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日本経済をダメにしたルールなき資本主義

 経済成長も賃金も低迷をつづけ、様々な分野で「先進国唯一」「 〃 最下位」の指標が並ぶ「衰退途上国・日本」を生み出したのは、自公政権・財界による新自由主義路線である。いくつの分野のメモ書き

・ルールなき資本主義の実態 ILO条約の批准数。EUとのルールの比較、税収

・エネルギーシフトにむきぅわない。科学技術水準も地盤沈下、「周回遅れ」

・農業・食の安全も放り出し、先進国最低の自給率、農薬・添加物まみれの食材の処分場化

 ~ 石炭ゼロ・食の安全という世界の流れについてゆけず、国際的なサプライチェーンからはじき出される危険がある。

 

◆「ルールなき資本主義」の告発⑴

ILO(国際労働機関)の条約で日本が未批准のもの

・1号(一日8時間、週48時間労働)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)などの労働時間・休暇関係の条約は一本も批准してない。米と日本だけ/105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇の禁止)、158号(解雇規制条約)、175号(パートタイム条約)も未批准/批准は18348

②国連女性差別撤廃条約(1979年)

・雇用の男女平等、女性の社会進出、家庭と仕事の両立など、あらゆる差別の撤廃を義務づけた画期的な条約。形式的に批准しただけで実質はまったく実行してない。撤廃委員会から、毎回、強い批判をうけている。

 

◆「ルールなき資本主義」の告発(2

EU全体のルール

・週48時間を越えた労働を禁止した「労働時間指令」、「パートタイム労働者とフルタイム労働者の均等待遇を定めた「パートタイム労働指令」雇用契約期間の定めがある労働は合理的理由がある場合に限定する「有期労働指令」等。

・EU全体で非正規労働者の割合は1割程度。

 

・ドイツの失業給付。「失業給付1」 1年以上働いた場合6ヶ月、3年以上は18ヶ月。最高32ヶ月。給付額は現役の60%。「失業給付2」(失業給付期間が終わっても仕事が見つからない人。就職決定まで給付。雇用保険の未加入者も対象〕 支給額は現役の50%程度。この期間の医療、年金は政府負担。

・フランスの失業給付。3段階。最長60ヶ月、5年間。その後も就労できない場合、「最低所得制度」で月13万程度(二人世帯)、医療費無料、住宅手当ては別途支給。公共交通機関が無料の自治体も。

 

②日本はどうか

失業給付は5ヶ月(自己都合 20年以上の保険加入が条件)、最長11ヶ月(会社都合 同20年以上 45歳から60歳未満に限る)。失業者で失業給付を受けている割合はわずか2割。/雇用によらない働き方の推進

 

*「社会保障は労働者階級のもの」…どんなひどい条件でも働かざるを得ない状況を制限/イギリス 20世紀初頭の「貧困の発見」にもとづく政策「失業保険」「無拠出年金制度」創設〔ブースの雇用政策〕/時短も、失業対策

(「半失業」、産業予備軍を人為的に解消・・・資本蓄積の一般法則「富と貧困の蓄積」への社会的バリケード)

 

◆税制などにみる大企業の支配 

89年消費税導入 15年決算の27年間~ 305兆円の消費税収、法人3税の減税分は262兆円 

法人税率 198851.55→201829.374%/ 法人税の実質負担率は中小企業20%、大企業12%。

②下請けへの犠牲転化   単価引下げ、消費税負担 /日本経済の2重構造。/ヨーロッパでは対等、

③タックスヘイブンなど税の空洞化     各国政府も問題視

 

★日本経済の基盤を特別に弱いものに /重要な見方

・長い目で見て、改革のメスをいれるべき、重要な焦点の問題に力点、真の構造的問題

・逆立ち財政、ルール無き資本主義、人権問題、中小企業と農業の異常な困難、環境問題、アメリカ経済介入

 

*日本の電器産業の敗北 目先の利益で、韓国、中国へ技術移転・育成→収益悪化には技術者を大量解雇(技術の流出へ)。/属米の弊害 86年日米半導体協定。株主資本主義のおしつけで長期的な開発・ものづくりに打撃

