2022年5月 地方議員学習・交流会
各地区委員会で、6月議会にむけての学習交流会を実施している。
今回、ウクライナ危機とあわせ、農業・食料問題に力点を置いて報告した。以下、その資料
■急激な円安 家計直撃 130円で年7万円増 求められる消費税減税
4/28日銀の金融政策決定会合で大規模金融緩和策の維持を決定/そのため低金利の円を売ってドルを買う動きが加速。 4/28日の外国為替市場で一時1ドル=131円台に急落。歴史的な円安水準が継続
・米中央銀行= 5月4日に、2000年5月以来となる0・5%の大幅な利上げを決定~日米の金利差の拡大、円売り圧力が増加。
物価高 要因 2つの「三つ重なり」
・物価高~①コロナ禍からの経済回復による需要増・供給不足
②ウクライナ危機(燃料・肥料・食料不足への懸念)
③アベノミクス・異次元金融緩和(円安・株高誘導)のツケ /国債の半分を日銀が所有
→ 円安の影響/ 輸入依存の高い資源価格やエネルギー価格、農産物価格を押し上げ、家計を直撃
「日本経済2021―2022」(「ミニ経済白書」 内閣府2月) 「食料品への支出は総消費支出の約3割を占めており、このような食料品価格上昇のさらなる広がりが消費者心理等に与える影響には注意が必要である」と指摘
仕組み)石油1万ドル分 ~ 1ドル100円なら、日本国内価格 100万円/ 1ドル130円なら 130万円
輸出・海外生産の大企業 車販売の利益1万ドルを日本に還流/100万円 → 130万円 ⇒ 利益増で株高に
2 消費税3%に匹敵する負担増
・みずほリサーチ&テクノロジーズ試算~1ドル=130円程度で推移、国の燃料油価格の激変緩和措置がない場合
~22年の家計の食料・エネルギー価格の上昇に伴う支出額(2人以上世帯)増 21年比で年平均7万2951円
→年収300万円未満の世帯 5万8346円と2・5ポイント増の負担。消費税率3%に相当する負担増/低所得層ほど打撃大
★・求められるもの~ 異次元の金融緩和により消費税増税の環境づくりを狙ったアベノミクス政策を転換、正規雇用の増(教員など公務職場の人手不足)、最低賃金・ケア労働者の賃金増、消費税減税(84ヵ国・地域で実施)に踏み出すこと
■内閣府の経済分析 ~ 「賃金抑制が成長弱めた」「負の循環」招いた株主資本主義
・内閣府 2月7日発表 「日本経済2021―2022」(ミニ経済白書)
⇔日本経済の成長が弱まった要因/ 企業の利益ばかりが増えて、労働者の賃金が低下していることなど分析。非正規雇用の増加にともなって働く人の収入が二極分化し、若年層の貧困と格差拡大が進行したことなども指摘。
⇒経済の土台を脆弱にしてきた自民党の経済政策のあり方を抜本的に転換し、国民の所得を豊かにすることが必要です。
・売上高が伸びない中で、企業が利益をあげてきたことを分析~「2009年度以降の収益性の改善には人件費や設備投資の抑制が寄与」/そうした「経営合理化」の結果、「成長と分配の好循環の実現を弱めた可能性」がある
・「投資家への配当金比率が上昇する一方で、人件費比率は低下傾向」
⇒この間、過去最高益を出し続ける大企業が続出。一方で賃金などを抑え込んできたことが、経済の持続的な発展を阻害してきたことを政府も認めざるを得ないものに。
・国外に傾く投資活動の問題~「国内での設備投資は抑制的だが海外M&Aは増加」、「対外直接投資収益の多くが現地での内部留保」に充てられている
・「企業貯蓄は増加し、現預金も積み上がり傾向」にある半面、「企業の労働分配率は幅広い業種で長期的に低下傾向」と明記~ それが「低成長につながり、さらに企業の慎重な分配・投資スタンスを促す負の循環に陥っている可能性」とも指摘
⇒内部留保を活用して、大幅賃上げをすることが経済を成長させる大前提
・資産家層が預貯金の利子率が低迷するなかでも株などの配当金収入を増大、資産所得格差は他国と比べて大きいと指摘
⇒格差拡大は、若年層で顕著/ジニ係数を用いた分析では、02年から17年にかけての労働所得の格差が、25~29歳と30~34歳の層で拡大/世帯と年代の分析では、所得500万円未満世帯で子どもを持つ選択が難しくなっていると指摘
★日本共産党の指摘・提案を、政府も認めざるを得ない状況
★暮らしの問題、その解決で、大きな一致
・朝日世論調査(5/3) 次の政治課題の中であなたが政治にもっとも優先的に取り組んでほしいもの
外交・安全保障15▽景気・雇用26▽財政再建11▽年金・医療・介護32▽教育・子育て支援10▽原子力発電・エネルギー3▽憲法(改憲または護憲)2
・読売新聞 3月27日発表 格差に関する全国世論調査
・日本の経済格差が「深刻」だと答えた人が88%
・格差縮小のため政府が優先すべき対策~「賃金の底上げ」が51%、「大企業や富裕層への課税強化など」が50%、「教育の無償化」が45%、「社会保障の充実」が43%、「正規雇用への転換」が30%
■ウクライナ危機と食料・農業の影響
・ウクライナとロシア 世界の小麦輸出の約29%、トウモロコシ輸出の19%、ひまわり油輸出の80%~ 世界で取引される食料をカロリー換算すると、少なくとも12%をこの地域が生産
・肥料 ロシア アンモニアや尿素などの窒素肥料の世界貿易の15%、カリウムを有効成分とするカリ肥料の世界輸出の17%
ウクライナ農業で使用される肥料の60%がロシアとベラルーシ産
中国 環境対策で輸出抑制(化学肥料輸出 1位ロシア、2位中国)。そこへウクライナ危機で価格高騰/ リン鉱石生産 世界1位が中国、4位がロシア、カリウムの生産 2位がベラルーシ、3位 ロシア、4位中国/肥料輸出1位2位は露、中
→ 日本 化学肥料原料のリンやカリウムを100%輸入依存( 尿素4割、リン酸アンモニウム9割 中国)
〇食料自給率37%。化学肥料はほぼ輸入、野菜のタネの8割は海外産。エネルギーも水力・再エネの比率は12%強
・中国との関係/貿易は2000年代に入って急増。輸出総額に占める割合は2割前後で米国と首位争い。中国からの輸入も28%(2020年)。02年以降、首位を維持。その3割は在中国の日本法人が関与
・ノートパソコン99%、携帯電話86%、コンピューター部品62%など1133品目で輸入額に占める中国の割合が5割以上 (内閣府~ 日米独が輸入している品目について、2019年の時点で特定の国からの輸入額が5割以上を占めた品目を調査)
・水産物輸入の最大の相手であり、農産物もアメリカに次ぐ輸入先。世界の太陽光パネル、風力発電機の生産の6~7割は中国。日本の輸入先の79%が中国
・特殊鋼などの生産に必要な「タングステン」は9割以上、リチウムイオン電池や半導体の加工などに利用される「蛍石」は6割以上が中国で生産。コバルトの産出はコンゴが6割だが、世界で産出されたコバルトの精錬の6割は中国が寡占。
