世界と日本の再拡大に立ち向かう ~科学にもとづく政策転換を 児玉龍彦氏 資料
【世界と日本の再拡大に立ち向かう 2020.12.8】
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig-20201208.pdf
「参考資料/12月4日の新型コロナウィルス抗体検査機利用者協議会で述べた感染動向についての児玉アドバイザーの資料/東大アイソトープ総合センター」
世界と日本の再拡大に立ち向かう
1) スペイン発の変異が欧米で再拡大し死者増加へ。日本でも最多感染の第3の波へ。
2) 深刻化するコロナ禍経済。バブルへ向かう世界経済
3) 治療、予防技術進む。アビガンの無症状データ揃う。mRNAワクチンの早期効果、だが来年後半まで
4) この冬をどう乗り切る 動き出した世田谷区モデル。避けられなくなる感染地域全体の検査の必要性
この資料で、以下のように「検査抑制」論の5つの誤りをはっきりと指摘している(グラフなどは省略)。
昨日のBS報道1930で、最後に「科学のリーダーシップ」による政策転換の必要性を強調しておられたのが印象的。
(誤り1)無症状者のウィルスは少なく感染性はない
正解:無症状者からもウィルスは排出される
*(国立保健医療科学院=厚労省)肺炎などを起こすウイル ス感染症は、症状が最も強く表れる時期に、他者へウイルスを感染させる可能性も最も高い。したがって、無症状者 から感染する可能性は低いとみられる
→ covid19は違う
・発症前からウィルスを排出している
・無症状でも検出ウィルス量は同じ
・重症になるとウィルス量は減る場合も
アメリカ、スイスの入院時検査で呼吸器症状ない人はウィルス排出量が少な いとの報告がある。武漢の千万人検査 で300名の無償乗車が見つかったがCt 値(ウィルス量)は低い。一方、少なくないとの報告も最近出ている。
(誤り2)無症状者の検査をしても意味がない
正解:無症状者のクラスターから感染する 症状に関わりなくウィルスが1200個程度で感染する
*(尾身分科会長)「無症状者にPCR検査しても感染は抑えられない」 10月バイオジャパン講演:日経ビジネス
→ 無症状者のクラスターも多数報告されている。 大学の運動部などに無症状のクラスターが次々見つかる。
世田谷区では無症状の介護職員の社会的検査で 10名の無症状クラスターも発見。院内感染もコロナの症状でない人からが多い。世界のウィルス追跡で変異ゲノムタ解析から症状に関係なく1200個程度のウィルス量以上で感染が成立すると推定される。
(誤り3)症状のある人を見れば十分
正解:感染して16日目に免疫暴走で急に重篤化する 街の中の感染者数を減らすのが大事
*新型コロナウィルスに対応するには症状のある人に病院できちんと対応できれば十分
→ 新型コロナウィルスは街の中で症状の有無にかかわらず感染者が増えると、平均16日目で、免疫暴走で1~2%が重篤化する。街の中の感染者数を減らすのが主戦場。
ランセット誌で4月のイタリアのベネト 州とロンバルディア州の分析から街の中 の感染者を検査して減らさないと、病院で対応準備しても感染者が増え、死亡率 が5倍になると警告している。
ネーチャーレビューでこのウィルスの感 染例のまとめからは感染後16日目で 免疫暴走で突如重篤化することを警告し ている。早期に発見し、治療を開始し、 監視しないと死亡例を防げない。
(誤り4)ニューヨークでも検査して拡大防げていない
正解:ニューヨークは検査を拡大して抑えている
*尾身分科会長:検査をして感染が減ったというデータがない(バイオジャパン10月14日) 辛坊治郎氏:ニューヨークでもPCR検査をして感染者が止められていない(8月3日そこまでいうか)
→ NYでは検査を増やしてから感染者数は減っている。今回の再拡大でもアメリカでは検査の少ない中西部
(誤り5)検査数を物理的に増やせない
正解:検査数を増やす政策が取られていない
(誤り)検査数は簡単には増やせない。保健所、医療機関の負担が増えるだけ 偽陰性、偽陽性が多い コストパフォーマンスが悪い。
→
・ 検査数は自動化機械により民間検査企業により増えている。自主採取で問題ないことが実証され、 保健所、病院の負担が減らせる。
・偽陽性は機械化により減らせる。陽性者は複数回チェックで偽陽性否定できる。
・偽陰性はサンプリングエラーはチェックできる試薬が出ている。
・PCR検査はウィルス排出者をかなり確実にチェックできる。
・タイミングの問題は繰り返し検査でカバーできる。
・コストパフォーマンスは1万円以下で医療費だけで見ても有益(早稲田、神奈川保健大)。社会的 コストを考えればさらに有益。
・プール式でノイズを減らし2サイクル増やせる自動化で、精度は変わらず、コスト、時間を削減している。分子遺伝学、計測科学、 情報科学の専門家を入れ、政策転換のタイミングである。
◆感染を防ぐ検査
・点で防ぐ 感染の起こったクラスターの検査
・線で防ぐ 世田谷モデル 悪循環サイクルの保育所(学校)、 介護施設(病院)の希望者全員検査
感染の増大した地域の希望者全員 世田谷区の実証試験では希望者で6割超えが検査する。そこに感染者がいると残りの大半の人は受け、感染予防効効果は達成され る。まず最初の千名検査で、14名、4施設職員の無症状者を発 見。これから2万名に向かう。さらに保育士、教員へ広げる。
・面で防ぐ 数十万から千万人検査の東アジア型
(メモ者 児玉氏は、希望者全員、そして感染者がいた職場では残り大半も検査に協力してくれる ・・・・ エッセンシャルワークを守る、という社会的検査の意義、それに取り組む行政の姿勢が浸透すると、感染者に対して連帯・協力して乗り越える、という意識が醸成される、という主旨の話をしていた。が、極めて重要だと思った。
無症状のスプレッダーから感染する。が、エッセンシャルワーカーの人は、家で自粛生活し続けるわけにいかない。新型コロナと特有の感染抑圧の難しさに対する社会的検査、震源地の面的検査の戦略とメロ威嚇にかたらず、政府がひたすら自粛の要請しかしないから-- ゼロコロナの展望をしめさないことが、「自粛要請を守らない不届き物が感染している。ひろげている」という土壌をつくっている。)
以下の記事は、新型コロナのやっかいさを理解するうえで、わかりやすい
【コロナ、お前すげーわ」現場医師が見た5つの ”新型コロナ、ここがすごい”】
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunimatsujunwa/20210112-00217206/
國松淳和 | 日本内科学会総合内科専門医, 日本リウマチ学会リウマチ専門医
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