GAFA その支配の闇と規制強化の高まり(メモ)
膨大な個人情報の収集とそれを利用したターゲット広告。その収益拡大のために、危険な情報も「注目をあつめればよい」と垂れ流す姿勢 ~ これらが世界的に大問題になり、市民運動の広がりの中、規制の強化が進みだした。
~ それは、単なる独占に対する経済的規制だけではなく、人間の理性・自由を取り戻すための社会的な規制という新たな意義をもち、さらに市場の独占により、技術開発の障害物に転化した状況を打開することにつながる。
日本政府の「デジタル化」は、他国の教訓に学ばず、人権・民主主義を一顧だにせず、目先の企業利益と監視社会構築という大失敗の道を突き進んでいる。以下、赤旗連載、他の記事を整理したメモ
(1) 元従業員「憎悪を助長」
(2) 行動操るスマホゲーム
(3) 米の諜報機関が後押し
(4) 世界で進む規制強化
~ GAFA規制強化に乗り出した米国
・「デジタル田園都市構想」 ~ 地域が主役の立場なし
【GAFA支配】
(1)元従業員「憎悪を助長」 11/30
GAFA(ガーファ)と呼ばれる米国企業のグーグル、アップル、フェイスブック(現メタ)、アマゾンはデジタル化の進展とともに世界屈指の巨大企業に成長。個人や社会に対する新たな形の支配が問題になっている。
・GAFAの売上高合計 100兆円超/2021年8月に4社の株式時価総額の合計は7兆500億ドル(約770兆円)/日本の全上場企業の時価総額の合計を上回る。
◆情報を収集
・グーグルの基本ソフト「アンドロイド」が組み込まれたスマートフォンやタブレットは世界で30億台。iPhoneなどを販売するアップルの全製品の利用台数は16億5000万台。フェイスブックのグループ全体の利用者は35億人超え。
・問題~ 強力な市場支配力を持ったGAFAが人工知能(AI)を使って世界中の利用者からあらゆる個人情報を独占的に集め、分析し、行動を予測し、人々に影響を与えてコントロールしているという点
→ GAFAは新自由主義の政策を進める国家権力や諜報機関と深く結びついている/ 時にはそれらと一体となって個人情報やプライバシーを守る法律を骨抜きにし、個人を監視下に置き、社会全体を新たな形で支配しようとしている
◆紛争あおる
・21年10月、米上院公聴会 フェイスブックの元従業員が証言/ 同社がアルゴリズム(データ処理の手順)を変更した結果、憎悪を助長する投稿が拡散されやすくなり、「子どもたちを害し、分断をあおり、われわれの民主主義を弱めている」と。エチオピアなどでは民族の紛争をたきつけているとの見方を示しました。
「社内で何が起きているか、社外の人はほとんど知らない。フェイスブックの幹部は重要な情報を国民から隠している」
元従業員は、フェイスブックのデータにアクセスする権限を社外の専門家に与え、調査できるようにすべきだと指摘しました。
◆税逃れ許さぬルールを
GAFA4社の21年4~6月期決算は前期に続いて空前の大もうけを計上。4社の純利益合計 286億ドル(約3兆円)/グーグルとフェイスブックの純利益は倍増
◆資産が急増
GAFA創業者の資産も急増/アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏 コロナ危機が深刻化した20年3月から7月までに1・9倍に増え、2124億ドル(約24兆円) /フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO) 20年3月から8月までに倍増し、1000億ドル(約11兆円)に
・膨大な消費者データを蓄積し、それらの消費者に商品を売る機会を世界中の事業者に提供、巨額の広告料・手数料収入
◆もうけ助長
・現行税制の抜け穴もGAFAのぼろもうけを助長/ 進出先に「物理的拠点」(支店や工場)を持たないなどの理由で、海外であげた収益への課税免れ
・21年10月8日、税逃れに対抗して新たなルールを創設することで136カ国・地域が合意
(1)法人税に15%の世界共通の最低税率を設ける
(2)GAFAなど巨大グローバル企業の全世界利益の一部を市場国に配分して課税する―というもの
→ 税収が年1500億ドル(約17兆円)程度増えるとOECDは試算
★最低税率の導入は、30年以上続いた法人税減税競争への歯止めにつながる歴史的な転換/わが国をはじめ各国で行われてきた不公平税制をただす運動が政府や国際社会を動かした成果
・「15%では低い」などの課題はある。巨大グローバル企業の税逃れを許さず、より安定的で公正な国際課税ルールを確立し、迅速に実施する必要がある
(2)行動操るスマホゲーム 12/1