・レアアースの産出の6割強が中国。日本のレアアース輸入先の6割が中国
~中国と断絶したら、日本社会はなりたたない、現実がある
→ 食料・エネルギー自給率の向上 / 紛争を戦争にしない平和外交
■憲法
・「9条では国守れない」という人がいるが9条の下でも個別的自衛権は存在し、専守防衛の対応はできる。9条を変える狙いは9条の下ではできない「海外派兵」、米国の侵略戦争に後方支援にとどまらず最前線で加担できるようにする事。
・「民主VS専制」の枠組みは、国連憲章からフリーでありたい米国覇権のスローガン。この枠組みで日本は西南諸島のミサイル配置や経済安保での中国との経済断絶などを米国から迫られている、踏み台にされている。
・「憲法とは、国が権力をふりかざして国民をひどい目にあわせることがないように、国の権力を制限し、国民ひとりひとりの人間としての尊厳を守るためのものなんだ。」(ドラえもん・社会ワールド 『憲法って何だろう』小学館、P20)
・政府はGHQから示された草案の一院制を二院制に直し、帝国議会では9条1項「日本国民は…誠実に希求し」を加筆、9条2項で“芦田修正”をし、25条「健康で文化的な最低限度の…」を挿入、26条の義務教育を延長…など数々の修正をし制定
・憲法の源流に土佐の自由民権思想 知事も「土佐人としての誇り」 17年6月議会、21年9月議会
■総務省 病院統廃合を軌道修正 論戦と地方からの抗議受け 病床削減やめ拡充こそ 赤旗5/7
・総務省 3月29日に「公立病院経営強化ガイドライン」を地方自治体に通知
・経過 07年「公立病院改革ガイドライン」、15年「新・公立病院改革ガイドライン」を策定。公立病院の「赤字解消」、「再編・ネットワーク化」の名による病床削減・病院統廃合を推進 / 16年、厚労省が「地域医療構想」で高度急性期・急性期病床の20万床削減計画~「新・公立病院改革ガイドライン」と「地域医療構想」を「整合」させながら公立病院の整理・淘汰を求めてきた。
・新ガイドライン 改革の重点変更 「赤字解消」から「経営強化」へ
「再編・ネットワーク化」の文言をなくす代わりに「病院間の役割分担・連携」を強調。
国の財政措置 「複数病院の統合」を前提に施設整備費などを補助する従来のやり方から、「不採算地区病院」を維持しつつ、基幹病院からの医師派遣、救急体制の連携する場合も支援対象に/“統廃合ありきではない”やり方に変えるもの
・軌道修正の理由 総務省「感染拡大時の公立病院の役割が改めて認識された」 ~「ガイドライン」は冒頭、21年12月の「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」での議論を踏まえたことを強調
同協議に厚労省 、「地域医療構想」の取り組みは「病床の削減や統廃合ありきではな(い)」とする資料を提出。
同協議で、全国知事会の代表~高齢化のピークとされる25年に向けて急性期病床を減らすという「地域医療構想」の考え方の変更を主張。今後の感染拡大に向け、「一定程度の余力がある」医療体制を国に求めた。/全国市長会の代表~新型コロナに対応できたのは「活用されていないベッドがあったから」だとし、「赤字」を理由にした病院統廃合は「大変な地域の問題になる」と主張 ~ 世論、地方の声が追い詰めた結果
・リスト撤回せず
一方、引き続き、民営化など「経営形態の見直し」、医療機能の「集約化」の検討を迫る~ 厚労省 「地域医療構想」を堅持。400超の公立・公的病院を統廃合の対象として名指ししたリストも撤回しない/ 20万床削減計画、病床を減らした病院に消費税収を使って補助金を出す「病床削減給付金」の仕組みも維持
- 急性期病床削減の計画の中止。なにより医師・看護師不足などマンパワーの拡充に切り換える論戦と運動を、国でも地方でもさらに強める必要
「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」の概要 総務所
・第1 公立病院経営強化の必要性
〇これまで・ネットワーク化、経営形態の見直しなどに取り組んできたが、 医師・看護師等の不足、人口減少・少子高齢化に伴う医療の変化等により、依然として、持続可能な経営を確保しきれない病院も多いのが実態。
○コロナ対に公立中核的な役割を果たし、 感染症拡大時の対応における公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識されるともに、病院間の役割の明確化・最適化や医師・看護師等などの取組を平時から進めておく必要性が浮き彫りとなった。
〇今後、 時間外規制への対応も迫られるなど、さらに厳しい状況が見込まれる。
〇続可能な地域医療体制を確保するため、限られた医師・看護師等の地域資源全体で最大効率的に活用するという視点を最も重視し、新規の感染所の感染拡大時等の対応という視点も持って、公立病院の経営を強化していくことが重要。
・第2 地方公共団体における公立病院経営強化プランの策定
○ 策定時期 令和4年度又は令和5年度中に策定
○プランの期間 策定年度又はその次年度~令和9年度を標準
○プランの内容 持続可能な地域医療提供体制を確保するため、地域の実情を踏まえつつ、必要な経営強化の取組を記載
・第3都道府県の役割・責任の強化
〇 市町村のプラン策定や公立病院の施設の新設・建替等にあたり、地域医療構想との整合性等について積極的に助言。
○ 医療資源が比較的充実した都道府県立病院等が、中小規模の公立病 院等との連携・支援を強化していくことが重要。
・第4 経営強化プランの策定・点検・評価・公表
〇 病院事業担当部局だけでなく、企画・財政担当部局や医療政策担当」部局など関係部局が連携して策定。関係者と丁寧に意見交換するとともに、策定段階から議会、住民に適切に説明。
○ 概ね年1回以上点検・評価を行い、その結果を公表するとともに、 必要に応じ、プランを改定。
・第5 財政措置
○ 機能分化・連携強化に伴う施設整備等に係る病院事業債(特別分) や医師派遣に係る特別交付税措置を拡充。
■「親ガチャ」データで裏付け 貧困層の子「授業わからない」3倍超、進路「中高まで」4倍超 東京新聞5/6
⇒ 2022.2月学習交流会資料 【子どもの貧困~連鎖のリスク明確に 初の全国調査・内閣府】
- 男女の賃金格差是正
〇正社員でも、女性の賃金は男性の7割 (厚生労働省 賃金構造基本統計調査)で、非正規を含む平均給与では、男性―532万円、女性―293万円(国税庁 民間給与実態統計調査2020年) 日本共産党 21衆院選政策より
・参院予算委員会での山添質問~ 厚労相答弁 役職別・勤続年数別の給与で「男性を100とした場合、女性は80を超える」 と答弁に、「すごく高いような言い方をされるが、2割ぐらい(女性が)低いということ」と切り返した。
