アメリカ国内では現在、18歳から65歳までのおよそ1600万人が、新型コロナに感染したあと、息が続かない、頭に霧がかかったような症状が出るなどの後遺症に苦しんでいるということです。
また、このうちアメリカの労働力全体の1.8%にあたる、200万人から400万人が仕事をすることができない状態に陥っていて、経済的な損失は最大で年間2300億ドル、日本円でおよそ31兆円にのぼると指摘しています。
そのうえでブルッキングス研究所は、患者が毎年10%ずつ増え続けると10年後の経済的な損失は5000億ドル、70兆円近くになると分析していて、新型コロナの治療や予防の選択肢を増やしたり、企業で取得できる有給休暇を充実させたりするなど、対策の強化を訴えています。
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