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アグリビジネスと食料主権 ~「家族農業10年」「小農の権利」の意義(メモ)

 福田康雄・一橋大特任教授   2021.6 経済より、メモ。2つの国連決議の意義について、現在のフードシステムの状況と、その欠陥、ゆきづまりから説き起こしたもの。

 

【アグリビジネスと食料主権】メモ    

◆はじめに

2つの重要な決議~「国連家族農業の10年(19-28年)」(17.12.20)、「小農の権利に関する国際宣言」(18.9.28

・「家族農業における10年」・・・現在のフードシステムが、❶人々に十分かつ健康的な食料機会を保障せず、❷土壌、水、生物多様性を含む自然資源、環境を劣化させ、❸地域の食料循環を断ち切り、❹農業者に公正な価格・所得を保障せず、したがって環境的にも社会的にも持続性を持たないとする、フードセキュリティ(持続可能な農業、そのもとでの健康的、安全な食料の供給)の否定となっている

→ 現行フードシステムから、家族農業を主軸とする新たなフードシステムの転換が必要であるとし、家族農業支援プログラムを提示

・「小農の権利」・・・フードシステム転換の前提として、小農の自立と主体性の保障、小農を含む地域・国が自ら食料とフードシステムを決定する権利、環境を破壊することなく持続的な仕方で生産された健康手金食料を人々が入手する権利、これら農業者・住民・国民の食料主権の確立を宣言する

・食料主権・・・国民のフードセキュリティを追求し、実現する権利

 

★が、国連の決議は、現在のフードシステムの弊害を指摘はするが、原因の解明がない/その解明によって、はじめて2つの決議の意義と重要性が明かになる/以下、現在のシステムはアグリビジネスシステムであり、そこでは食料主権が否定され、効率一辺倒の工場型農業を推進するが、そのシステムには持続性がないこと、そして食の安全性を脅かすこと、を明らかにする

 Ⅰ アグリビジネスとフードシステム

・健全な食料の確保なくして、生命、社会を維持することはできない/ 農業は社会の基盤

⇔ 農業生産高のGDPに占める比重の大小にかかわりない/基本的食料の自給は独立国家の条件(メモ者 世界への責任)

・農業~何千年にたり、専門知識を駆使し、種子、肥料、道具、家畜を地域で取り揃えて生産。収穫後は自家消費と次年度用の種子を確保、余剰物を交換・販売 ⇔ 地域の資源を活かした伝統的な農業、地域循環型農業の営み

 ・今日の農業~種子、肥料、農薬、機械など川上=インプット分野、作物の流通、販売、加工など川下=アウトプット分野が、企業参入により、市場経済に組み込まれ、その市場は、都会、海外まで拡大/ 少数の巨大資本・アグリビジネスが、川上、川下の市場支配権を握り、国の政策、貿易ルールの決定権を握る

→アグリビジネスが、市場支配力を基に政策・ルール決定権を握る「アグリビジネス管理型フードシステム」が成立

 

(1)市場集中

〇川上、川下での市場集中をすする、市場支配権、経済的権力を獲得/ その支配の要は「種子」

・04年 上位10社で商業用種子の49%。その後、巨大6社が3社に合併。上位5社で70.4%のシェアに

・種子大手は農薬大手  上位5社で、世界市場の74.7%支配

・家畜  ブロイラー商業用遺伝子 3社で95%、採卵用雌鶏遺伝子 2社で90%、豚 3社で100%

・穀物流通 4社で90%

・食品加工 牛肉加工・4社75%、豚肉加工・4社70%、ブロイラー4社53%

・食品小売り アメリカ…ウォルマートなど5社48.6%(17年)、英…テスコなど5社75.7%(20年)、仏・・ルクレールなど5社78.0%(19年)、ドイツ・・・エデカなど5社74.8%(18年)

 ★水平的統合だけでなく垂直的統合で支配力を強化/また、シェアで争うとともに、シェア拡大に利する場合は、パートナーシップ関係を形成・・・農業機械、ドローン、衛星による気候、土壌、成育状況のビッグデータを活用し、農薬・肥料の使用、種子の選択と開発など、これらの統合を競争力の原動力とする農業機械大手ズョンデールは、種子、農薬メーカ―とグループを形成

