2021年8月 地方議員学習交流会
主なテーマ
・介護保険20年
・ヤングケアラ―、若者ケアラ―支援
・営農破壊の新ボイス
・ハラスメント禁止 ILO条約
・新型コロナ関連
・子どもの歯科矯正、こどもの居場所、生理の貧困
・補聴器補助
・PFI割高 会計検査院
・盛土対策、流域治水、国交省インフラ長寿命化
・気候危機、SDGs
2021年8月 地方議員学習交流会
◆介護保険
(1)介護保険20年の概要
〇現状 介護心中・殺人 年50-70件、介護退職 年9-14万人、特養待機者29万人 担い手不足 有効求人率4.31
〇給付と負担が連動保険料50%(65歳以上23%、40-64歳27%) 公費50%(国20+5%、県12.5、市町村12.5%)
保険料 第8期 6014円(+145円) 第一期 2911円 /2.07倍
〇利用制限 要支援1.2のデイサービス・訪問介護を市町村事業(希望すれば要介護者も)、特養・要介護3以上に限定、
利用料 一定以上の所得2割負担、現役並3割、
補足給付・配偶者非課税・預貯金1千万円以下(8月改悪)
〇全国の介護保険は黒字 〇「赤字」で都道府県基金から借金する市町村は減少
準備基金 保険者数 借入額 保険者数
2005年第二期末 1663億円 1401 391.8億円 423
2018年第七期末 6947億円 1482 5百万円 67
(2)課題ととりくみ ~高すぎる保険料、細るサービス、深刻な担い手不足 / 破綻直前
〇国庫負担を増やすたたかいが大道
ケア労働 家庭・親族、特に女性が担ってきた私的分野(家事等)の延長として軽視/ジェンダー平等めざす取組
〇計画と実績の乖離 市町村準備基金の増加
2つの視点 市町村準備基金を、次期計画に全額繰入させる
サービスが絞られてないか 介護認定が狭められてないか、利用料負担からサービスの制限は・・・
(事業者、ケアマネからの聞き取りなどを)
〇市町村準備基金 の 繰入
・平成20年12月25日 厚生労働省老健局介護保険課資料
当該基金は、3年間の中期財政運営を行うことから生じる余剰金を適切に管理するために設けられたものであること。
介護保険制度においては、計画期間内に給付に必要となる保険料については各計画期間内における保険料で賄うことを原則とし、保険料が不足する場合には財政安定化基金から貸付等をうけることができること。
被保険者は死亡、転居等により保険料を納めた保険者の被保険者でなくなる場合があること。
等から、本来は当該基金が造成された期における被保険者に還元されるべきものであり、基本的には次期計画期間において歳入として繰り入れるべきものである。
・介護保険における財政安定化基金を適切な基金規模に保つため・・できるよう制度に改めるよう厚生労働大臣に対して改善の処置を要求したもの 報告書 2008年5月 会計検査院
(3) 介護給付費準備基金の概要
市町村は、介護保険に係る歳入及び歳出について特別会計を設けることとなっている。介護保険は、3年間の計画期間ごとにその期間を通じて同一の保険料を、介護サービスの見込量に見合って設定するという中期財政運営方式を採用しており、介護給付費が総じて増加傾向にあることから、計画期間の初年度は一定程度の剰余金が生ずることが想定されていて、この剰余金を管理するために市町村は介護給付費準備基金(以下「準備基金」という。)を設けることができるとされている。
そして、介護給付費が見込みを下回るなどの場合は剰余金を準備基金に積み立て、介護給付費が見込みを上回るなどの場合は、前年度以前に積み立てられた準備基金から必要額を取り崩し、計画期間の最終年度において残高がある場合には、次期保険料を見込むに当たり準備基金を取り崩すことが基本的な考え方となっている。
★基金残高を記載しておらず、計画と実績の乖離など一切説明してない自治体もすくなくない
質問されると、
「基金をどれだけのこすのか基準はなく。自治体の裁量」・・・中期財政運営(3年間)、保険制度の原則を無視している。
「将来の給付増に備える」・・・現在の人の負担で未来の人の肩代わりをさせる /保険制度のたてりに反する
「介護報酬の急な改定にそなえて」・・・・20年間、そんなことはなかった。
〇一般財源の繰入
・一般財源の繰入を禁じる規定、制裁措置はいっさいない。 02年国会答弁
・厚生省の「指導」 一般財源繰入を不適切とする「単独減免3原則」は、介護保険法令上の規定ではない。単なる「会議資料」「事務連絡」(技術的助言)にすぎない。 /
・国自身が別枠で繰入を実施 ~ 減額にかかる分(交付税措置)を介護保険法124条2で、一般会計からの繰入を規定
「介護保険の1号保険料について、給付費の5割の公費とは別枠で公費を投入し、低所得の高齢者の保険料の軽減を強化」
2015年4月 市町村民税非課税世帯のうち 特に所得の低い者を対象(65歳以上の約2割) 第一段階 0.5→0.45
消費税10%実施時 1400億円 市町村民税非課税世帯全体 第一 0.45→0.3 第2 0.75→0.5 第3 0.75→0.7
・全国の実態 会計検査院 183保険者を調査。10保険者 10.3億円を繰入
・県内 介護報酬中山間地特例 利用者負担増分の補助 /県 訪問介護の事業者支援
〇担い手確保
