2022年 経済の潮流 (メモ)
「識者が語る」シリーズ。工藤昌宏・東京工科大名誉教授、藤田実・桜美林大学教授、宮﨑礼二・明海大学経済学部准教授が語ったもののメモ。それぞれのテーマは・・・
・「日本化現象」~雇用と所得の低迷を起点に消費、生産、投資が連鎖的に停滞。そのため経済循環構造も破壊
・貧しくなった日本 新自由主義の弊害と企業の経営力と貧困
・米国 若者、労働者の決起、団結の前進
それと労働総研の賃上げで経済再生を「春闘提言」~骨子メモ
http://www.yuiyuidori.net/soken/ape/2022/220114_01.pdf
・平均賃金を97年ピーク時にするには、不払い労働の根絶、非正規雇用の正規化、最低賃金の時給1500円への引き上げで可能。 それは704・3兆円にもつみあがった内部留保のごく一部で十分可能
❶ 不払い残業に正当な報酬を支払えば、月間現金給与総額が1万2991円増加
❷ 非正規雇用者を正規化し賃金格差を解消すれば、1万2156円増加
❸ 最賃を時給1500円に引き上げると2万6641円増加
~ これにより平均賃金は、1997年のピークに達する
【 東京工科大名誉教授 工藤昌宏さん 1/6-7】
回復遅れる日本
・市場経済 一方で生産力を高め、国民生活の改善に寄与 / 他方で倒産、失業、貧困、自然環境破壊などを引き起こし、国民生活に打撃を与えるという負の側面
・21世紀になって、この負の側面が強く意識されるようになってきた ⇔ 背景に、経済のグローバル化~ 競争を激化させ産業構造や労働市場の変化などを通じて貧困化、自然環境破壊を加速 /また、エネルギー価格の乱高下、米中対立、さらには新興国の経済混乱、累積債務問題などが世界経済の混乱要因に加わっている
・他方、世界が危機に直面する中、持続可能な社会システムの構築、自然環境保護を求める国際的な動きも強まってる。脱炭素社会に向けての動きはその一端
◆闇が浮き彫り
・2020年初頭、新型コロナウイルスのパンデミック。背景には、経済のグローバル化による人流の拡大。/コロナ禍は世界を破壊しただけでなく、貧困や格差など世界が抱える闇、そして社会体制の弱点をも浮き彫りに / さらに、世界各国でくすぶっていた政治不信を助長し、社会体制までも揺さぶっている。/ しかも、今後世界各国はコロナ対策で膨らんだ巨額の債務問題への対応を余儀なくされる。今、世界は文字通り未曽有の危機に直面しているように思う。
・ウイルスによる経済的打撃 感染拡大直後の20年4~6月期、GDPは先進国、新興国を問わず同時に大幅なマイナスに/このような現象は、1929年の米国発の世界恐慌以来。だが、打撃はけた違い
・実質GDP4~6月期 アメリカ年率31・4%減、ユーロ圏40・3%減、日本28・1%減、中国1~3月期 前年同期比6・8%減
→その後欧米諸国は徐々に回復。/が、日本経済 停滞し続け20年度4・5%減、08年度3・6%減を超え戦後最大の落ち込み。とくに深刻な個人消費の落ち込み~20年度5・5%減。21年度も状況は変わらず。実質GDP(前期比)、4~6月期には前期(1~3月期)0・7%減の反動で0・5%増も、7~9月期は個人消費の大幅な落ち込みで0・9%減と再び沈み込んだ
◆見通し厳しく
・企業倒産件数はコロナ禍にもかかわらず、政府の金融支援措置で何とか抑え込まれているが、/対照的に休廃業件数が増大 ~ 16年に約3万件に達した後、徐々に増大し20年には約5万6千件
・失業率は3%程度で推移 ~ これは求職を諦めた人々が失業統計から除かれたためで、失業者数は非正規労働者を中心に約200万人に達している