 

〇市場支配力のもう1つの源泉・・・育成者権、知的財産権の独占

・F1(一代雑種) による支配 (自家採取が不可能)

・F1以外の自家採取は、企業と農家との契約だったが、91年UPOV条約、続くTPPで、自家採取が広く禁止に

 

(2)政治的権力

・経済的権力をテコにした政治的権力の獲得/巨額の政治献金、政治ポストの支配~レーガン政権以降、農務省、環境保護庁、食品医薬品局の主要ポストをアグリビジネス(以下、AB)の出身者、業界関係者が押さえてきた。(メモ者 回転ドア)

例)遺伝子組替え作物を従来の作物と「実質的に同等」とし、規制を認めなかった食品医薬品局副長官は、モンサントの顧問弁護士で、その後、副社長に就任などなど・・・

・政治的権力を行使し、ルールを次々と変更

 

❶ 規制緩和~環境、食の安全規制の緩和、撤廃

・加工前の鶏の死亡、病気に関する検査の非義務化(レーガン政権)/96年HACCAPが食肉・家禽に適用=が、サルモレラ菌以外はサンプリング検査、屠殺工程は除外、簡便な放射性照射による殺菌も認める/ブッシュ政権、畜産排泄物での地下水の水質検査義務廃止/03年、BSE発生に際し、小規模農家の求めた原産地表示・全頭検査を拒否

・遺伝子組替え作物の緩和・・・92年、ラベル表示の禁止。遺その後、伝子組替えトマトの規制廃止、遺伝子組替えトウモロコシを拒否した南アに圧力。輸入禁止をするEUをWTOに提訴

 

❷貿易自由化   

ABにとり、国境規制は、輸入数量制限、関税措置。補助金(国内農業保護、輸出助成)。衛生植物検疫規制

→規制緩和・撤廃の国際ルールがWTO協定/原案を策定したのは、元カーギル副社長アムスタック

・WTO 初めて、数量規制の関税化原則が適用(関税化により、その削減、撤廃への道筋を開く)

     補助金 政策目的毎に、黄・青・緑に分類。黄(価格支持政策、輸出補助金)は削減を義務づけ

     検疫…「科学的根拠」及び「関連国際機関が作成した危険性評価の方法」に基づくことは各国に義務付け

          →前者は「予防原則」の否定、後者は、国際協調の義務化(各国の独自性の否定)

 

❸知的財産権の保護強化

・特に種子の知的財産の拡充と保護強化/80年、米最高裁で生物への特許適用が認められたことが契機

・WTO協定 遺伝子組替え、バイオ技術とその製品を対象に。一方、従来の伝統的な方法によって開発された種子・植物は対場外に → その上で、企業が生物的手法で開発した種子に財産権を設定し、農家の自家採取を禁止し、育種者の承諾をルール化(モンサント法) → TPP 登録種子による自家採取の禁止の法整備(日本、種子法廃止、種苗法改悪など)

 

Ⅱ 食料主権の喪失

AB管理型フードシステムのもとで、農業者、地域コミュニティ、国家は、どのような作物・食料を、誰のために、どのように作るか、いくらで提供するのか、というフードシステムの決定権=食料主権を失う

 

(1)農業者の権利の否定

・F1、遺伝子組替え種子など企業が育成権を持つ種子の利用が広がれば(例えば、価格面での競争を通じ)、これまで受け継いできた種子の保存と開発、農家相互の種子交換は、もはや認められなくなる/種子とセットで農薬が押し付けられる

・垂直統合された畜産…家畜の遺伝子、飼料、動物医薬品は契約企業が提供。農業者は、企業の指示によって働くだけの存在になる。農業者としての決定権を失う

・価格決定もAB主導で決定/インプット価格は、農家の販売価格を超えて上昇。大手スーパーは、農家に犠牲を転嫁

~ケンタッキーフライドチキン 小売価格26ドル。ケ社21ドル、ブロイラー加工者4ドル受け取り、飼育農家は30セント、売上の1.2%しかない。

 ・売上35万ドル未満の居住農家、中間農家は、農業所得はマイナス30万円~プラス20万円しかなく、ほとんどを補助金含む非農業所得が支えている/経営体の8.4%の大規模農家でも、世帯収入の2割は補助金