・四万十町 40歳以下でIUターンする介護士、看護師の奨学金返済支援 月3.2万円、5年間 計192万円支援
・東京都 都内の介護現場で働きたい人に向けて7月から開講される講座の受講料を無料にする取り組みを実施
募集人員は800人、32事業者による講習(130時間)を対象。介護職を目指す人に幅広く対応制度
・一方、介護福祉士試験の受験手数料 3080円増の1万8380円、社会福祉士は3930円増の1万9370円、精神保健福祉士は、6530円増の2万
★表は「朝日新聞」より ★詳細、21.02学習交流会資料参照
◆ヤングケアラーと若者ケアラーの共通課題 「みんなの介護」より
〇国の実態調査・・・「ヤングケアラー」は中学生で17人に1人、高校生で24人に1人存在。国内の中学生321万1,000人のうち18万2,970人、高校生309万2,064人のうち12万6,774人がヤングケアラーだということになる。
・厚労省の調査結果から、ヤングケアラーは「勉強時間と睡眠が取れない」という悩みを抱えている
⇒考えられる支援 「ショートステイサービスの割引や補助」「介護保険外の夜間から早朝レスパイトサービス拡充」「教員や塾講師による補講授業」など
・高知市6月議会 市長は「大人や社会が対応すべきケアを過重に抱えた状況を早期に把握し、必要な支援に結び付けるため、部局間の協働による支援体制構築の取組を鋭意、すすめたい」と答弁。
〇「若者ケアラー」と「ケアラー」への支援
・総務省の調査 「若者ケアラー」は、15歳以上から30歳未満で約33万人、30代で約33万人と推計。上の世代の「ケアラー」 40歳から49歳で89万5,000人、50から59歳で188万人、60~69歳で97万8,000人と推計
・悩みやストレスの原因
男性「自分の病気・介護」33%、「収入・家計・借金など」23.9%、「自分の仕事」18.9%など、お金と仕事に関するもの
女性 「自分の病気や介護」27.1%、「家族との人間関係」22.4%、「自由にできる時間がない」20.8%と、家族関係と余暇に関する悩みが上位に
・「ヤングケアラー」とそれ以外の「ケアラー」の悩み 「勉強」か「仕事」かという違いがある一方、「余暇時間が取れない」「人間関係」といった点で共通する部分がある。
〇年齢よりケアレベルに応じた重点的支援を
・「介護疲れの自殺者」と「介護殺人」に対するアプローチをより重点的に
・精神看護の「ケアレベル」という考え方・・・『精神科看護ガイドライン』では「セルフケアの不足が生じた場合、看護がどのレベルのケアを提供するかを示したもので、「全介助」「部分介助」「声かけ指導」「教育指導・指示」「自立」などのレベルがある。 患者の回復過程 に応じてセルフケアレベルを評価し、個別計画を立て、必要とされる看護を提供する。」
→ ケアレベルが高ければ高いほど、その人の精神的な健康は害されている状態ということ
・介護疲れでの自殺者は、ケアレベルが高い場合が多いとされている。/ケアレベルが高い人は50~60代に多いとされていますが、若い世代では表面化していない可能性もある。
・介護殺人 1998年~2015年まで716件発生/ 日本福祉大学の研究・・・介護殺人発生率のうち37.45%にあたる275件が親子などの二人世帯で発生。さらに、26.85%の被害者が寝たきりの状態
→ 「ワンオペや多重介護の状態」で「要介護者の介護度が高い」と、介護殺人が起こりやすい。
・「ケアラー」の支援と同時に支援が急務なのが、「多重介護」/ケアラー1人で複数人の介護を迫られた状態。
母親脳梗塞、祖母・要介護1・認知症(徘徊など要介護が低いから介護が楽なわけではない)
・ケアラー支援は「ヤングケアラー」から「ケアラー」までの幅広い年齢を対象に、シングル・多重介護者・重度要介護者にも考慮したうえで行うのが望ましい/そうすることで、介護殺人・介護自殺だけでなく、介護離職などへの予防効果も期待できる
★ 実態把握し、行政に支援策ついて問題提起したい課題
〇ケアラ―支援
・ケアラ―支援条例 埼玉県、三重県名張市など
・埼玉県 認定NPO法人「さいたまNPOセンター」が「介護者支援セミナー」と「介護者サロン」を県内に広めている。
・東京都 NPO法人「介護サポートネットワークセンター・アラジン」で、介護者が交流できる「介護者の会」や「ケアラーズカフェ」を立ち上げるなど、多様なケアラー支援を実施。
・高知市 介護カフェ開催
★特別障害者手当の周知・徹底 年約33万円、在宅寝たきり(要介護4.5相当)/四万十市 要介護2(足に障害)も認定
◆課税農家 免税農家 産直組織 営農破壊のインボイスは中止せよ 農民新聞
・2019年の消費税増税と複数税率導入にともない、インボイス(適格請求書)制度導入---23年10月の適用開始に向けて、今年の10月1日から、インボイスの登録申請が開始
1. インボイスによる 経営の危機
・消費税の納付税額 = 売り上げの消費税額 マイナス 仕入れの消費税額 式1
・仕入税額の差し引きに必要になるのが「インボイス」
・インボイス・・・ 課税事業者で税務署に登録した事業者以外発行できない。
インボイスは一見、売り上げ1000万円以下の免税農家には無関係に見えるが、すべての農家に大きな影響を与える。
