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世界を疲弊させた「自由貿易・投資協定」に代わる国際経済秩序を(メモ)

 ・世界各国の内政に干渉して新自由主義の政策を押し付ける道具とされてきたのが「自由貿易・投資」協定/アジア太平洋資料センター共同代表 内田聖子さんインタビュー記事「貿易と新自由主義」 赤旗22/2/2226 からのメモ

 〇参考・新しい国際経済秩序にかかわって以前作成したメモ

【GAFA その支配の闇と規制強化の高まり(メモ) 2021/12

http://wajin.air-nifty.com/jcp/2021/12/post-c71195.html

【国際課税新ルールの意義と課題 /新自由主義を乗り越えて(メモ)2021/11

http://wajin.air-nifty.com/jcp/2021/11/post-47e2e8.html

1)政府を乗っ取る企図

・新自由主義的な「貿易自由化」の問題が顕在化したのは1980年代以降

・95年 「自由貿易」を進めるシステムとして世界貿易機関(WTO)設立されてから、世界の労働者や農民、市民社会は総力をあげてWTOの問題点を告発⇔アジアに進出した日本企業の環境破壊、人権侵害を調査してきたPARCもその運動に参加

・2000年代後半~ 多数の国々の利害がぶつかるWTOの中では何も決められないことが世界の共通認識になり、米国は2国間貿易協定の推進に転進/中南米の多くの国と2国間協定、その延長にTPPのような多国間のメガ経済連携協定

⇔ PARCは世界のNGOと一緒にこれらの協定を批判してきた。

 

■裏の顔を持つ

・新自由主義は「市場原理主義」「小さな政府論」を基本とするが、その建前と矛盾する裏の顔を持つ

~ 新自由主義の推進力は、国境を越えて利益を追求する大企業と投資家

・社会保障費を抑えて自らの税負担を軽くするために「小さな政府」を志向するのは事実

⇔ 裏側では、外交や貿易交渉を通じて自らの意向を各国の政策に反映させるため、強大な自国政府の関与を求める

 

・利益追求の邪魔になる規制を緩和して市場任せにするという意味で「市場原理」を唱えるのも事実

⇔が、裏側で、自らの独占的な利益を確保のため、各国政府が市場経済に介入して強力なルールをつくり、競争を排除 /WTO以降の「自由貿易・投資」協定に、医薬品特許を含む知的財産権保護の条項が組み込まれたのが、その象徴

 

本当の対立軸

 ・ ダブルスタンダード~企業に不都合な環境保護などの規制は「貿易障壁」/特許権保護などの規制は「質の高いルール」

→ スティグリッツ氏の指摘/TPPは「自由貿易ではなく、特定の集団のために『管理』された貿易であり、人びとには何も利益はない」

・新自由主義勢力が首尾一貫して追求してきた課題 ⇔ 自らの利益を増大させるために政府を乗っ取り、自由自在にコントロールすること/過去30~40年間の貿易協定の秘密交渉は、大企業と投資家が政府を乗っ取っていくプロセス

★対立軸~ 政府が、何を守る目的で市場経済に介入するか/ 「環境か、利潤か」「民主主義か、大企業の特権か」「人々の基本的人権か、大企業や投資家の自由か」 ⇔ 後者を優先するのが「自由貿易」、新自由主義

 

(2)賠償金得る汚染企業 ~ 協定使い干渉

・新自由主義勢力による政府の乗っ取り 2つの意味

 

  • 先進国の大企業が自国の政府を乗っ取り、「自由貿易」を推進させること

 典型的なのは米国~ 大企業が膨大な資金を使ってロビー活動を行い、政治家や官僚に影響力を行使/大企業のトップが政府の高官になり、また企業に戻るという「回転ドア」人事があらゆる分野で展開

~欧州でも同様の例/日本 大企業が自民党などに政治献金を行い、経団連などの組織を通じて政治家と官僚に影響力

 

  • 世界貿易機関(WTO)、「自由貿易・投資」協定を使い、各国政府、自治体の政策に干渉

・例)A国  公共の利益、自然環境を守るために規制の設置 ⇔ 企業や投資家の利益を代弁するB国 「WTO協定に抵触する」とA国を訴えることができる

⇔ 「国家対国家の紛争解決制度」 /WTOの下につくられた小委員会と上級委員会の2段階で審理。

・95年のWTO設立後 規制を設けた国が次々と他国に提訴され、敗訴/ 米国 最も多くの提訴を行うと同時に、他国に提訴された事件では敗訴を重ねた

~ ウミガメ保護用の安価な装置を漁網に設置した業者だけにエビ販売を認める米国の絶滅危惧種保護法をWTOがルール違反だと判断し、ウミガメ保護規定の書き直しを米国に命じた例も。

・この制度をさらに悪くしたものが「投資家対国家の紛争解決(ISDS)制度」/TPPはじめ、WTO交渉の停滞後に2国間・多国間で結ばれた多くの協定で導入

 

・ISDS~企業、投資家が他国政府を直接訴え。審理は非公開 (WTOの紛争解決制度~ 主体が国家対国家)

⇔ 企業、投資家の訴え/相手国の政策変更で実際に損なわれた利益だけでなく、将来予測される利益も対象/政府が負ければ、国民の税金から賠償金が支払われる

・実例)健康被害を引き起こすポリ塩化ビフェニール(PCB)の輸出禁止措置を講じたカナダ政府を米国企業が訴えたケース~ 仲裁機関が賠償請求を一部認定。ISDS条項違反、国外投資家を差別したという理由

・ISDS訴訟数 1987年以降の累計1104件

 