 

◆気候危機と新型コロナ  ・・・利潤第一主義の生み出した危機  「あとは野となれ山となれ」

①気候危機  産業革命以来の化石燃料の大量放出/大量生産・大量消費・大量廃棄

≪参考≫ 気候危機に対する世界の動き

・パリ協定 地球温度を産業革命前から1.5度以内抑える/21世紀後半には化石燃料からの温暖化ガス排出がゼロに化石燃料が無価値になるリスク/福島原発事故(巨大なリスクと高騰する安全対策費)

 ここから世界の機関投資家、多国籍企業のもとで「脱炭素」「脱原発」(投資の対象としない)の巨大な動き再生可能エネルギー、電気自動車へのシフト/再エネ100%で企業活動を営むことを目標に掲げた企業への認定「RE100」/アップル、グーグル、マイクロソフト、GMBWM、コカコーラなど欧米など90の多国籍企業が参加 。日本 リコー、積水ハウスのみ/2015年石炭関連企業へ保険引き受けを停止する保険会社も増加。仏アクサ、英ロイズ、独アリアンツ、スイス・チューリッヒ保険など、欧州系中心に15社 /日本の保険会社はゼロ

・生産力の高度化という資本主義の生命力を示すもの。同時に社会的コントロールにより未来社会を準備するもの

 

◆日本における技術革新停滞の要因

1)重層的下請け構造とスタートアップ企業の少なさ

日本 受託開発が多く、ソフトウェア・プロダクト開発企業は多くない/ 重層的な下請け構造…中小、個人のソフト開発技術者は、大企業などに派遣され、下請け構造の一員として開発にあたる。

→工程ごとに下請け…元請けの技術者は、それをマネジメントする管理者

→アメリカでは、プログラマーとして2030年と活躍する人が多数、日本は元請けに入ると管理者化優秀なプログラマーがいても、開発に行かせない。

※アメリカ 大企業同志もかるが、スタートアップ企業との連携が多い

→特に、量子技術、バイオ創薬…大学、研究機関で基礎研究をもとに、それを実用化するスタートアップ企業

→パイオ創薬 実用にむけた何次もの臨床試験を実施し、製品化のメドがついた段階で、大手企業とライセンス契約を交わし、生産に入へ

 

※日本 スタートアップ企業が少ない/大企業も欧米のスタートアップ企業との連携が多い

→技術に投資するベンチャーキャピタルが少ない、起業リスクの高さ、特許取得の困難さ、既存大企業の妨害

 

()研究開発者における博士号取得者の少なさ

※大学での研究力の低下

Nature Index収録の高水準の科学論文に占める日本の割合 ここ10年大きく低下   経団連「周回遅れ」

→ 特に日本が従来強かった材料科学と工学の論文数が大きく低下

 

※研究力の低下…中長期的には技術革新を主導する研究開発力の低下に。

→その人的な現れ/企業の研究開発における博士号取得者の少なさ

 

・企業の新規採用(18) 24006人、うち博士号891人、3.7% 「科学技術研究調査」

 →日本の企業は、博士号取得者の採用をすすめていない。

 

※人口100万人あたりの博士号取得者(2014年度)

・日本118人、アメリカ272人、ドイツ348人、フランス177人、イギリス353人、韓国279

・しかも、08年度比較で、日本だけが減少 131→118

 

※日本の博士課程在学者数

9543774人、0675365(ピーク)1773913人~企業就職が困難、大学も任期付採用

 

★博士過程進学者数の減少、取得者数の少なさ ⇒ 日本の技術革新停滞の大きな要因

20年以上前から問題視されてきたが、未だ解決されていない。今後もより深刻な形で現れてくる。

 

◆有機農業

2020年に発表された世界全体の有機農業取組面積は7,150haで、これは昨年から202haも増加したことになります(前年比2.9%増)。202haというのは、身近なものでたとえると、東京ドーム約425千個分にもなり、世界で有機農業が広がる勢いの凄さが想像できると思います。

 

総農地に占める有機農地の占有率は、世界全体で1.5%になりました。しかし、国別で見ると多くの国ではこの値をすでに超えており、占有率2桁を超える国が今年のデータでは16ヶ国にもなります。