・産直センター ・・・・ 生産者の多くが免税事業者/これらの免税農家からインボイスが発行されなければ仕入れ分の消費税を産直センターが丸々負担することになる(図1)。
本則課税の産直センターは生産者に課税事業者になってもらうか、負担増を受け入れる厳しい選択を強いられる
2. 免税農家 課税強要される
・生産者が、飲食店や小売店、スーパーなどに出荷する場合・・・相手が消費税課税事業者(簡易課税は対象外)であれば、仕入税額控除を行うためインボイスが要求される
・が、日本の販売農家の約9割は免税事業者。免税農家は、取引先から課税事業者になるか、消費税分の値下げを要求されることになり、できない場合は取引から排除されかねない。
・資材等の仕入れ時に地元の免税事業者から購入 → インボイスが発行されず課税農家は仕入税額控除ができない。
3.中小業者みんなに大打撃
6月4日に国会内で行われた「消費税インボイス制度実施は延期・中止に!」緊急集会~農民連ふるさとネットワーク、全商連、全労連、東京土建、税経新人会全国協議会、一般社団法人日本エンターテイメント連盟などがよびかけ
・インボイス導入⇒ 中小零細の免税事業者である一人親方が、仕入税額控除ができないと取引から排除されたり、値引きを強要されかねない。課税事業者となっても実務負担が大変になる。(全建総連東京都連)。
・「サーカスクラウン、大道芸人、タップダンサーなどは9割以上がフリーランスの免税事業者で、企業やイベント業者など課税事業者と直接契約して出演。インボイスが導入されると契約に支障をきたすため、課税事業者となることを強いられかねない。」(日本エンターテイメント連盟)。
4. 従来の枠超えて運動を広げよう
共産・中止、立憲・延期、国民・凍結 /民商・延期、日本商工会議所・凍結、日本税理士会連合会・全建総労・見直し
与党内からも導入延期の声も
★学習会や行政・団体による影響調査などもとめ、延期・中止の見直しを求める
◆ハラスメント禁止 日本はILO条約の批准を
・国際労働機関(ILO)の「労働の世界における暴力とハラスメントを撤廃する条約」が6月25日に発効
~加盟国に実効性ある施策を求めた初の包括的な国際基準
・条約はこれまでの国際的な人権保障の到達をふまえ、暴力とハラスメントは許されない人権侵害だと断じ、全ての人に、暴力とハラスメントのない世界で働く権利がある、と規定
・暴力とハラスメントの定義・・・・「身体的、精神的、性的、経済的な被害をもたらす、または可能性がある許されない行為と慣行」とし、単発か反復かを問わないと明記 / 「ジェンダーに基づく暴力とハラスメント」について特記し、女性の労働参加と定着、昇進を阻害する恐れがあると指摘したことも重要。
・画期的な対象範囲の広さ・・・ 正規・非正規の雇用形態にかかわらず、フリーランス、求職者、実習生、雇用が終了した人、ボランティアまで働く全ての人が含まれる/取引先、顧客、患者、公共空間にいる人など第三者の行為や、メールなどオンライン上、通勤時・休憩中など業務に関連するハラスメントを広く規制
・各国政府に求める対策・・・・▽法令による禁止 ▽対処・防止のための包括的な戦略策定 ▽法の実施・監視のための仕組みの確立と強化 ▽効果的な監督・調査手段の確保 ▽被害者の救済・支援と加害に対する制裁
〇日本の課題
・精神障害の労災認定件数は過去最多を更新し、原因はパワハラがトップ/ セクハラは毎年約7000件の相談(労働局)、通勤中の痴漢や、4人に1人が被害にあっている就活セクハラ(厚労省20年10月調査)
・圧倒的多数の賛成で採択された2019年ILO総会/経団連は棄権、日本政府は運動と世論により賛成
・急がれる批准と国内法整備・・・日本の法律にハラスメントの禁止規定がない
→ よって対策の実効性が乏しい。違反企業名の公表も14年間で1件のみ
・2019年ハラスメント関連法改定の付帯決議・・禁止の法制化の検討/野党共同提出のセクハラ禁止法案は継続審議中
★黒潮町 パートナーシップ制度、来年度導入と答弁(6月議会)
◆新型コロナ対策
(1) 新型コロナ対策地方創生臨時交付金 残額の確認を / 支援制度にのらない層(3割減収)への支援、
・高知市議会6月議会
コロナ臨時交付金は、総額59.3億円で、うち20年度に47.6億円が交付済みで、残りは11.7億円が21年度に活用可能。うち当初予算5.7億円、6月補正4700万円となっており、残りは予算ベースで5.5億円と説明。有効活用が求められている。
(2) コロナ禍による大学生等の休業支援を
日高村の放課後学習支援事業の指導員にアルバイトとして勤めていた大学生が、同事業がコロナ禍で休止したことで、バイトがなくなったが時給がよいので優先して予定にくみこんでいたが、いつから再開されるかの連絡もなく「困っている」と、食糧支援の中で相談があった。
野村村議が町教委と相談。村からは「そんなに困っているとはしらなかった。今度からは、他の事業に振り替えて仕事を確保したい」と話しがあった。
・その後、厚労省の通知を示して話し合った結果。休業補償の対象となることを確認。4人に対して支払いが9月議会に提案される
→ バイト生など、個々の窮状に、思いが至っていない例がある。そうした対象者がいないか?