また、長く働く(勤続年数10年以上)と男性の7割台に下がると答弁。今まで政府は“女性の勤続年数が短いから男性より賃金が低い”といってきたが、働き続けた方が賃金格差が広がる~ コース別人事政策
→ 繰り返し国会質問でとりあげ、有価証券報告書の記載・公開への前進つくる
〇「ジェンダーギャップ指数」で12年連続1位 アイスランド相に聞く(クローズアップ現代+ 22/1/4)
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pNmlwAnKW8/
企業に対して、賃金に性別で格差が出ることを禁じ、男女同一賃金の証明を世界で初めて義務付け、違反した場合には罰金を科すという、踏み込んだ法律を施行。それは「より良い社会」を実現するために、必要不可欠/経済にとって非常に有益。労働市場に女性が参加しないと女性が提供できる能力、発想、感性などのリソース(資源)を社会が失い、経済成長できない。
・大門議員、3月22日、参院財政金融委員会の質問~上記内容を紹介し、「ジェンダー平等が経済成長につながるとの考えはEUやIMFにも広がっている」とただし、岸田首相は「女性の社会進出が経済成長につながるとの考えに同感だ」と答弁
〇山形県賃金向上推進事業 援金
1.趣旨 新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営状況が続く中において、事業所内の非正規雇用労働者、特に女性非正規雇用労働者の処遇改善を行った事業者を支援するため、「山形県賃金向上推進事業支援金」を支給します。
【賃金アップコース】 50歳未満の女性非正規雇用労働者の所定内労働時間1時間当たりの賃金を30円以上増額改定
【正社員化コース】 50歳未満の女性非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換
2.賃金アップコース
対象事業者 略
対象労働者 増額改定された日において、50歳未満の女性労働者であること/2~4 は略
支給額
- 対象者1人につき3万円
- 支給上限額
業 種 |
上限額 |
|
製造業、社会福祉法人 |
20人まで |
60万円 |
卸売業,小売業、宿泊業,飲食サービス業 |
10人まで |
30万円 |
その他 |
5人まで |
15万円 |
★高知でも淀川町のヘルパーなど月1万円の加算、四万十町では看護師、介護士で同町で働く人の奨学金返済に月3.5万円、5年間などの処遇改善も取り組まれている
■「ブラック校則」見直しへ、大幅に改善した文科省「生徒指導提要」(改定試案)。課題は現場への浸透か
室橋祐貴日本若者協議会代表理事 3/29(火) より
教師用の生徒指導に関するガイドブックにあたる「生徒指導提要」(平成22年3月作成)が約10年ぶりに改訂される。文科省「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」が、2022年3月29日「生徒指導提要」の改訂試案を公開
・総論としては、大幅に改善されており、期待以上と言っても過言ではない。曖昧な表現を減らし、「子どもの人権」を尊重することなどが明確に書かれ、生徒参加が明確に位置づけられた。
〇子どもの権利を明確に記載
平成22年3月作成の「生徒指導提要」では、子どもの権利についてほとんど触れられていなかったが、今回は、「児童の権利に関する条約」の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だとした上で、いわゆる4つの一般原則(差別の禁止、児童の最善の利益、生命・生存・発達に対する権利、意見を表明する権利)を明確に記載した。
~いじめや暴力行為は、児童生徒の人権侵害であるばかりでなく、進路や心身に重大な影響を及ぼします。教職員は、いじめの深刻化や自殺の防止を目指す上で、児童生徒の命を守るという当たり前の姿勢を貫くことが大切です。また、安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だといえます。
〇校則の公開、改定手続きの明文化
「校則の運用・見直し」の箇所では、上記の「児童の権利の理解」にも触れた上で、見直し方法に関して大幅に加筆されている。
・「校則の制定にあたっては、少数派の意見も尊重しつつ、児童生徒個人の能力や自主性を伸ばすものとなるよう配慮することも必要となります(→1.5.1児童の権利の理解)。」
・校則の運用 「校則の内容については、普段から学校内外の者が参照できるように学校のホームページに公開しておくことや、それぞれの決まりの意義を理解し、児童生徒が主体的に校則を遵守するようになるためにも、制定した背景についても示しておくことが適切であると考えられます。」が加えられた。
その際には、校則に反する行為があった場合に、どのような対応を行うのか、その基準と併せて周知することも重要です。
・校則の見直し より具体的な取り組み例が加えられ、平成22年作成の生徒指導提要では、あくまで例示のみだったが、児童生徒や保護者等の意見を聞くこと、校則見直しの変更プロセスを明示化することが「望ましい」とされている。
~ 校則の見直しに関して、学校や教育委員会の取組を紹介
【学校における取り組み例】
・各学級で校則や学校生活上の規則で変更してほしいこと、見直してほしいことを議論。
・生徒会やPTA会議、学校評議員会において、現行の校則について、時代の要請や社会常識の変化等を踏まえ、見直しが必要な事項について意見を聴取。
・児童生徒や保護者との共通理解を図るため、校則をホームページに掲載するとともに、入学予定者や希望者等を対象とした説明会において、校則の内容について説明。
【教育委員会における取り組み例】
・校則の内容、見直し状況について実態調査を実施。
・学校等の実態に即した運用や指導ができているか等の観点から、必要に応じて校則を見直すよう依頼。
・校則を学校のホームページへ掲載するとともに、校則について生徒が考える機会を設けられるよう改定手続きを明文化するなど、児童生徒・保護者に周知するよう依頼。
・児童生徒の関与 新たに、「児童生徒の関与」という項目が加えられ、その意義が記載された。
「校則の見直しの過程に児童生徒自身が関与することは、校則の意義を理解し、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながります。また、校則を見直す際に児童生徒が主体的に参加することは、学校のルールを無批判的に受け入れるのではなく、自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものとなります。
★課題は現場への浸透か?
