再エネ倍増 選挙めあてのゴマカシ 原発・石炭中毒 環境団体の声明
第6次エネ基本計画が閣議決定された。新聞で「再エネ倍増」とかの見出しが躍るが、石炭19%、原発22%という枠組みはかわっていない。
石炭。原発は出力調整ができないので、発電量が多く成りすぎるとまず再エネが排除される(経営計画がなりたたない)、しかも送電線までの接続料のべらぼうな高さ。さらに容量市場での賦課金での再エネ・新エネつぶしの結果。日本の再エネ導入は年々低下している。数字を掲げてても、優先接続、発送電分離など、電力大手の独占を打破するシステム改革をしないと、気候危機に対応するシステム改革は無理。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の新自主主義の克服が不可欠。環境に配慮しない企業は21世紀を生き残れないと心配する。そもそも人類が生存し続けれるのか・・・
閣議決定にたいする環境団体の声明
【声明 「第6次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」など閣議決定
化石燃料と原子力から脱却できない気候・エネルギー政策 気候ネット10/22】
【COP26目前、民意無視の第6次エネルギー基本計画閣議決定に抗議 FoE JAPAN 10/22】
【第6次エネルギー基本計画 パブコメ(日本版気候若者 10/2】
【声明 「第6次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」など閣議決定
化石燃料と原子力から脱却できない気候・エネルギー政策 気候ネット10/22】認定NPO法人 気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵
本日10月22日、「第6次エネルギー基本計画」、「地球温暖化対策計画」、「日本のNDC(国が決定する貢献)」、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」など気候変動・エネルギー政策に関連する一連の計画が閣議決定された。異常気象が世界中で災害をもたらし、気候危機が身近に迫りつつある今、これらの計画で日本の気候変動エネルギー政策を抜本的に見直すことが求められていたが、9月に示された政府案に対するパブコメの結果とその反映が示されないままほぼ原案どおり決定されたものである。気候変動を「人類の危機」としてとらえておらず、産業革命前からの地球平均気温の上昇を1.5℃未満に抑える努力が急務であることや、パリ協定との整合性や1.5℃を目指すことも全く位置付けてられていない。さらに、化石燃料、とりわけ石炭火力及び原発を2050年にも維持し続けるとするもので、到底、容認しがたい。
◆実用化の目途が立たない技術革新に依存した原発・石炭温存のエネ政策
今回改定された第6次エネルギー基本計画は、2050年のカーボンニュートラルを目指すとしながらも、これまでのエネルギー基本計画の方向性及び内容を踏襲し、将来世代に大きなつけを回すものとなった。2030年度の電源構成では、再エネ36~38%程度と低く、2050年における主力電源として最優先の原則のもと最大限の導入に取り組むとするものの、2030年の導入拡大に向けて、従来の先着優先ルールを残したままであり、その優先接続・優先給電を確保する方策は確保されていない。石炭19%、原子力20~22%と原案が維持された。石炭火力は、科学が要請する気候危機への対応として遅くとも2030年の全廃が求められているにもかかわらず、非効率石炭火力に容量市場をあてがい、既存・新設石炭火力設備を脱炭素型に置き換えるために、アンモニア・水素を脱炭素燃料と位置付け、排出削減とは言い難いそのいくばくかの混焼等を「火力発電からCO2排出を削減する措置(アベイトメント措置)」としてエネルギー基本計画に書き込み、これを促進するとしている。石炭火力からの脱却の方向性すら示さされていないだけでなく、技術的経済的課題を多く抱えるアンモニア等の混焼等を掲げることで、なお石炭火力の建設を進め、維持・利用し続けようとするものである。途上国への石炭火力輸出支援においても、「排出削減対策が講じられている」として、同様の推進を図ることがありうる記述もある。COP26を前に、日本は脱石炭を推進する世界の流れに真っ向から逆行すると宣言するに等しい。