◆「子どもへの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願」が衆議院で全会一致採択
・6月16日の衆議院厚生労働委員会で、「子どもへの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願」が全会一致で採択されました。 「子どもへの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願」はこれまで7万筆集約
・山梨県議会での意見書可決、山梨県内16市町村での意見書可決など、地方からの取組強化を
子どもの歯科矯正に保険適用の拡充を求める意見書 山梨県 20年3月
発育期における適切な歯科矯正は、顔の骨格や身体の健康を良好な状態にするだけでなく、精神的な安定や生活習慣の改善にも効果がある。また、咀嚼や口腔機能を維持回復させることは、QOL(生活の質)の向上につながるとともに、健康寿命を延伸し、医療費の抑制にも寄与することが「8020運動」等により実証されている。
一方、歯科矯正治療に係る療養の給付対象は、これまでに範囲の拡大や見直しが行われ、現在52の疾患が保険適用とされている状況であるが、一般的な歯科矯正治療は、保険適用外で費用負担が高額となるため、治療に踏み切れないケースも少なくない。
また、学校で行う定期歯科検診では、子どもたちの歯並びや咬み合わせの状態を検査するが、経済的に困窮なひとり親世帯や低所得世帯等においては、治療の勧告を受けても、保険適応の場合があるにもかかわらず、断念しているのが現状である。
このような状況を踏まえ、子どもたちの適正な歯科矯正治療を可能とするため、国においては、次の事項の実現に向けて、適切な措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1.子どもの歯科矯正における保険適用の拡充を図ること。
2.歯科矯正に対する保険適用基準の見直しを実施すること。
(参考)
・一般的な永久歯からの歯の矯正治療費~ 精密検査 5万円程度、矯正費用30万~70万円、毎回の診察 5千円~1万円と、総額で65万~95万円かかるとされている。
・日本学校歯科医会 「歯並びが悪いと全身に影響を及ぼすため、健診項目から『歯列・咬合』を外すことはできない」としている。学校健診で要治療となり受診した際に保険が適用されない項目は『歯列・咬合』だけであると指摘
・東京都歯科保険医協会調査 小中学校歯科健診で「要治療」とされた子どもの受診率 47.41%
・諸外国 ドイツ、イギリス 18歳まで保険治療可能 フランス 16歳まで 〃
★地元の実態把握 ・・・学校健診の結果(治療に必要な子どもとその治療実施状況をあきらかにさせる)/意見書決議を
自治体の補助制度(半分支援なども)創設を/制度導入初年度は多額になるが、その後の毎年の必要額はどのくらいか?
◆「居場所」多いほど前向き 21年版「子ども・若者白書」 (情報提供)
・政府が6月に決定した2021年版「子ども・若者白書」~ 21年4月策定の「子供・若者育成支援推進大綱」に基づき、「子供・若者インデックスボード」を掲載/13~29歳の子ども・若者の成育状況に関する指標を分かりやすく整理したデータ集
・「家庭」「学校」に「自分の部屋」「インターネット空間」「地域」「職場」を加えた計六つの居場所と、(1)自己肯定感 (2)今の充実感 (3)社会貢献意欲 (4)チャレンジ精神 (5)将来への希望―の各項目との相関関係を分析
・その結果、居場所の数が増えるほど、どの項目でもポジティブ感が高まる結果を示した。
・自分の将来について明るい希望を持っている~居場所が一つ 34・3% 六つでは78・5%/今の生活が充実している~ 居場所が一つ 42・4%、六つ 88・3%
・「自分は役に立たないと強く感じる」 19年度でおよそ半数(49・9%)にのぼり、「今の充実感」は16年度69・6%から19年度の68・9%、「将来への希望」 13年度の61・6%から19年度の59・3%へ低下 /「社会のために役立つことをしたい」 19年度 70・8%にのぼっている
◆広がる補聴器助成 全国35市区町村に 年齢・所得制限なしも
東京都の23特別区では、6割で実施。多くが65歳以上を対象とし、住民税非課税世帯などの所得制限を設けていますが、年齢や所得の制限がない自治体もある
・7月から助成制度をスタートさせるのは、東京都練馬区、同渋谷区、千葉県印西(いんざい)市。
・助成額上限が最高の自治体/対象が生活保護世帯に限定されているが、新潟県刈羽(かりわ)村の10万円。三条市、見附市は、住民税非課税世帯と生活保護世帯に限定、5万円。 千代田区 5万円になり。
・補聴器の現物支給/京都新宿区と同江東区、北海道北見市、宇都宮市。ポケット型(箱型)と耳かけ型の2種類。新宿区は、自己負担2000円で支給。対象は70歳以上で所得制限なし。江東区は購入費助成と併用。65歳以上が対象で、自己負担はありませんが所得制限ある。
・新潟県では日本耳鼻咽喉科学会新潟県地方部会が、19年から認知症予防対策として補聴器購入助成制度の創設を県・市町村によびかけ。共産党の質問もあいまって、20年~21年にかけて5市町村で制度が創設。
・難聴が認知症の危険因子であることを指摘した厚生労働省の「新オレンジプラン」や、国際的な研究が取り上げられている
7月に制度がスタートした東京都練馬区では「認知症予防活動の充実」のためとして、高齢者の保健福祉事業計画に同制度を位置付け
◆生理の貧困 知事「重要課題。コロナ禍で浮び上った」 6月県議会