・インターネットでどんな情報を閲覧したか。誰とどんな通信をしたか。何を買ったか…。スマートフォン(スマホ)を使う人は、意識していなくても、膨大な個人情報を日々新たに生み出している。
→ そうした個人情報の一つに位置情報。GPSなどによって把握/ IT企業はスマホ利用者の位置情報を収集、分析、活用して収益を得ている。スマホゲームの中にも、利用者の位置情報を集め、利用者の行動を操る道具とされているものがある
◆誘導される現実
・「ポケモンGO」 2016年の発表以来、150以上の国と地域で展開され、ダウンロード数が10億超え
→ポケモンは任天堂などが生み出したゲーム/が、ポケモンGOは、グーグルから独立した「ナイアンティック社」が開発
・ポケモンGOの特徴/スマホの位置情報を活用することにより、現実世界そのものを舞台としてプレー /ゲームのためには、現実世界に設定されたポケストップに行かなければならない
・ポケストップとは、ポケモンを捕まえたり、成長させるためのさまざまなアイテムが出てくる場所のこと。ポケストップの多くは公園や駅周辺にありますが、ナ社とスポンサー契約を結んだ企業の店舗もポケストップに設定
・ポケモンGOをプレーしながら街を歩くと、必然的にコンビニやファストフード店に近寄ることになる/その店で飲食料などの現実の商品を買う人も出てくる
◆天然資源の人間
・ナ社はポケストップの位置をコントロールすることで、プレーヤーの群れを操り、スポンサーが展開する店舗に導いている
→ ポケモンGOがスポンサー企業の集客と売り上げに貢献する仕組み
・ポケモンGOの真の顧客は、商品をより多く売らんとする企業/ ナ社は16年以来、マクドナルドやセブンイレブン、ファミリーマートなどと契約を締結。ナ社はこれらの企業が支払うスポンサー料から収益をあげている。
・ポケモンGOの恐ろしい真実 /世界で数億人が遊ぶゲームを、「監視資本主義」のための道具に変換
・ナ社はポケモンGOで遊ぶプレーヤーの動きから、消費者の行動に関する多くの情報を得ている/ いつ、どこへ、どのようにして行ったか。そこにどのくらいの時間いたか。他には誰がいたか。
・ナ社は、ポケモンGOから集めた人々の行動情報をすべて集積、分析して、スポンサー企業を増やすなど、さらなる収益実現のために生かしている。/ナ社にとってプレーヤーは、行動情報を供給し続ける「人間という天然資源」
(3)米の諜報機関が後押し 12/2
・10月28日、SNS世界最大手の米フェイスブックは、社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表
→ 利用者の投稿の扱いなどをめぐって批判が強まる中、社名変更はそれをかわすための窮余の策と受けとめられている
・昨年の米議会襲撃事件の際、破壊活動が本格化するまで、暴力をあおる投稿を制限しなかったことに批判の声/フェイスブックの約5千万人の個人情報が、2016年の米大統領選でドナルド・トランプ候補陣営に利用されたことも報じられた
・米ワシントン・ポスト紙(21年10月25日付) フェイスブックのザッカーバーグ氏がベトナム共産党の要求を受け入れ、反政府派の投稿を検閲することを認めていたとする証言を紹介
◆行動巧みに誘導
スマートフォン その便利さ、手軽さから身近な存在となり、生活のあらゆる場面に関わっている/スマホで本を注文し、疑問に思うことを検索し、目的地までの経路を調べ、他人の投稿に「いいね!」をクリックし、好みの動画を見る
→ グーグルやフェイスブックはそうした情報を蓄積。利用者の趣味、交友関係、思想、支持政党まで分析することが可能
→ グーグルは検索履歴から、フェイスブックは投稿や「いいね!」の履歴から、個人の行動に関する情報を独占的に蓄積し、解析。アマゾンも購入・閲覧履歴から個人情報を集積します。
・世界の数十億人分の個人情報が吸い上げられ、人工知能(AI)によって分析されて、スマホの画面に購買意欲をくすぐる商品を表示するために活用 ⇔ 各人の好みに合わせて表示内容を変える「ターゲティング広告」
⇔ あたかも自分の自由意思で判断しているかのように利用者の行動を巧みに誘導し、支配する。
・「われわれの生活に関するあらゆる情報が収集・販売されるのは正常で不可避なことだと認めてしまったら、われわれは情報以上のものを失う。人としての自由を失うのだ」~アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO) 21年1月、個人情報の収集に依存するフェイスブックやグーグルの事業構造をこう批判。GAFAの一角を占める巨大企業からの本質を突いた指摘。
◆監視や規制回避