大幅に改善された「生徒指導提要」(改定試案)。ただ課題がないわけではない。
一番の課題は、この「生徒指導提要」(改定試案)に記載されている内容がどこまで現場に理解されるかだ。
「児童の権利に関する条約」の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと、今回明確に記載されたが、現状の日本社会において、「児童の権利に関する条約」が理解されているかというと、正直厳しいと言わざるを得ない。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2019年に全国の15歳から80代までの3万人を対象に実施した子どもの権利に関するアンケート調査結果によると、子どもの権利条約に関して、「内容までよく知っている」と回答した大人はたったの2.2%となっている(子どもは8.9%)。
これまで子どもの権利を侵害してきた「ブラック校則」が許容されてきた事実を踏まえると、心許ない
今後は、教職課程において、「子どもの権利条約」を学ぶだけでなく、日本若者協議会「校則見直しガイドライン」で書いたように、「生徒手帳等に、憲法と子どもの権利条約を明記する」など、学校現場で学ぶ機会を作る必要もある。
〇子どもの権利条約 原則徹底を 衆院文科委 校則問題で宮本岳志議員 3月30日 衆院文部科学委員会
校則の見直しにあたり、子どもの権利とともに教育の目的という観点からも、子どもの関与と主体性を尊重することが重要だと政府の認識をただす。 末松文科相は、校則見直しにあたっての児童生徒の関与は「児童生徒自身が校則の根拠を考えることを通じて身近な課題を自ら解決するなどの教育的意義を有する」と答えました。
★制服選択制 高知県 54校のうち、予定を含め29校、うち22校が導入ずみ(2月段階)
高知市 昨年9月議会での請願採択をうけ、市教委が全学校での協議を指示
■コロナ オミクロン株流行で対策が変化 濃厚接触者特定せず 学校や保育園…クラス全員検査
沖縄県立中部病院医師 県政策参与 高山義浩さんに聞く 赤旗4/22 (別の変異株の場合は別 )
・昨年5月から保育園や幼稚園、学童クラブ、学校などで感染者が一人でも出たら、クラス全員にPCR検査を実施。県が民間会社に委託している事業 ~わかったこと/同じクラスでも濃厚接触者以外では感染者は0・7%。濃厚接触者でも1・5%。つまり、98%以上は出席停止の必要がなかった/今年1月からオミクロン株の流行 ~ 濃厚接触者(3・4%)とその他の接触者(1・8%)の差は縮小、濃厚接触者以外での感染者が増え、濃厚接触者のみを自宅待機とする妥当性は失われた、と判断
・3月24日から、濃厚接触者の特定をやめ、引き続き同じクラスの子ども全員にPCR検査を行い、陽性者のみを出席停止に
・学校では、教室での授業より、放課後を含めた友だち同士の交流等で感染が広がっている、と判断
~ そのため保育園・幼稚園、学童クラブ、マスクを着用しない部活動など、感染者とリスクが高い接触があった人は、PCR検査で陰性を確認するまで自宅待機を推奨 /それ以外の人は登校を認め、検査結果が出るまでは感染対策を心がけ、合唱や集団スポーツなど、リスクの高い活動を避ける工夫を学校に依頼。
・クラス内で複数感染者が出た場合~ 今後も学級閉鎖が選択肢となりえる/が、マスク着用など学校内での感染対策が徹底されるようになり、感染リスクの高い活動を避ければ、あえて教育機会を止める必要はなくなってきたと判断。
・「症状が出たら休む」こと感染拡大防止に大切。合宿など長時間の接触がある場合は、参加者の検査陰性を確認が望ましい
・職場環境は多様・・・保健所による濃厚接触者の特定は困難。職場ごとに感染リスクのチェックを依頼。そして、感染者との濃厚な接触があった場合には、職場の判断で自宅待機を求めたり、PCR検査による陰性確認を推奨
・沖縄県では、県の接触者PCR検査センターが設置されており、自己申告のみで無料検査が受けられる/課題~流行拡大時、検査結果が出るまで数日と時間がかかるようになること。
・社会経済活動への影響を最小限にすることが必要~感染者の外出自粛は引き続き必要。が、濃厚接触者の行動制限は同居家族など妥当な範囲へと絞り込む必要がある/ただし、希望すれば無料で検査が受けられるよう体制を維持する必要
★早期検査・診断・隔離、早期治療のシステム確立を~ PCR検査 CT値(増幅回数)40以上でも感染確認/ 抗原定量検査CT値30まで(PCRの1/1000)、抗原定性CT値20まで(〃 1/100万) ~抗原検査 陽性は確認できるが、陰性の証明にならない → 日本の空港検疫は、なぜか「抗原定量検査」の愚
・感染者がでは場合の積極的な検査、感染が懸念される人の陰性を早期に確定しての社会活動復帰、医療、福祉施設での週二回の定期検査の実施なとで、検査し早期治療、早期社会活動復帰のステムの構築が重要、
★「第6波」の1~3月に自宅で死亡した人が、少なくとも全国に555人。うち39%がワクチン2回接種済み。死亡直前の診断時に軽症・無症状だった人も43.4%。厚労省調査4/27 /その中には生後11か月の乳児も/3万人の死亡者のうち、この4か月で4割を占めている。「肺炎」を基準にした重軽症のさび分けは、オミクロンでは役にたたない。決して軽いものではない。おらたな対応が必要。
■コロナ協力金 収入算定除外 徹底を 赤旗 4月7日
・中小事業者らから「協力金が収入として算定され、都営住宅の家賃や国保料が引き上げになるのでは」という声があがり、日本共産党の山添拓参院議員と都議ら6日、国交省、厚労省などから聞き取りと要請。
・国交省担当者 「協力金・給付金が(家賃決定時に算入される)継続的収入に当たるかどうかは、自治体の判断による」、自治体が判断すれば家賃への算入対象から除外できるとの認識を示し、自治体向け説明会で「住民に寄り添った対応を周知することは可能」と回答
・厚労省担当者 「協力金・給付金は(コロナに対応した保険料減免を判断する際の収入の算入対象外となる)一時的収入。全国の自治体の会議でも周知している」と回答。
