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物価上昇で露呈  「異次元緩和」の虚構・大罪

物価高が、暮らしと経済を直撃している。世界的な現象でもあるが、日本は「異次元金融緩和」という毒薬の存在がある。当初から、当ブログで批判してきたが、ここにきて、各方面からようやく批判の声がではじめた。

【円急落招いた、異例の「連続指し値オペ」 黒田ライン割れで日銀は 朝日3/28】

https://www.asahi.com/articles/ASQ3X73VZQ3XULFA022.html?iref=comtop_7_01

【北海道新聞社説 止まらぬ円安 弊害直視した政策急げ 4/13】

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/668784?rct=c_editorial

 社説の最後は「任期満了まで1年を切った黒田総裁は早急に自らの誤りを認め、出口戦略を示す必要がある。政府には、大幅な賃上げで庶民の懐を温め実体経済を好転させる政策を求めたい。」

 この間の、「赤旗」記事などを整理したメモ

〇ウクライナ危機  円安が物価上昇に拍車

・日銀 「企業物価指数」 2月の輸入物価指数(円ベース、2015年平均=100) 122・2。前年同月比で34%上昇

⇔上昇幅が大きいもの/石油・石炭・天然ガス(前年同月比84・8%増)、木材・木製品・林産物(同68%増)、飲食料品・食料用農水産物(同26・2%増)、金属・金属製品(同23・7%増)など

・企業物価も押しげ

 2月の国内企業物価指数(2015年平均=100) 110・7、前年同月比9・3%上昇~181年以降で最大の伸び

 「素原材料」 年同月比50・9% 「最終財」も同4・1%上昇   「川上」から「川下」へ値上げが波及

 

・世界的に、資源価格、食料品価格の上昇/ そのうえ「円安が輸入物価を押し上げる一因」(日銀調査統計局)に

~ 輸入物価の急上昇は21年1月ごろから開始、円安の進行時期と重っている。

 

〇仕入れ価格 過去20年間で最高値 帝国データ

・帝国データバンク 3月の景気動向調査の結果

・仕入れ価格の上昇が過去20年間での最高値を記録/ウクライナ危機、コロナ禍による原材料価格の高騰が深刻化

・「仕入単価DI」(仕入れ価格「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差引き)過去最高 71・6ポイント

~ 仕入単価DIと販売単価DIの差が過去最大幅に/仕入単価を販売単価に転嫁できていない

→ 企業規模が小さくなるにつれ差が増大 /中小・小規模企業ほど価格転嫁が進んでいない

・企業からの声

「小麦粉、包装資材、物流経費、燃料の高騰」など「価格改定による販売単価上昇の影響で、販売が落ちる」(めん類製造)、「新型コロナウイルスの影響で市場が元に戻らない」(清酒製造)

「新型コロナの感染拡大により利用者が減少するなか、原材料費も高騰」(一般食堂)

 

〇工務店の場合 原材料高で板挟み

・日銀の企業物価指数  

木材・木製品・林産物全体の輸入価格(22年3月) 20年12と比 78%上昇

建物の壁・床・屋根に使う合板 同86%上昇

→米国における住宅建築需要増加、日本への輸入量減、それに伴い国産材の需要増 / 輸入材とともに価格急騰

・+ウクライナ危機/ロシア産木材輸入減少、木材加工のための燃料代も高騰。

・工務店では、値上げ分を契約額へ転嫁した結果 、契約を断る消費者が相次いでる

→帝国データバンク 4月初めアンケート調査(回答1855社)~「過去半年間ですでに値上げした」「今後1年以内で値上げする予定」64・7%。一方、16・4%が「値上げしたいが、できない」

 

〇円が売られて円安が進む要因~ 日本の景気回復の遅れ (2)貿易収支の悪化 (3)日米金利差の拡大など

(3)は、米国が利上げに転換する中で金融緩和に固執する日銀の政策に起因(メモ者 膨大な国債=利上げできない)

・米連邦準備制度理事会(FRB) 3/16物価上昇を抑えるために0・25%幅の利上げ決定/他方、日銀 3/18金融政策決定会合で金融緩和の継続を決定。

→ 利回りの低い円を売ってドルを買う動きが加速。3月末に円相場は 1ドル=125円台へ急落

 