国の計画で、女性の「生涯にわたる健康支援」とし、月経を含めた保健の充実が明記され、2013年には5月28日を世界月経衛生デーに定めているが、コロナ禍のもと、今年3月、20代の方々が取り組んだオンラインアンケートで「5人に1人が経済的理由で生理用品を買うのに苦労している」ことが明かになり、衝撃を与えた。これを受けて、国会でも地方議会でも論戦が活発になり、国は4月12日、地域女性活躍推進交付金交付要綱を改正し、生理用品の配布などに活用できめよう時限的に国の補助率を引き上げた。県は、新婦人県本部の要望をうけて、今議会に予算を計上しており、その内容を確認するとともに、知事に「生理の貧困」についての認識をただしました。
〇知事 「女性の活動が制限されたり、活躍の機会を失う可能性のある重大な課題」「これまでも存在していた課題がコロナ禍で表面化、深刻化してきたもの」とのべ「社会全体の問題として取り組んでかく必要が改めて認識された」と答弁。
★教育長 「 学校全体で取り組めるよう「手引き」を作成、「受け取りやすい環境を整備」
国の予算は時限措置であり、恒久化が必要、また親の理解不足・ネグレクトや言い出しにくいなどの壁もあることから、先進的な自治体では学校のトイレに設置。人口24万の神奈川県大和市では小中28校、必要枚数3万弱、年間予算37万円で実施していることを示し、ジェンダー平等の視点から解消をはかるべきと、性教育の取組とあわせ、教育長の姿勢をただしました。
〇教育長は「どもたちが生理に関する正しい知識を身に付けるとともに、経済的な事情に関わらず、必要としている子どもが生理用品を利用できるように することは大変重要」とし、正しい知識、課題については、男性教員も含めて学校全体で適切な指導、支援ができるよう、2年間かけ、産婦人科医など専門家の意見も聞き、本年2月に「性に関する指導の手引き」を策定し、取組をすすめていること、学校における生理用品の配布について、受け取りやすい環境整備に努める、と答弁がありました。
★県 1500万円で、26万個の無償配布へ/ 配布方法は市町村と相談 ⇔ 市町村教委に申入れを
◆熱海「土石流」災害を教訓に ~ 大規模盛土のある地域の調査・対策を
・高知市6月議会 「立地適正化計画」の見直し―‐国の「水防法」の見直しで、最大規模の降雨があった場合に家屋流出の高い地域を「住居誘導区域」から一部除外するもの。土砂災害警戒区域、浸水想定区域、津波浸水想定区域は「災害イエローゾーン」で、本来「居住誘導地域に含まない」とされている。が、市は、イエローゾーンが市内に広範囲に存在していることから、防災対策を講じることで「誘導地域」に含めている。
日本共産党は、熱海の例からもより慎重な対応が必要とし、市の指定する土石流危険渓流の上流部に大規模盛土がある区域も除外することの研究調査を求めました。
市は来年度、14年度に続き、第二次スクーリング調査(盛土造成地の現地調査を行い、地形や土質等を把握した上 で、安定計算を行う。)に入るので、調査に基づき対応を準備していく、と答弁
〇立地適正化計画 の策定 全国で477 19年7月
・策定・公表 高知市、南国市、土佐市 ・計画にもとづき取り組み 須崎市、四万十市
〇熱海災害うけ、国交大臣が総点検の意向(7/6記者会見)
・調査方法など具体的検討に入った
・これまでの調査 ⇒「大規模盛土造成地マップ」 ~ 全国5万カ所。が、宅地に限られ、熱海で崩壊した盛土は対象外
・県HPで公表 (市町村にもある)/対象地不存在・・・室戸市、土佐市、東洋町、奈半利町、田野町、安田町、芸西村、本山町、大豊町、土佐町、中土佐町、大月町、香美市
★土砂災害では、大型風力、メガソーラー、皆伐・大型作業道なども、問題となってくる
「土砂災害の原因を『豪雨』のせいだけにしている限り、今後も土砂災害は発生し続ける」 FB 中嶋 健造 7/5
https://www.facebook.com/kenzo.nakajima/posts/4035765546508831
◆流域治水関連法成立と課題 議会と自治体21/8号
・2021年4月28日 全会一致で可決 /前進面はあるが、極めて不十分
・気候危機による雨量の増大に対し、氾濫を許容しつつ総合的な安全性を追求
〇前進面 ダムを中心にした個別治水対策から「流域治水」へ
・「集水域」「河川区域」に加え「氾濫域」を含め実施/ 都市・住宅地が、河川下流の氾濫原に拡大したこと反映
・特定都市河川浸水対策法の改定
「浸水被害の防止」に「市街地の進展により困難な地域」 ⇒、河川の狭隘部など「地域性」が加味された
大都市部の8水系だけ ⇒ 全国一級河川、都道府県管理2級河川の追加
・利水ダムの事前放流実施を明記 /西日本豪雨災害等をうけて改定
〇ダム重視の転換、住民参加の原則を
・流域治水関連法 水防法など9本の法改正、連動する地方税法16本の改定/法そのものに「流域治水」が明記されず
・国交省 「流域治水」のイメージ図・・・「ダムの建設・再生」が明記 ⇒ 現実には、ダム建設による災害
球磨川氾濫(熊本)、小田川氾濫(岡山) ダム建設優先で、河川の浚渫、堤防強化がなおざれにされた
⇒ 関連法「遊水池である貯留機能保全区域」の指定、「雨水貯留浸透施設整備」、河道掘削、堤防整備を掲げており、ダムでなく、これらを優先すべき /耐越水堤防の本格的採用を。流域全体の農地、森林の保全
4/7衆院・国交委員会 赤羽大臣「治山、森林整備も含め流域全体の安全を確保するため、総合的に変えていかなければならない」「かってはダム絶対だったかもしれないが、環境問題を重視すべきことなどを理解している」(高橋千鶴子議員)
・特定都市河川浸水対策法7条 「都道府県流域水害対策協議会」の設置/住民が入ってない
