コロナ感染症拡大と社会保障 生健会「学習会」(メモ)
11月21日、高知生活と健康を守る会の総会で、“上司”からいわれ、学習で話した際のレジュメ
各分野にわたり、様々な学習会があるので、さらに先週、花園大の吉永先生の講演会もあった!。それで違った目線として、社会保障の経済的な意味、資本主義がもたらした気候危機・感染症拡大の位置など語らせてもらった。「おまけ」の資料は、それこそおまけ。ちょっとさわっただけ。
「コロナ危機と社会保障」というタイトルで・・・下段にレジュメ
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コロナ感染症拡大と社会保障 2020.11.21
■はじめに 新型コロナウイルスの特異性
・無症状・発症前に感染力を持つ、8割無症状・軽症。が、急激な重篤化、後遺症
~グルーバル化に対応したウイルス。人の移動・集積を寸断
・変異が早い ワクチン開発の困難な型 ~副作用 /サーズ17年、エボラ40年 ワクチン未完成
・世界全体で、ウイルスを抑制しないと、パンデミックは収まらない 世界から貧困の一掃が人類的課題に
・この40年、40種の未知の感染症ウイルスとの遭遇。乱開発・温暖化の影響 / 今後も新たな遭遇が・・・???
~ 社会と経済の在り方が問われている
Ⅰ 新型コロナ禍が浮き掘りにした矛盾 ~ 貧困の拡大
■コロナ禍が炙り出した日本政治の矛盾
・脆弱な医療などの体制
ICU(集中治療室) 人口10万人あたり5床、ドイツの6分の1、イタリアの半分以下
医師数 人口1千人あたり2・4人 OECD加盟36カ国中32位、OECD平均から見ると14万人の足らない水準
保健所数は1990年の850カ所から、2019年には472カ所へと激減
医療従事者 過酷な長時間労働、介護・障害福祉・保育では、労働者平均より月10万円も賃金が低い。
日本の社会支出 対GDP比22・7%、ドイツ27・0%、スウェーデン26・7%の8割、フランス32・2%の7割
・教育への対GDP比公的支出 日本は2・9%、OECD35カ国中、最下位
・経済の影響 世界的な生産のネットワーク・分業体制の寸断 /スマホ生産 40数か国が連携
日本、アメリカ 医療用マスク 7-8割が中国で生産 / 医療用機材の不足、値上がり
海外旅行者に依存した経済。カジノ計画などの破たん
・労働者の4割が非正規 /3-8月 非正規労働者120万人減 。失業者も前年比49万人増/特に子育て中の女性
■ 格差拡大は、パンデミックのもとで急速に加速
・貧困層ほど死者が多い―所得の格差が「命の格差」に直結。世界中で大問題に /米 黒人の死亡率白人の6倍
・富裕層 政府の金融政策で、株価は急速に回復、資産が急増!
世界のビリオネア=資産10億ドル以上の億万長者の資産の合計
3月18日時点の8兆ドルから7月10日時点で10・2兆ドルへと、2・2兆ドル=約230兆円も増加、/日本でも6兆円増
7月13日、世界の富豪83人が、「私たちに大幅な課税を」という訴えを出すほどに・・・
・先進国と途上国の格差拡大の矛盾 途上国は、他の感染症への追い打ち、貧困の悪化、食糧危機に
Ⅱ 社会保障の充実こそ、コロナ禍から国民と社会を救う道
・感染防止と経済・社会活動の両立 / 徹底した検査で感染防止につとめる/医療・介護・保育・福祉態勢の充実
・大量生産・大量消費・大量廃棄の経済/金がすべての経済から、ヒトの営みを重視した経済活動に
■社会保障費とは何か =社会を支える基盤、それ自体が大規模に経済活動
❶家計と国の会計は違う
・家計・・・収入を確保し、支出は適切に /ローンは定年まで、とか自分の代で始末をつけるよう頑張る
国・・・ 1.定年も寿命もない 1100兆円の借金・・・経済が安定していれば借換しつづけ、急いでに返さなくてもよい
・政府は誰に借りているか ・・・家計の金融資産1500兆円から借りている。
❷お金 家計は一方向、国は循環する
36兆円の社会保障費は、政府にとっては出費だが
その給付総額127兆円 ・・・介護・保育は8割が人件費、医療は5割、年金・各種手当・生活保護は全額国民に
これらのお金は、消費にまわり、企業・業者・農家などの収入となり、経済を支え、最後は税収として循環している
⇔ GDP押上げ効果 1兆円投入で、医療1兆4千億円弱。社会福祉1兆5千億円弱。介護1兆6千億円弱
*「公的年金による地域間の再分配」 大和総研 2015.12 /このレポートを参考に高知県で試算
2013年度 県民所得 1兆8226億円/家計最終消費 1兆5031億円 /2015年度 公的年金支給総計 2977億円
県民所得16.3%、家計最終消費19.8%を占め、地域経済を支える大きな役割を果たしている。
★日本経済の最も大きなエンジン 家計消費が経済の6割/ それを土台にした民間の投資が2割
・その他 政府支出、輸出入差額などなど
★今、景気が悪いのは、働く人の給与の低迷、社会保障費の抑制で、消費が冷え込んでいるから
⇒ 「医療・介護に手厚い社会を」「社会保障の充実を」を求めることが、日本社会と経済を救う!
