食料支援から考え直す・・・日本の高等教育の貧困②
食 糧支援を通じ、・・コロナ禍が炙り出した高等教育の貧困さについて、前回は、論文数、博士課程の神学者、若手研究者の状況を、紹介。
今回は、教育予算の貧困、学テ・成果主義・ブラック校則にみられる型にはめた「教育」が持たらす教員と子どもへの影響など、各種のレポートからの整理。
なお、食料支援の場は、ひきつづき多くの利用があり、居場所、コミュニケーションの場として、大事な役割を発揮している。
◆ 教育予算の貧困
(1)教育予算 GDP比 OECD平均の7割、加盟国中下から2番目
・OECD 2017年の加盟各国などのGDPに占める小学校から大学に相当する教育の公的支出の割合を公表
日本2・9%、OECD平均4・1%。比較可能な38カ国のうち下から2番目
(2)高等教育の公的支出 GDP比 OECD平均0.954、日本0.432で最下位
・日本の国公立大学の授業料(学士課程)・・・「データが入手可能な国々の中で最も高い」と分析
(3) 高等教育費の自己負担割合 7割、OECD平均の2.4倍 /OECD平均は公的負担が7割
・貸与型奨学金などによって、日本の学生の卒業時の平均負債額2万7489ドル(約290万円)
(4) 国立大学運営交付金 04-19年で、12%減
*基礎研究の軽視 / 短期的な「成果主義」と報告文書作成による創造力のはく奪
◆教育環境・内容の貧困
【OECD調査 日本の小中教員 勤務時間は最長、職能開発は最短、自信も満足感も希薄2019/06】
http://wajin.air-nifty.com/jcp/2019/06/post-59d682.html
(1)1学級の生徒数・
・公立の初等教育(小学校相当)1クラスあたりの平均児童数/OECD平均21人、日本27人
・公立前期中等教育(中学校相当) 〃 /OECD平均23人、日本32人
~初等・前期中等とも加盟国中で2番目に多い値
(2) 批判的思考を育む教育 ダントツの最下位
【批判的思考が低い日本の教師に、批判的思考を育む授業はできない newsweek日本版9/2】
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/post-94329.php
①授業で、批判的思考を促す
OECD(経済協力開発機構)の国際教員調査「TALIS 2018」では、授業において批判的思考を促すことがどれほどあるか、と問うている(対象は中学校教員)。肯定の回答(「A lot」「Quite a bit」)の比率を拾うと、日本は24.4%で、でダントツのワースト。日本のすぐ上のノルウェーは65.6%
比率が低いことに加え、国際標準からも外れている。
② 批判的思考を育む授業~課題の提供 ダントツのワースト
「TALIS 2018」は、「批判的思考が必要な課題を出すことがどれほどあるか」も尋ねている。この設問への回答も加味した2次元の散布図/横軸に批判的思考を促す頻度、縦軸に批判的思考が必要な課題を出す頻度をとった座標上に、46の国・地域を配置したグラフ
日本は両軸ともダントツの最下位で、他国の群れから大きく取り残されている。
(3)若者 「自分自身に満足」 最低水準
【若者の自己肯定感、国際比較で最低水準…子ども・若者白書 リセマム2019/6】
https://resemom.jp/article/2019/06/19/51090.html
① 日本の若者 「自分自身に満足している」1%
2013年度の45.8%からさらに低下
韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの若者は73~88%。
②「自分は役に立たないと強く感じる」 日本の若者 8%
ドイツ、フランス、スウェーデンより高い。アメリカ、イギリスよりは若干低く、韓国と同程度
(4) 子どもの「精神的幸福度」 ワースト2位の37位
・15歳時点での生活満足度の高い子どもの割合は62・2% 平均の75・7%を下回る。15~19歳の自殺率(10万人あたりの自殺者数)7・5人。平均の6・5人を上回った。
・「スキル」では、新しい友だちをつくるなどの社会的適応力で最下位クラスの27位
【ユニセフ報告書「レポートカード16」 先進国の子どもの幸福度をランキング 日本の子どもに関する結果 20/9/15】
https://www.unicef.or.jp/report/20200902.html
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