◆アベノミクス~異次元緩和10年  

・黒田東彦・日銀総裁のもと2013年に開始された量的・質的金融緩和(異次元緩和) 4/4で10年目

・異次元緩和~アベノミクスの柱のひとつ/物価が2%上昇するまで金融緩和=日銀が国債、株式(ETF)を買い、資金注入

→ 潤ったのは、大企業と富裕層だけ/さらに超低金利政策が円安を加速。食料やエネルギーなどの相次ぐ値上げを助長

 

〇元日銀審議委員  現在の金融政策「弊害を生む」

 日銀審議委員を務めたことのある野村総合研究所・木内登英エグゼクティブ・エコノミストの指摘

日銀が現在の金融政策を死守すると、「円安進行」という「弊害を生む」

 「物価高が進み、それが国民生活を圧迫する中、物価上昇をさらに促す円安は『悪い円安』と理解され、金融政策面からそれを引き起こしている日本銀行への批判が高まってきている」(3月28日「日銀指値オペの神通力低下と3つの弊害」)

 

◆国民苦しむ円安・物価高

・円安= 大企業を中心とした海外進出企業に恩恵 /が、輸入資源を使う国内産業や国民の生活に打撃。ウクライナ危機による輸入品の高騰、国民負担へさらなる不安拡大

⇔ 黒田総裁 3/18記者会見 「わが国の企業が海外で生産をして、本社に送金される円建ての収益の金額は、円安によってむしろ拡大する」「円安になることは、むしろ日本の経済・物価にとってプラスになるという基本的な構図は変わっていない」

/「金融が緩和された状態で経済が成長し、企業収益も拡大して賃金も上がっていく中で、物価が上がっていくことが重要」

⇔ 金融緩和で経済成長、賃金も上がるというのは「トリクルダウン」への固執

(メモ者 海外での販売額が増えなくても、本社に送金された円建て収益は拡大/この収益増は、海外で発生していないので、国内要因。円安による輸入品の価格増・国民負担増分が移転したもの)

 

・実際に起きたこと ~ 大企業と富裕層・大株主の大もうけ=株価9年間で2倍、大企業の多くが過去最高益など収益拡大/一方、賃金上がらず、日本経済は低迷  「トリクルダウン」は起きず

⇔ 労働法制の規制緩和、ギグワーク・シフト制など推進による非正規労働者の増加/賃金低下、消費低迷、経済低迷/超低金利は、株高と投機による資産・マンションバブル

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〇増える長期失業者

・総務省「労働力調査」~失業期間が1年以上の完全失業者 2021年10~12月期 64万人、4四半期連続で60万人超

~21年4~6月期 72万人、コロナ禍前の19年同期(49万人)比 1・5倍/前年同期比の増加率も5四半期連続で2桁超え

・コロナ禍による解雇~ 4月8日段階で累計13万1148人(厚労省)

製造業(3万1784人)、小売業(1万8263人)、飲食業(1万4673人)、宿泊業(1万4393人)などが上位

~ コロナ禍による生産の減少、生活様式の変化で職を失い、再就職もままならない状況

*完全失業者 (1)仕事がなくて調査週間(月末の1週間)中に少しも仕事をしなかった (2)仕事があればすぐ就くことができる(3)調査週間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていたの3点を満たす必要

→ 実際に職を失い、仕事を求めている人もっと多い

 

★そもそも逆立ち「理論」~ 2%の物価上昇目標 = 賃上げなしの物価上昇で、国民の暮らしはいっそう困窮 / 投機とバブルをつくり出し、格差を拡大 異次元緩和の失敗は明らか/ 労働者の賃上げで、実体経済を良くする政策が必須

 

〇本格的賃上げ支援こそ

・大企業(資本金10億円以上) 内部留保 12~20年で130兆円増、466兆円に

⇔ ため込まれた内部留保への課税が不可欠(130兆円に2%、5年間時限課税、グリーン投資・賃上げ分は控除で後押し)/中小企業と中堅企業 新たな税収で社会保険負担の軽減で、賃上げがすすむ土台を 

(全労連 中小業者中心に、1人年間54万円直接支援、社会保障量3割軽減を提言)

 

