国際課税新ルールの意義と課題 /新自由主義を乗り越えて(メモ)
政治経済研究所理事 合田寛さんによる「赤旗」連載の論稿など・・。
あらたに合意した 「国際課税新ルール 意義と課題」
税の空洞化を導いた「税と新自由主義」の関係
税逃れの実態・・「税逃れ 世界の損失144兆円 英国は“租税回避地の親玉”」
【1.国際課税新ルール 意義と課題 】
◆「歴史的」な合意。だが…
・イタリア・ベネチアで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(7月10日)で、法人税の国際ルールに関する合意が成立。
・国際課税の議論はGAFAなど巨大IT企業を念頭に置いたもの~「課税逃れ」を封じる国際課税の新しいルールづくり。
・会議の「声明」・・・「より安定的でより公正な国際課税制度に関する歴史的な合意を成し遂げた」と成果を強調。
◆重大な問題含む
・両面の丁寧な検証を~ 確かに「歴史的」な側面がある/が、極めて不十分で、重大な問題をはらんでいる。
・G20で合意された内容 二つの柱
(1)タックスヘイブン(租税回避地)に移転された多国籍企業の利益の再配分
(2)国際的な最低税率の設定
・「国内に工場などの物理的拠点(PT)を持たない海外企業には課税しない」という現行の国際課税ルール
→ GAFAなどデジタル巨大企業は、多くの国で課税を免れ-- ネットを通じて海外の拠点からサービスを提供できるため
・これらの企業の収益は特許権や商標権などの無形資産によるところが大きく、無形資産をタックスヘイブンなど低税率国・地域の子会社に移すことで、これらの国・地域に利益を移転し、課税を免れてる。
・利益移転を可能にしているのは、現行の国際課税ルールの基礎にある「アームズ・レングス原則」~ 多国籍企業グループ内の会社間取引に適用される価格は、市場で一般的に成立することが予想される価格によるべきだというルール
→ が、無形資産には市場で一般的に成立する標準価格は存在しない/ 多くの多国籍企業は無形資産を低税率国子会社に安価で譲渡し、その子会社に対する特許使用料(ロイヤルティー)などの支払いを通じて利益を移転
・「物理的拠点なければ課税なし」ルール、「アームズ・レングス原則」も、およそ1世紀前につくられた、現行国際課税ルールの基本的な土台とされている原則
★G20会議で合意された内容は、これらの原則に風穴を開ける突破口となるもの
→ 「声明」が「歴史的な合意」とその成果を強調していることも、その限り、誇張でない。
◆合意された新ルール
❶の柱 、多国籍企業グループの総利益を合算した上で、一定の配分基準に従って総利益への課税権を各国に再配分するというもの/ こうした考え方は従来の国際課税ルールにない⇔ 新しい国際課税ルールへ踏み出した大きな一歩
→ 恩恵一部国のみ / 適用範囲が問題 ~ 利益再配分の対象として合意された多国籍企業は、全世界での売上高が200億ユーロ(約2・6兆円)を超える企業~ 該当するのは約100社程度の超巨大企業
・これまでの合意 売上高が7・5億ユーロ(約970億円)以上とされていたので、対象企業がさらに絞られた
・配分される利益額 利益率10%を上回る部分のうち、20~30%の範囲/その額を市場国(消費者のいる国)に売上高に応じて配分するというも
→ 再配分の対象となる利益は、多国籍企業の総利益のごく一部/残りの大部分は、現行の課税原則が適用
★配分される利益は約1000億ドルと見られる/売上高に応じて配分~大半はG7を構成する大国に向かい、貧困国を含む多くの国にはほとんど恩恵はない
❷ 国際最低是率 低すぎる最低税率
・法人税の税率引き下げ競争~ 、1980年代以降、英米両国が主導して進められたもの/それまで40%、50%台だった税率が、今日では20%前後となり、2分の1、あるいはそれ以下の税率となった。
・国家が法人税率を下げる理由 ~ 高い法人税は投資を抑制し、経済成長を妨げるという固定観念/が、この数十年の一方的な税率引き下げは投資を呼び起こさなかったばかりか、企業は減税で余剰となった資金をため込み、タックスヘイブン(租税回避地)に移転してきた
