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介護 21年度報酬改定は微増。基準緩和・負担増計画も コロナ禍の疲弊打開遠い内容

・田村厚労大臣と麻生財務大臣による2021年度予算編成に向けた閣僚折衝(17日)で、21年度以降の介護報酬を0・7%引き上げることで決着。うち、0・05%分は、新型コロナウイルス対応分として21年9月末までの時限措置。

前回のマイナス4.48%など度重なる報酬引き下げとコロナ危機による現場の困難を打開するには程遠い水準

 ・財務省 コロナは「収支差に大きな影響は及ぼしていない」と、報酬引き上げを否定 

・厚労省 負担増を計画/一定額以上の利用料を払い戻す高額介護サービス費、低所得の施設入所者の食費・居住費を補助する「補足給付」・・・来年8月から負担増を「実施する」

・過去の改定  3年に1度見直す報酬は、2000年の制度開始以来、6回中4回がマイナス改定(実質含む)

 前回の過去最大の大幅減で倒産が急増。16-20年の5年連続で100件超(東京商工リサーチ調べ)

・コロナ禍の実態  19年度の平均収支差率(利益率)は過去最低~コロナ禍の緊急調査・・・利用控えによる収入減、衛生用品など物件費の値上がりによる支出増で、収支が「悪くなった」 今年5月時点で約5割、10月時点で約3割(厚労省調査)

→ 今年の倒産件数 12月初め時点で112件、過去最多 /東京商工リサーチ「(コロナ対策の)追加支援や2021年度の介護報酬の改定状況によっては、倒産や休廃業・解散がさらに加速する可能性も」と指摘

 ・現在、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で最終段階に入っている。 【以下、各論/赤旗記事などのメモ】

 

2021年介護報酬改定で、介護報酬の大幅な底上げの実現を求める緊急要望書 11/30

【介護保険の連続改悪をストップさせ、高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度をめざします  参院政策20196月】

 日本共産党は、介護保険の国庫負担割合をただちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%(公費負担75%)に引き上げることを提案。その財源は、富裕層や大企業への優遇をあらためる税制改革、国民の所得を増やす経済改革――という「消費税とは別の道」で確保を提案

2019年度予算  介護給付費:10.8兆円 /国庫負担2.5兆円 /10%増、1兆円

→ 介護サービスのほとんどは人件費なので、マクロ的には、消費され経済を支え、税収などで社会全体で循環する、

 

【2021 介護報酬改定の動向】

◆人員・施設基準を緩和

コロナ危機や続発する大規模災害を受け、厚労省は、今回の報酬改定の「五つの視点」の第1に“感染症拡大や災害時も必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制”を挙げているが、災害・感染症対応で最も必要な職員配置、処遇の充実策なし。計画策定、研修・訓練、住民との連携を事業所に課すのみ。実態は・・・

 

①特別養護老人ホーム

〇個室と共用空間を備えた「ユニット型」の定員~1ユニット「おおむね10人以下」から「15人を超えない範囲」に緩和を提案

→「絶対に業務過重になる」「一人ひとりの状態に合ったケアを推進する方向性と矛盾する」などの反対意見(分科会)

・ユニットごとに常勤者のユニットリーダー配置・・・出産・育児などで欠員が生じる場合は、非常勤職員での代替を認める方向

 〇 全室個室の特養ホームなど「ユニット型施設」全般について、生活単位である1ユニットの定員の上限を現行の10人から15人へ緩和(見直し後も原則は10人以下)。認知症の高齢者が共同生活を送るグループホームについては、新設に限り1施設のユニット数の上限を現行の2から3へ引き上げたうえ、夜勤の職員配置基準についても1ユニットに1人以上の「原則」は維持しつつ、3ユニットの場合は「例外的」に2人でも可能にすることを盛り込みました。

 〇従来型特養 深夜帯 職員1人も可

 従来型の特別養護老人ホーム(相部屋など)について、見守り機器などの導入と引き換えに、夜勤の職員配置基準の緩和を提案。利用者数が26~60人以下の場合の夜勤基準は、現在は2人以上。これを常勤換算で1・6人以上に引き下げ/厚労省は、深夜帯は職員1人で対応し、夕方や明け方に職員を追加配置することで1・6人を確保したとみなすことも可能だと回答