・「制度を知らなければ、借金してでも保険料や家賃を払わなければならないと思ってしまう。国が全国に通知を」と要請。
■盛土規制法案 全会一致で修正可決
4月21日、衆院本会議で全会一致で可決。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、れいわ新選組、有志の会の6会派が共同で修正案を提出。与党も賛成し、全会派一致で政府原案を修正
・政府提出の規制法案(宅地造成等規制法改正案)は、「危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制」するとしたもの。
管理責任を明確にし、罰則も強化。都道府県が規制区域を指定し、同区域内で行う盛り土などは知事の許可が必要。
・政府案の問題点
① 規制区域を「人家等に被害を及ぼしうる区域」と限定したため、区域外は規制の及ばない“白地区域”に。土砂災害警戒区域等の災害危険区域は禁止区域にするなど、“白地区域”でも規制の対象になるよう盛り土行為は届け出制として、大きな規模の盛り土は許可制にすべき
②危険な盛り土の要因に、建設残土の不適正な処理がある。
総務省の建設残土についての実態調査(昨年12月公表)~ 12都道府県の20市町村が不適正事案を認識していることが判明/建設残土を発生させる側が最終処分まで責任を持ち、受け入れ地、最終処分先の確保を義務付ける指定処分制度やトレーサビリティー制度を法制化すべき。確保できるまで、トンネルなどの掘削工事に着手しないことも必要。
こうした内容の修正案を日本共産党、立憲民主党、れいわ新選組、有志の会が共同提出
・修正案では、政府案で「5年をめど」としていた見直しの検討条項部分を「5年以内」とし、区域外も含めて工事や土砂管理の規制のあり方を検討することを明文化。 付帯決議は、実務を担う自治体への支援体制整備や、知事などによる勧告、改善命令、行政代執行が適切に実施されるためのガイドラインの明示など13項目
■女性支援新法 売春防止法から切り離して根拠法制定 全会一致
・参院厚生労働委員会 4月12日、女性支援新法の委員会提出を全会一致で決定
・公的支援(現・婦人保護事業)の根拠法を人権理念が欠如した売春防止法から切り離し、新たな女性支援の根拠法を制定。
・課題 法の実効性を担保するためには財政措置の抜本的拡充(4/12 倉林参院議員質問)
公的支援事業の相談員の抜本的な処遇改善/ 現在の婦人相談員の86%が非正規、その割合も増加傾向に
処遇改善の足かせ~2020年度導入の「会計年度任用制度」 ▽1年ごとの更新で3~5年で雇い止めとなるケースが少なくない▽賃金は月16万円未満が35%といった深刻な実態~新法でも「婦人相談員」を、専門的技術に基づいて必要な援助を行う「女性相談支援員」に改めている。また相談数は大幅に増加する一方で相談員は増えていない。自治体の財政負担を軽減し、全市区町村配置の目標を持つよう求めた
~厚労相 「地方公務員制度の運用のあり方の中で婦人相談員の適切な処遇の確保に努めていく」
■障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案 参院全会一致で可決、衆院へ
障害者がさまざまな場面で情報を得られるようにするための施策を推進する法案が13日の参院本会議で採決され、全会一致で可決し、衆院に送付されました。
・すべての障害者があらゆる分野の活動に参加するには、情報の十分な取得や利用、円滑な意思疎通が重要だとして、これら施策を総合的に推進し、共生社会の実現をめざすもの。
国・地方自治体の責務として、障害者による情報取得・利用、意思疎通にかかわる施策を総合的に策定・実施するとともに、障害者らの意見を尊重するよう明記/ 障害者による情報取得のための機器・サービスの開発提供への助成を行うとともに、防災・防犯などで迅速・確実な情報取得のための体制整備・充実などを盛り込んでいる
・・・根拠法ができた。加齢性難聴も同じ土台でのとりくみを
■介護保険 福祉用具販売制へ転換を画策 厚労省検討会 反対・慎重相次ぐ
・厚労省 3月31日、介護保険で給付される杖や手すり、スロープなどの福祉用具の貸与制について議論する検討会の第2回会合を開催~財政制度等審議会 貸与は販売より「多額の費用を要している」とし、杖や手すりなどは「販売とすべき」と主張
全国福祉用具専門相談員協会理事長、「長期利用の場合は購入の方が安いというが、(用具の)導入時に長期利用になると予測できるのか」と指摘。/東京大学大学院 別所俊一郎准教授「メンテナンス、モニタリング費用が適切に計上されていない。安く上がりそうなケースだけを見せている」と批判
・財政審 利用する介護保険サービスが福祉用具貸与のみのケアプラン~毎月のケアマネジメント費は無駄だとし、次期改定(2024年度)での報酬引き下げを主張
検討会では、ケアプランをつくる際のケアマネジャーや福祉用具専門相談員の関わりや、介護以外の医療・福祉支援との併用により重度化防止や在宅生活の維持ができるとの指摘が複数上がった。/立教大学 安藤道人准教授 販売だとケアマネなどの関わりがなくなることを念頭に、「サポートがなくなれば利用者や家族の経済・身体・精神的な負担が増す。」と指摘
■「みどりの食料システム戦略」のための法案「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」衆院農水委員会通過 /満足得られる議論がされたか、検証してみたい。 印鑰(いんやく) 智哉
・「みどりの食料システム戦略」~2050年までに有機農業を25%に拡大、農薬をリスク換算で50%減、化学肥料30%減の目標を掲げた、これまでの農政にはない画期的なもの。肯定的に受け止めていいだろう。しかし、大きな問題が残る。
・有機農業拡大の方向性はいい/が、問題はどのような農業を、どのような食、社会を日本がめざすのか、ということ