実現可能性のない原子力の位置付けもあいまって再生可能エネルギーへのシフトを一層、阻害し、脱炭素社会の実現を困難にさせる計画だと言わざるを得ない。これでは、脱炭素経済に向けて加速する世界の趨勢にますます取り残されることになるであろう。
◆気候危機を憂う市民の声に耳を傾け、脱炭素への取り組みを
今回のエネルギー基本計画改定にあたっては、若者や環境団体など、気候危機や原子力リスクを憂う多くの市民たちが約1年に渡って声を上げ続け、原発ゼロ、石炭ゼロで気候危機に対応するエネルギー政策の転換を求めてきた。
市民から届いた意見は数千件にのぼると言われるが、その意見が反映されることなく、先行して閣議決定されたことは極めて問題である。一部の既得権者だけの声を取り入れた政策決定プロセスではなく、国民への十分な情報開示と討議を経て国民が参加した民主的なプロセスによって、エネルギー政策を決定すべきである。
【COP26目前、民意無視の第6次エネルギー基本計画閣議決定に抗議 FoE JAPAN 10/22】
FoE Japanは、今回のエネルギー基本計画見直しに際し市民からの意見を反映するプロセスがほとんど踏まれなかったこと、いまだに原子力と化石燃料を重視する内容であり、福島第一原発事故の被害の深刻さや、気候危機の切実さを踏まえていないことに強く抗議します。世界第5位の大規模排出国としての責任に向き合わず、途上国や将来世代の被害や人権を軽視する政策として、COP26で国際社会からも批判を受けるでしょう。
FoE Japanも参加する「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンは10月12日、経済産業省に対しパブリックコメントを反映することを求める要望を行いましたが、そういったプロセスはまったくなく、パブリックコメントの結果公表もないまま閣議決定となりました。今回、市民の意見を「聴取する」機会は意見箱とパブリックコメントに限られ、これらも「考慮し反映される」ことはほとんどありませんでした。
世界的に気候危機への認識と早急な対応の必要性が共有されています。日本政府もカーボンニュートラルを打ち出し、2030年度の温室効果ガス削減目標を見直すなかで、このエネルギー基本計画の改定も議論されました。
しかし、審議会(基本政策分科会)のメンバーは産業界に偏り、その議論は、原子力を維持・推進し、石炭火力も含め化石燃料も使い続けようという一部の産業界の声を色濃く反映したものでした。気候危機の現実や気候正義に向き合うものではなく、福島第一原発事故の被害や解決不可能な放射性廃棄物など原発の非合理性を直視したものではありません。
本来行うべき「気候危機への対応」は、生産や消費のあり方を大きく転換し、エネルギー消費の大幅削減を前提として再生可能エネルギーにシフトし、排出を可能な限りゼロに近づけることです。
FoE Japanは、以下のようなエネルギー政策転換を引き続き求めます。
1)各地での意見交換会や討論型世論調査、世論調査の考慮など、さまざまな形での市民参加のプロセスを確保すべき。
2)気候危機に向き合い、世界の気温上昇を産業革命以前から1.5℃までに抑えることを、日本としても目指すべき。
3)生産・消費のあり方を大きく転換し、最終エネルギー消費と電力需要を大幅に削減したうえで、再生可能エネルギーにシフトしていく方向を明確にすべき。鉱物資源の際限ない採掘からも脱却しなければならない。
4)化石燃料を大量消費する発電や産業を維持したまま不確実な新技術に頼る「カーボンニュートラル」ではなく、化石燃料から脱却し、可能な限り排出をゼロに近づけるべき。CO2排出が特に大きく大気汚染も起こす石炭火力発電は、新増設は直ちに中止し、遅くとも2030年度にはゼロとすべき。
5)福島第一発事故被害の実態を把握し、完全賠償および被害者救済をかかげること。原子力発電は、核のごみや事故のリスク、被ばく労働などの観点からこれ以上使うべきではない。次世代炉の研究開発についても、中止すべき。すでに破たんしている核燃料サイクル政策からは撤退すべき。
6)エネルギー消費の削減を前提に再生可能エネルギー社会への転換を明確に目指すべき。同時に、再エネを生態系を破壊せず地域に根差した形で進めるために、適切な規制や地域主導の取り組みが必要である。気候変動防止と生物多様性の保全とを両立させることが必要である。
・FoE Japanから提出したパブリックコメントやパブコメ呼びかけはこちら
https://www.foejapan.org/climate/policy/6thenergyplan.html