 日本看護協会の岡島さおり理事は「事実上減らされるということ。深夜帯の人員は薄くなる」

「認知症の人と家族の会」の鎌田松代理事は「あまりにも議論が性急すぎる。取り消していただきたい」

 

*介護分野でのICT(情報通信技術)活用

政府方針に基づくもの / ICT活用を基準緩和の口実にする提案に「ICT機器の活用は、職員の負担軽減が本来の目的だ」「(職員配置緩和の)実証データが極めて乏しい」と多くの批判の声

→、政府のICT導入推進/「専門職を機械に置き換え、安上がりに済ませるのが狙い」(全日本民医連の林泰則事務局次長)

 ②認知症の高齢者向けグループホーム

・1施設当たりのユニット数の規制を「原則1または2」から「3以下」に緩和 /3ユニットの場合、夜勤職員の配置基準が現行は1ユニット当たり1人で計3人。を「2人以上」に緩める方向。

 *「認知症の人と家族の会」の鎌田松代理事(2日の分科会)・・・ 一連の基準緩和案を総合すると「介護現場はさらに苦しくなるのではないか」と指摘。他方で感染症対策などの新たな責任を課せば、事業所の負担が増し、介護事故や高齢者虐待が増える恐れがあるとし、「断固反対」を表明

 

≪提案されている主な人員・施設基準の緩和案≫

〇特別養護老人ホームなどのユニット型施設※

 ・1ユニットの定員を10人以下から15人を超えない範囲に

 ・出産・育児などで欠員が生じた場合は、ユニットリーダーを非常勤でも可能に

〇特養の「従来型」施設

 ・新技術の活用を要件に、夜勤職員1人が受け持つ利用定員を増加

〇 認知症高齢者向けグループホーム

 ・1施設のユニット数を「原則1または2」から「3以下」に

 ・3ユニットをもつ施設の夜勤職員を「1ユニットに1人」(計3人)から「2人以上」に

〇施設系サービス

 ・介護、看護職員の兼務を可能とする要件を緩和

 ・他の施設などとの連携を要件に、栄養士や生活相談員を置かないことを可能に

〇介護サービス全般

 ・育児、介護の短時間勤務制度を利用した場合、週30時間以上の勤務で常勤「1」として換算可能にする

 ※ユニット型施設は特養のほか、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所生活介護

  

◆赤字解消の方策なし

①ケアマネ

・利用者毎の介護計画を作成し、サービス事業者との連絡・調整などケアマネジメントを行う居宅介護支援事業所

~厳しい経営の中でもいっそう深刻な実態 / 平均収支差率(利益率)・・・制度開始以来、一貫して赤字続き/2019年度はさらに前年度比1・5ポイント減に

→が、基本報酬の引き上げなし/一定の職員配置基準などを満たした事業所への「特定事業所加算」の見直しで対応 / 同加算は、小規模な事業所ほど取得が難しい。取得できている事業所は全体の3割弱。厚労省は、現在4段階の特定事業所加算に要件を緩和した段階を新設する方針

・現状、加算額が最も高い加算1の事業所が収支差率4・2%。加算20・8%、加算3は―0・2%と、抜本解決にはならない

*同省 /1人のケアマネが扱う利用者数を緩和することで、事業所の収入を増やす方向を示唆 /現在は取扱件数が40件を超えると報酬減 /が、ICT(情報通信技術)活用や事務職員配置を条件に45件まで認める方向

~現場からは「赤字で追加の事務職員を配置する余裕はない」との批判

 ② 多数回利用  ~利用を抑制する動き

・18改定時 財務省は、身体介護や生活援助を行う「訪問介護」について、“生活援助の回数がいちじるしく多い利用者がいる”“民間の家事代行サービスと比べて割安だ”と、1日の利用に上限を設けるよう主張

→が、多すぎると指摘された利用者は認知症があり、服薬指導など生活全般の支援で在宅生活を成り立たせているため1日複数回の訪問が必要だったことが判明(赤旗取材)厚労省の調査でも「大多数が適切なサービス」だったことが判明

→ が、厚労省は、訪問回数が多い介護計画を立てる場合に、市町村への届け出を義務付けする改悪を実行

・今回。財務省は、生活援助に限らず、訪問回数が多い介護計画については届け出を義務化することを主張/厚労省も、生活援助の限定をつけずに、事業者を抽出し、点検・検証する仕組みをつくる意向

