外国人労働者 ~人権無視の働かせ方、入管収容 / 日本は見捨てられる?
「移民政策と取らない」との建前から、技能実習生、留学生という名で劣悪・違法な働かせ方、雇用の調整弁と使い捨てるために、失踪が絶えない。そのために懲罰的な入管の対応。それが国連人権理事会から人権規約違反と突きつけられる。
実質賃金があがらず、その結果、経済も停滞している日本。こんな人権無視が続いていて、いつまでも日本に働きに敵くれる外国人がいる、と思わない方がよい。すでに、そうなりつつある。
――差別的処遇が残っている限り、日本の労働者・国民も幸せになれない。
【入管収容について国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会の意見を真摯に受け止め、国際法を遵守するよう求める会長声明 日弁連 10/21】
【管理でなく共生こそ 入管法考える 藤野氏招き集い 東京・墨田 赤旗2020年9月8日】
【外国人技能実習生が働く事業所 7割超で違反 厚労省まとめ NHK10/24】
【彼は駅に捨てられた… NHK WEB特集 2020年10月22日】
党の方針としては・・・
【外国人労働者の生活と権利の向上を 日本共産党参院選政策 2019年6月】
こんな状況なので、日本は選ばれなくなってきている記事も・・・
【入管収容について国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会の意見を真摯に受け止め、国際法を遵守するよう求める会長声明 日弁連 10/21】
本年8月28日、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会(以下「作業部会」という。)は、第88回会期において、東日本入国管理センターで長期収容された外国籍の難民申請中の男性2名(収容期間はそれぞれ通算4年7か月以上と5年1か月以上。以下「通報者ら」という。)の個人通報に対し、2名の収容が恣意的拘禁に該当し、自由権規約9条等に違反するという意見(A/HRC/WGAD/2020/58。以下「本意見」という。)を採択した。日本の入管収容について作業部会が意見を採択するのは、今回が初めてである。
日本政府は、これまで入管収容に関し、法律にしたがって収容しているもので恣意的拘禁には当たらず、また、在留資格がない者に対し、送還の確保とともに、その在留活動を禁止する趣旨から、原則として収容がなされるべきであると主張してきた。
これに対し、作業部会は、恣意的とは「法に反して」と同列に扱うものではなく、より広範に解釈されるものとした上で、収容はあくまでも必要性、相当性の要件を満たす必要があり、最終的な手段と位置付けられるべきものであることを明確に述べた。また、作業部会は今回の収容について、通報者らが日本にそれぞれ13年あるいは30年という長い期間住んでいたという点を指摘し、彼らを収容する必要性、合理性があったのかを特に重視した。その上で、今回の収容は、必要性を個別に評価した上での例外的な最終的な手段でなければならないという基本原則に反すること、出入国管理に伴う無期限の収容は自由権規約9条(1)に違反すること、司法審査を受ける機会が与えられなかったことは自由権規約9条(4)に違反することを指摘して、恣意的拘禁に当たると結論付けた。
作業部会は、国連人権理事会から任命された独立の人権の専門家で構成され、テーマ別又は国別に人権状況を調査して人権理事会に報告することを任務としている、条約機関と並ぶ国連の重要な人権擁護メカニズムである特別手続の一つであり、その調査の一環として個人通報を受理している。また、本意見においては、拷問禁止委員会や人種差別撤廃委員会等の条約機関から10年以上にわたり入管収容の長期化や司法審査の欠如などについて繰り返し勧告を受けてきたことについても言及され、日本では入管収容に関して差別的対応が常態化しているとまで指摘された。条約機関からの度重なる勧告を軽んじるような態度を指摘されたことを、日本政府は真摯に受け止めるべきである。