→ 政府は農業発展を農産物の輸出拡大に求めてきた。が、農業、食は社会の基礎であり、これはおかしな政策
→ 世界全体で有機農業は急速に拡大/日本から輸出する場合も有機でないと市場が得られない状況に~ 例)ヨーロッパへ輸出するお茶のほとんどが有機。農産物輸出拡大をめざす日本政府にとっても、有機農業が増えないと輸出が伸びなくなってしまう。だから有機にしなければならないというロジックが存在
→ 輸出向けに有機を作り、国内では農薬漬けのものを消費するシナリオは残念ながら有力だろう。
・それを手掛けるのは地域の小さな家族農家ではなく、輸出を手掛ける企業によるものになるかもしれない/地域の農業を支える政策ではなく、ごく一部の輸出企業のための奨励策になりかねない(1)。
・さらに大きな問題~ 有機農業推進とは相容れない「ゲノム編集」種苗推進が入っている/「ゲノム編集」を農業に適用することについて、政府やマスコミ情報を鵜吞みしている議員が多いのではないか?(2)
・現在 種苗に「ゲノム編集」などの遺伝子操作の有無の表示義務がない~ 有機農業で使ってはいけない「ゲノム編集」種苗を間違って使ってしまうことが起こりえる。有機農業推進を骨抜きにするような政策をして対応できるだろうか?(3)
・現在、世界的な食料危機が目前に迫っている~ ウクライナの問題だけでなく、世界の穀倉地帯である南北米大陸で異常気象が続き、今後、世界の食のシステムは大きく変わることが考えられる。/世界に穀物を供給してきた米大陸は今後、循環型の食のシステムに変わっていかざるをえない~水源が破壊され、土壌が流出し、それを食い止めるために大幅に変わらざるをえないからだ。もう輸入穀物にも化学肥料に頼れない時代がやってくる。
・大量輸入を前提とした日本の農業政策は国内で循環する食のシステムへと大幅に転換することを求められている。
→その転換を怠れば、日本は近い将来、食料危機に直面するだろう。それを防止し、化学肥料や農薬も得られなくなっていく時代を先取りして、全国的に地産地消を基本とした有機農業を推進する必要がある。/が、「みどりの食料システム戦略」はそのような構えを十分持っているとはいえない。
・日本共産党の田村貴昭議員 規模拡大を基調としてきた農政から、食料保障を基調とする農政への転換、小規模農家を基礎とする農政、フード・ポリシー・カウンシル(食料政策協議会)の活用など地域の市民が参加する参加型のボトムアップの食の政策の確立を求める修正案を提出した(4)
→この修正案は上記の問題を受け止めていく上で、重要な手がかりとなるもの/が、残念ながら否決。日本共産党以外の野党からも賛成が出たことはよかったものの、この提案は本来、与野党全員で賛同すべきものであったと言わざるをえない。
・参議院での議論がこうした論点を含めたものとなることを求めたい。日本の食料主権を確保するためには単に農水省を超えた全省庁的な関与が必要であり、その実現のためには与野党議員のニューディール的な大きな関与が不可欠である。
★今治市食と農のまちづくり条例
「地域資源の活用と市民の健康を守る地産地消、食の安全、環境保全を基本とした食と農のまちづくり」を目的に2006年に食と農のまちづくり条例を制定。 学校給食を基軸に地域の農産物が生かされ、その中でも有機農産物の割合が増加。
★木更津市オーガニックなまちづくり条例
「地域一体となって、人と自然が調和した持続可能なまちとして、次世代に継承していくため」に2016年に「木更津市 人と自然が調和した持続可能なまちづくりの推進に関する条例」(通称オーガニックなまちづくり条例)を制定。学校給食に使うお米をすべて有機米にする6カ年計画を立て、市販よりも高い価格で地域の農家から買い取り、その割合を年々増やしている。
〇ゲノム編集トマト苗 学校に配布やめよ 各地で反対運動がすすむ 「農民」22/3/7
ベンチャー企業のサナテックシードとパイオニアエコサイエンス両社は2022年から全国の福祉施設対象に、23年からは小学校を対象にゲノム編集トマト「シシリアンルージュ・ハイギャバ」の苗を無償配布する計画です。これに対して、この計画への反対を求めるオンライン署名を「OKシードプロジェクト」が募り、各地で苗配布に反対する取り組みが行われています。1月16日までに第1次集約として9195人分を両社と全都道府県知事、教育長、福祉担当者に署名を郵送し、27日にオンライン記者会見を開催しました。オンライン署名は継続中です。記者会見では、各地の取り組みが報告されました。要旨を紹介します。
知事・教育長・福祉施設・担当者に 署名集め、要望書、資料送付…“受け取る”自治体ゼロ 久田徳二氏(道食といのちの会)
ゲノム編集トマト苗の配布を止めてほしいという運動の中間集計結果です。北海道の全179市町村に要望書を送付し、回答を求めた結果、1月中旬までに42自治体・50部局が回答し、14自治体・16部局が「受け取らない」と答えました。「受け取る」とした自治体はゼロでした。 受け取らない理由として「安全性が確認されていないこと」等があげられています。これまでの回答記述は多様ですが、予防原則に基づいて自主的判断をしている自治体が多いことがわかりました。情報を伝えれば「受け取らない」という判断になるでしょう。知らせていくことが重要です。
■2月県議会 生理の貧困 トイレに設置 市町村の88%が「わからない・不必要」と回答
世界各国や国内の自治体で生理用品の無償提供が進んでいる実態も紹介し、県の取組をただしました。
県からは、生理用品約4600パックを購入し、公的な施設に設けた112の配布窓口、全公立小中学校、高等学校、子ども食堂などに配布。公的施設や学校のトイレに設置する公的支援については市町村へのアンケートで「わからない」「必要ない」が87.5%となっていること、県としては新年度も無償配布に取り組むと答弁。市町村議会での論戦が重要となっています。
・・・市町村がどう回答したのか、確認してほしい
【9年連続人口増、明石市の泉房穂市長「子ども予算3倍必要」と考える理由「教育権限の移譲」でいじめや不登校も減らせる】