*「訪問介護全体をターゲットに在宅サービスの抑制を図るつもりか」(認知症の人と家族の会)との批判

 

◆成果主義を強める動き  ADL加算(18改定創設)の要件緩和

・「ADL(日常生活動作)維持等加算」・・・食事や入浴、トイレなどの日常動作を評価し、一定期間後に状態が維持・改善していれば報酬が支払われる仕組み/加算申請の事務負担が重いなど、加算を取得している事業所は2%にすぎない

~政府や財界  予防で給付を抑制すべきだとし、ADL加算など、医療や介護での成果主義の拡大を求めいる

・ADL加算拡大~成果の出にくい重度者の受入れ拒否など、利用者選別の危険 /厚労省自身も認めている

→ が、選別を防ぐために設けられている、利用者に占める中・重度者の割合(要介護3以上の利用者が15%以上)などの要件の緩和を提案。/対象事業も、通所介護など2事業から、特養ホームなどを加え7事業に拡大する意向

 

◆介護医療院  強引に進める意図

・自公政権による医療費削減政策 ・・・病院で医療処置と介護が必要な人を受け入れてきた介護療養病床)を17年度末で廃止(23年度末まで経過措置)。その受け皿として介護保険制度に「介護医療院」を新設

・介護医療院「1型」と「2型」 ・・・1型の人員配置基準は介護療養病床と同じ/ 2型・・・医師、薬剤師、看護職員、介護職員の配置基準を緩和。医師の宿直も不必要に / 現在、介護医療院約3万3千床のうち4分の1が2型

・今回の見直しで、残っている約1万9千床の介護療養病床を介護医療院などに移行させるため、移行の検討状況を半年ごとに都道府県知事に報告させることを提案。報告がない場合は報酬を減額するというもの / 一方、「移行定着支援加算」は、予定通り20年度末で終了

*が、移行の課題山積(厚労省の調査) 「移行に工事が必要」(41・3%)、「経営悪化の恐れ」(29・7%)、「十分な介護職員を雇用できない」(21・5%)など、経営や職員確保に対する不安 / 「地域で医療機関としての機能を残すことにニーズがある」(20・3%)との意見も / 現場の声を無視して強引に移行を強要すれば、矛盾はますます拡大せざるを得ない

 

【介護施設の閉鎖・高齢ヘルパー離職  /職員の処遇改善が急務】

・介護職員の月給  全産業平均と比べ9万円以上低く、低賃金が極度の人手不足の要因に、

・職員不足の状況にあるとした介護事業所65・3%(19年度介護労働実態調査)~このもとで介護サービスが使えなくなる事態が広がっており、コロナ禍でいっそう深刻に

 ① 賃金低く職員集まらず /宮城県多賀城市の全室個室の特養ホーム「風の音サテライト史」。木のぬくもりを感じさせる施設は、1階に人影なし。必要な職員が確保できず16年4月の開設以来、定員29人のうち10人分を閉鎖。「待機者は約40人。開ければすぐにでも埋まると思うんですが」(同法人事務局長)

 系列施設でも閉鎖しているベッドが存在 / 合計40床分の介護報酬が入らず経営危機の原因に。すべてを動かすには常勤職員20人の雇用が必要。が、新卒採用できたのは今年1人、昨年度は4人

 ②職員確保の中心になっているのが人材紹介業者を通しての中途採用

・ 採用して一定期間が過ぎると年収の25~30%の手数料が業者に/「でも採用した2割程度は1年以内で辞めてしまう」(同事務局長)/同法人の介護部門だけでも手数料などに年約500万円るが、人手不足の解消にはつながってない

・「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」のアンケート(19年10月~11月実施、回答2363施設)~人材紹介業者や求人広告に年1000万円以上払ったとの回答177件/ 同会事務局長「人手不足解消のため、多額の介護報酬が人材紹介業者などに流れ、肝心の職員の処遇改善ができない異常な事態となっています」と指摘

 ③ヘルパー求人倍率15倍

・コロナ禍で雇用情勢が悪化しても介護の有効求人倍率は全産業平均の3倍以上で高止まり/なかでも訪問介護のヘルパーは15倍以上 / 背景に、高齢化しているホームヘルパーの離職の拡大