・欧米諸国の経済が20年中ごろから巨額の財政支出、個人消費の回復などで回復基調に向かったのとは対照的に、日本経済は立ち遅れ、低迷し続けている。
⇔ OECD 21年の実質GDP成長率の対前年比予測を発表(21.12.1)/世界全体5・6%増、米国5・6%増、ユーロ圏5・2%増に対し 日本 わずか1・8%増。 日本経済だけが、一人取り残された感
回復妨げる政治
・日本経済~ 雇用や所得環境は依然として悪く、消費も停滞し続けている / 欧米の中央銀行が相次いで金融緩和策の終了に向かっている中で、日銀だけはいまだに大規模緩和から抜け出せないまま
◆「日本化現象」
・日本経済停滞の理由~ コロナ禍以前から停滞に陥り、その状態が放置され続け、停滞構造が定着
→雇用と所得の低迷を起点に消費、生産、投資が連鎖的に停滞。そのため経済循環構造も破壊/90年代以降の長期停滞
→ しかも、その状況で2013年以降 2度の消費税率引き上げ、社会保険料の引き上げなど国民生活に重し
・当然、経済循環構造はさらに崩れ、日本経済は停滞から抜け出しにくい構造に陥った/そのもとでコロナウ禍の直撃
→ 現在の日本経済の停滞 /コロナ禍による一過性ではなく、コロナ収束後も停滞からの脱出は困難
・停滞構造が定着し、お金の流れが悪化 ⇔ 従来の財政支出や金融緩和策などのバラマキは通用しない
→ 2000年代に入って、政府と日銀はお金を流し続けたが、目詰まりを起こし、お金が流れず一向に効果が出ない
・政策が効かないうえに国民負担という重しが加えられれば停滞から抜け出せるはずがない /欧米諸国とは対照的に、低金利、低インフレ、低成長から抜け出せないのはそのた
★欧米の中央銀行は、このような日本の状況を「日本化現象」と呼んでいる/こんな状況にはなりたくないという意思表示
◆生活の安定を
日本経済の回復の前に立ちはだかる数々の要因
・第1 石油価格の高騰などによって物価が上昇傾向に。物価上昇は国民生活や企業経営を圧迫
・第2 円安の進行。石油価格の高騰、世界的なインフレ懸念から各国で金融引き締めの動きが強まり、その結果、とくに日米金利差が拡大し、ドル高・円安傾向の強まり。 円安は石油価格の高騰と重なり輸入物価をつり上げることに
・第3 半導体などの部材不足が深刻化。 とくに自動車産業などに打撃
・第4 失政への懸念。 昨年10月に発足した岸田内閣 「成長と分配」の好循環を中身とする「新しい資本主義」を主張/が、12月の所信表明 「まずは成長戦略です」~成長を前提にした分配という論理 ⇔ アベノミクスの踏襲/「成長戦略」を繰り返し打ち出し、結局は大企業の利益優先、国民生活への負担強制を繰り返し、日本経済を停滞させ続けた路線と同根。
★そもそも、成長と分配は区別しなければならない / 経済が成長したからといって分配につながるわけではない。また、経済循環構造が崩れているもとでは、経済成長も期待できない
⇔ 大事なことは、経済循環構造の起点となる国民生活を安定させること/ 「まず成長」ではなく、「まず安定」が大事。これこそが、「成長と分配の好循環」の土台
【桜美林大学教授 藤田実さん 2022/1/12.13】
貧しくなった日本経済
・1991年の日本のバブル崩壊から30年、経済の長期停滞を表す「失われた20年」が30年に
・日本のGDP成長率 1%程度の低い水準に ~ この間、中国や韓国は着実に成長し続け、欧米先進国も緩やかに成長している。日本だけが停滞している状況
◆各種の指標で
・購買力平価でみた1人当たりGDP/OECD平均 4万4986ドル。日本 4万1775ドルと平均以下
→ 韓国 4万3319ドル。1人当たりGDPでは、韓国に逆転されている
