技能実習は速やかに廃止を 日経が社説
「人手不足を補うため海外から人材を受け入れるだけ受け入れ、劣悪な労働環境は放置というのでは無責任のそしりを免れない。外国人技能実習制度のことだ。いっこうに改善がみられないこの制度はすでに行き詰まっている。速やかに廃止し、外国人材の受け入れ体制を立て直すべきだ。」 日経新聞の社説「技能実習は速やかに廃止を」7/25である。
会計検査院の調査、春のアメリカ国務省の人権報告、入管の人権侵害事件・・・技能実習という「国際貢献」を名を関しながら、実態は安上がりの労働力の利用という仕組みは限界である。
論協の1つとなっている会計検査院の調査概要
【外国人材の受入れに係る施策に関する会計検査の結果について 21/7】
・留学生受け入れ大学31校のうち、電子届出システムを利用しての届け出は2校。
・技能実習生の行方不明者の2割は、半年を経過しても機構実地検査がなされていない
・研修事業における就職支援の実施状は、厚労省への報告項目になく状況不明
【2020年国別人権報告書―日本に関する部分 米国国務省民主主義・人権・労働局 2021年3月30日 】
「強制労働の禁止」の項目で、技能実習生が取り上げられている。
【外国人材の受入れに係る施策に関する会計検査の結果について 21/7】
<検査の結果の主な内容及び所見>
1 大学等への外国人留学生受入れに係る施策の状況
検査対象大学等31校のうち5校において、令和元年度に「受入れに関する届出」が全く提出されていなかった。また、この5校を除いた26校において、元年度に電子届出システムを利用して「受入れに関する届出」を提出していたのは2校と少ない状況となっていた。
・所見:外国人留学生の在留の管理等に一層活用するために、全ての大学等が「受入れに関する届出」を適時適切に提出することを引き続き要請するとともに、利用が低調となっている電子届出システムについて、利用者が電子届出システムを利用するに当たっての要望等を十分に把握し、分析した上で、電子届出システムの利便性の向上を図るなどして適正な在留の管理という目的を果たしつつ利用を促進することなどを検討すること
2 技能実習制度の適正化に係る取組の状況
平成31年4月から令和元年9月までの間に発生した行方不明事案3,639件のうち、その発生から少なくとも6か月が経過した時点である元年度末時点において、2,884件(機構実地検査の対象件数に占める割合79.2%)については機構実地検査が実施されていたが、755件(同20.7%)については機構実地検査が実施されておらず、そのうち557件(機構実地検査の未実施件数に占める割合73.7%)については客観的資料が入手されていなかった。
・所見:技能実習生の行方不明事案が発生した実習実施者に対する機構実地検査を速やかに実施できない場合には、速やかに客観的資料を入手すること
3 外国人材の受入れに係る国の支援の状況
平成27年度から令和元年度までの間において、受託業者からハローワークに提出された求職情報シートに基づく求職や、受託業者が行うこととされている受講者に対する面接希望の意向確認の状況について、事業実施結果報告書等により厚生労働本省に報告することとなっていなかったなどのため、同本省は求職情報誌等による就職支援の実施状況を十分に確認しておらず、就職支援について改善を図ることの検討が十分にできない状況となっていた。
・所見:研修事業における就職支援の実施状況を適切に把握して翌年度以降の研修事業に活用できるよう、受託業者とハローワーク等における就職支援の実施状況について事業実施結果報告書等により報告させて把握すること。
【2020年国別人権報告書―日本に関する部分 米国国務省民主主義・人権・労働局 2021年3月30日 】
- 強制労働の禁止
法律によりあらゆる形態の強制労働は禁止されている。しかし、この法律では、何が強制労働にあたるのか明確に定義されていないため、このようなケースを追求する際は、検察官の裁量に委ねられる。
しかし全般的には、政府は法律を効果的に執行した。だが一部の業種、特に外国人労働者が一般的に雇用されている業種では施行が不十分だった。強制労働に対する法律上の刑罰は、強制労働の形態、被害者、このような犯罪を訴追に適用した法律により異なった。中には、他の類似した重大犯罪に対する法律と比較して見合わないものもあった。例えば、法律は強制労働を犯罪とし10年以下の懲役を規定するが、収監に代わる少額の罰金刑も認めている。NGOは、複数で重複する法令に依拠することが、特に心理的抑圧の側面がある強制労働に関わる人身売買の犯罪について、政府による特定と訴追を阻害していると主張した。
製造業、建設業および造船業において強制労働の兆候が引き続きあった。これは主に、技能実習制度(TITP)を通じて外国人を雇用している中小企業にみられた。TITPは、外国人労働者が日本に入国し、事実上の臨時労働者事業のような形で最長5年間の就業を認める制度であり、この分野の多くの専門家は人身取引およびその他の労働者虐待の温床になりやすいと評価した。
TITPで働く労働者は、政府が禁止しているにもかかわらず、移動の自由およびTITP関係者以外の人物との連絡の制限、賃金の未払い、長時間労働、母国の仲介業者に対する多額の借金、ならびに身分証明書の取り上げを経験した。例えば、報告によると、技能実習生の中には、仕事を得るため自国で最高100万円(9200ドル)を支払った者もいた。また、実習を切り上げようとした場合に、このような資金が自国の仲介業者に没収されることが義務付けられていた契約の下で雇用されていた技能実習生もいた。こうした行為はいずれも、TITPの下で違法である。また、労働者は実習の切り上げや強制送還により没収される「強制貯金」の対象となることもあった。
外国人技能実習機構は、技能実習生の職場を立入検査するなど、TITPを監督する。同機構は、検査官などの増員した人員を維持したが、機構は人員不足で、日本語を話せない人たちとの接触が不十分であり、労働権の侵害を特定するには効果的ではなかったという懸念を労働者団体は引き続き挙げた。
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