【第6次エネルギー基本計画 パブコメ(日本版気候若者 10/2】
日本版気候若者会議(主催:日本若者協議会)では、「環境政策の早期実現」、「開かれた議論の場」、「発信による世論喚起」を目的に、若者108名で10週間(2021年5月23日~8月1日)にわたり気候変動対策について議論し、政策をまとめた。
その中から関連する提言を投稿したい。
一.温室効果ガス排出削減目標の引き上げ、2040年目標の設定
日本政府の温室効果ガス排出削減目標は、2020年までに2005年比で3.8%以上削減、2030年までに2013年比で46-50%削減、2050年までにカーボンニュートラルの3種類がある(2020年目標は超過達成の見通し)。これらの目標をめぐり、3つの提言がある。
1 既存の政府の2030年目標は、パリ協定の1.5℃未満に必要な日本の排出削減量と、世界における衡平性や気候正義とを踏まえた場合に、低すぎるとの分析がある。たとえば、国際的な科学者グループであるClimate Action Trackerは、62%以上の削減が必要と分析している。科学的知見と気候正義に基づき、少なくともこの水準の目標に改めるべきである。
2 2050年までの長期的な脱炭素を着実に進めるためには、2030年と2050年の中間である2040年の排出削減目標も必要であり、各国では2040年目標の検討や策定が進んでいる。しかし、日本においては、2040年の目標について検討が行われておらず、予定もされていない。このため、2040年の排出削減目標について検討する場(審議会等)を政府内に立ち上げるべきである。
3 2050年カーボンニュートラル目標は、1.5℃目標のために世界全体で達成すべき目標であって、日本の責任と能力を考えれば、2050年よりも前(例えば2045年)にカーボンニュートラルをめざすと宣言して然るべきである(実際に、ドイツ等複数の先進国が2050年よりも前にカーボンニュートラルを実現する目標を持っている)。したがって、日本は、カーボンニュートラルの目標を前倒しするよう、検討を始めるべきである。
二.第6次エネルギー基本計画に対する電源構成の見直し(再エネ100%)
-現状/問題日本の温室効果ガス排出量の約9割はエネルギー起源CO2であるため、エネルギー政策は極めて重要である。ところが、2021年7月21日に発表されたエネルギー基本計画の素案は、2030年までの温室効果ガス削減目標を2013年比46~50%として、2030年の電源構成では、再エネ36~38%、原子力20~22%、石炭19%、LNG20%、石油等2%、水素・アンモニア1%とした。しかし、既存の政府のエネルギー政策には、次の問題点がある。
1 科学者によれば2030年46-50%削減という水準はパリ協定1.5℃目標に整合しない
2 最も環境負荷が小さく、最も注力されるべき省エネを過小評価している
3 パリ協定1.5℃のためには遅くとも2030年までにゼロにすべきと科学者が指摘している最大のCO2排出源である石炭火力を19%も温存し、天然ガス火力のフェーズアウト方針もない。化石燃料は大気汚染を招き、健康被害につながっている(WHOは大気汚染由来の健康被害で年間約700万人が呼吸器疾患や虚血性心疾患で死亡しており、クリーンな再エネ利用を呼びかけている)。また、化石燃料の採掘に伴う自然破壊や人権侵害、化石燃料運搬に伴う環境破壊(モーリシャスの重油流出事故等)の問題、化石燃料利用をやめずに気候変動が進行した場合の大量絶滅の問題も深刻である
4 事故リスク、核廃棄物処理、コスト高、環境正義と都市地方間格差、世代間衡平性、技術的・政治的な実現可能性、温排水による周辺生態系への悪影響、労働者の被爆という観点から、問題の大きい原発を維持拡大しようとしている。
5 比較的環境負荷の小さい再エネについての目標値が低すぎる。再エネの環境負荷を最小限に抑えるためのゾーニングや地元住民合意プロセスが十分でない
6 化石燃料由来の水素・アンモニアの利用の余地を残していることで化石燃料依存が続くとともに、すでに実用化されている現実的な対策である省エネ・再エネ強化を先延ばしする懸念がある
7 経済合理性の高い省エネや、最もコストが安くなると見込まれる再エネよりも、安全対策や炭素価格の反映によってコストが高くなると見込まれる原子力・化石燃料をより重視しており、総じて社会全体のエネルギーコストが大きくなる