1位はリヒテンシュタイン(38.5%)、2位はサモア(34.5%)、3位にオーストリア(24.7%)と続き、日本における有機農地占有率0.2%(世界109位)と世界上位国では大きな開きがあることがわかります。

 

世界で有機農業が取り組まれている土地の3分の2以上に当たる4,820haは、実は牧草地として利用されています(前年比2.9%増)

 

今年、農産物で驚異的な成長を遂げたのは、オーガニックコットンでした。その生産量は全体で18万トンを超え、成長率は対前年56%増にもなります。オーガニックコットンのおもな生産地はインド、中国、キルギスタンといったアジア地域に集中しています。 → 農薬、児童労働

 

★世界における有機農業の急速な拡大

世界的な有機農産物市場の拡大も急速だ。有機栽培はコロナ禍での免疫力強化の観点からも一層注目され、欧州委員会は、この5月に「欧州グリーンディール」として2030年までの10年間に「農薬の50%削減」、「化学肥料の20%削減」と「有機栽培面積の25%への拡大」などを明記した。

 

EUへの有機農産物の輸出の第1位は中国となっている。しかも、輸出向けだけ有機栽培を増やす国家戦略なのかと思いきや、最新のデータ(印鑰智哉氏提供)によると、中国はすでに世界3位の有機農産物の生産国になっている。これが世界で起きている現実である。

 

◆農薬など禁止

★「アメリカの農薬会社・モンサント(2018年にドイツの製薬会社・バイエルが買収)の主力除草剤・ラウンドアップ(有効成分はグリホサート)が原因でガンを発症した」と、カリフォルニア州の夫婦が賠償を求めた裁判で、州裁判所の陪審は同社に対して日本円に換算して約2200億円の支払いを命ずる評決をくだした 民事訴訟  1万件以上

 

★日本の基準が緩いと、海外からの日本への輸入は入りやすくなる。例えば、除草剤は国内では小麦にかける人はいないが、米国では、小麦、大豆、とうもろこしに直接かける。それが残留基準の緩い日本に大量に入ってきて、小麦粉、食パン、しょうゆなどから検出されている。畜産物の成長ホルモン投与も日本では認可されていないが、輸入はザル状態なので、米国からの輸入には含まれている。国産牛肉(天然に持っているホルモン)600倍も検出された事例もある。

農薬自体についても、EUで禁止された農薬を日本に販売攻勢をかけるといったことも起きている(

 

★農林水産省はグリホサートを有効成分とする農薬の新商品を淡々と登録。厚生労働省は201712月、一部の農産物の残留基準値を引き上げた。特に目立つのがパンやパスタ、シリアルなどの原料となる穀類で、小麦は5.0ppmから6倍の30ppm、ライ麦が0.2ppmから150倍の30ppm、とうもろこしが1.0ppmから5倍の5ppmへと、大幅に引き上げられた。そばも0.2ppmから30ppmへと150倍に緩和された。

 

★フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアは2021年までに、除草剤グリホサートを使用禁止にするとした。一方、日本は2017年に小麦、大麦、ライ麦、そば、トウモロコシなどの穀物の残留基準を大幅に引き上げた。小麦で6倍、そば・ライ麦で150倍にも上る。なぜか日本だけが世界の潮流に逆行している

 

◆アニマルウェルフェア    卵  リオ、ロンドン ケージでなく

高密度環境の「バタリーケージ」飼育は、「工場畜産」と批判されている。日本ではいまだに9割以上の採卵鶏農場が使っているからだ。一方、欧州はすでにバタリーケージを廃止

→ 大手鶏卵業者からの違法献金事件の原因

 

◆水輸入

1日3リットルの水を飲み、300リットルの水を使い、3000リットルの水を食べる日本人   1/3が食品ロス

豚肉100グラム当たり590リットル、牛肉100グラム当たり2060リット

 輸入している食品を作るのに必要な水を計算してみると、年間627億トンになる。これは、日本人が1日1人当たり1.4トンの水を輸入

  欧米 牛・羊の消費4050%減

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