・税率引き下げの傾向を止めるには、最低税率に関する国際的な合意が必要/ バイデン政権がそれを提起し、G20で合意が成立したことは、まさに歴史的な出来事。
◆税収は先進国に
・本当に歴史的な転換点となるかどうかは、設定する最低税率の水準による/低すぎると引下げ競争をさらにあおる結果に。
・バイデン政権 「米国雇用計画」の財源として、法人税の税率を現行の21%から28%にする計画。英国も現行の19%から25%へ引き上げる計画を発表。
・合意された「少なくとも15%」という税率は、あまりに低すぎる/ 世界の法人税率の国内総生産(GDP)加重平均である25%前後が望ましい水準 /少なくとも米国が自国の多国籍企業に適用しようとしている最低税率の21%を目指すべき
・15%の最低税率によって期待できる税収は1500億ドル(約16・5兆円)~が、最低税率に満たない分を多国籍企業の母国が上乗せ課税する方式のため、低税率国での課税強化が進まなければ、新たな税収の大半を先進国が得ることになる。
◆多国籍企業配慮 15%に国際的市民団体から反対の声
・オックスファム・インターナショナル 「バーが低すぎて、どんな企業でも乗り越える」とし次のように批判
「いま世界は高まる不平等と気候変動とたたかうために、公正な税の交渉を求めている。しかし交渉の結果は主要7カ国(G7)によるマネーの横取りに他ならない」 「G7と欧州連合(EU)は15%の最低税率が生み出す収入の3分の2を手に入れる一方、世界の人口の3分の1以上を占める貧困国に入るのは3%以下だ」。
・経済学者のスティグリッツらが参加する国際企業課税改革独立委員会(ICRICT)の批判
「15%の最低税率はあまりにも低い。それはアイルランドやシンガポールなどの最悪の行動を正当化するものだ。底辺への競争を加速し、15%の税率をニューノーマル(新しい常態)にするリスクがある」 「第2次大戦時、フランクリン・ルーズベルトは企業に40~50%の法人税を課し、高税率がその後数十年続けられた。それこそ、パンデミックで税収が不足しているいま、最も必要とされていることだ」。
・『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティ
「15%の税率は、最も強力なプレーヤーに詐欺のライセンスを公認するようなものだ」 「アメリカの億万長者はほとんど税を払っておらず、法人税が富裕者にとって最後の納税となっている。利益は企業にため込まれ、あるいはトラストや持ち株会社の仕組みのなかに隠され、税を逃れている」。
★G20が15%の低税率に固執するのは、タックスヘイブンの温存を望む多国籍企業への配慮がある
★力を集め最終決着へ
・今回の合意~13年に始まった多国籍企業課税をめぐる国際協議の結果であり、現時の到達点
→ 歴史的な改革の入り口に立ち、大きな第一歩を踏み出した/が、まだまだ不十分
2. 大国の影響排除 公正なルールの確立を
・公正な国際課税のルールの構築⇔大国の支配的影響を排除し、すべての国が参加して取り組まれるべきもの。
・そのために必要な枠組み
❶ G7やG20で大枠を決めるのではなく、すべての国が参加する国連に協議の場を移すこと。/それには、税に関する国連の資源や人材を強化する必要がある。
・国連の税の協力に関する専門家委員会・・・ 今年4月、デジタル課税に関して、国連モデル条約に新条項を加えることに合意。/ デジタル企業に対して、所得が生まれた源泉国が支払い時に源泉税を課すというもの
❷、英米に対する対抗力を形成すること/EUの独自の取り組みはそのために有効
→今年6月、ヨーロッパ委員会が立ち上げた「EU租税観測所」 ~ 脱税や税逃れなどの問題でEUの政策決定を支援する研究所で、この分野の著名な専門家であるガブリエル・ズックマンがキャップ。
→EU租税観測所 6月、法人税の最低税率に関するリポートを公表 /最低税率について、15%、21%、25%の前提を置き、それぞれの税収を試算 ( リポートはEU以外の国の試算も実施 )
25%での試算 =EU全体で1678億ユーロの税収、それは法人税収の52・3%に達する