*千葉勤労者福祉会の訪問介護事業所  約60人のホームヘルパーのうち7人が退職。60代から70代の非正規職員

~ 新規の派遣依頼は次々あるがヘルパー不足で対応することができず、必要な人が介護を受けられない状態に

 

◆財務省は報酬上げ否定

・財政制度等審議会 11月末、来年度予算編成に関する建議を財務相に提出~ “介護報酬のプラス改定は保険料・利用料の負担増になる。労働市場の動向をみると負担増を求めてまで処遇改善を進める環境にはない”と引上げ否定

・いまこそ保険財源の公費負担割合を増やし、保険料・利用料の負担増につなげずに介護報酬を引き上げるべき

~政府は今後5年間に毎年6万人以上の介護人材を増やすことが必要と強調し/抜本対策は欠かせない

 ・同建議・・・コロナ禍の影響による「離職者の再就職支援」など「職業転換施策」によって介護人材確保を「主張」、

~08年のリーマン・ショック時、政府が職業転換での人材確保を推進/ 23万人が入職したが、22万人は離職、14万人は他産業に流出。大失敗に

 

◆人員基準緩和では疲弊 ~ 政府は、IC活用による「生産性向上」と一体の人員基準の引き下げ

全国福祉保育労働組合書記長 「これでは職員が疲弊してしまう」「介護施設の夜勤体制はいまでもかなり手薄で問題があります。たとえば多床室の特養ホームの夜勤は、入所者の急変などに1人が対応すれば、あとの職員が1人で多い場合は40人以上の見守りをすることになります。入所者のベッドにセンサーを付けると言っても異常に対応するのはロボットでなく『専門性』を持った職員です。人を減らすことは不可能です。人材確保をいうなら人員基準と介護報酬を大幅に引き上げるべき」

「介護事業はコロナ禍で国民生活に欠かせない社会インフラだと明らかになりました。幅広い市民・県民に介護職員の処遇改善を訴え運動を広げて、介護サービスの基盤を守っていきたい」

 

 

2021年介護報酬改定で、介護報酬の大幅な底上げの実現を求める緊急要望書 11/30

 

 1030日に開催された第190回介護給付費分科会では、コロナ禍の影響を受けていない令和元年度決算でも、全サービス事業の平均収支差率は2.4%しかなく、前年度から0.7ポイント減少していることが報告されました。

 また、同分科会で発表されたコロナ禍の影響に関する緊急調査結果では、新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して「悪くなった」と回答した事業所の割合は、緊急事態宣言が出された5月で47.5%、10月で32.7%となっています。

 新型コロナウイルス感染症は、低く据え置かれてきた介護報酬、慢性的な人手不足によって疲弊しきっていた介護事業所を直撃しています。

 介護事業所は、介護保険制度を支える上で極めて重要な役割を果たし、公益性を持っています。国は、必要な介護保険サービスを国民が受けられるよう、介護事業所の経営に責任を負う必要があります。介護事業所が現状で抱えている困難を早急に打開し、感染の再拡大・長期化に備えていく上で、また高齢化の進展に伴い今後いっそう増大していく介護需要に応えていく上で、介護報酬の大幅引き上げが、不可欠です。

 一方で、コロナ禍によって、さらに国民生活は一層厳しさを増しています。したがって介護保険の利用者負担拡大は絶対にすべきではなく、介護保険料・利用料の減免の拡充や高額介護サービス費の上限額を引き下げ、利用者負担を軽減することが必要です。

 なお、介護報酬改定にあたって、告示・通知の発出が大変遅く、介護現場に大きな負担が強いられています。コロナ対策で大変な状況下にある介護事業所に多大な負担を強いるべきではありません。

 こうしたことから、2021年介護報酬改定にあたって、下記の実施を強く要望します。

                                 記

 一、介護報酬を大幅に引き上げること。引き上げにあたっては、介護サービス全般の改善が行えるよう、基礎的なサービス費用を引き上げ、底上げを行うこと。

一、介護保険の利用者負担拡大を止め、介護保険料・利用料の減免の拡充及び高額介護サービス費の上限額を引き下げ、利用者負担を軽減すること。

一、介護現場の混乱を回避するため、告示・通知の発出から実施まで、十分な周知期間を設けること。

以上

 

 

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