・新自由主義のイデオロギーに染まった権力や、「テロとのたたかい」を叫ぶ米国の諜報機関にも、GAFAは積極的に接近
・GAFAは新自由主義の流れに乗り、法律や規制からのあらゆる「自由」を要求
・プラットフォームやアルゴリズム(AIによるデータ処理の手順)を制限するような外部からの監視や規制を「表現の自由」の名のもとに避けることに成功してきた
・1996年に米国で成立した「通信品位法」230条は、ウェブサイトは発行者ではなく仲介者だという考え方を制度化
~ 利用者が発信した情報に関する訴訟からウェブサイトの所有者を保護する法律で、フェイスブック、グーグル、ツイッターを守る要塞(ようさい)に。
・GAFAの異常な成長を米諜報機関が後押し / デジタル情報の収集・分析を行う米国家安全保障局(NSA)のマイク・マッコーネル第13代長官 2010年の発言 「国の重要なインフラを守るために、…情報が公的機関と民間機関、機密と非機密との間を速やかに行き来できるよう、民間企業との効果的なパートナーシップを築かなければならない」
・NSAの元長官キース・アレクサンダー氏 20年9月、アマゾンの取締役に就任~ 「9・11テロ」を契機に強まったGAFAと米諜報機関との蜜月は、現在にいたるまで継ぎ目なく続いている
(4) 世界で進む規制強化 12/3
・米国では近年、GAFAの市場独占が公正な競争を妨げ、消費者の利益を損ねているとして規制を強化する動きが活発化
・GAFAの企業分割や、競合企業を消し去るための先手買収の防止などを求めた反トラスト法(独占禁止法)改正案が米連邦議会に提出。独禁法違反を問う州当局による訴訟も相次いでいる
・バイデン大統領 7月、プラットフォーマーによる市場独占で商品価格の高騰や賃金低下が起きているとして、政府機関に監督強化を指示する大統領令に署名
◆データの消去権
・EU インターネット上の消費者の権利保護を強めるため、新たにデジタルサービス法とデジタル市場法制定を進めている
→ デジタルサービス法案=プラットフォーマーへの監督・調査などを規定。欧州委員会が立ち入り検査する権限や、データベースとアルゴリズムにアクセスする権限を持つ /また、SNSでのヘイトスピーチなど違法な投稿内容の削除を事業者に義務づけ。違反した場合は最大で世界売上高の6%の罰金を科し、事業分割を命じることもできる。
→ デジタル市場法案=プラットフォーマーが自社サイトで自社サービスを優遇して他社を締め出す行為などを禁止。違反には最大で世界売上高の10%の厳罰を科す
?2018年施行、EU「一般データ保護規則」(GDPR)= 人工知能(AI)などの自動処理のみで重要な決定をくだされない権利、企業が蓄積したデータを消去させる権利などが明記/データ消去権は台湾、韓国などに広がっている。
◆逆行姿勢の日本
・デジタル化が進む中、多くの国が国民のプライバシーを守るための法律や監督機関を整備/が、日本政府は正反対に規制を弱めてデジタル化を促進する姿勢⇔20年、個人情報保護法改定、個人情報を企業が使いやすくするもの
・マイナンバーカードに固執し、機能拡大を狙っている ~ 健康保険証として本格運用、運転免許証や大学の学生証、在留カードとも一体化ねらう /国民の資産を把握するため、預貯金口座や国税・年金情報との紐づけもたくらんでいる
・さらにこの仕組みを都道府県、政令市に義務づけ、市町村にも広げようとしている
~ 岸田首相、21年11月16日、新たに発足させたデジタル臨時行政調査会の初会合で、国・地方の制度やルールを「デジタル時代に合ったものに作り直していく」。
→ 地方自治体が持つ機微な個人情報がマイナンバーによって国や警察、医療機関、年金機構などの持つ個人情報と結び付けられれば、個人のプライバシーは丸裸にされる、
→ それをしゃにむに進めようとしているのが、強力な権限を握るデジタル庁/ 国民の個人情報が特定企業によって簡単に「利活用」されるようになれば、喜ぶのはGAFA
★プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権 / 国民のためのデジタル化を進めるためには、信頼される政権のもとで、個人情報やプライバシーを保護するルールや体制を強めることが必須/GAFAから個人の自由を守り、民主主義の発展に資する真のデジタル化を実現する道
★日本共産党の政策 ▽マイナンバーカードやデジタル庁の廃止▽日本版GDPRの制定▽情報の自己決定権などを含む個人情報保護法と条例の抜本的強化▽行政と企業を国民の立場で監視・監督する第三者機関の設置▽事業者の個人情報漏えい事実の消費者への通知義務▽十分な被害救済▽罰則の強化など
【 GAFA規制強化に乗り出した米国 】