米国の場合 1654億ユーロ(法人税収の43・9%)、日本の場合 287億ユーロ(法人税収の15・4%)の税収
・試算はより高い最低税率の合意を得るために有益なものです。
❸ 各国が多様な対抗手段を講じること。
・現在約40カ国が導入している「デジタルサービス税(DST)」~ デジタル巨大企業の売り上げに課税する独自の課税
→ G20合意は課税権の再配分と引き換えに、これを凍結・廃止することを求めている
・が、課税権の再配分によって得られるわずかな税収と引き換えにDSTを廃止すれば、貴重な税収を失うことになる
→ デジタルビジネスでは限界費用(生産量を1単位増やしたときに増える費用)がゼロに近く、売り上げは利益に近いと考えられるので、DSTには十分な課税の根拠がある
◆新税制の導入も コロナ下で緊急な財源が求められ、新たな税制を導入するチャンス
・6月、国際NGOタックス・ジャスティス・ネットワークのアドバイザーであるジェームズ・ヘンリーは、G7の各国に対して、金融取引税の創設を求める手紙を送付。
→ 手紙の内容 、“G7が合意した最低税率では貧困国にはほとんど効果がない。いまこそG7の取引所で取引されるすべての株式取引に0・1%の税率をかける金融取引税を創設し、生み出される年間500億ドルを途上国に配分すべきだ
【2 税と新自由主義 】
◆投資家「わが階級の勝利」
- 新型コロナウイルス危機は新自由主義との関係
・新型コロナのパンデミックは世界の重層的な危機を顕在化~ 新自由主義の政策によって以前から進行していた危機
~ 医療崩壊、貧困と極端な不平等、金融・財政・経済の危機など
・新自由主義とは・・・ WWⅡ後に先進諸国が採用したケインズ政策に対する反動攻勢として登場
→ ケインズ政策/国家が完全雇用や不平等是正をめざして資本の活動に介入することを容認/諸国民のたたかいを背景に、資本への社会的規制が進み、労働組合の活動が活発化し、税と社会保障による所得の再分配が強められた
→ これを資本蓄積の危機とみた資本の側が思想闘争を企てた。
・1947年、フリードリヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンらが創設したモンペルラン協会が新自由主義の拠点
→ 彼らは「自由市場原理」を個人の自由と同一視し、資本にとって不都合な国家の介入や労働組合の活動を排除するための世界的運動を展開
→ 新自由主義の「自由」とは第一に「資本の自由」/ とりわけ巨大資本が支配する今日の資本主義の下では、新自由主義思想は巨大資本の利潤追求の自由を優先する政策として表れた
→ 資本所得への減税、社会保障制度の解体、資本への規制緩和、国有企業の民営化、労働組合活動の制限など
→ 労働者や中小企業には市場原理を説いて競争と自己責任の荒波に放り出す。が、巨大資本のためには平気で市場原理をゆがめてきた(リーマン危機 公的資金の注入 「大きすぎてつぶせない」)。
2. 新自由主義とグローバル化の関係
・新自由主義思想と結びつき、その政策を世界に広げたのがグローバル化 (資本が国境を越えて自由に移動すること)
→ 米英両国の主導で1980年代以降に世界中で進められた金融自由化や貿易自由化により、国境を越えた資本移動が自由になった。
・その結果何が起きたか ・・・ 税制をみれば明らか
→ 大企業と富裕な個人は租税回避地に所得を移し、自国の高い税率を逃れた。/ある国が他国の資本を呼び込むために資本所得への課税を軽減すると、他国も追随して減税する、際限のない「底辺への競争」に
・79年誕生 サッチャー首相 83%程度だった個人所得税の最高税率を一気に40%に。法人税率も52%から35%に。81年誕生 レーガン大統領も同様の大減税。 ⇔ これ以降、富裕層減税の競争が世界的な潮流に。/現在、所得税の最高税率・・・米国37%、英国45%、日本45%と、80年代のほぼ半分の水準に/法人税率(国税)も、米国21%、英国19%、日本23・2%と、80年代の半分程度に低下
・各国は国境を自由に越えられない労働や消費を課税対象に選び、社会保険料(給与税)、消費税(付加価値税)を引き上げ。資本課税から労働課税へのシフトが進んだ。