・名目GDP 2020年時点、日本が韓国・台湾より上位/が、27年、28年には両国を下回ると予測(日本経済研究センター調べ)
・平均賃金 他のOECD諸国に比べて停滞/ 1990年 3万6879ドル、2020年 3万8515ドル わずか4・4%増
欧米諸国 同期間に、イタリアを除けば、10%以上増加。日本の停滞は際立っている
*1人当たりGDPが停滞 ⇔ 賃金が停滞していることは、日本が貧しくなっているということを意味
・「労働力調査」~ 非正規労働者 19年比で20年には75万人減少、そのうち65万人は年収200万円未満
・21年7~9月期の雇用者総数 前年同期比で34万人増加。が、非正規労働者数は同4万人減と雇用の回復は鈍いまま
~ 低賃金の非正規労働者が仕事から排除され、生活困難な状態に陥っていることが想定される
◆新社会提示を
・日本の経済力の衰えは、GDPや賃金に関する指標だけでなく、産業の市場シェアの点からも言える
・1980年代には世界一の市場シェアを有していた半導体産業(DRAM)やテレビ産業は、韓国のサムスンが圧倒
・高速大容量通信規格、第5世代移動通信システム(5G)の通信設備でも、米中対立の焦点となっているファーウェイやエリクソン、ノキアが中心。日本の通信機器企業は世界市場には進出できてない。
・EV市場~日本企業の生産・販売台数はアメリカのテスラや中国のBYDの後塵を拝している/EVの鍵を握るリチウムイオン電池でも中国企業に圧倒されつつある。
・再エネの中心設備である太陽光パネルや風力発電設備/中国やヨーロッパの企業が中心
- このように見てくると、日本は産業競争力やGDPで見る経済力は明らかに衰退傾向
*もちろん、地球環境問題を考えると、経済成長を全面的に肯定するわけにはいかない/が、1人当たりGDPの停滞が続くとともに、賃金の停滞も続くままでは、経済面では国民生活の向上は望めなくなる。
⇔この意味では、日本は拡大再生産を基調とする資本主義経済の限界に直面しており、新しい社会像の提示が求められる。
停滞の原因は政府と企業
・日本の成長率の停滞をもたらした要因~少子化による労働力の減少、企業の設備投資の停滞、技術革新の停滞
→ これらの要因は、政府の経済政策の失敗、企業の経営力の欠如によってもたらされたもの
◆規制緩和が軸
・2000年代の経済政策~ 09年からの民主党政権時を除き、市場競争重視の規制緩和政策を軸とする新自由主義的政策
・アベノミクス 機動的な財政政策として公共事業の拡大や、財界への賃金引き上げ要請、最低賃金引き上げ政策など、国民生活重視的な政策も一部織り込んだが、中心は企業競争力の強化に重点をおいた国家主導の新自由主義的政策
・新自由主義的政策 ~ 市場競争を重視し、参入規制や価格維持政策などは自由な競争を「阻害」する既得権益として攻撃し、撤廃したり、大幅に緩和したりするもの/ 規制を緩和したり、撤廃すれば、企業の参入が活発になり、価格の下落や新規サービスの登場などにより、消費者の利益になると宣伝されてきた
・新自由主義的政策で多くの分野で規制が緩和 /が、新規産業は勃興せず、経済は成長せず ⇔ 逆に、労働分野の規制緩和で大幅に非正規労働者を増大・交通運輸分野での競争激化で事故を誘発 などの弊害も生じさせた
・グローバル競争の激化、さらに国内でも競争政策が採られたこともあり、企業はリストラや人件費削減で利益創出へ⇔ それにより所得停滞で、国内での消費は拡大せず、消費財を中心に設備投資も拡大せず
・新自由主義的政策は自助努力を強調。社会保障支出縮減する政策で、国民の将来不安も高まった。