接種を妨げる

・大企業の利益になる規制の強化~ 最も深刻なのが知的財産権の問題

~コロナ危機の下で途上国のワクチン利用を妨げ、大問題になっているのが医薬品の特許権/WTOルール 医薬品の特許期間を20年以上にする ⇔ 特許期間中はジェネリック医薬品を禁止、製薬企業が販売を独占。

・安価な医薬品を必要とする途上国、新興国「20年でも長すぎる」と主張したが、決定

 

・TPPでは、さらに製薬企業を有利にするルール~ 製薬企業が要請すれば、交渉を経て特許期間を5年間延長できる条項

 

 

3)海外移転で責任逃れ

・30~40年かけて世界中で「自由貿易」を推進した結果 貧困と格差はますます拡大。貿易が「深刻でかつ長期的な悪影響を国民や経済にもたらすことがある」ことを、「自由貿易」を推進してきた国際機関も公式に認めざるを得ない事態に(国際通貨基金・世界銀行・世界貿易機関の共同報告書「貿易を全ての人の成長の原動力とする」)

 

大企業に有利

・貧困と格差が拡大 ~ 「自由貿易」が重大要因の一つだということは国際的な合意事項に

・「自由貿易」が貧困と格差を拡大する要因~経済力と政治力の強い大国、大企業が有利になる仕組みだから

⇔農業を考えれば明白/ 米国農業 多額の補助金を得たうえ圧倒的に規模が大きい工業型で、安い農産物を大量に作り輸出促進/他方、米国は「自由貿易」の中で他国に補助金、関税の撤廃を求め、自国の農産物を輸出、他国の農業を破壊

・メキシコの例/NAFTA発効(94年)後、安いトウモロコシが米国から輸出され、メキシコの小農民は壊滅的な打撃を受け、職を求めて米国に渡る不法移民が急増/その人たちがトランプ政権下で「来るな」といわれた

・TPP、日欧EPA、日米貿易協定の発効で、安価な外国産の肉が大量に入り、畜産農家はたいへん厳しい状況に

 

供給網の構築 ~ 工業分野での影響

・「自由貿易・投資」協定の主要な目的の1つ 多国籍企業のサプライチェーン(供給網)を構築すること/日本では「貿易イコール関税」という狭い理解が根強く残り、こうした側面が十分に論じられていない

 

・多国籍企業 利益を最大化するために、人件費や地代の安い海外に生産拠点を移転 ~ 海外の下請け企業に生産を外部委託して責任を回避

⇔ 原材料の調達から製造、販売、配送に至るサプライチェーンの中で、国境をまたぐ取引が頻繁に発生/ このとき障害となるのが各国の税制や規制/この障害を除去と、知的財産権を保護して多国籍企業の利益を確保することが重要な目標

 

・大企業の国際移動の自由がもたらしたもの~人件費、税負担を切り下げる国際競争/先進国では製造業が海外に流出、雇用が劣化/移転先の途上国、新興国では、多国籍企業の責任逃れが深刻な人権侵害を発生

 

・コロナ危機の下で切り捨てられたサプライチェーンの労働者 ~ 代表的なのはアパレル産業。アマゾンは洋服の自社ブランドを持ち、メーカーとしても活動。東南アジア諸国のアパレルメーカーに生産を委託/コロナ発生で売上がおちこむと、以前出していた注文を突然キャンセル/委託先の現地メーカー 解雇通知書を何か別の書類と偽って女性労働者たちに提示し、無理やりサインさせ、解雇に同意したとして雇止め。退職金もなく、給料も突然ストップに。

⇔国際的なNGOのネットワークは、アマゾンなど発注元企業の責任を問うキャンペーンを展開している

 

4)企業に国際的規制を

市民の猛反発

・「自由貿易」を強力に推し進めてきた米国~国内産業が衰退、中間層が没落し、貧困と格差の拡大など弊害が噴出。

⇔「自由貿易・投資」協定の負の経験から、「自由貿易」は経済成長や雇用増加に結びつかないという認識を共有

・その下でTPPへの反対運動が、2016年に頂点に

・欧州でも/一番の争点は農産物~ 緩い安全基準の米国産の輸入により食の安全が脅かされると運動

・ 「ISDS制度」が非民主的だという非難 欧米で共通

→ 最終的には米大統領の結果をうけ、米国がTPP離脱。すべてが消えたという経過

 

「自由貿易」に代わる国際経済秩序を

・「自由貿易・投資」協定 大企業と投資家の自由な活動を確保するために膨大なものに/交渉分野:モノからサービスへ広がり、最重要分野は投資、金融、知的財産、電子商取引(デジタル貿易)に。そして現在の最大の目標は金融や投資の自由化・大企業の国際的なサプライチェーン(供給網)の構築

⇔ なんでもかんでも「貿易の問題だ」と協定に盛り込むことはやめるべき/協定の膨大になり国民から見えにくなる

 

・グローバル経済に接合したい途上国に対し、先進国が膨大な協定のパッケージを突きつけるのは暴力的なやり方

~ISDS、知的財産権の強化、先進国の都合での関税撤廃になど/無理に先進国都合のルールを決めようとした結果、交渉が進まず、世界貿易機関(WTO)は機能不全に陥りつた。

 

★関税や規制は主権国家が自由に決めればよい/貿易協定がカバーする範囲を減らし、国家主権と国民主権を回復すべき

★逆に、環境や人権や労働条件などを守るために、貿易協定の外側で強力な国際的ルールをつくるべき

~貿易協定は貿易を促進する目的なので、その中に環境や人権の条項を入れても、実効性に限界がある

⇔ 参考になるのが、21年国際的に合意された最低法人税率と多国籍企業の税逃れ対策、いわゆるデジタル課税/企業活動のグローバル化に対応し、世界全体で網をかぶせるという合意は大きな一歩。環境、人権の分野でも具体策が必要

 

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