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コロナ禍の子どもの健康状態  未受診増加  保団連調査

【新型コロナウイルス感染拡大後の健康状況 「2020 年学校健診後治療調査」より  2021 年 5 月 23 日 全国保険医団体連合会】

全国31道府県の各学校4,923校(回収率20.7%)の協力を得ての調査。

■「新型コロナウイルス感染拡大」によって“受診ができない”児童・生徒たちがいる

■“受診できない”児童・生徒たちは増加している

■新型コロナウイルスによる広範囲にわたる影響事例が寄せられる

 として

■コロナ禍の今こそ、国・自治体・地域での積極的な対策を 「児童・生徒の健全な成長・発達を保障する上で、必要な受診を促すことを目的として、国・自治体・学校・医療関係者・地域が連携した積極的な対応が求められる。」と結んでいる。

  以下、結果の概要と保団連の提言。ウェブ本文には、科ごとの詳しい分析がなされている。

【新型コロナウイルス感染拡大後の健康状況 「2020 年学校健診後治療調査」 結果の概要】

 ■「新型コロナウイルス感染拡大」によって“受診ができない”児童・生徒たちがいる

2020 年に日本全国で感染が拡大した新型コロナウイルス。新型コロナウイルスは、全国で実施されている学校健診にも大きな影を落とした。新型コロナ感染拡大に伴う 2020 3 4 月の全国一斉休校を受け、学校健診は延期され、その後も健診実施に至るまでに時間を要した。加えて、「受診による新型コロナ感染」を恐れて、要受診とされているにも関わらず必要な受診ができていないことが明らかとなった。

 ■“受診できない”児童・生徒たちは増加している

全国保険医団体連合会は、学校健診で、「医療機関への受診が必要とされたにもかかわらず、受診できていない子どもたちがいる」ことを 2018 年に実施した「全国学校健診後治療調査」で明らかにした。その翌年、新型コロナウイルスの急拡大が起こった結果、前回調査に比べて、要受診とされた子どもたちの未受診率は、調査対象の歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科において増加した。

未受診の割合は、歯科健診は 62.3%(前回 57%)、眼科健診は 55.4%(前回 47.6%)、視力検査は58.3%(前回 56.3%)、耳鼻科健診は 57.4%(前回 50.8%)、聴力検査 41.2%(前回 35.0%)内科健診 53.6%(前回 50.5%)となり、未受診の児童・生徒数は増加している。

 ■新型コロナウイルスによる広範囲にわたる影響事例が寄せられる

新型コロナウイルスによる影響については、40.3%の学校が「影響があった」と回答した。影響事例は、「肥満児童・生徒の増加」、「視力低下」、「保健室登校の増加」「虫歯のある児童・生徒の増加」など多数報告された。また、不登校、授業に欠席ぎみ、登校をしぶる児童・生徒が多くいるとの声が養護教員から寄せられている。

さらに、学校休校中の運動不足などに起因すると考えられる骨折などの怪我の増加、心身における体調不良の増加が指摘された。学校休校中、ゲームなどのメディアに費やす時間が増加したことで生活リズムの乱れや視力低下として影響が出ているとの声が寄せられた。

歯科では、全体的に口腔内の状況が悪化し、虫歯のみでなく歯垢の付着や歯肉炎が増加していると指摘されている。「コロナ感染が不安」であることを理由にした受診控えも多く発生していたとの報告が寄せられた。

 ■コロナ禍の今こそ、国・自治体・地域での積極的な対策を

未受診の背景として「健康状態に対する親の理解不足」「共働き」「経済的困難」「ひとり親家庭」「無関心」などがあり、健診後の受診につながらない児童・生徒は家庭に何らかの問題を抱えていることは、前回の学校健診後治療調査で明らかにした。

前述の状況が改善されない中で、今回、新型コロナウイルス感染拡大による「受診控え」が加わり、児童・生徒を取り巻く健康状況が悪化していることが分かった。

 

児童・生徒の健全な成長・発達を保障する上で、必要な受診を促すことを目的として、国・自治体・学校・医療関係者・地域が連携した積極的な対応が求められる。

【保団連の提言】

(1)未受診を「自己責任」とせず、受診しやすい環境を整えること

新型コロナウイルス感染症が広がっている中だからこそ、学校健診で要受診と診断された場合には積極的に医科・歯科医療機関を受診し、精密な検査及び治療を受ける必要がある。

特に成長期に当たる子どもたちの受診を妨げる下記の要件は早急な改善が必要である。

① 国の制度として、18 歳までの医療費を無料とすること。

② 小学生以下のこどもが医療機関を受診する必要がある場合は、診察に付き添う人は、別途有給休暇が取得できるようにすること。中小企業における当該有給休暇による損失については国が補填すること。

 (2)眼鏡・補聴器購入に対する補助制度を拡充するとともに、歯科矯正については、下記③においては、保険適用とすること

① 裸眼視力 0.7 以下では、眼鏡による補正が必要になると言われている。弱視・斜視、先天性白内障術後については補助制度があるが、裸眼視力0.7以下についても補助制度の対象とすること。

② 中等度・軽度難聴も学業には影響がある。重度難聴については補聴器による補助制度があるが、中等度・軽度についても補助制度の対象とすること。

③ しっかりと噛めることは、子どもの成長にとって重要である。歯科矯正は、厚労省が指定する一部の疾患を除き原則自己負担での治療となっている。歯科検診において、機能不全に繋がる不正咬合で歯科矯正の必要があると指摘された場合は、保険適用とすること。同時に、歯科矯正医との連携を図る必要がある。

 (3)学校における健康教育の充実及び保護者への理解の周知を

① 学校において、口腔や全身の管理の重要性などの健康教育を行うこと

② 養護教諭は複数体制とすること。

③ 保護者への理解を求める取り組みを国、自治体としても取り組むこと。

 (4)下記については、今後一層研究及び対策を講じる必要がある。

① 未受診者が多い理由は、経済的な問題か、理解不足なのか。この原因と解決方法について、学校関係者、医療関係者、保護者、自治体、政府などが様々な角度から掘り下げていく必要がある。

② 未受診が、どのような身体的な影響を及ぼし、人生にどのような影響があるのかについても調査・研究が待たれる。

 (5)新型コロナウイルス感染症による子どもたちの心身への影響の把握と対策の一層の推進を図ること

 (6)すみやかに全国調査を行うこと

今回の調査では、新型コロナウイルス感染拡大によって、全国 30 道府県の小学校、中学校、高校、特別支援学校において、「要受診」とされても必要な受診ができない児童・生徒が存在することが明らかになった。文部科学省が 1900 年から実施している「学校保健統計調査」は、統計法に基づく基幹統計調査(基幹統計である学校保健統計を作成するための調査)として、学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的として行われている。しかし、実際に「要受診」となったものの、受診ができていなかったかどうかについては、この統計調査では拾い上げることができない。養護教員からは本調査については、「教育委員会を通じてメールで依頼した方が良い」との声や調査回答にあたっては大変な事務負担となったとの声も寄せられた。先ず、国や自治体が調査を行い、未受診をなくすことが求められる。

 

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