■日本の失業保険の状況 ~ 社会保障のルーツを探る
*ヨーロッパの労働運動「社会保障は労働者階級のもの」
貧困の原因・・どんなひどい条件でも働かざるを得ない状況のまん延
→ 20世紀初頭 イギリで「失業保険」「無拠出年金制度」創設~ 特に障害者・高齢者の生活を安定させる施策
*今の日本の流れ 19世紀的世界への逆戻り ?!
➀EU全体のルール
・ドイツの失業給付。「失業給付1」 1年以上働いた場合6ヶ月、3年以上は18ヶ月。最高32ヶ月。給付額は現役の60%。「失業給付2」(失業給付期間が終わっても仕事が見つからない人。就職決定まで給付。雇用保険の未加入者も対象〕 支給額は現役の50%程度。この期間の医療、年金は政府負担。
・フランスの失業給付。3段階。最長60ヶ月、5年間。その後も就労できない場合、「最低所得制度」で月13万程度(二人世帯)、医療費無料、住宅手当ては別途支給。公共交通機関が無料の自治体も。
②日本はどうか
失業給付は5ヶ月(自己都合 20年以上の保険加入が条件)、最長11ヶ月(会社都合 同20年以上 45歳から60歳未満に限る)。失業者で失業給付を受けている割合はわずか2割。
→ フリーランス(一人親方) 雇用によらない働き方の推進。70歳まで定年延長。年金支給開始の繰り下げ
■税制などにみる大企業優遇 ・・・ゆがみをただせば、財源はある
①89年消費税導入 15年決算の27年間~ 305兆円の消費税収、法人3税の減税分は262兆円
人税率 1988年51.55%→2018年29.374%/ 法人税の実質負担率は中小企業20%、大企業12%。
②大企業のため込み 2019年459兆円 安倍政権の7年間で、175兆円増 /年25兆円増
③海外にあるゼロや低税率の国を利用しての税のがれ 各国政府も問題視
【 おまけ・・・ウイルスとの共存 】
・新型コロナ 自然界への秩序な介入がもたらしたもの/が、 「感染症と文明」「ウイルスと生命」には深い関係
・「文明は感染症のゆりかご」 農耕・定住、野生動物の家畜化(1万年前)=人口増・都市の形成とともに発生
・人類は何度も大規模な感染症による災禍をくぐり、免疫の獲得、都市衛生の整備で、乗り切ってきた
・この40年、新たなウイルスが続々発見。1980年天然痘撲滅宣言 以来、40種の新たな感染症ウイルスとの遭遇
→ 乱開発、地球温暖化 人間の自然への無秩序な介入、ウイルスの生息場所の拡大(永久凍土の融解など)
★ウイルス・細菌への新たな認識 地球を支える基本構造
・ウイルス 総数1兆の1千兆倍、繋げると銀河系 65 個分の長さ。総重量アフリカ象15億頭分、海水1ml 1千万個
ガンと闘うもの、植物に干ばつ耐性や耐熱性を与えるもの、二酸化炭素の蓄積や雲の形成に関わるもの等
・細菌 総数 海洋だけで100億の3乗で、総重量アフリカ象2400億頭分、総人口の3千倍。人体に1兆個・数㎏
*40億年前 原始細胞の誕生 38億年前 細菌の誕生、ウイルスの存在 ~地球は、ウイルス、細菌の星
→ 人体は、ウイルスと細菌のネットワークで出来ている /ヒトゲノム2.5万。ミジンコの7割。
〇 ウイルス・細菌は人間 大先輩 (時期はイメージとしてざっくりしたもの。諸研究あり)
地球の歴史 46億年 (1キロ1億年にたとえると、中土佐ICから県庁C 約46㎞)
生命誕生 38億年前 須崎中央IC 細菌・ウイルス
植物の先祖 34億年前 須崎東IC
アメーバ類 10億年前 10㌔(春野診) 動物の先祖
哺乳類誕生 2億年前 2㌔(町田病院)
恐竜絶滅 6600万年前 660m(桝形豚太郎)
ヒトとチンパンジーの分離 700万年前 70㎝
現在の人類の始まり 200万年前 20㎝
農耕・畜産の始まり 1万年前 10㎝ ヒトの定住・都市形成/ウイルス・感染症との遭遇
日本統一国家(大化ま改心) 1365年前 1.4㎝
産業革命 250年前 2.5ミリ(1年に例えた場合1.75秒) 気候危機/大規模開発・化石燃料
ウイルス・細菌の本格的な発見は、ここ100年
~ 長い時間をかけて様々な動物と共生関係をもっていた細菌・ウイルスが、初めてヒトが遭遇/ 新たな病気の原因に
- ウイルス、細菌、アメーバの違い
・大きさ アメーバ >細菌>ウイルス ウイルスは細菌の1000分の1
・ウイルス 遺伝子とそれを包む殻。他の生物などの細胞内に侵入して分裂・増殖
・細菌 遺伝子を細胞膜・細胞壁が包む。栄養があれば自己増殖できる。
・アメーバ 単細胞生物、遺伝子を包む核をもつ。自分自身で移動できる
★抗生物質は、細胞膜に作用し、細菌の成長を阻害/細胞膜をもたないウイルス(風邪、インフルエンザ)にはきかない
~ むしろ、ヒトの体のネットワークをつくる常在菌にタメージをあたえる/肥満、糖尿病、アレルギーなど
さらに、大量使用(医療・畜産)によって、抗生物質がきかない耐性をもった細菌の誕生
〇産業革命以後の化石燃料の爆発的な使用
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