⇒ 4/7衆・国交委 大臣「協議会に流域住民の方が加わって知見を発揮していただけるようにしたい」
・同法4条 「計画の策定」では「必要のあると認めるときには、あらかじめ・・・河川領域内の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない」 / 「必要のあると認められるとき」に限定
⇒ 流域住民の参加が重要。「学識経験者」も「河川管理者等が必要と認める者」だけでなく、住民が認める者も入れるべき
⇒河川法16条 基本方針・計画の策定 ⇒ 住民参加と合意形成を具体的、制度的に保障する必要
・河川管理の連携 一級河川~下流部は国、上流部は県。/緊急放流などの情報伝達 治水、利水、農業用ダム等
〇要配慮者施設等 危険地帯の立地回避、障害に応じた適切な支援
・水防法15条、土砂災害防止対策推進法8条 避難のための計画の策定し市町村に報告。市町村は助言・勧告だけ
・防災のための集団移転促進特措法 /地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域及び浸水被害防止区域を、移転促進区域に追加/ 移転促進事業に、「高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒その他迅速な避難の確保を図るために特に配慮を要する者が利用する施設で、土地の整備を含む」となっている
⇒ 日本の高齢者施設の43%が洪水浸水想定・土砂災害警戒が立地/ 施設の立地計画(安全地域に建設し、避難所として活用する等)、自主防災の強化、個別避難計画とサポート体制の整備、避難所の環境改善など、総合的にすすめていく。
・集団移転の財政措置/市町村の事業費(移転元土地買取り、移転者の土地取得・住宅ローンの利子相当分の補助、住宅団地の取得・造成費等)の うち、4分の3(地方財政措置を含めると実質94%)を国が負担/住宅・土地購入は本人負担、
〇ハザードマップ 住民参加で作成
・中小河川等にまで対象を拡大
・地形など十分考慮し、コンサルまかせでなく、地域を熟知する住民、自治体職員参加が重要
黒潮町の経験 専門家(片田、矢守)の支援のもと、地域毎の防災マップを避難訓練毎に住民参加でブラッシュアップ
〇事業の事前、事後の評価 地域住民、専門家の参加を制度化する
〇流域管理へ 流域・海岸も含めた災害ゴミの処理、広域避難、農地・森林の保全など総合的対策が必要
★ 流域治水にかかわる財政措置については、【21.2学習交流会資料 政府予算の特徴の地方財政部分に資料あり】
◆国交省インフラ長寿命化計画 「予防保全」で経費半減へ 7/29赤旗
・「インフラ長寿命化計画(行動計画)」第2次計画~ 2014年5月の第1次計画続くもの
・特徴~ インフラに不具合が生じる前に対策を行い、機能を健全な状態に維持する「予防保全」への本格転換を図ること
・21~25年度までのインフラメンテナンスのあり方を示したもの。「予防保全」により、早期の機能回復と維持管理・更新費の抑制を図る。~ 第1次計画=主にインフラの点検を行い、修繕計画のサイクルをつくることが目的。この6年間で点検が一巡、状態の把握が進んだことから、今後、新たな計画のもとで、予防保全型のメンテナンスを進める。
・予防保全の管理水準を下回る状態のインフラ⇒ 計画的・集中的な修繕などを行い、機能の早期回復を図る。
・維持管理・更新等のコストの見通し
30年後の維持管理費 48年度で、事後保全型では12・3兆円、予防保全型6・5兆円
今後30年間の合計費用 事後保全 約250兆~280兆円、予防保全 約180兆~190兆円
・地方自治体管理のインフラを中心に、修繕などの措置に遅れが生じるなど、早期の対策が必要なインフラも多数存在と指摘
→ 国交省、小規模な地方自治体への支援を強化するとしている/が、今回の計画では、維持管理・更新費の抑制のため、将来の人口減少や社会情勢の変化などで「必要性のなくなったインフラの集約・撤去」を行うことも明記。
インフラの再編・複合化・機能転換についても言及/ 地方の「公的施設適正化計画」、水道広域化などともリンク
・下水道、都市公園、公営住宅などの集約・再編も必要としている。
国交省 、公営住宅について「総戸数を減らすものではない」と説明/が、17年度に57団地、18年度に749団地、19年度に806団地が廃止・再編されている。(下水・汚水処理は、浄化槽などへの切り替え・見直しが国も促進)
・財源確保策 受益と負担の見直しを進めることも明記~ 利用者負担の増加の程度や経済社会への影響等に配慮しつつ、個別施設ごとに慎重に判断/が、公営住宅家賃や公共施設利用料が引き上げられる危険性がある
・技術者の確保 特に小規模な自治体では確保に困難が生じている /国交省 少ない人数でも点検や維持管理が行えるよう、ドローンの活用など、新しい技術を活用していく方針
・既存のインフラについては予防保全型に転換/が、大型開発を含めた新規建設も引き続き推進
⇒ 新規建設から、維持・管理へ予算を振り向ける必要がある。
◆PFI方式 検証した27事業すべてで割高 会計検査院
・民間資金で公共設備を整備するPFI方式を採用した11府省の76事業・総額1兆3504億円について会計検査院が調査。
民間事業者側による不適切な業務が26事業、2千件以上で計2367件に上った。
法務省のPFI事業である官民共同運営の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)では、食事への異物混入や遅配などが年間平均65・6件発生。12年度は144件に上った。同刑務所の整備・運営を担うのは、大手ゼネコンの大林組を代表とする企業グループ「島根あさひソーシャルサポート」で、契約額は約922億円という。