東洋経済 5/5 (参考資料) https://toyokeizai.net/articles/-/584813
9年連続で人口を増やし、2020年の国勢調査では人口30万人を突破した兵庫県明石市。とくに子育て層が増加しており、18年には出生率が1.7と政府目標1.8に近づいた。中核市人口増加率1位(※)、「全国戻りたい街ランキング2021」1位(ウェイブダッシュ調べ)、「SUUMO住みたい街ランキング2022 住みたい自治体ランキング<関西版>」6位(リクルート調べ)と、人気の上昇が続く。「やさしい社会を明石から」というスローガンの下、独自に「こどもを核としたまちづくり」に取り組む明石市市長の泉房穂氏に、子育て施策や教育をテーマに話を聞いた。
※ 2020年の国勢調査(速報値)と2015年の国勢調査を比較
昔から変わらぬ日本、子どもに冷たい社会に未来はない
――明石市では子育て支援をはじめ、障害者や無戸籍者の支援、犯罪者の更生支援、犯罪被害者が受け取る賠償金の立て替えなど、いわゆる社会的弱者に寄り添う取り組みを強化しています。泉市長が「やさしい社会」を目指す背景には何があるのでしょうか。
・自分の生まれ育ちが原点です。先祖代々漁師で家は貧しく、弟は身体障害者で世間から向けられる目は本当に冷たかった。だから、困ったときにお互い助け合い、支え合えるような社会をつくりたいと、小学生の頃からずっと思っていました。その気持ちは今も変わっておらず、綿々と取り組んでいます。
――とくに子育て支援については、所得制限なしで「医療費・給食費・保育料・公共施設・おむつ」という5つの無料化を独自に実施しています。
・子どもは自分の力だけで生きていけません。しかし親にも事情があって、全力で子育てができないこともあります。だから、社会のみんなで子育てを応援してしかるべきだと考えており、「こどもを核としたまちづくり」をしているのです。
子どもは「未来」です。私は40年ほど前に大学の教育学部で教育哲学を学び、日本という国は子どもに対してあまりにも冷たいとレポートを書きましたが、残念ながら今もこの社会は当時からまったく変わっていません。子どもを応援しない社会に未来はありません。
国がやらないなら、せめてふるさとの明石市を、子どもを応援する街にしようと市長を志しました。ずいぶん時間がかかってしまいましたが、やっと思いを実現できる立場になれました。
★18歳までの医療費、中学生の給食費、第2子以降の保育料、親子交流スペース「ハレハレ」など公共施設の利用料、満1歳までのおむつが無料。所得制限はない
子どもに対する私の思いには、2つのポイントがあります。1つ目は、子どもは本人が主人公であるということ。いまだに子どもを親の持ち物であると捉える日本社会は国際的に見ても大変珍しく、この発想をすぐにでも転換すべきだと思っています。
2つ目は、「法は家庭に入らず」の発想は間違っているということ。今は昔のように大家族や村社会のようなセーフティーネットはありません。社会全体で、つまり政治や行政が家族問題に介入し、しっかり子どもに支援の手を差し伸べなければいけない時代です。それなのに、いまだに日本は家族のことは家族でやってくださいというスタンスです。
こうした観点から明石市では、2019年に関西の中核市では初となる児童相談所を独自につくり、児童虐待防止などにも力を入れています。
日本の子ども支援に足りない「発想・カネ・ヒト」の3要素
――泉市長は、「明石市が行う全国初の施策はグローバルスタンダード」だとおっしゃっています。世界各国と比べ、日本の子ども支援や教育支援はとくにどのような点で遅れていると感じていますか。
・論点を絞ると、「発想・カネ・ヒト」の3つ。まず1つ目に、子どもを応援することが未来をつくるという「発想」が日本にはありません。子どもにやさしいまちづくりをすれば地域経済も回り、税収が増え、それを財源として市民サービスも向上し、子どもから高齢者まで誰にとっても住みやすい街になります。現に明石市は主要税収入が8年で32億円増加しました。こうした発想の転換や理念・哲学の浸透が日本は不十分です。
2つ目の「カネ」ですが、日本は諸外国の半分以下しか子どもの施策にお金を使っておらず、ここは大きな問題です。せめてもの思いで、私は市長に就任した際、子ども関連予算は従来の2倍以上に増額しました。それでも諸外国に比べれば少なく、ようやく欧州並みに近づきつつあるという状況です。
3つ目の「ヒト」については、子どもに寄り添う人材の確保や育成ができていません。明石市が子ども施策に力を入れられるのは、子どもを担当する職員数を3倍以上に増やしたからです。中央省庁から出向していただく人材だけでなく、全国公募で法務職(弁護士)、福祉職、心理職、DV相談員などの専門職や企業出身者など、多方面から有能な人材を常勤の正規職員として採用しています。児相職員の人材育成や学童保育の支援員の認定資格研修などにも取り組んでいます。こうしたことはほかの国では当たり前にやっています。
――とくに参考にしている国はありますか。
・子ども施策はフランスをかなり意識しました。ケースにもよりますが、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーあたりも参考にしています。養育費の立て替えは韓国の制度を採用、市内すべての市立学校の女子トイレに生理用品を配備する支援(2022年4月開始)はニュージーランドをまねしました。私は海外の成功事例を制度化しているだけなので、失敗するわけがないのです。
――子ども関連の予算や担当職員数の増強という大胆な取り組みを、どうやって実現されたのですか。ほかの自治体でも可能だとお考えですか。
・予算は公共事業費を従来の半分にして捻出し、人材は新たに採用した専門職以外は部署間の異動で対応しました。公共事業費を減らしたといっても欧州と同水準にして無駄遣いをやめただけ。市長や知事の権限の最たるものが予算編成権と人事権なので、首長がその気になれば実は簡単なことです。