→居住農家、中間農家 経営体の92%、耕作面積の47.7%、生産高の21.1%~ 食料主権を奪われたこれらの層の退出が迫られれば、農業者、農業技術の継承が困難となり、フードセキュリティが危うくなる

 

(2)各国食料主権の否定へ

・AB管理型フードシステムによる新自由主義的国際ルールは、各国の食料・農業政策の手を縛るもの

・当該ルールは、かつて、累積債務を抱えた途上国が、IMF、世銀の融資を受ける条件として、「構造調整プログラム」の導入

=農産物貿易自由化、国内補助金削減、食料用作物から輸出換金作物への転換を押し付けたもの

→現在、途上国の輸出向け作物(サトウキビ、パーム油、大豆)の60%は外国ABが所有する農地で生産/大規模なモノカルチャープランテーション経営。農業者は、作業労働者としてなんら決定権を持たない/また、地域コミュニティ、家族経営が担ってきた地域フードシステムを破壊 (メモ者 干ばつなどで大規模な飢餓が発生する原因となっている)

 

❶ 貿易自由化

・食料主権の否定・典型としての日本  食料自給率(カロリー) 68年73% → 18年37%と、一貫して低下

・二次大戦後 種に欧州むけに農産物輸出が困難に。膨大な穀物在庫の処分先のターゲットが敗戦国日本

~54年MSA協定、56年日米PL480/ 無償小麦援助⇔小麦、トウモロコシ、飼料の輸入自由化とセット/日本政府、50年当初打ち出した、米、麦に小規模畜産を加えた「有畜複合経営」による農業再建策を放棄。麦、大豆、トウモロコシを増産支援の対象から外し、米以外の穀物の自由化を受け入れた。

・畜産・・54年飼料関税ゼロ、60年新安保「経済調和条項」で、農産品121品目の自由化決定。輸入制限品目は25に減少

91年 牛肉、オレンジの自由化(関税化)、94年ウルグァイラウンド  小麦、大麦、乳製品、でんぷんなど自由化(関税化)

・TPP~重要5品目・細目586品目のうち、豚肉調製品など174品目で関税撤廃。それ以外でも牛肉・豚肉・乳製品の関税大幅引き下げ。/牛肉、豚肉の事実上の関税撤廃を、日欧EPA、日米経済協定でも受けいれ

 

❷ 検疫規制の緩和

・食品ラベル表示  日米作業部会の設置(16年)/日本 「非遺伝子組み換え」表示を事実上不可能にするルール変更

~それまで「5%未満」なら表示できたが「ゼロ」に設定。分別等で混入がさけられない輸入農産物で表示が不可能に

/さらに、19年 ゲノム編集食品を、米国にならい表示義務の対象外に

・日米2国間協議  収穫後の防カビ剤審査の簡素化、食品添加物の承認拡大、BSEリスクのあるゼラチン・コラーゲンの食品使用の受け入れ

 

❸補助金削減

・国境措置の撤廃の一方、もともと日本の補助金政策は限定的が/95年、コメの生産費を保障していた食料管理法を廃止

・07年、品目横断的経営安定化策により主要農産物の価格支持政策の廃止に代わる、直接所得補償政策が導入。が、対象は認定農家のみ。その後、民主党政権が農家に対する所得補償制度の導入もめざすが、政権交代で、認定農家に限定

(メモ者  日本の制度は、過去数年間の平均価格との差を埋めるものがほとんど。価格低下が続くと、基準が引き下げる。生産費を保障する仕組みにない)

 ・輸入依存度の深刻さ

 トウモロコシ ほぼ100%、うちアメリカ80.7

 大豆 93%、うちアメリカ71.7%

 小麦 86%、うちアメリカ70.8

 牛肉 48%、うち35.6%、豚肉 64%、うち33.2%、

 飼料自給率26%により、牛肉自給率 8%、豚肉6%、鶏肉8%、鶏卵12%(ひよこは100%輸入)