・米国のバイデン政権 ~ 反トラスト法(独占禁止法)にもとづくGAFAへの規制強化に乗り出している/この動きをどう見るか、龍谷大学名誉教授 夏目啓二さんに聞く 2021年12月22日
個人情報侵害し偽情報流す 人権守る独占規制、運動を
〇 日本の公正取引委員会にあたる連邦取引委員会(FTC)委員長に、GAFA追及の急先鋒といわれるリナ・カーン氏(コロンビア大学法科大学院准教授)を起用するなど、バイデン政権はGAFA規制強化の布陣を敷いている
・バイデン政権の規制当局の目標~ GAFAを規制対象とし、4社のネットワーク(プラットフォーム)にアクセスする利用者の個人情報を保護すること
・GAFAはネットにアクセスしてくる利用者の個人情報を無断で収集 ⇔ 問題は、AIを使った利用者の関心や利用動向の観察とその記録データの収集が、利用者が気づかないうちに行われ、それをビジネスに結び付けて収益をあげていること
~ 利用者の関心や嗜好をつかんで標的にしたターゲット広告を流し、アテンション=注目を集める情報ならなんでも利用する。大事なのは真実か虚偽かではなく、情報が注目されればいいという点
→ 「アテンション経済圏」~ フェイクニュース、偽情報が広がる原因として大問題に / 昨年、米大統領選、トランプ大統領のツイッターで呼びかけによる議会占拠/危険な情報と知りながらたれ流し続けた結果
★このような危険性をもつ情報経済の仕組み~ ショシャナ・ズボフ氏(米ハーバード・ビジネススクール名誉教授)は「監視資本主義」と命名/。これを規制するのが今回の重要なポイント
・規制対象 = ウェブページ、スマートフォンのアプリ画面で利用者の注目をデジタル広告市場と結びつけて収益化し、ばく大な利益をあげているビジネスモデル
~ 米国のネット広告の市場 / 1位がグーグル 28・9%、2位フェイスブック 25・2%、3位アマゾン 10・3%。この3社で60%以上 / グーグルもフェイスブックも、広告事業の収入で企業収益の8割から9割を稼いでいる
・危険情報や児童に対して健康上も危険だとわかっているものでも、注目を集めれば利益につながるので、危険を承知のうえでその情報を流す~ フェイスブックの元従業員が、米議会の証言でそのことを暴露し、問題に
・フェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグ氏の精神的支柱 = 投資家のロジャー・マクナミー氏 / フェイスブックやグーグルが「注目」の収益化のために、利用者の精神的健康への悪影響や、誤情報や偽情報の流布による民主主義への危害といった問題を意図的に無視し、人びとや社会に害悪をもたらしていると指摘し、規制を呼びかけ
〇この動きは大企業優先・弱肉強食の新自由主義政策からの転換の一環といえるか?
・反トラスト法の運用の歴史のなかで、1911年に巨大化したスタンダード石油の企業分割が行われた。/ が、第2次世界大戦後、汎用コンピュータ産業で巨大化したIBMに対し、69年に司法省が企業分割を提起したが、IBMは企業分割されることなく、83年には、司法省は訴訟を取り下げ
・80年代、レーガン政権の新自由主義の規制緩和で、独占企業の優越的な地位の乱用の禁止、競争の促進を掲げる反トラスト法の運用方針が緩和へと転換。それが今日まで続いてきた
・バイデン政権になり一変 / 反トラスト法は厳格に運用し、企業分割も辞さない。新自由主義的な運用方針は転換され、GAFAの反トラスト法違反行為を厳格に審査・措置するものになるとみらる
・2020年10月、米上院司法委員会は「デジタル市場における競争に関する調査」 の報告書を発表
→ 作成にかかわったカーン氏の主張が取り入れられ、GAFAの企業分割、GAFAのような支配的なプラットフォーム型企業による企業買収の審査の厳格化、反トラスト法構成3法のデジタル時代に合わせるための改正、執行機関であるFTCと司法省反トラスト局の予算や人員の拡充などを提言
★今回の独占禁止措置の意義 = GAFAの反トラスト法違反 ~ デジタル・ネットワーク時代の新しい独占による個人情報や人権の侵害にかかわるもので、その規制は大きな社会的影響を与える / 単なる独占に対する経済的規制だけではなく、人間の理性・自由を取り戻すための社会的な規制
★もう一つ大事な点/ 独占の禁止が技術革新を促進すること / GAFAは、技術革新の担い手だったが、合併などで市場を独占して利益を優先し、いまやIoTなど新しい技術革新を進める障害に
→ この独占規制は、技術革新に貢献する社会制度・法的枠組みにもなっている
〇 巨大IT資本への民主的規制をすすめるうえで、いま求められるものは?