26事業とは別に、国側の管理が不適当な事業も存在。東京都八王子市の「八日町地下駐車場」では、設備の不具合で202ある車室の約4割が使用不能となっていた。管理者の関東地方整備局の予算不足などで、修繕が不十分だった。民間事業者側の報告によると、18年度の駐車場収入は計画の半分の約1600万円にとどまった。
・検査院が18年度末までに終了した29事業を調べたところ、PFIの導入効果について事後検証をした事業はなかった。
うち27事業について、検査院がPFIと従来方式での維持管理費を比べたところ、全事業でPFIが従来方式よりも1・06~2・85倍高額となった。(「朝日」記事要約)
「国が実施するPFI事業について」 2021年5月 会計検査院
https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/3/pdf/30514_zenbun.pdf
ウ PFI事業の事業期間終了に伴う評価の実施状況等(41~48ページ参照)
30年度末現在で事業期間が終了していたサービス購入型の29事業について、PF I事業の事業期間終了に伴う評価の実施状況をみると、事後検証が行われていたものはなかった。
そこで、会計検査院において、可能な範囲でPFI事業に係るコス ト面及びサービス面の両面についての事後検証等を試みたところ、上記29事業のうち、事業期間終了後、PFI事業により行われていた業務の一部である維持管理が 従来方式による事業により行われていた27事業について、PFI事業により行われていた業務のうちから従来方式により締結された契約に含まれていない業務等を除外した上で算定したPFI事業における維持管理費相当額と、従来方式により行われていた事業における維持管理費相当額とを比較した結果、27事業の全てについて、 PFI事業の方が従来方式により行われていた事業よりも維持管理費相当額が高額 となっており、前者の後者に対する割合が最も高いもので285.3%、最も低いもので も106.8%となっていた。また、上記27事業のいずれにおいても、PFI事業として実施したことによるサービス面に係る定性的な効果を評価するための指標等が設けられるなどしていなかった
⇒ 選定も、利子の現状を反映していない、比べる条件が違うなかで、PFIの優位性を「認定」していたり、モニタリングが十分でないなど指摘されている。/事後検証がされてないのは「幻想」をまきちらすためでしかない
★参考 英国はPFI終了宣言 2018年10月29日
・英国会計検査院報告「多くのPFIプロジェクトは、通常の公共入札のプロジェクトより40%割高」「25年経験したが、公的財政に恩恵をもたらすというデータは不足」とまとめている。
・有力経済紙『Financial Times(フィナンシャル・タイムス)』「英国会計検査院がPFIによって数十億ポンドもの損失が生じていることを暴露」(2018年1月18日)
「会計検査院によれば、英国は、そのインフラの多くを建設するために用いたPFIによる不明瞭な便益のために、数十億ポンドもの超過コストを負担させられている」。
・PFIにおいては、株主配当や役員報酬、公債よりも高い資金調達コストなどが、施設・サービスの利用料金や委託料を上昇させた。その一方、期待されていた事業リスクの移転、事業効率の向上などは実現しなかった。
・ロンドンの鉄道事業を請け負った民間企業は多額の負債を抱えたまま倒産し、借金は自治体のものとなった。/マンチェスターでは、ごみ処理事業のPFIが失敗し、市がSPV(特定目的会社)の支配権を1ポンドで譲り受け、公債発行によりSPVの債務をリファイナンスし、事業を再公営化した。 /さらに181月には、PFI事業を多く請け負っていたカリリオン社が、進行中の公共サービス提供の契約を残したまま経営破綻した。財務の安定性を度外視した投資と、過剰な配当金、役員報酬がその原因とされている。
◆6月県議会 知事の政治姿勢・SDGs、気候危機 塚地質問 (研究)
昨年は、温暖化対策の国際的枠組みを決めたパリ協定の本格的スタートの年でした。今年は、パリ協定の目標も含むSDGs達成に向けた取組を拡大・加速するための「行動の10年」の最初の年となっており、様々な場面で、SDGsの言葉が飛び交っています。SDGs、パリ協定の意義をつかむには、地球の限界、プラネタリーバウンダリーという概念を理解することが不可欠と言われています。
現在人類が地球システムに与えている圧力は飽和状態に達しており、気候、水環境、生態系などが本来持つ回復力の限界を超えると、不可逆的状態に突入してしまう。そのため人類が生存できる限界を把握することにより、壊滅的変化を回避しようという考え方です。
そのために、SDGsでは、脱炭素、工業的農業からの脱却など各種の目標と期限が設定されています。2018年の国連気候変動に関する政府間パネルの「1.5℃特別報告書」では,1.5℃目標を実現するためには,CO2排出量を2030年までに2010年の水準から約45%削減、2050年頃までに実質ゼロとする必要があり、2030年までの削減の取組が決定的に重要であるとしています。特別報告書に関する記者会見では「いますぐ行動を起こし、今後10年間でCO2排出量を大幅に減らさなければ、気温上昇を1.5℃以下に抑えることが極めて困難になる」と語っています。2050年にゼロにすればよいのではなく、2030年目標の達成が重要なのです。この10年は、「未来への分岐点」とも表現されています。