~米以外の穀物、たんぱく質の自給率はさらに低く、その最大の相手は、アメリカのAB

 ❹ 種子の私有財産化

・自公政府による種子法廃止(都道府県の種子開発研究への財政措置の根拠消滅)、種苗法改悪(登録品種の自家採種の禁止)、農業競争力強化法(自治体のもつ種子データの民間提供)

→ 自家採種禁止の法令化は、モンサントが一貫して各国に強く求めてきたもの。

 

Ⅲ 農業の工業化と、その非持続性

 利益拡大を第一とするAB管理型フードシステム・・・効率化、農業の工業化を突き進め、環境破壊、農業の持続性を破壊

 

(1)農業の工業化

・ABは、農業・畜産ビジネスをグローバルに展開/ 農業者が否応なしにグローバル市場の価格競争に巻き込まれる

~生き残りのために、経営の大規模化、生産効率アップ、コスト低下が強制される/できない農業者は販売農家から排除に

(メモ者 土地が、ABに集約され、かつての農業者は、企業の指示のもとで作業する労働者に転化していく)

 

≪大規模化による効率化のメカニズム≫

❶モノカルチャー

・大規模化による大型機械の導入は、モノカルチャーのもとでしかその生産性を発揮しない。

・伝統的家族農業・・種々の作物栽培と家畜の飼育を組み合わせた有機複合経営/豆類を組み合わせることで土地の栄養分回復(窒素固定作用)、たい肥による地力維持など ~ トータルで見れば単位面積当たりの生産性は低くない

⇔ が、個別の作物、畜産を単位にとれは、市場での価格競争では、大規模モノカルチャー経営にかなわない

 ❷化学肥料

・化学肥料の大量投下/モノカルチャー経営では土壌の肥沃度を保てない/混作、輪作、家畜の排せつ物利用に代え、外部から栄養の持ち込み、短期的には「生産性」を上げる

 ❸農薬・抗生剤

・化学肥料など外部からのインプットに依存すれば、土壌、作物、家畜の間で行われる微生物を介した有機物の生成と分解の自然循環が断たれ、作物は病害虫に対する抵抗力を低下させる

⇔結果、農薬使用が不可欠に/また、農薬は人手を省き生産性を向上させる手段とし利用。遺伝子組替え技術による除草剤耐性作物、殺虫成分組み込んだBt作物なども

・大規模施設型畜産・・ 遺伝子組替え飼料、過密な環境での飼育/ 病気を防ぐことと、成長を促すために抗生物質が大量投与されている

 ~大型機械の使用、化学肥料・農薬・抗生剤の大量投下、化学物質生産と長距離輸送に伴う化石燃料消費・・・これらの巨額の投資の外部インプット依存のモノカルチャー経営が「工業型農業」。今日、その主役がAB

 

(2)非持続性

・農業は自然の営みを利用する産業・・・水を含む自然環境の維持、土壌微生物、植物、家畜の多様性が重要な要件となるが、「工業型農業」は、この条件を否定する

 ❶土壌の劣化

・モノカルチャー、化学肥料、農薬の使用は、土壌を劣化させる

・土壌の豊かさ/「植物→動物→微生物→植物→動物→微生物→土」という生物循環で保たれる

・微生物(根粒菌、菌根菌など)・・・植物が地中に放出する炭水化物をエサとして、植物にミネラルを提供 → ミミズ、ムカデなど地中に住む動物が有機物質を分解し、フンとして植物が吸収しやすい状態に変換。団粒構造を形成

⇔ 工場型農業は、この再生産を断ち切る/栄養面の劣化など農地としての利用不可能に。農薬が受粉を媒介する虫も消失

 ❷水質汚染・枯渇

・化学肥料・農薬の流出による河川、地下水の汚染/富栄養化にる藻の発生など

・大規模施設型畜産から出る大量の糞尿の流出

・少雨地帯での多収量品種導入による地域の水循環のかく乱(地下水枯渇等)、大規模灌漑による塩類集積の発生

 ❸多様性喪失

・伝統的農業 7000種の作物、210万以上の品種。家畜…40種類、7000以上の品種が代々受けつがれてきた

・工場型農業 12種の作物、8000以上の品種。畜産…5種類、100品種以下  ~効率性から特定の品種に限定

・この100年間で93%の作物遺伝子が消失/スウィートコーン 1903年307品種が、83年13品種に激減

・多様性は、環境変化、病害虫の発生に対し、対応を可能とし、生態の安定性を担保する

⇔モノカルチャー経営に加え、ABの種子独占も多様性喪失をもたらす/種子の多様性・・・農業者が相互に種を交換し、自ら交配を繰り返し維持してきたもの・・・工場型農業は否定し、目先の儲かる生産に特定化する

