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税逃れ44兆円/減税競争の影響ふくめ121兆円  国際NGO報告

 公平な税制をめざし活動する国際NGOの報告。世界で失われている税収44兆円、減税競争の影響もふくめると121兆円にもなる、とのこと。11月27日には、国際運動「メイク・アマゾン・ペイ」(アマゾンに支払わせよ)が開始され、これに連帯を表明し、世界34カ国の400人以上にのぼる国会議員や公職者~ 賃上げ・納税・環境対策迫る公開書簡発表。巨額利益の一方、十分な手当もなく労働者を過酷な環境に置き、大半の国の合計に匹敵する二酸化炭素を排出、ろくに法人税を納めていない現状にふれ、「アマゾンのおとがめなしの時代は終わりだ」と各国の議会で対策を進める決意を示した、とのこと。

コロナ禍は、新自由主義の破たんを鮮明にした。社会の在り方がとわれており、それは税の集め方と使い方に集約される。

 以下は、NGO報告の赤旗記事などを整理したメモ。

《 勝つのは超富裕層だけ 》

 全世界で年4270億ドル(約44兆4080億円)以上の税収が失われている―。公平な税制をめざす国際NGOタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)など3団体がまとめた報告書/ 国際的な税逃れが及ぼす影響の大きさを明らかにし、税逃れを許容するように仕組まれた現行の国際税制を批判。新たな税制と国連租税条約の確立を提起。

 

◆低所得国影響大

・報告書を共同で発行・・・TJN、国際公務労連、「税の正義のための世界同盟」(GATJ)の3団体

多国籍企業の法人税回避の試算・・・全世界で年2450億ドルの税収損失、個人の脱税で1820億ドルの損失

→ 税逃れ額は、世界各国の健康関連予算の9・2%に相当/3400万人近くの看護師の年収に相当

→ とりわけ低所得国の税収損失額は、健康関連予算の52%近くに相当/高所得国は8・4%に相当

・税収との比較でも低所得国の損失が大きい/低所得国は税額の5・8%の損失。高所得国は2・5%

 ・国際的な租税回避に寄与している国の調査・・・高い順に(1)英国領ケイマン諸島(世界の税収損失の16・5%)(2)英国(同10%)(3)オランダ(同8・5%)(4)ルクセンブルク(同6・5%)(5)米国(5・53%)5

 

◆高所得国の責任

・税収損失への寄与  高所得国に起因98%、低所得国 2%。G20で世界の税収損失の26・7%、年1140億ドル以上を生じさせている/同時にG20加盟国自身も税逃れによって年2900億ドル以上の損失

⇔租税回避を促進しているのは「ヤシの木に縁どられた小さな島々ではない」と、高所得国の政府の責任を追及

・「国際税制は壊れたのではなく、失敗するように仕組まれた制度」(英国に拠点を置くTJNのアレックス・コブハム最高責任者)

→「万人の要求よりも、最も裕福な企業と個人の欲望を優先するように、国際税制はつくられてきた。巨大企業とタックスヘイブン(租税回避地)の圧力を受けて、私たちの政府が仕組んだのだ」

・ 国際公務労連のローザ・パバネリ書記長・・・新型コロナウイルス危機を深刻化させた各国政府の政策を批判→ 「最前線の医療従事者は感染症対策の防護具不足や過酷な人員不足に直面している。各国政府が法人税回避を許容しつつ、何十年間も緊縮財政と民営化を追求し続けたためだ」

 

◆減税競争 損失3倍   

・各国ごとの税収損失額の試算 上位5

(1)米国(約894億ドル)(2)英国(約396億ドル)(3)ドイツ(約351億ドル)(4)フランス(約202億ドル)(5)ブラジル(約149億ドル)

・日本 約99億ドル(約1兆296億円) /日本の徴収税額の1・08%、健康関連予算の2・11%に相当

・アフリカ諸国~税収・予算規模に比し大打撃/ガンビア約2億ドル、徴収税額の122・67%、健康関連予算1326・02%

 

◆「租税競争」招く

・重要! 報告書で試算された税収損失 ⇔ 現行の法人税率を前提にした直接的損失のみ

→実際は、多国籍企業による国際的租税回避が、減税競争を引き起こし、膨大な間接的損失を誘発

・間接的損失についての指摘・・・「政府が法人税回避による直接損失への対応策として、多国籍企業を誘致し最終的な税収を増加させるため、法定実効税率や法人税率を引き下げた場合に発生する。(税率引き下げで)税収を上げて税の損失を埋め合わせようというこの逆説的な方法は、しばしば『租税競争』と呼ばれ、結局はすべての政府の税収の減少につながることが実証されている。それゆえ『底辺への競争』とも呼ばれる」。