4月、バイデン政権主催の気候変動サミットで、菅首相は2030年度の日本の温室効果ガス削減目標を、従来の13年度比で26%減から46%減にすると表明しました。が、これは世界平均45%とほぼ変わらず、世界第5位の排出国である日本としてはより高い削減目標が求められます。しかも、なんら具体的裏付けがあるわけではありません。小泉環境大臣が報道番組で「おぼろげながら浮かんできた」数字だと述べたことに、英フィナンシャルタイムズ紙社説(5/3電子版)は、「政府の計画性のなさを象徴するコメント」だと揶揄する始末です。EUは55%、米国は50~52%の削減目標を掲げ、達成のためにエネルギー政策などを根本から転換をすすめています。
この点について、政府をはじめ認識、とりくみ弱いのではないかと思います。今年改定された「高知県地球温暖化対策実行計画」においても、「2030年」の位置づけがあまりに低いと思います。
- 地球の限界点、未来への分岐点といわれる「2030年」までの取り組みが非常に重要だと思いますが、どう理解されているか知事にお聞きをいたします。
環境問題、気候変動のとりくみについて、欧米では「環境正義」、「気候正義」という概念が使われています。これは、公害、環境汚染の被害者は、人々に等しく降り注ぐのではなく、貧困層、社会的弱者とその居住する地域に集中して現れることから、そこには「不正義」が存在している、と捉える概念です。気候変動による食糧危機などの被害も、貧困層と富裕層では影響が違います。また、現在の世代が利便性を享受した結果、将来世代がその不利益の影響をまともに受けるという世代間での「不正義」も視野に入れた概念です。当時15歳のグレタ・トゥーンベリさんがはじめた行動が「未来のための金曜日」行動として若者にひろがっているのは、この不正義をなくせ、未来を奪うな、という訴えです。
SDGs、パリ協定の目標は、人として、地球の生きるものとしての正義の追求であり、未来の世代への責任です。
- 2030年に向けては、県の施策と県民が共通認識を持って取り組んでいくことが非常に重要でありそのためには、「環境正義」、「気候正義」の考え方の普及を図ることが必要ではないかと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。
日本でも世界でも、記録的な高温や台風等の強大化、豪雨、大洪水、大規模な山火事、深刻化する干ばつなど、気候変動の影響が顕在化し、被害者や死者数も増大しています。このような危機的な状況に、「気候非常事態宣言」を出し、緊急行動を呼びかける自治体が増えています。世界ではすでに1000を超える自治体が気候非常事態宣言を出していますが、日本でも、北海道、岩手県、長野県、東京都、神奈川県、沖縄県など100を超える自治体が取り組んでいます。
- 気候非常事態宣言を、高知県として行うべきだと思いますがお聞きいたします。
★知事答弁
「20 30年までの取組が極めて重要なものとなる」と述べ、本年度内に策定するアクションプランには「目標をより高いものに見直すとともに、その達成に向けあらゆる施策を動員し、取り組んでいく」
気候正義について「環境保全と社会的正義の同時追求の必要性を示す」ものであり、SDGsの「各国内及び各国間の不平等を是正すること」と関係しており、「こうした考え方を、県民の共通認識としていくということが大変重要である」
・「気候非常事態宣言」では、「昨年12月に行ったカーボンニュートラル宣言は、そうした危機感を前提としたもの」と答弁(県内では土佐町が6月議会で宣言)
★自治体で・・・
・省エネ住宅(公営住宅、賃貸アパート含む)の省エネ化への補助制度、/住宅用太陽光・ソーラーシェアリング(農地)推進
・事業所・生産施設・工場の省エネ化推進
・地産地消費 /エコロジカルフットプリントの見える化
・フードロスゼロ、ゼロエミッションの推進(分別資源化、生ごみたい肥化)
【6月議会 市町村アラカルト】
・室戸市 18歳(障碍者20歳)以下に1人5万円支給。5千円で8千円の買物券・3万部発行
・安芸市 ワクチン接種の医師・看護師らに3万円・720人、8時以降営業していた飲食・旅館に30万円。
・東洋町 飲食店に20万円、住民一人あたり地域商品券5千円
・奈半利 地域振興券一人2万円、18歳以下に1人3万円の給付金
・馬路村 五千円の地域商品券
・北川村 定住促進へ共同社員住宅建設
・大豊町 1万5千円の商品券(当初予算)
・本山 町出身の大学・専門学生に5万円支給。地域振興クーポン5千円
・土佐町 気候非常事態宣言
・仁淀川町 コロナ減収に事業継続支援金10~50万円。高校生以下に三万円の地域通貨券
・香美市 カミカカード利用で地域振興券1万円給付
・須崎市 20年度決算 7.3億円黒字。スーパー跡地を図書館用地取得。浦ノ内遊具整備・ハウス移転に3億円
・いの町 4千円で5千円の商品券
・佐川町 22年度よりUターン者の奨学金返済支援へ
・中土佐 20年度実質収支、4億4100万円黒字。2500円で5千円分の食事券
・四万十町 大型風力の影響。町で独自調査
・四万十市 大型風力発電 市長「どこに建設するかの計画が提出されておらず対応できない」
雇用継続支援金・規模に応じ最大50万。
・宿毛市 南国市に続いてDHCとの協定解除
・黒潮町 パートナーシップ制度来年度導入する。生理の貧困、学校で無償配布徹底する
・三原村 4-6月のうち1か月の売上が、前年、前前年比15%以上減の事業者の減少額が最大だった月の差額分支給。法人40万、個人20万上限
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