感染症法上の取り扱いを2類相当から5類へ 「改悪には絶対反対」 和歌山県知事
強力な保健医療行政で、コロナ対策でがんばっている和歌山県の知事が、入院基準の見直し、ワクチン接種、感染症法の扱いなどでついてメッセージを出している。
下段に、「5. 感染症法上の取り扱いを2類相当から5類へ」の部分をはりつけている。
この改悪には「絶対反対」と、5点にわたって理由を説明している。
5. 感染症法上の取り扱いを2類相当から5類へ
新型コロナの感染が拡大するにつれ、またぞろこの問題が喧しくなってきました。とんでもないことです。厚労省はせめて、これだけは、改悪しないでください。
おそらく、改めよという人の言い分は、2類相当にしておくために、保健所がいちいち入院アレンジをしないといけないし、指定病院にしか入れられない、一般の病院が入院を断るのは、このせいだ。自由にコロナ患者を受け入れられるようにすればよいのだ。また、入院は重症者だけでよいので、病院からすると軽症者などを入院要請してくる保健所が病床の逼迫を招いているのだ。といったところでしょうか。また、ある有力者は、保健所が自分が仕切ろうとして、自分のテリトリーの病院ばかりに感染者を入れるので、本来ならもっと受け入れられる病院の機能を止めてしまっているといっているそうです。
何を言っているかと大変腹立たしく思いますし、もしそういうことになったら、和歌山県では、必死でコロナ拡大を食い止めている保健医療行政が動けなくなってしまいます。そうすれば、和歌山県でもあっという間に感染者数は今の10倍になるでしょう。保健医療行政が他に比べて弱い東京の人口は和歌山県の10倍強ですが、感染者は100倍です。和歌山県の保健医療行政を東京並みにしたら、当然感染者数は比例して増えるでしょう。
法制が変わったとき、今までの行政措置を和歌山県が続けていたら、県当局の行為は違法となり、無理に隔離しようとすると、さしずめ私などは監禁罪でしょうか。改悪には絶対反対です。
もう少し詳しくその理由を申し上げます。
- まず、感染症法の2類相当なら、行政が感染者に公費で検査をし、入院措置をし、行動履歴を調べ、濃厚接触者を割り出してまた検査をして、入院隔離などの措置をするといった権限が与えられますが、5類になるとそれら一切が権限を持ってできなくなります。普通のインフルエンザと同じになるのです。
- そうすると、隔離ができませんから、感染はどんどん拡がります。また、権限を持って検査指示ができませんから、感染者を発見できません。感染はとめどなく拡がるわけです。
- 確かにコロナ病床は窮屈ですが、それは感染症法のせいではありません。病院の意向です。感染症法上の権限をもって説得をしても、病床を空けてくれない病院が、保健所の関与がなくなったとき、どうして手のひらを返したように、患者を受け入れてくれるというのでしょう。病院は他の患者も診ないといけないし、病院内に感染が拡がると困るのでコロナ患者を受け入れないのであって、コロナが2類相当の感染症だからではありません。少し病院長や経営者の立場に立って考えればわかることです。想像力はどこへ行ったのでしょう。
- 病院関係者に時々ある、重症者だけ受け入れたいので、保健所が症状の大したことのない患者を連れてくるのさえなければうまくいくのだという意見も想像力の欠如です。現に東京などでは、重症者しか入院アレンジができない状態です。感染症法の扱いと関係がありません。それに、軽症者を放置すれば、一定の比率で重症者が出ます。感染症法の扱いを5類に変えたからといって受け入れなければならない患者が減るわけではありません。医療逼迫がなくなるどころか余計ひどくなります。
- 最後に、前述のように感染症状の扱いの2類相当から5類への変更は保健医療行政が必死で頑張っている和歌山県など地方に大打撃を与えます。全国が東京都化するわけです。言い換えれば、感染症法と保健所のないヨーロッパと同じになるということです。
ただし、最後に付け加えますと、ワクチン接種がこれ以上はもう無理というところまで行きわたり、コロナにかかった時の特効薬ができたという状態になったら、コロナももはやインフルエンザと同じと考えてもよく、その時は感染症法上の扱いを5類にしていただいても結構です。そのときは、安心して部下の保健医療部隊に全軍休んで良しと命じます。でも今はまだダメです。保健医療行政の苦闘は続きます。彼らに尋常でない苦労をずっと強いている司令官も辛いのですが、県民の安寧と幸せのためならと心を鬼にしています。
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