折しも、収容及び送還に関する部分を中心に入管法改正が議論されているところ、伝えられるところによれば、改正案では、収容期間に上限を設けず、司法審査の機会も確保しないなど、本意見が明確に国際人権法違反であると指摘している点については改善される見込みがない。当連合会は、日本政府が本意見を真摯に受け止め、個人の救済と入管法改正を含む現在の入管収容制度の見直しに取り組むよう求めるとともに、日本政府が国際社会の一員として国際法を遵守するよう強く要請する。
2020年(令和2年)10月21日
日本弁護士連合会 会長 荒 中
【管理でなく共生こそ 入管法考える 藤野氏招き集い 東京・墨田 赤旗2020年9月8日】
東京都の日本共産党墨田地区委員会は6日夜、藤野保史衆院議員を招き、「入管法(出入国管理法)問題から今日の日本を考える集い」を開きました。JCPサポーターの要望に応えた企画で、ともに準備して開催しました。
藤野氏は、在留外国人293万人(2019年末)が劣悪な労働環境と細分化された在留資格で権利制限・分断され、コロナ禍で矛盾が増幅している現状を説明。日本の政策には「安価な労働力は欲しい」が「移民政策は取らない」という本音と建前があり、財界の要求優先で雇用の“調整弁”にしていると批判しました。
外国人の収容制度は、悪名高い治安維持法よりひどい要件で運用され、全国の外国人収容施設では5人に1人以上が2年以上収容される異常事態が常態化。茨城・牛久と長崎・大村の入国管理センターを視察した際の様子を詳細に話しました。
藤野氏は、「管理」ではなく「共生」の政策が必要だと述べ、第三者の関与や収容期間の上限設定を提案。「野党共闘で政府の罰則化の狙いをはね返し、共生の政策を具体化したい」と語りました。
講演後は活発な質疑応答になり、藤野氏は、参加者の「自分にできることは何か」という思いに寄り添いながら自治体や献身的な支援者の取り組みを紹介。また外国人を食い物にするブローカーの問題などにも言及しました。
【外国人技能実習生が働く事業所 7割超で違反 厚労省まとめ NHK10/24】
外国人技能実習生などから相談や通報を受けて、労働基準監督署が実習生が働く全国の事業所に去年、立ち入り調査を行った結果、7割を超える事業所で違法な時間外労働や残業代の未払いなどの違反が確認されたことが厚生労働省のまとめで分かりました。
企業などで日本の技術を学びながら働く外国人技能実習生は、去年12月の時点で全国でおよそ41万人に上っています。
実習生などから相談や通報を受け、労働基準監督署が去年1年間に実習生が働く全国の9455の事業所に立ち入り調査を行った結果、労働基準法などの違反が確認されたのは6796の事業所で、率にして71.9%に上ったことが分かりました。
違反があった事業所の数は統計を取り始めた2003年以降、最も多くなっています。
このうち、
▽労使で決めた上限を超えて違法に時間外労働をさせるなど、労働時間に関する違反が21.5%、
▽職場の安全管理などに関する違反が20.9%、
▽残業代の未払いが16.3%などとなっています。
厚生労働省によりますと、1か月の残業時間が100時間以上に上ったり、最低賃金を大幅に下回る時給400円ほどで残業させられていたケースもありました。
厚生労働省は「違法な働き方をなくすために労働基準監督署による立ち入り調査や是正指導を引き続き進めたい」と話しています。
【彼は駅に捨てられた… NHK WEB特集 2020年10月22日】
「暴力を受けて逃げてきた」「退職するよう迫られた」
取材を進める中で聞いた、耳を疑うようなことばの数々。とても今の日本で起きていることとは思えませんでした。その中でも最も驚いたのが、次のことばでした。
「駅に捨てられた人がいるんです」
(国際部 記者 紙野武広)◆行き場を失う実習生
新型コロナウイルスの感染が続く中、行き場を失っている技能実習生たちがいる。この情報に触れた私は、さっそく取材を始めることにしました。
