再エネだけでなく、省エネも遅れている日本 (メモ)
明日香壽川・東北大学教授 “今こそ「エネルギー転換戦略」が必要”より 経済2020.07
再エネも省エネもなぜ遅れるのか。北村俊郎氏(元原子力産業協会参事、元日本原子力発電理事)がコラムの中で
「何故、潰れそうな原発を支えているかと言えば、支えている仲間たちが原発に潰れてもらっては困るからだ。」と直球
「原発が運転可能な期間を残して潰れて(停止、廃炉)しまうと、大きな資産の償却不足が明らかになり、たちまち電力会社のバランスシートは危うくなる。そうなると株価は急落し、融資した金は不良債権化し、大株主であるとともに貸し手でもある金融機関や保険会社が大打撃を受ける。」と。他にも地元の仕事などあげているが本丸はここ。
そして「それは一種の粉飾であるが、経済誌などメディアも報道しないのは見て見ぬふりの仲間なのだろう。東芝の粉飾破綻や関西電力の会社ぐるみのガバナンス不全が思い出される。」と述べている。
【原発はなぜ潰れないのか 北村俊郎 2020.5.27 日本エネルギー会議】
【省エネが遅れている日本】
◆省エネが進んだのは1990年まで
・(再エネ推進・脱炭素だけでなく) 省エネ対策も日本では欠落している
現政権の第五次エネ基本計画は、「日本の産業界はエネルギー効率も4割改善」と書いてあるが・・・
~4割改善というのはGDPあたりエネルギー(1次または最終エネ)の数字。産業構造転換など先進国では当然の指標
・主要国のGDP比一次エネ
1973-90年比 米国、ドイツも近い水準
90-2012年比 日本の改善率は先進国で最低に近い
→ 実質輸入石油価格が、86年ごろに第二次オイルショック以前に戻ったので、日本は86年以降。省エネを怠ってきた。
◆住宅や工場での省エネポテンシャルが大きい
・住宅の省エネ化もドイツなどに比べ遅れている。 省エネ開宗家電の買替え、家庭用エネマネジメントシステムの推進
~ すべて元が取れる投資であり、様々な政府施策が考えられる
・ビルなどの業務部門も。新築、改修での能力向上、業務用コージェネレーションの導入など
・工場部門 設備導入と運用改善
- 設備導入 ・・・・工場の生産設備(例、モーター)更新、LED照明導入、熱輸送配管の断熱化、流体機械(ポンプ、ファン等)の回転数制御、ユーティリティ整備の導入など
- 運用改善 ・・・・コンプレッサ等の吐出圧管理、流体機械の空気漏れ改善、不要時停止など
⇔特に、熱輸送管の断熱化は大きなポテンシャル /日本の製造工場での断熱材劣化によるロス・・・日本保冷保温工業協会は3%と計算・・・電力換算で原発7基分に相当(毎日新聞15.8.14) /(財)省エネルギーセンター 11%と推計(14年) 原発20基相当の電力
→断熱材の補修・改善のために必要な投資は、数年で回収されうる。
【原発ゼロ・エネルギー転換戦略】
世界では、再エネの価格低下と普及が大規模に進展、原発は安全対策費の増加・廃棄物問題など価格が高騰/メモ者 化石燃料には世界の金融・保険業界も融資を停止、
◆電気代の総額は低下
・企業、家庭の電気代負担 総額と単価
総量は省エネなどで大きく低下 → 再エネ普及ともあいまって、化石燃料の輸入増額 20兆円を大きく低下できる
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