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「看護師の日雇い派遣  断固反対・チームケアに逆行 医労連 /「直接雇用による確保が課題」民介協

 政府は、コロナ禍を「口実」に、社会福祉施設への看護師の日雇い派遣解禁の4月施行を予定している。

日本医労連が、24日、「人材不足の原因である労働環境と処遇改善から目を背け、労働者や利用者には負担を強いる」として断固反対する声明を発表した。

 【「社会福祉施設への看護師の日雇派遣」の解禁に断固反対する声明 2/24 医労連】

 声明では、日雇い派遣は低賃金と不安定雇用を原因として原則禁止された。介護施設で問題が解消されているとは言えず、対応策も示されていない。「利用者の個別性を尊重し、多職種によるチームケアを重視しなければならない」介護現場に派遣労働を導入することは、「利用者や派遣される看護師、その他の職員に混乱と負担をもたらす」と指摘している。

また、政府が人手不足対策して実施しているのは、外国人技能実習制度の導入や新たな在留資格の創設、人員配置基準・夜勤配置要件の弾力化などと指摘し、今回の「解禁」も同様のもとと批判。人員不足の原因である労働環境と低賃金改善のために大幅増員や介護報酬引き上げこそ必要だと強調している。

 

一方、在宅系介護サービスを提供する民間事業者の団体の意見が厚労省にアップされている。

人員確保できないと、報酬が下がるなどの理由から、一定にニーズが示されているが、問題点では「必要とされる技術をともなわない看護師の派遣」「無断欠勤などでも派遣事業者が責任を負わない」「利用者との信頼関係が築きにくい」をあげ、「派遣料の値上げなど、派遣会社が「潤う」構造。直接雇用による看護師の確保が課題」としている。

派遣解禁ではなく、直接雇用できる環境こそもとめられている。

 【社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について 「民間事業者の質を高める」(一社)全国介護事業者協議会 20/12/11

【「社会福祉施設への看護師の日雇派遣」の解禁に断固反対する声明 2/24 医労連】

 2021 2 24 日 日本医療労働組合連合会・中央執行委員会

 1 29 日、厚生労働大臣の諮問機関にあたる労働政策審議会の部会で介護・障害福祉施設への看護師の日雇い派遣を認める労働者派遣法の政令改正案が了承された。介護施設等では看護師の確保が困難な状況があり、「突発的な欠員」への対応として「日雇い派遣」に一定のニーズがあること、また、離職中の看護師の中にも派遣労働者として短期就業を希望するものが一定程度存在することが実態調査によって確認されたことを理由として挙げている。厚生労働省は、2 月中の公布、今年 4 月からの施行を予定している。

 「日雇い派遣」は 2012 年の労働者派遣法の改正によって原則禁止とされた。その背景には、適正な雇用管理が行われず、労働災害が多発していたことや、低賃金で不安定な雇用の原因となっていたことなどが挙げられる。そうした問題を解消し、労働者を救済することを目的として法改正が行われた。しかし、今回の解禁にあたって提案されている対応策は、派遣元による就業条件の明示と派遣先への労働者派遣法上求められている責務の履行といったことのみである。派遣先となる介護施設等の中には、適正な労働時間管理や労災防止措置等の使用者責務が果たされているとはいいがたい施設も多く、当該対応策をもって過去にあった問題を解消するに足りるものとは到底言えない。ましてや、低賃金・不安定雇用の問題については一切の対応策は示されておらず、議論のすすめ方としておよそ適正とは言えない。そもそも、介護施設等で看護師の確保が困難となっているのは、過酷な労働環境と低廉な賃金が根本的な原因であり、「日雇い派遣」の解禁で対応することは根本原因を漫然と放置することに他ならない。何より、利用者の個別性を尊重し多職種によるチームケアを重視しなければならない介護の現場に短期雇用の派遣労働を導入することは、利用者や派遣される看護師、その他の職員に混乱と負担をもたらすことにもなりかねない。この点で言えば、介護施設等に看護師の労働者派遣を認めている現行の制度自体にも問題があると言わざるを得ない。

昨今、介護・福祉現場の人材確保をめぐって、さまざまな形で対策が打ち出されている。

介護分野への外国人技能実習制度の導入、新たな在留資格としての「介護」の創設、介護予防・日常生活支援総合事業等での元気高齢者やシルバー人材センターの活用、2021 4 月の介護報酬改定では、介護施設の人員配置基準や夜勤配置要件の弾力化も打ち出されている。

そして、今回の社会福祉施設等への看護師の日雇い派遣の解禁である。いずれも、人材不足の根本的原因である労働環境と処遇改善から目を背けるもので、同時に労働者や利用者に一方的な負担を強いるものである。

 日本医療労働組合連合会(日本医労連)は、社会福祉施設への看護師の日雇派遣の解禁に断固反対するとともに、看護師や介護従事者が人間らしく働き続けられるよう、大幅増員や介護報酬引き上げ、保険料や利用料負担軽減など、誰もが安心して活用できる介護制度実現をめざして奮闘する決意である。

 以上

 

  

【社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について 「民間事業者の質を高める」(一社)全国介護事業者協議会 20/12/11

  民介協  623(令和23月末)、全国8ブロックにて活動、在宅系介護サービスを提供する会員が中心

 <日雇派遣のニーズ>

○介護事業サービスごとに人員基準があり(5頁を参照)、人員欠如の場合は減算(70/100の算定)もしくは指定の取り消しとなる。

○ニーズ調査でも「看護職員の派遣労働者を就業させる理由」の1位(73.1%)は「人員基準を満たすため」である。また2位(52.6%)は欠員補充(産休・育休・介護休暇を除く)である。

○また、介護サービス事業者の「看護職員の過不足状況」を見ると44.8%(「大いに不足」5.3%、「不足」14.4%、「やや不足」25.1%)の事業所が不足と回答し、そのうちの42.5%が「臨時的・突発的な人手不足」である。

⇒ このような状況では、看護師の日雇派遣は、短期的かつ突発的な人員不足解消のための有効な手段の一つと考えられ日雇派遣側の働き方の都合とマッチングすれば双方にとってメリットがある。

  

<看護師の派遣に関する課題>

・派遣事業者はS N Sで募集し、応募があれば面接もせず介護事業所へ紹介することがあり、中には処置(呼吸器の管理、人工肛門の処理、気管切開の対応等)のできない看護師を派遣されたことがある。派遣会社側の応募者の能力把握や派遣事業所での詳細な業務内容の把握などを十分にしていただく必要がある。

・派遣看護師が時間になっても出勤しない、連絡がつかない等で、業務に支障をきたしても派遣事業者は何の責任も取らない。緊急連絡先へ問い合わせても2〜3日経っても何の連絡も無いといった事例もあり、雇用管理をしっかりしていただく必要がある。

・顧客の視点から見ると、普段から接していない者が要介護者に状況把握不足のままサービスを実施するだけとなるため、要介護者や家族との信頼関係が形成されていない状況で尊厳の尊重をどこまで担保できるのかが課題である。

・毎年、派遣看護師の派遣料の値上げを要求される。介護報酬は公定価格であるが、派遣会社を多く利用することになると介護事業者ではなく派遣会社という周辺事業が潤う構造になる。介護報酬の一部は派遣会社へ流れていくことになる。派遣会社の利用を必要最小限とし、いかに直接雇用により看護師を確保していくかが課題。

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