・米国の投資家ウォーレン・バフェット 「過去20年間、階級闘争が続いたが、勝利したのはわれわれの階級だ。われわれの階級が税率を劇的に引き下げたのだ」(2011年9月30日付、米紙ワシントン・ポスト)。
3. 「底辺への競争」が資本家階級に勝利をもたらした
税だけでなく、各国はグローバル資本を優遇する経済特区をつくり、労働・環境規制の緩和、低賃金、減税、補助金などによる資本誘致を競った/ 税収が減れば「財政均衡」を旗印に社会保障を切り縮めた
→ 。労働者階級の権利を全般的に切り下げる「底辺への競争」が起きた
・その結果 グローバル資本は高利潤を得て株価が高騰
→ 資本家階級の所得が増加して富が累積する一方、労働者階級の所得は停滞して貧困が累積
・グローバル化と新自由主義は相まって、グローバル資本が支配する世界をつくり出した
◆ 勝者GAFAが総取り
1. 一握りの富裕層 /格差、不平等の広がり
・世界不平等研究所 『世界不平等レポート2018』 ~1980年以降の約40年間、世界の総所得の伸びの構成を計測
・世界の所得上位0・1%の個人 13%を得ており、下位50%が得た12%を上回っている
・上位1%の個人は27%を得ており、世界の所得の伸びの4分の1以上を1%の富裕者が得ている
・近年の不平等の特徴~ ごく一握りの富裕者に富が集中
米誌『フォーブス』 世界長者番付~ 1987年 10億ドル以上の資産を保有する人140人、資産総額 2950億ドル
→ 2021年 2755人と約20倍、資産総額13兆1000億ドル(約1500兆円)と約44倍に増加
- 強大な権限手中 ~ GAFAなど米国のIT企業の創業者が長者番付の上位を独占
・GAFAは市場を支配する現代の巨大独占企業――デジタル革命の成果を取り入れ、異常な高収益を得ている。
・デジタル革命~あらゆる情報を0と1の列として記号化。「完全・瞬時・無料」で複製・伝達することを可能にした。IT企業はほとんど追加コストなしでサービスを無限に拡大できる。
→この成果を生かし、無数の売り手と買い手をインターネット上で結びつけるプラットフォーム(基盤)型ビジネスを創出/例えばグーグル・・・無料の検索サービスを提供して膨大な利用者を抱え込む一方、これら利用者の関心に応じて表示される広告の枠を事業者に売り、収入を得ている。
→ 囲い込む顧客が多いほど収益が増えるので、GAFAは10年ほどの間に数百社の競争企業を買収/各分野で圧倒的なシェアを握り、その分野の情報を独占・支配・管理する強大な権限を得た。
・競争は短期間で勝者総取りに終わり、独占を形成~ GAFAはプラットフォームを主宰する立場を使って自己を優先させ、略奪的価格を設定し、排他的な行為で独占を強化/進出先の国々で巨額の税を逃れることも高収益の大きな要因
グローバル化と新自由主義がもたらしたのは 公平な市場競争ではなく、不公平な独占と不平等な富の集中
◆資本の支配 打ち破る力
1. グローバル化と新自由主義にどう対抗するか 世界的な連帯を 。
・新自由主義の背後にグローバルな競争を利用した資本の支配がある
→ 打ち破る力はグローバルな連帯の中から生まれる/ 税の国際協力の取り組みは、新たな道へ踏み出した大きな一歩
・税の国際協力 2012年 OECDの主導で開始。15年に最終報告書/ 多国籍企業に国別報告書の提出を義務付けた
・国別報告書 ⇔ 事業活動を行っている国ごとの収入金額、税引き前利益、納付税額、利益剰余金、従業員数などの報告を求めるもの
→ 多国籍企業と富裕者の隠された富を明るみに出し、失われた税収を取り戻すために活用できる
・国別報告書は課税当局だけが保有し、一般には非公開 ⇔ が、研究者や市民社会の強い要求を受け、OECDは20年7月に企業名を匿名にして集計値を公開
・国際NGO タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN) これに基づいて税逃れの実態を調査・分析
⇔ 多国籍企業と富裕者の税逃れによる税収損失 毎年4270億ドル(約49兆円)。減税競争などの波及効果を含めると税収損失 9800億ドル(約112兆円)
2 新らしい国際課税ルール 2つの柱