・さらなるリスク/遺伝子組替え作物の投入 アメリカ 大豆94%、トウモロコシ・綿花の90% /花粉が風で運ばれ、輸送中に交配汚染が広がる/27か国で許可されているが、すでに日本など50か国で汚染が確認

→ 本来存在しない、除草剤耐性、殺虫性遺伝子が組み込まれている。また、在来種と交配の際、遺伝子操作によって組み込まれた外来遺伝子が当初計画されたDNAの位置ではなく、ランダムに組み替えられる。汚染が広がれば本来の種を失う

 ❹農村の空洞化

・大規模化に伴う農村人口の減少、農村からの所得流出(農業者が受け取る価格の抑制、小売価格とのギャップ拡大)

~過剰生産圧力、輸入圧力により、生産費の回収も困難となり、農村は疲弊し、空洞化する

 

Ⅳ 工業型農業と食の安全

・工業型農業・・・農業の持続性否定、食の安全性を脅かす

 (1)残留農薬

・農薬は洗っても、煮ても辞去できない  群馬県食品安全センター  農薬の除去率 

~トマト水洗い フェンバレレート34.4%、フェニトロチオン14.8%、ゆでホウレンソウ クロルピリホス16.4%

・農民連合食品分析センターの調査 マグドナルド、モスバーカーのパンからマラチオン検出/食品中の在留農薬基準は、動物実験で安全とされた基準の100分の1だが、科学的根拠なし

 ❶ネオニコチノイド系農薬

 90年代以降、有機塩素系農薬の代替として使用が拡大/ 近年、アメリカ、韓国、日本で、注意欠陥多動性障害、自閉症、学習障害児童が急増~ 欧州食品安全機関が、発達を阻害する可能性を公表(2013年)

→有病率の高い国ほど単位面積あたりの農薬使用量が多い/EUは18年、屋外使用禁止、韓国・台湾・ブラジルも使用禁止

 ❷除草剤グリフォサート

・除草剤耐性遺伝子組替え作物とセットで販売されているラウンドアップ(主成分グリフォサート)

~WHO外部組織「国際がん研究機関」やMIT、加州大の研究者など、発がん性を指摘

・日本の小麦食品から検出/農民連合食品分析センター

・アメリカ、カナダでは、収穫前に小麦、雑草を枯らし、収穫効率をあげるためにラウンドアップを使用

~ アメリカ オート麦をベースとするシリアル 45サンプル中43から検出。うち31は基準を上回る

・独 ホームセンター販売禁止、仏 19年1月販売禁止、スリランカも禁止

・日本 アメリカの基準緩和にあわせ、17年、小麦、そば麦、ひまわり 6-400倍に緩和

 

(2)耐性菌

・大規模施設型畜産での抗生剤、抗菌剤の大量使用による、多剤耐性菌の発生

・1980年代、耐性菌が発生、13年時の耐性菌による死亡70万人(わずか70年で、抗生物質発見前の世界になりつつある)

・米食品医薬品局の調査(2011)  

鶏肉・七面鳥ひき肉で検出されたサルモネラ菌の44.9%、50%で、3種類以上の抗生物質に対し耐性を確認

カンピロバクターでも、検出された634菌株のうち9菌株で、3種類以上の抗生物質に対し耐性を確認

・家畜への抗菌剤使用 1位中国、2位米国だが、/家畜1㎏当たりの使用では、豚肉、鶏肉で日本が1

 