・欧米では、誤情報、偽情報、陰謀説を無責任に広げるソーシャルメディアに批判が高まり
・今年春、EUで個人データ保護の監視に責任を持つ欧州データ保護監督官が、標的型広告ビジネスを禁止する立法を呼びかけ/さらにターゲット広告を禁止する立法を呼びかけるオンライン署名運動を多数の市民団体、非営利団体が共同で春に立ち上げ、夏には欧州の団体が合流、欧米共通の運動に拡大
★政府による規制とともに、規制を求める社会運動が結び付くことが重要。とくに民主的規制には経済民主主義の主体である市民の運動が欠かせない。
・日本政府 = デジタル化一辺倒で、一番の要である個人情報の保護をなおざりにして監視資本主義を推進
~ 「新しい資本主義」どころか、「マイナンバーカード資本主義」が岸田内閣の素顔で、恥ずかしい限り。これに歯止めをかける市民運動を広げていくことが大事
◆なつめ・けいじ 名古屋市生まれ。立命館大学大学院修了、博士(経営学)。龍谷大学名誉教授。日本比較経営学会元理事長。著書は『アメリカIT多国籍企業の経営戦略』『21世紀のICT多国籍企業』『現代中国のICT多国籍企業』(共著)など多数。
【 デジタル田園都市 地域が主役の立場が見えない 】
・岸田政権が進める「デジタル田園都市国家構想」/11月に決めた経済対策でデジタル田園都市国家構想を成長戦略の柱に位置づけ/ 「地方を活性化し、世界とつながる」が合言葉
→大都市と地方の格差を広げてきた政策の延長線 /大企業が手掛けるデジタル事業への支援が中心。地方活性化の政策が乏しく、個人情報を金もうけに利用する危険な施策
◆危険な個人情報の利用
・デジタル田園都市国家構想実現会議 ~ 社会保障の削減や中小企業の淘汰など極端な新自由主義を主張する竹中平蔵慶大名誉教授(パソナグループ会長)、経団連副会長の冨田哲郎JR東日本会長が参加
→次世代高速通信網整備、データセンター設置など大規模事業は並ぶ/が、地方の雇用増、賃金格差是正の政策なし
・実現会議に政府が提出した資料 ~ 地方から東京圏への転入の理由として「希望する仕事が見つからない」「賃金など待遇の良い仕事が見つからない」ことが多数。が、大企業がもうかれば地域がよくなるという考えに固執
⇔ 急務なのは、地方経済の主役である中小企業の振興や農山村の危機打開、全国一律最低賃金の実現
・デジタル田園都市国家構想~個人情報を企業の金もうけに利活用する政策が重点
→ デジタル庁資料 「オープンデータの促進」「地域ビッグデータの活用」が明記 / 行政機関などが持つ住民の膨大な個人情報を匿名加工した上で本人の同意なく民間に売り渡し、企業はそれを使って事業を展開。個人情報に関する権利をないがしろにする施策。
・個人情報を集めるために力を入れているのがマイナンバーカードの普及
→ 普及が進まないのは個人情報の流出や悪用に国民が不安を持っているから。マイナポイントの付与と引き換えにカードを国民に押し付けることは地方の活性化と全く無関係
・同構想は、9月に施行されたデジタル関連法に基づいて「自治体情報システムの標準化・共通化」を推進
→ 国のシステムに合わない自治体独自の施策が制限される恐れ
・国家戦略特区を活用してデジタル都市をつくる「スーパーシティ構想」の早期実現も。
★いずれも地方自治を損ないかねない政策
◆東京一極集中を改めよ・・・・地方経済の疲弊や住民の流出を招いた要因
・歴代政府の政策の結果 ⇔が、「国際競争力強化」の名で大規模な都市再開発をなおも推進し、リニア中央新幹線の建設などで東京に人、物、金をさらに集中させる政策、
★真に必要なのは・・・地方経済の主役である中小企業の振興、農山村の危機打開、全国一律最低賃金の実現、ケア労働の重視・処遇改善、自治体労働者・教員の増員・多忙化解消、地域に根差した再エネ推進など
(12/2)
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