8 世界で拡大を続ける再エネに消極的で、今後世界で衰退する原子力や化石燃料に積極的だが、それは日本企業の利益のための経済戦略としても失敗してきた(以前、日本の太陽光発電モジュールは世界シェアの半分以上を占め、1位だったが、政府が原発と化石燃料に偏重し、海外が再エネ大量導入に舵を切る中で、2012年にはトップ10から転落し、2018年の世界シェアは1.2%まで落ちている)。近年、Appleのように、取引先のサプライチェーンのすべての企業が再エネ100%を達成するように求める動きも広がっており、原発と化石燃料を使い続ける日本の企業が、国際的なサプライチェーンから排除されかねない。
-提言S+3Eのみならず、気候正義を実現させる観点から、日本のエネルギー政策を次の通り見直すことを求める。
1 国際的な科学者グループClimate Action Trackerの分析を踏まえ、パリ協定の1.5℃目標に整合させるため、温室効果ガス排出削減目標は2013年比で2030年までに62%以上削減としこれに沿うエネルギー政策とすることを確保すべきである。
2 2050年に向けて、日本で再エネ100%を実現させるとの目標を設定し、これを可能とするための政策をとること。日本が2050年までに電力部門のみならず一次エネルギーの再エネ割合を100%にするシナリオ・ロードマップは、自然エネルギー財団、JUST(未来のためのエネルギー転換研究グループ)、WWFジャパン、気候ネットワーク、Jacobsonなどによって示されている(送電網整備にかかるコスト計算や、1時間ごとの気象データを用いた発電量のシミュレーションをした上で「再エネ100%は可能」と結論づける等、シナリオごとに特色がある)。化石燃料+原発+再エネでカーボンニュートラルを実現するという選択肢と、再エネ100%でカーボンニュートラルを実現するという選択肢がある中、上述した問題点を踏まえれば、再エネ100%の方針を採用すべきである。また、再エネ導入推進にあたっては、これが自然生態系に与える影響を最小限に留めるためのゾーニング等を進めるべきである。
3 国際的な科学者グループClimate Analyticsの分析によると、1.5度に整合させるためには、2030年の電源構成における再エネ電気の割合は60%以上にし、石炭火力発電はほぼゼロにする必要があり、ガス火力発電も2038年にはゼロにし、2040年までに発電部門を実質排出ゼロにする必要があるとされている。2030年のエネルギーミックスは、かかる科学的な分析を踏まえ、2030年の電源構成において、石炭火力はゼロ、原発はゼロ(※)とすべきである。
これらの政策転換によって、パリ協定の1.5℃目標の実現に貢献できる。また、NewClimateInstituteによれば、日本が再エネ100%をめざす場合、年間6万7000人の雇用増加のチャンスを得て、大気汚染による早期死亡リスクから年間1万5000人を救うことができ、化石燃料輸入コストを3.7兆円節約することができる。
※安定的なエネルギー供給のため、必要最低限原子力発電の活用を求める意見も参加者の中で一部存在した。
三.気候市民会議の創設
現状、気候変動対策に関して、若者や市民の声が十分に反映されているとは言えず、イギリスやフランス、ドイツなどの事例を参考に、政府が主導する形で、気候市民会議を設置することを求めたい。気候市民会議とは、無作為抽出で「ミニ・パブリックス」を形成し、気候変動対策について議論を重ねる会議である。その際、単に開催するだけでなく、政策決定プロセスに意見を反映させること、透明性を確保することが重要である。これは「政策立案プロセスの透明化と双方向的なコミュニケーションの充実」という第6次計画案の最後にある節にも整合するものである。
四.独立行政機関である、気候変動委員会の設置
イギリスでは、データ/エビデンスに基づいた意思決定を行うため、政府とは独立した形で、温室効果ガスの削減目標に対するイギリスの進展状況と、同国の気候変動への取り組みに関するチェック機能を持つ「気候変動委員会(Climate Change Committee)」が設置している。毎年、イギリス議会に対し対策の進捗状況の報告書を提出し、政府はこの報告書に対する返答を議会に提出する義務がある。日本でも同様の独立行政機関の設置を求める。
参考:日本版気候若者会議 全70提言内容
https://youthclimateconference.jp/archives/351
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