(3)合成ホルモン汚染

・牛の成長、催乳を促進するため遺伝子組替えホルモン剤の使用と健康リスク

・成長ホルモン  日本は使用禁止(使用した牛肉の輸入は許可)。米・豪州は許可。

・成分のエストロゲンが乳がんなどホルモン依存性がんを発生させるとし、EUは輸入禁止

   EU 国よって24.349.5% 乳がん発生率が減少

・アメリカ議会局調査 ホルモン剤は、牛の健康を阻害し、乳房炎を発生させると報告されたが、ABの政府工作により

93年に市販が許可された

 

(4)食品添加物

・AB管理型フードシステムの拡大に伴い、長距離輸送・長期保存のための添加物、香りづけ、着色、加工を容易にする増粘剤など、使用が拡大

・米国 第三者のチェックなし、企業判断で添加物を使用できる  戦後800種から10000種に拡大

・日本 米国の緩和にあわせ、柑橘類に使用される防カビ剤に発がん性があるにも関わらず、農薬としてではなく食品添加物として強化、腎臓・膀胱機能低下を招くアルミ添加物4種を許可

(メモ者 添加物の安全性は、長期間の蓄積、世代的な継続する影響の調査ではない。さらに複数の添加物が複合した場合の評価はなく、単体使用でのもの。)

 

 (5)遺伝子組替え食品

・遺伝子組替え食品、ゲノム編集食品が、今後無表記のまま輸入される危険性

・そもそも安全性は、モンサントによっても、米食品医薬品局によっても証明されていない/が、自然界における作物と「ほとんど同一である」という「実質的同等性の原則」による。それは局内の異論を無視した後にモンサント副社長となるテイラー副長官の政治的判断

→ 09年、米国環境医学会は、健康被害をもたらす可能性が高い、即時販売中止を要請

・遺伝子組替え技術の未熟さ

 遺伝子を機械部品として扱うもの/が、最近の研究は、遺伝子は様々な複数の機能を持ち、相互に情報ネットワークを形成していることが明らかにしているが、遺伝子操作は、その複雑さを無視した未熟なもの

 (6)水質汚染  農薬、化学物質、チッソ肥料、家畜の排泄物

 (7)栄養劣化 伝統的野菜にくらべ、ミネラル含量が少なく、従来の畜産に比べ脂肪分が多く、DHA含有量が少ない

 

◆おわりに

 AB管理型フードシステムは、農業の持続性、食の安全・健康を否定する/国連が提唱する小規模農業者の主権の確保とそれに基づく家族農業を土台とするフードシステムへの転換の根拠

→ それには、小農・家族農業支援にとどまらず、AB管理型フードシステムを解体していく必要がある。

 

【白書より】

〇他国に食頼る危うさ  

・ 最新の2020年度「食料・農業・農村白書」・・・新型コロナウイルス感染症の影響を特集

小麦輸出国のロシアや米輸出国のベトナムなど19カ国が輸出規制。「食料供給に影響を及ぼすリスクが多様化している」と分析し、「食料の安定供給は、国の最も基本的な責務の一つであり」「食料自給率の向上や食料安全保障の強化への期待はますます高まっています」とまとめ。

 ・が、現実は・・・ 政府は「自由貿易の旗手」を自任し、TPPなど推進。

日本の食料自給率は1960年度の79%から2019年度の38%へ半減

 ・今回のコロナ禍では輸出を規制した国が日本の主な食料輸入相手国でなく、影響を免れた

→が、輸出規制は、食料を他国に頼ることの危うさを示した/危機の際、他国が国民を飢えさせてまで食料を輸出してくれると期待することはできない。

 

〇農業従事者が激減・高齢化

 ・2020年度「農業白書」…農業従事者数、10年間で約70万人減少し、高齢化も進行/国民の命を支える食料を供給する農業と農村に崩壊の危機が拡大している。

・個人経営で農業の中心的な担い手(基幹的農業従事者)数・・・2010~20年の10年間で33・6%減少。10年205万4000人→20年136万3000人へ減/59歳以下の層は10年間で47・3%と半減

・基幹的農業従事者の平均年齢 10年間で、66・2歳→67・8歳/総数136万3千人。うち70歳以上が5割超。70~79歳が46万人。80歳以上も23万6000人。

 

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