1、16年以降、OECDの主導で約140カ国が参加する「包摂的枠組み」を形成。今年10月に合意に達し、新ルールを決定
❶多国籍企業の世界利益を合算し、売上高に基づいて各国に課税権を再配分するルール。ユニタリー(合算)課税
配分される利益は総利益のうちのわずかな部分だとはいえ、現行ルールを打ち破る斬新な方式
❷ 法人税に世界共通の最低税率を設定するルール
減税競争に歯止めをかける画期的な性格を持つ/ が、最低税率が15%という低水準。内容は不十分
~ 抜本的な改革に向けた取り組みをさらに進めなければならない/ 途上国の意見が十分反映されなかったが、約140カ国が参加する枠組みの下で税の国際協力が進められたことは今後も重要な意味を持つ
2米国でも大きな変化。
・バイデン政権 「米国雇用計画」「米国家族計画」という二つの中長期プランの財源を、大企業への法人税増税と富裕者への所得税増税でまかなうという税制改革を打ち出しました / 最低法人税率の設定に向けた国際交渉にも積極的に関与し、「底辺への競争」に終止符を打つ考えを示した
⇔ 法人税減税競争の先頭を走っていた米国が方向転換。歓迎すべき変化。
★「底辺への競争」に歯止めがかかり、国際的な税の協力体制が強められれば、各国は他国の動向にとらわれず、自国の法人税や資本所得課税を強化することができる/ 世界的な公正税制の実現へ大きなチャンスが訪れている
(メモ者 合算課税など国際連帯税で得た財源をもとに国際組織を運営できれば、国益衝突の場から解放さえる)
3. 世界の変化の背景には市民社会の行動
・国際交渉で採用された画期的なルールは、TJNをはじめとする市民運動や有識者が提起し、導入を求めてきたもの。
~ 国別報告書も合算課税も最低法人税率もすべて市民の側の提起
・市民社会が監視と行動をいっそう強め、新自由主義的な税制改革を逆転させ、労働課税から資本課税へのシフトを
【税逃れ 世界の損失144兆円 英国は“租税回避地の親玉”】
国際NGOのタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)などが試算
◆原因は米英に
・税収損失 ・・・最大はアメリカ 年1135億ドル。日本も152億ドル(約1兆7千億円)。
全世界で年4830億ドル(約54兆円)
~ 上記は、税逃れによる直接的な損失額。「底辺への競争」などの波及効果を含めると、全世界で年1兆ドル(約114兆円)
・税逃れに責任がある国とその額についても試算
大きな損失を被っている米英両国が、自ら税逃れの原因をつくっている
・特に英国~税のがれの1/3に責任/海外領土のケイマン諸島・バージン諸島や王室属領のジャージー島など
・欧州とアジアの人口の少ない国・地域の関与/シンガポール、ルクセンブルク、オランダ、香港、スイス、アイルランドなど
→実体経済に見合わない巨額の投資の流出入/ 2014年時点で香港に名目GDP(国内総生産)の5・6倍の直接投資が流入、同5・5倍の直接投資が香港から流出(16年5月26日、政府税制調査会国際課税ディスカッショングループ資料)/
香港への直接投資元は主にバージン諸島と中国。香港からの直接投資先は主に中国とバージン諸島
★財務省 「企業・投資家の実質的な税負担を相当程度軽減」するために「『実質的な経済活動とは関係の薄い第三国』を導管のように経由する取引」が行われていると指摘~バージン諸島は典型的な租税回避地であり、香港は中国とバージン諸島を結ぶ「導管国」 /税逃れに責任がある国の中に「世界の工場」中国が入っていることも見逃せない。
◆不公正な世界
政治経済研究所の合田寛理事 「租税回避地はグローバル資本主義の中心的要素として組み込まれている」 「国境を越えた資本移動が自由化されるにつれて、多国籍企業は世界市場への支配を強めました。同時にその力を、各国政府への影響力を強めるために行使してきました。米英両国をはじめとする主要国政府は、国際機関での指導的立場を利用して、多国籍企業に都合の良い国際課税のルールをつくってきました」
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