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画期的判決 市民がシェルに勝訴・オランダ  CO2削減不十分。未来の権利侵害・違憲・ドイツ

 未来への責任、環境正義(特定の地域・民族という水平的関係だけでなく、将来世代が割を食う仕組みには不正義が存在する、という考え。)の立場にたった画期的判決がドイツ、オランダでくだされた。

 ドイツでは、温室効果ガス排出削減目標は不十分であり、部分的に基本法(憲法)違反だとする判決。オランダでは、多国籍石油企業シェルの気候変動に対する責任が裁判で認められ、具体的な数値まで出してCO2の削減が命じられた。

 市民運動、若者の行動が、世界を動かしている。

 【歴史的勝利!市民がシェルに勝訴  5/27  Friends of the Earth Japan (FoE Japan)

【温暖化ガス排出削減目標  ドイツ憲法裁 将来の権利侵害 違憲 若者・環境団体「画期的判決」赤旗 5/1】

【歴史的勝利!市民がシェルに勝訴  5/27  Friends of the Earth Japan (FoE Japan)

 歴史的な勝利です!

FoEオランダと市民が気候変動対策の強化を求めてシェルを訴えていた裁判で、市民側の訴えが認められました。裁判は17,000人以上のオランダ市民が原告として参加し、6つの環境団体も原告として名前を連ねました。裁判所は、シェルに対して、CO2排出量を2019年比45%削減しなければならないことなどを命じました。

多国籍石油企業シェルの気候変動に対する責任が裁判で認められ、具体的な数値まで出してCO2の削減が命じられたことは画期的です。詳しくは以下のFoEインターナショナルによるプレスリリースをご覧ください。

 

2021526日ハーグ史上初めて、危険な気候変動を引き起こしたとして企業の責任を認める判決が下されました。本日、FoEオランダ (Milieudefensie) 17,000人の共同原告および他の6団体と共同で起こした訴訟1の判決が言い渡され、ハーグの裁判所はシェルが10年以内にCO2排出を45%削減しなければならないと命じました。この歴史的な判決は、シェルをはじめとする世界中の環境汚染を引き起こしてきた企業に多大な影響を与えるでしょう。

 FoEオランダの事務局長であるドナルド・ポルスは、「これは、私たちの地球、私たちの子どもたちのための非常に大きな勝利であり、すべての人のための住みよい未来へのステップです。シェルは危険な気候変動を引き起こしており、今こそ彼らの破壊的な行為を止めなければならないという判決の内容に、疑いの余地はありません。」とコメントしました。

 FoEオランダの弁護士ロジャー・コックスは喜びをあらわにし「これは歴史の転換点です。裁判所が環境汚染を引き起こしている大企業にパリ協定の遵守を命じたのは初めてで、他に例を見ない裁判といえるでしょう。この判決は、大規模な環境汚染をもたらしている他の大企業にも大きな影響を与える可能性があります。」とコメントしました。

 ハーグの裁判所の判決は国際的に大きな影響を与えるでしょう。FoEインターナショナルのサラ・ショーは 「これは気候正義のための画期的な勝利です。私たちの願いは、この判決が大規模汚染者に対する気候訴訟の波を引き起こし、彼らに化石燃料の採掘と燃焼を止めるよう強く求めることです。この結果は、現在壊滅的な気候変動の影響に直面しているグローバル・サウスの住民等にとっても勝利です。」とコメントしました。

 判決の主なポイント:

 シェルは、2030年末までに排出量を実質45%削減しなければならない。

シェルは、顧客(スコープ32)およびサプライヤーからの排出についても責任を負う。

「生きる権利」 と 「平穏な家庭生活」 に対する人権侵害の脅威がある。

シェルの現在の気候政策は十分に具体的ではないため、シェルは直ちにこの判断に従わなければならない。

ドナルド・ポルズは「この判決は、国際的な気候変動ムーブメントにとって大きな前進です。世界最大の汚染者がついに責任をとらされたわけです。今私は未来への希望に満ちています。気候危機は私たちの国境で待ったり止まったりしないとみんなが知っています。だからこそ、判事がシェルに自らの行動に対する責任を負わせることは非常に重要です。これは、他の大規模な汚染者に対する、今行動を起こさなければならないという明確なシグナルでもあります。」と締めくくりました。

 補足

1: 共同原告は以下: Action Aid Netherlands, Both ENDS, Fossil Free Netherlands, Greenpeace Netherlands, Young Friends of The Earth Netherlands, the Wadden Sea Association (Waddenvereniging), および17,000人を超えるオランダ市民

2:スコープ3の排出は、スコープ1(直接排出)およびスコープ2(間接排出)以外の、取引先や顧客、従業員の移動手段や、事業からでる廃棄物など、事業にかかわるすべての過程で排出される温室効果ガスを指す。

 FoE Japanによる補足:

シェルは、三菱商事他とともにカナダ・ブリティッシュコロンビア州でLNG開発も行なっており、現地先住民族等が反対の声をあげています。なお、本開発で得られる天然ガスについて、現在横須賀市で石炭火力発電所建設事業を行っている株式会社JERAは、2024年度から15年間の購買に基本合意しており(最大約120万㌧/年)、袖ヶ浦ガス火力発電所の新設を計画している東京ガスも2026年度から13年間のLNG購入(最大約60万トン/年)に基本合意しています。詳細はこちら:https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/index.html

 

 

【温暖化ガス排出削減目標  ドイツ憲法裁 将来の権利侵害 違憲 若者・環境団体「画期的判決」赤旗 5/1

  ドイツの憲法裁判所は29日、気候保護法で定められた温室効果ガス排出削減目標は不十分であり、部分的に基本法(憲法)違反だとする判決を出しました。訴えを起こした「未来のための金曜日」の10~20代の若い活動家や環境団体は、気候保護を憲法上の権利として認めた画期的判決だと歓迎しています。(伊藤寿庸)

  ドイツは2030年までに1990年比で55%の排出削減を目標としており、2019年に連邦議会で気候保護法として採択されました。しかし気候活動家らは、削減量が不十分だとして憲法裁に訴えていました。

  判決は、30年までの削減目標については問題にしませんでしたが、気候保護法が削減の大きな部分を31年以降に先延ばしにしていることが問題だと判断。原告ら将来世代が「自由の大幅な喪失」によって権利を侵害されると述べました。

 憲法裁が判決の根拠としたのはドイツ基本法20a条。国が「将来世代に対する責任」からも、「自然的な生活基盤および動物を保護する」と定めています。

  判決は、気候保護について、パリ協定で定めたように今世紀末までの地球の平均気温の上昇を1・5度未満に抑えることを意味すると指摘。その達成のため30年より後に大幅で急激な排出削減をおこなうことになり、「実際上あらゆる自由が影響を受ける」と判断しました。

  これにより、連邦議会は来年末までに31年以降の排出削減のロードマップを示す必要があります。シュルツェ環境相は、同省の政策への後押しとなるとコメントしました。

  ドイツの「未来のための金曜日」の活動家で原告の1人、ルイーザ・ノイバウアーさんは、「この3年間、街頭に出てきた若者たちにとって、信じられないほど素晴らしい日だ」とコメント。原告側弁護士のロダ・フェアハイエン氏は「連邦憲法裁は、あらゆる予想を上回った」と歓迎し、世界中で同様の訴訟がたたかわれており「この判決は新しい基準を定めた」と述べました。

 

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