取材を進めると、ベトナム人の技能実習生たちが毎日のように駆け込んでいるというNPO法人があることがわかりました。そのNPO法人「日越ともいき支援会」は、高層ビルが建ち並ぶ東京 港区のビルの中にありました。私が取材に訪れた日も、施設の中はベトナム人たちがたくさいて、中には両手いっぱいの荷物を抱えて今駆け込んできたばかりのような人もいました。
NPO法人の代表、吉水慈豊さんに話を聞くと、事情を説明してくれました。◎NPO法人 日越ともいき支援会 代表 吉水慈豊さん
「彼らは『受け入れ先から暴力を受けた』『実習先の企業から退職するよう迫られた』と訴えて、私たちに助けを求めに来ています。新型コロナウイルスの感染が続く中で、そうしたベトナム人が後を絶たないんです」そして吉水さんは、「駅に捨てられた実習生がいるんです」と言って、1人の技能実習生を紹介してくれました。
◆夢は、家族に家を建てること
彼の名前は、グエン・ディン・ティさん(25)。去年6月に来日し、静岡県内の建設会社で技能実習生として働きはじめました。
日本に行く決意をしたのは、夢をかなえるためでした。それは、ふるさとベトナムに家族のための家を建てること。
しかし、来日から9か月ほどがたったことし3月。会社からティさんに、あるメッセージが届くようになりました。「あしたは、やすみです」
それは、ティさんに仕事を休むよう伝える内容でした。
建設会社は、新型コロナウイルスの影響で仕事が少なくなっていたのです。メッセージは連日のように届くようになり、ティさんは出勤できない日が続きました。
そして、ことし4月、ティさんを建設会社へ紹介した団体の担当者からこう告げられました。
「東京に住むところを用意したから向かってほしい」
ティさんは詳しい事情が分からないまま、急いで荷造りをしました。静岡県内の駅までは団体の担当者が送ってくれましたが、東京までの切符は自分で買いました。
日本での生活に必要なものを詰めた大きなスーツケース2つとともに都内の駅に降りたティさん。
しかし、彼のことを迎えに来る人は誰もいませんでした。
◆ベトナムに帰りたい
1人東京に投げ出されたティさん。日本語もよくわからない、どこに相談していいのかわからない。同じく技能実習生として日本で働く姉に連絡をとり、なんとかお金を借りることができました。
その後は、ホテルに泊まったり、友人を頼ったりしてなんとか過ごしてきました。駅で野宿することもありました。それでも、あっという間に所持金は底を尽きそうになっていました。
そうした中でたどりついたのが、NPO法人でした。ティさんは、支援してくれる人やほかのベトナム人たちと話している時は笑顔を見せ、明るくふるまっているように見えましたが、私が当時のことを聞くと表情が暗くなり、口かずも少なくなりました。
それでも、取材を重ねていくうちに、自身の思いを明かしてくれました。◎グエン・ディン・ティさん
「急に居場所がなくなり、とても疲れた。日本での生活は大変になるだろうと、覚悟はしていた。でも、ひどすぎる。もう日本人を信じられない。ベトナムに帰りたい」
◆なぜ行き場を失うのか?
なぜティさんのような技能実習生が行き場を失っているのか。
まず、技能実習生がどのようにして日本の企業で働いているのか、その仕組みを調べてみました。
ティさんに、静岡県から東京に向かうように伝えてきたのは、技能実習生を実習先の企業に紹介する「監理団体」と呼ばれる民間の団体です。国からの許可を得て海外から技能実習生を受け入れたうえで、国内の企業に紹介しています。
監理団体は、たとえ企業の経営状態が悪化して実習生が解雇された場合でも、新たな就職先を紹介したり帰国を希望する実習生のサポートをしたりすることが定められています。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、技能実習生を受け入れている企業の経営状況が悪化し、実習生の解雇が急速に増える中、監理団体のサポートが追いつかなくなっているケースが出てきているのです。
その結果、解雇された実習生がその後のサポートを受けられない現状が浮き彫りになってきています。
◆監理団体はなぜ「放置」したのか?