〇消費税減税を

・物価高に、日銀は「影響を注視する」だけで無為無策

・2月の消費者物価指数(総務省)~ 生鮮食品を除き前年同月比で0・6%上昇、調査対象全522品目のうち319品目で上昇し

⇔ 世界では、81の国と地域が付加価値税減税を実施・予定/所得で区別されず幅広い世帯を支援するのが消費税減税

・財務省の試算~食料品などへの消費税8%を1年間 0%に、約4・4兆円/政府の総合緊急対策の範囲内の規模

 

 ◆もう一つの大問題  遠ざかる「出口」戦略

・日銀が自縄自縛に~ 2%物価上昇を目標に異常な金融緩和を継続/消費不況を打開できず、円安加速、物価だけが上昇

・日銀 買い込んだ国債 526兆円、株式投資信託 36兆円 ~ これらの資産価格下落で、債務超過になり円の信認失墜

⇔ 米国 物価抑制のために金融正常化(利上げ)。 が、日銀は「出口」を語れず

 

・混迷の原因~ 物価下落は「貨幣的現象」という誤った「理論」/ 白川方明・前日銀総裁 「日本のデフレ論議は、日本経済にとって不幸なことであった」 「問題の原因が物価の下落にあると断じた」上で「中央銀行が本気になって期待に働きかければ物価は上昇するという議論が支持を集めた」から

⇔ この謬論を主導した政治家が安倍晋三氏 「輪転機をぐるぐる回して無制限にお札を刷る」と発言

 

・対照的に「実体経済そのものに今のデフレの原因がある」と主張し、「(異次元緩和に)入り込んだら出てこられなくなる」(2016年11月22日、参院財政金融委員会で大門実紀史議員)と警鐘を鳴らしてきたのが日本共産党

⇔白川前総裁 「強く記憶に残っている議員の一人」に大門氏を挙げ、「(国会で)大門議員に反論をしたが、主張の一部分については共感していた」

・国民生活を支援して実体経済を立て直す政治に転換しなければ、「出口」は遠ざかる一方に

 

【<社説>止まらぬ円安 弊害直視した政策急げ 北海道新聞04/13

 円安が止まらない。今週初めには一時1ドル=125円台後半まで下落し、6年10カ月ぶりの円安水準となった。

 直接の原因は日米の金利差だ。

 米国は利上げに踏み切った。片や日銀は金利を極めて低く抑える異次元金融緩和を続ける方針だ。

 このため運用に有利なドルが買われ、円が売られている。

 輸出型の大企業に有利な円安は、日本経済に好材料とされてきた。だが今や物価高に拍車をかける「悪い円安」と化した。

 ウクライナ危機で供給不安が高まった原油や穀物など輸入品の価格を一段と押し上げ、国民生活や中小企業の経営を圧迫している。

 日銀の黒田東彦総裁は円安の影響について、企業規模や分野により均一ではないとする一方、「経済全体にはプラス」と説く。

 庶民や中小企業が物価高に苦しんでも、国内経済をけん引する大企業の業績が改善すればよいという態度は見過ごせない。

 政府・日銀は、円安の弊害にも向き合った金融・経済政策を進めるべきだ。

 アベノミクス以降、政府・日銀は円安を是とする政策を進めてきた。大企業の利益が増えればそれが庶民にもしたたり落ちて日本が豊かになる―との理屈に基づく。

 だが期待通りにはなっていない。大企業は巨利を給料よりも内部留保に回した。円安に伴う株高の恩恵に浴したのは富裕層だ。

 庶民にとっては、今や物価高によるデメリットの方が大きい。

 

 国際金融市場における円の地位が下がっているのも気がかりだ。

 各国通貨と比べた円の総合的な実力を示す指標は半世紀ぶりの低水準となった。海外からの購買力が、ピークの1990年代半ばに比べ半分以下に落ちた。

 非常時に円が安全資産として買われる「有事の円買い」も見当たらなくなった。日本経済の地盤沈下により、通貨としての円の信認が損なわれつつあると言えよう。

 

 なのに、日銀は緩和に固執するばかりだ。無制限に国債を買う特異な手法まで使って金利を抑え込み、円安を助長している。

 開始から9年、はっきりしたのは、市場に大量の資金を流して金利を抑える異次元緩和だけでは景気は上向かないということだ。

 任期満了まで1年を切った黒田総裁は早急に自らの誤りを認め、出口戦略を示す必要がある。

 政府には、大幅な賃上げで庶民の懐を温め実体経済を好転させる政策を求めたい。

 

 

 

 

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