ただ、それをやると公共事業に関係する企業や団体、急な異動を命じられた市役所職員などの強い反発に遭います。そういうことも含め、腹をくくって取り組むのが市長や知事の役目です。
――コロナ禍でも、個人商店や学生に上限100万円を緊急支援するなど、独自に20の支援策を迅速に展開されました。
・溺れている人がいたら何が何でも助けるんです。助けるという結論ありきで方法を考えて実行するだけ。そのため、街を歩いて話を聞くほか、市長への意見箱に届く毎週50~100通の意見もすべて目を通しており、市民の声に基づく運用変更も頻繁に行っています。
教育の権限があれば欧州並みの環境をつくれる
――教育支援については、どのようなお考えをお持ちですか。
・市長に与えられていない権限に3つの分野があります。警察、医療、教育です。警察と連携ができないので児童虐待や消費者被害の救済などは臨機応変には対応できません。医療についても、コロナ禍でもどかしい思いをしました。
教育も同様です。例えば過去に教員の不祥事が発覚した際も、「私に調査権限や教員に対する指導権があれば、迅速に再発防止策が取れたのに」と思いました。
教育の権限を県や教育委員会から移譲してもらえれば、欧州並みの教育環境はつくれます。いじめや不登校を減らせると思いますし、もっとインクルーシブ教育に力を入れたい。ヤングケアラーや障害のある子、医療的ケアの必要な子などに、より手厚い教職員の配置を行うなどいろいろ可能になりますが、今はできる範囲のことを全力でやるしかありません。
明石市独自の施策としては、きめ細かな教育を実現するために、2016年度から全28市立小学校の1年生で30人の少人数学級を導入、21年度からは兵庫県内初となる市内12中学校1年生の35人学級を実施。いずれも新たに必要となる教員配置の費用は本市が全額負担しています。また、21年度は全国初となる全学年少人数学級の小中一貫教育校も開設しました。
一方、子どもの成育過程はさまざまなので、学校には行っても行かなくてもいいと思っています。なので、学校外の居場所づくりにも力を入れています。21年度は、無料で利用できる公設民営のフリースクール「あかしフリースペース☆トロッコ」を9 月に開設しました。NPO団体との連携で実現したもので、全額公費で助成しています。
また、これまでも2つの小学校内の適応教室で不登校の子どもを支援してきましたが、22年度4月からは学校外の適応教室「朝霧もくせい教室」もオープン。子どもから大人まで利用できる「明石市ひきこもり相談センター」も開設しました。これは中核市としては全国初です。さらにセンター以外に3カ所、まったりできる居場所もつくりました。
子ども関連手当の所得制限はナンセンス
――2023年4月にこども家庭庁が創設される予定です。期待することや求めることはありますか。
・私も子どもを担当する中央省庁があるべきだと考えており、この動きには私も当初関わっていたので期待していました。しかし現状は文部科学省が組み込まれず、こども基本法案の骨子に子どもの人権を守る第三者機関「子どもコミッショナー」の設置が盛り込まれないなど、子どもが主人公であるという発想に基づいたものになっておらず残念に思っています。これでは子どもファーストの政策は望めません。
政府はこども家庭庁を中心に、子ども関連予算を倍増したいとの考えを示していますが、それは最低ライン。本来なら3倍くらいは増やさないと。お金がなかったら、どんなにいい政策を思いついても実現しません。
ま た、政府は待機児童対策の財源を、一部の高収入世帯の児童手当の削減によって捻出することにしました。しかし、子どもにかかるコストは社会全体で負担するのがグローバルスタンダードであって、所得制限はナンセンス。こうした現状から、予算については心配しています。
★おむつ配布・・・経済的支援とともに、買いに行く手間を省く、研修をうけた配達人が届け、状況を話し合うことで孤立を防ぎ、リスクの把握、支援につなぎとめるという取り組み。
★バリアフリーのまちづくり。商店、自主的サークルも含め、スロープの設置、点字のメニュー・筆談グッズの整備などに、最高20万円の支援制度がある。
【市町村アラカルト】
・安芸 議員報酬15万円増(30万円)否決、災害時の公用車給油所検討、6か所消防屯所高台移転へ
・南国市 手話言語条例、小中学生対象に防災士講座/ 市長・国保料統一・県の30年実施案に反対、より後年度に。公共交通空白・人口18%・乗り合いタクシー検討、パートナーシップ制度22年度中に。
・土佐市 保育小中統合で答申、宇佐メガソーラー・業者から住民説明会終了報告書
・四万十市 看護系大学誘致補助3.25億円・大学側との「事前相談」再延期(新カリキュラム承認後れ、地域の反対、用地全て市保有必要)、福祉事務所の家庭児童相談室1名増。子育て支援センターで乳幼児一次預かり実施、外国人労働者対象に日本語サロン月2回
・土佐清水 保育所完全給食、ヤングケアラ―支援でコーディネーター配置、スポーツクラブに部活動指導委託
・大豊町 4月開校の義務教育学校の給食費無償、2保育所の主食・副食も無償(現在、商品券で還元)
・土佐町 町出身大学生の扶養者に10万円、全世帯に2.5万円商品券
・いの町 ゼロカーボンシティ宣言、本川小水力発電23年度売電
・仁淀川 小中給食無償化220名。30%未満減収の事業者に最大50万円
・日高村 カーボンゼロ宣言、医療費無料化18歳に。災害区域指定条例(浸水地域の床高基準)
・四万十町 コミュバス打井川・下町線の本格運行。移動図書館・来年十和へて全町へ・福祉施設・学校への貸出22年実施
・中土佐町 こどもセンター・県内初の子育てに特化した総合施設、旧笹葉小に小多機、成人式「20歳を祝う会」として開催へ
・津野町 町の文化財調査し計画的な整備修復に
・梼原 雲の上ホテル、道の駅・事業費増で全面見直し(佐田元中村市議らが運動)、空き家改修で補助上乗せ
・大月 道の駅再整備凍結、芸術家の滞在交流拠点・旧小才角小跡地来年3月
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