本来サポートの役割を担うはずの監理団体は、なぜティさんを東京に「放置」してしまったのか。
監理団体の担当者に、電話で連絡を取ることができました。◎監理団体の担当者
「本人の意向もあり、ベトナムに帰国させる方針となった。帰国便が取れるまでの間、東京にいる、ベトナムから彼を送り出した、送り出し機関の担当者に引き取ってもらうことになった」しかし、実際にはその担当者が迎えに来ることはなかった状況を伝えると…。
◎監理団体の担当者
「NPO法人からの連絡が来るまで知らなかった。彼が東京に着いたときに確認しておくべきだったが、本人の連絡先を知らず連絡することができない状況だった。放置するつもりはなかった」私は、ベトナムにある送り出した機関にも接触を試みましたが、いまのところ連絡がついていません。
NPO法人の吉水さんは、技能実習生をめぐるこうした現状に憤っています。◎NPO法人 日越ともいき支援会 代表 吉水慈豊さん
「文化も言語も違うベトナムから来てもらっているのだから、私たち日本人の方から歩み寄って支援をするべきです。今回のケースは東京まで行かせて放置するという悪質なケースですが、ここまでいかなくても、新型コロナウイルスの影響で突然解雇されたり、帰国させられそうになったりと、いろいろなケースの相談が来ています」
◆急増する実習生の解雇
それでは、ティさんのように解雇された技能実習生はいったいどのくらいいるのでしょうか。
出入国を管理する出入国在留管理庁が、コロナ禍で事実上の解雇となった実習生の人数を把握していました。
その数は、9月18日の時点で3627人。数字をとり始めたことし5月に比べて4倍あまりとなっていて、一貫して増加傾向にありました。そして、このうち次の職場を見つけられずにいる人は1378人で、解雇された実習生全体の4割近くを占めています。
こうした実習生たちが置かれた状況を国はどの程度把握しているか。出入国在留管理庁に聞いてみましたが、ひとりひとりの詳細まで把握するのは難しいと説明しました。◎出入国在留管理庁の担当者
「彼らの実態を調査する必要性は認識しているものの、本来業務だけでなく新型コロナウイルスによる業務量の増加もあり、網羅的に調査することは難しい」新型コロナウイルスの影響が長引く中、国は、解雇された実習生が転職できる職種の幅を広げたり、帰国できない実習生の在留期間を延長したりして支援の拡充を図っていますが、ティさんのように支援が行き届いていない実習生も少なくありません。
こうした現状に、外国人技能実習制度に詳しい神戸大学大学院の斉藤善久准教授は、支援体制を拡充することが必要だと訴えています。◎神戸大学大学院 斉藤善久准教授
「実習生が帰国するまで監理団体がサポートするのが当然ですが、いまはコロナ禍で経営が厳しく雇い続けられない企業も多い一方で、すぐに帰国させることもできない特殊な状況です。制度が始まった当初はこうした非常事態が想定されておらず、監理団体だけで対応するのが難しい部分も出てきています。もともとは国が始めた制度なので、国は民間に丸投げするのではなく、帰国できるまでの間、実習生をシェルターで保護するなど、積極的に支援をしていくことが必要です」
◆もう、つらい思いはしたくない
ティさんは今もNPO法人に保護されていて、施設の中で暮らしています。ベトナムに帰ろうにも、新型コロナの影響で減便したベトナムへの航空便は順番待ちの状態が続いていて、帰国のめどは立っていません。
何も知らない日本で、仕事も失ったティさんに残ったのは、日本に行くための費用として工面したおよそ130万円の借金だけです。
ティさんは、NPO法人の吉水さんの支援を受けて、新しい働き先を探そうとしましたが、東京に1人取り残されたときのつらい思いが頭をよぎってしまいます。◎グエン・ディン・ティさん
「また、つらい思いをする。もう、そんな思いはしたくない。ベトナムで家を建てるという夢は諦めるしかない」
◆実習生は必要不可欠な人材
発展途上国への技術移転の名のもとに始まった外国人技能実習制度ですが、その人数はいまや41万人を超え、事実上、日本の人手不足を補う大切な役割を果たしています。
日本にとって必要不可欠になったと言える人材をつなぎとめるための十分な対策はとられているのか。新型コロナウイルスの感染が続く非常事態だからこそ、国が責任をもって支援を拡充していく必要があると感じています。
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