*新自由主義的政策を続けた結果 = 経済は成長しない一方で、将来不安も大きくなり消費停滞、国内市場が停滞
◆経営力の弱さ
・産業競争力の低下による経済成長を停滞 ~ 企業の経営力の低下によってもたらされたといって良いもの
⇔ 1990年代から経団連などは(1)円高 (2)法人税の高さ (3)電気料金の高さ (4)労働規制の厳しさ (5)自由貿易協定の遅れ (6)環境規制という外部環境の厳しさ―が企業経営を苦しめていると主張。その解決を政府に求めてきた
・が、現在は、財界が「六重苦」と言っていた事態は、解消しつつある
・為替レートは円安で推移し、法人税も1999年の30%から現在は23・2%まで低下
・電気料金も、現在ではドイツやデンマーク、イタリアなどと比べ高いわけではない
・労働規制 企業はすでに低賃金の非正規労働者を自由に利用。 財界の要望は、正規労働者の解雇自由
・FTA、EPA、TPPなど発効済み、署名済みの経済協定は21(21年1月)。
・環境規制は日本だけでなく、世界的に強化の方向。日本企業だけが厳しいわけではない
⇔ 産業競争力の低下は財界が主張する外部環境の厳しさによるのではなく、成長事業を創り出せない経営力の弱さ/財界は、経営力の劣化という自らの足元の問題を見つめ直す必要がある。
【 明海大学経済学部准教授 宮﨑礼二さん 1/14-15 】
米国労働者の団結の年
・世界最悪のコロナ感染者数と死者数を出しながらも、米国はコロナ禍による経済危機から迅速に脱出しつつある
◆回復の一方で、人手不足・供給不足
・「100年に1度」とも形容された2007~09年の金融危機/GDPが危機以前の水準に戻るのには3年を要した。
・対照的に、今回のコロナ危機/ 21年第2四半期(4~6月)にコロナ禍前(19年10~12月期)の水準を1年半で上回った
▽トランプ、バイデン両政権による積極的な財政支出(直接給付、失業保険給付の加算措置、中小企業の雇用維持支援の融資など)▽連邦準備制度理事会(FRB)によるゼロ金利政策と量的緩和▽ワクチンの普及
~ によって、コロナ禍で抑制されていた個人消費や設備投資が急激に持ち直している
・が、力強い経済の回復の一方で、労働力不足、原材料不足、半導体不足、コンテナ不足などの供給制約が生じている
・また、コロナ禍で石油需要激減による価格の大幅下落に直面した産油国は世界経済の回復に対応した増産に消極的であり、原油価格が高騰
⇔ 経済の急速な回復の一方での供給不足は、インフレ率の急上昇を招いている/ 21年10月の消費者物価指数(CPI) 前年同月比6・2%上昇。11月 同6・8%、12月 同7・0%上昇。1982年6月以来39年ぶりの高い伸び
・FRB 高インフレは「一時的」との認識だった/が、21年11月末 パウエルFRB議長は議会証言でその認識の修正を示唆。とりわけ、労働需給のひっ迫による賃金上昇の可能性を指摘 ~失業率 1948年の統計開始以来最悪の14・7%(2020年4月)から4・2%(21年11月)へと大きく改善を続け、求人需要に供給が追い付かない人手不足の状況に
◆よりよい機会
・労働者にとっては、よりよい賃金や雇用条件を求めて転職する機会
~ 就業者に占める自発的離職者の割合は過去最高を更新し続けている/離職者は、とりわけ対面勤務で賃金の低い業種で非常に多い。全産業での離職率 昨秋に過去最高3%に対し、宿泊・飲食 6・9%、小売り 4・4%の高水準を記録
・新規採用のできない企業が増え、人手不足の業種では、賃金引き上げで求職者の確保に乗り出している
~ 時間当たりの平均賃金 /昨夏以降対前月比で毎月0・5%上昇、10月と11月の対前年同月比の伸び率 5・8%と5・9%/が、それでも、最近の高いインフレ率に追いつかず、実質賃金はマイナスのまま