 IMFの研究者の試算 「底辺への競争」による税収の間接的損失は、法人税回避による直接的損失の3倍になる

・TJNなどの試算 法人税回避による直接的損失は年2450億ドル。間接的損失は、その3倍の7350億ドルと推定

~両方で9800億ドルの税収損失/個人の脱税での損失820億ドルと合計し、年1兆1620億ドル(約120兆8480億円)

 

◆三つの緊急行動

・日本でも・・・安倍政権の「世界で一番企業が活躍しやすい国」づりで/法人実効税率 37%から29・74%へ引下げ、研究開発減税の対象を拡大など大企業優遇税制を強化。大企業に計4兆円もの減税

 ・国際的な租税回避がもたらす不公平に対処するため、三つの緊急行動を呼びかけ

(1)新型コロナウイルス危機の下でも利益を増やしている多国籍企業への超過利得税の導入

(2)所有が不透明な海外資産に対する懲罰税率と富裕税の導入

(3)多国間で一貫した法人税の基準を設定するための国連租税条約の確立

 

⇔国際公務労連のローザ・パバネリ書記長  国連租税条約の意義を強調/「国際的な法人税基準の設定過程を国連に移管することによってのみ、国際税制の管理を透明で民主的なものにし、国際税制を真に公正かつ公平なものにし、開発途上国の課税権を尊重することができる」

 

 

≪ コロナ禍の株高  つり上げをやめ課税の強化を ≫

・コロナ危機で実体経済がかつてなく落ち込む一方、株価がバブル崩壊後の最高値を更新/異例の事態に

~米国の株高の影響もあるが、/大本の要因は安倍政権以来の株価つり上げ政策 ⇔日銀と公的年金積立金の二つの公的マネーを大量に株式市場に投入。

・ごく一部の大金持ちのもうけを増やし格差と貧困を広げる政策は改めるべき。

 

◆日銀買い支えが過去最高

・大企業の株式銘柄をパッケージにした「株価指数連動型上場投資信託」(ETF)~日銀が大量購入で株高操作

 株価急落の3月 月間最高の1兆5484億円購入・・・株価上昇に/今年購入6兆9000億円超、すでに年間最高

 

・ETFの大量保有~“禁じ手”/3月半ば日銀保有のETF 3兆円の含み損発生/19年度末はかろうじて黒字

→ 巨額の含み損は、日銀が債務超過に陥る恐れ/通貨の番人である中央銀行の根幹にかかわる大問題

・党政策委員会の推計・・・公的マネーが事実上の筆頭株主になっている大企業(「日経平均」の算出に使う225社)の85%

/公的マネーが日本の株式時価総額に占める割合は12%

 

★株価つり上げで恩恵を受けたのが海外投資家と日本の富裕層

海外投資家  1月~9月   6兆円近くの「売り越し」/同期間に日銀が買ったETFは6兆3000億円

→日銀が株価を支えたため、海外投資家は株価の下落で資産を減らすことなく日本株を売り抜けることができ

 

・米誌『フォーブス』・・・日本で資産10億ドル以上の富裕層の資産総額は3月時点の12兆円から11月には20兆円に

~大富豪のほとんどが大企業の創業者などの大株主で、資産急増は株価上昇の結果

 

◆際立つ日本の富裕層優遇

 所得が年100億円を超す超富裕層の所得のほとんどが株式譲渡所得/課税は住民税を合わせても約20%

→欧米はおおむね30%程度 /日本の富裕層優遇は際立ってる

 

★メモ者 異次元の金融緩和とは、円安による輸出大企業の為替差益と国民・中小業者の負担増、資産バブルによる一部富裕層・大企業の利益確保、国債市場での金融機関の利益確保・・・ 実体のないところから利益を生み出しており、国民から一部の者への所得移転が本質

 

  

~  同様の実態を告発したウェブ記事

【「金持ちほど税金を払わなくていい」世界中で"富裕層への減税"が進む深刻な理由  京都大学大学院経済学研究科 教授 諸富 徹 プレジデント12/16

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