・需給ひっ迫の労働市場の動向は、大企業と株主に偏重する所得分配を労働者側に取り戻し、賃金・雇用条件の改善と公正社会を実現する好機になっている
⇔ バイデン政権による労働組合の権限強化の姿勢を追い風に、全米でストライキが起こり、これまで労組のなかった巨大企業でも組合結成の動きが活発になっている /労働者の運動は各州・郡・市で最低賃金引き上げを続々と実現させ、年内実現も含めれば全米半分の25州で運動が結実しようとしている
・22年は労働者の団結と99%の国民の尊厳のための政治選択の年になるでしょう。
若者と労働者が決起
・バイデン米大統領 「トリクルダウン理論は、一度も機能したことがない。底辺を引き上げ、中間層を起点に経済を成長させるときだ」と表明 ~ コロナ禍からの回復を図り、コロナ後の米国の転換を進めることを訴えた
・トリクルダウン理論 ~大企業と富裕層を優遇する減税政策の底流をなす新自由主義の考え方 /1981年に誕生したレーガン政権からトランプ前政権までの共和党政権が実施し、クリントン政権やオバマ政権といった民主党政権においても、トリクルダウン理論の信奉者が財務長官や国家経済会議議長を務めてきた。
◆若い世代の支持
・2020年大統領選挙で民主党の勝利を導いたのは、Z世代(1997年以降生まれ)とミレニアル世代(81年から96年生まれ)といった若い世代の強い支持
⇔ この世代/ 富の再分配、気候変動、人種やジェンダーによる差別、医療保険、性的指向の自由などを重要課題と考え、2019年の調査で、これら世代の6~7割が「大統領選で社会主義の候補に投票してもいい」と回答/民主党支持者の半分近くを占めるこの世代の存在が、オバマ政権期の副大統領として新自由主義を受容してきたバイデン氏の転換を推し進めている
・米国の新たな政治力の誕生のきっかけ~ 1%の富裕層が富を独占する不公正な社会に異議を唱える運動として11年秋にニューヨークで始まった「オキュパイ運動」
⇔ この運動は既存の労働組合や他の組織との連携を重視し、停滞していた労働運動に新風を吹き込んだ。/翌12年にはファストフード労働者による最低賃金15ドルを求める運動「ファイト・フォー・15ダラーズ」が発足。全米一斉ストライキや組織化の契機となった。
→ 社会運動と労働運動の新たなうねりは民主党の進歩派議員連盟(CPC)の議席増に結実
・CPCの政策 労働者を優先して経済社会の不平等を解消し、市民的自由を前進させるという進歩的なもの
→ 1991年 6人の下院議員で発足。現在、上院1人と下院95人にまで拡大/下院総数435人のうち22%、民主党下院議員221人の43%という一大勢力に/ 昨夏には週4日労働制導入の法案を提出
◆労組強化の支援
・2001年から20年の年平均ストライキ数 16件 /昨年、368件に
→ ストを通じた勝利は労働者に団結の意義を確信させ、労組のない大企業での組合結成を活発化
・今年はバイデン政権任期半ばの中間選挙が実施される年/ 共和党はトランプ前大統領の影響力を利用しながら保守的主張を強め、上下両院で多数派を奪還する自信をみせている
→が、 バイデン大統領を新自由主義からの転換に踏み込ませた草の根運動とCPCはトランプ前政権下の逆風にあらがい、新自由主義の荒波の中でも不屈の運動を続けた実績をもつ /今秋の中間選挙の結果いかんにかかわらず、新自由主義からの脱却と99%のための経済社会をめざす運動はますます大きなうねりになるに違いない
【岸田政権の「女性活躍」 に「期待しない」65% 女性アンケート調査 】
・インターネット調査会社「しゅふJOB総研」 昨年11月末、就労希望の女性586人に実施したアンケート調査
・岸田政権の「女性活躍推進」/「まったく期待しない」(24・7%)「あまり期待しない」(40・1%) 計64・8%
・フリー回答の声
「首相が誰でもあまり変わらない」「年配の男性閣僚ばかりだから」(ともに40代)等、政治分野のジェンダー平等の遅れを指摘
「活躍の推進と言われると都合の良いように持ち上げて働かされている気がする」(50代)、「今まで良くなったと思ったこと、実感がない。大手企業のみではないか」(30代)といった声~「女性活躍」を選挙や大企業のもうけに利用してきた自民党政権への批判が浮き彫りに
・岸田首相が全く触れない、女性に不安定で安価、補助労働を長年強いてきた構造的差別にこそメスを入れるべき
【内部留保還元し新自由主義転換 労働総研が春闘提言】
・主要先進国のなかで日本だけが20年間、実質賃金が上がらず、長期不況の原因になっていると指摘。企業の内部留保のごく一部を還元するだけで、賃金・労働条件を抜本的に改善し、日本経済を再生の軌道に乗せることができると提言
・この20年、新自由主義の下、リストラ・賃金抑制、非正規雇用の拡大などにより、20年度末時点で内部留保は704・3兆円に
⇔ 「大企業の利益は拡大したが労働者・国民の生活はむしろ悪化し、大きなギャップを抱えている」と告発
・ 「新自由主義からの転換」というのなら、
(1)長期不況前まで賃金水準を戻す
(2)この間の労働生産性上昇を踏まえた賃上げ
(3)賃金水準を西欧先進国並みに引き上げる―ことが必要だと提起
・全労連・春闘共闘が要求する月2万5千円の賃上げ ⇔ 内部留保の2・80%
・時給1500円 ⇔ 2・98%
・働くルール確立(不払い労働根絶、年休完全取得、週休2日制の完全実施) ⇔ 2・14%で可能
・最賃1500円とサービス残業根絶、非正規雇用の正規化を行えば賃金水準を1997年のピーク時まで回復させることができる。
「賃上げ・労働条件の改善は企業の負担増になるが、やがて生産増、販売増として経営に跳ね返ってくる」、「内部留保のごく一部を活用するだけで賃金・労働条件を抜本的に改善し、日本経済を新たな成長軌道に乗せることが可能になる」
◆賃上げで経済再生へ “悪魔の循環”から脱却を
・賃金アップ ⇔「国内需要増→国内生産増→付加価値増→国内需要増→国内生産増」という好循環に
・賃金ダウン ⇔「国内需要減→国内生産減→付加価値減→国内需要減→国内生産減」という“悪魔の循環”に
・この悪循環から脱するために
❶ 長期不況の前まで賃金水準を戻す
「毎月勤労統計調査」、月間現金給与総額のピーク1997年37万1670円⇔ 2020年31万8405円を5万3265円引き上げる
❷ 1997~2020年の労働生産性上昇率分をプラスする
ILO推計によれば労働生産性上昇率は16・7%で、11万5400円の賃上げが必要
❸ 賃金を西欧先進国並みに引き上げる 1カ月15万1672円の賃上げが必要
日本を除くG7諸国の賃金を労働者数で加重平均=2020年5万7710ドル。日本の平均年収は4万1164ドル
・これを実現するには、不払い労働の根絶、非正規雇用の正規化、最低賃金の時給1500円への引き上げで可能
・不払い残業に正当な報酬を支払えば、月間現金給与総額が1万2991円増加
・非正規雇用者を正規化し賃金格差を解消すれば、1万2156円増加
・最賃を時給1500円に引き上げると2万6641円増加
~ これにより平均賃金は、1997年のピークに達する
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