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県・地区党学校 「綱領」  コロナ危機を乗り越えて新しい日本社会の建設を(レジュメ等)

先日、行った県・地区党学校「綱領」教室のデータ(下段に文章) 新しく機関役員、大衆団体の事務局員等になった人を対象にしたもの。

2時間半の話なので、全部は語っていない。参加者に情報提供として資料的に載せている部分もすくなくない。

レジュメ

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資料

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県・地区党学校 「綱領」  コロナ危機を乗り越えて新しい日本社会の建設を  2020/8/9 

はじめに ――‐ 綱領とは

・党の目標、根本方針を示す。国民に示す党の姿/科学的社会主義の世界観に基礎づけられたもの

  8大会(61)制定/24大会(04年)全面改訂、28大会(20年)改定

・綱領の内容を、党活動の指針としてどうつかむかが大切 ~情勢を長期的な視野で見ること(ジグザグはあっても発展方向をつかむ)/国内だけの狭い関係で見ない。世界の流れに反するものは成功しない (24大会)

■第一章 戦前の日本社会と日本共産党    (詳しくは党史で)

・日本共産党の要求、人民のたたかいの成果が、「日本国憲法」に結実  押し付けではない

   党の反戦・国民主権、8時間労働、男女平等~民主主義要求 (社会発展の要の問題の解決) 

・弾圧の中の不屈のたたかい―― 現在もつづく戦争を生み出したものへの厳しい目

自由と民主主義の弾圧/ 貧困(植民地獲得戦争への期待)/侵略戦争美化、他民族蔑視と一国主義

・戦前のたたかいは、世界と日本の展望と連続している

→第三章 世界の見方 「20世紀論」で深くつかみだされた中身。

・20世紀論は―「戦争の世紀」と言われる中――、植民地支配の崩壊 国民主権の民主主義、平和の国際秩序が進行した世紀。人類の歴史の中で画期をなす巨大な変化、「構造的変化」・・長い視野でみる必要性をしめしている。-- 

20004年 新綱領 「20世紀論」 ≫  20改定 「構造的変化」の内容に「人権を擁護発展…」を追加

①植民地体制の崩壊――20世紀初頭は、少数の帝国主義国が全世界を分割支配。1899年にオランダ・ハーグで開かれた「万国平和会議」は、参加は26カ国(欧州と北米で20、アジアは5〔日、清、シャム[現在のタイ]、ペルシャ[現在のイラン]、オスマン・トルコ〕、ラテンアメリカは1〔メキシコ〕、アフリカはゼロ)。

→ WWⅡ後、植民地体制が崩壊。現在、国連加盟国は193カ国。

② 国民主権の民主主義の発展――20世紀初頭、主権在君が世界の主流、現在、国連加盟193カ国のうち、君主制の国は30程度。それらの国ぐにでも多くの国では政治の実態は国民主権。

・女性の参政権・・・ロシア革命(1917年 世界で7番目 )、1945年以前27国、現在、ほぼすべての国

③平和の国際秩序の発展――20世紀初頭、戦争は国家の合法的権利、「弱肉強食」の世界。第1次世界大戦をへてパリ不戦条約(1928年)で戦争が違法化。第2次世界大戦をへて制定された国連憲章(45年)では「武力による威嚇又は武力の行使」を厳しく禁止。2003年のイラク戦争では「国連憲章にもとづく平和秩序」が世界的スローガンに

 

■第二章 現在の日本社会の特質 ~ アメリカいいなり、大企業中心 2つの異常  

Ⅰ戦後 3つの変化 ①事実上の米従属国に ②主権在民の国家に ③半封建的地主制度(46%が小作地)の解体

Ⅱ 占領から平和条約  2つの異常の原点

・連合国の代表として、日本を占領した米国   /米ソ冷戦のはじまり     

   ポツダム宣言の受諾・・・二度と戦争を起こさない国へ/民主化運動の高揚、中国革命勝利、47-48年方針転換

・アジアでの反共の前線基地へ ---- 民主化の中断、戦犯、財閥の活用。自衛隊、反動教育、経済復興の支援へ

                         レッドパージなど共産党、労働運動の弾圧

・1952年 平和条約、安保条約(行政協定)の締結、密約 ~ 占領体制の継続 

→ 米軍機の低空飛行訓練、基地被害、辺野古、新型コロナでも検疫なし

・財界は、世界一の経済大国・米国の枠の中での復活路線の推進   燃料・原料・技術・市場で依存

 特に、朝鮮戦争〔戦前水準回復、輸出13億ドルに対し特需8億ドル/予算6300億円の半分〕、ベトナム戦争〔65年より貿易黒字定着。初の対米黒字。日本政府予算3.7兆円の1割近い額〕の特需による経済復興

  → 労働法制、大型店、金融、公的分野の市場化、農産物自由化・・・アメリカ舗規制緩和に追随、

 

Ⅲ 異常なアメリカへの国家的従属

「わが国は高度の発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカに握られた事実上の従属国となっている」「日本の現状は、発達した資本主義諸国の間ではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある」

1) 「異常な国家的な対米従属の体制」のおおもとに日米安保条約 

○旧安保条約 ~・吉田茂首相以外、安保条約の内容は知らされず。安保、「行政協定」を一体のもので調印

1米軍への基地提供 「日本国の安全〔内乱も含め〕」と「極東における国際の平和と安全」のために使用できる

3-米軍の配備を規律する条件は「行政協定」で決定。/「行政協定」2-「必要な施設及び区域の使用を許すことに同意」=「全土基地方式」。さらに「行政協定」を調印する際に「交換公文」、「行政協定発効後90日以内に日米協議が整わない場合、日本側が合意しないものも含めて、アメリカは継続使用を許される」。

→ サ条約発効に伴って日本に帰ってきた基地はゼロ。

*実質的な占領の継続・・・「望むだけの軍隊を望む場所に臨むだけ駐留させる権利」を獲得することが「根本的な問題」(ダレス使節団来日、最初のスタッフ会議での米側の交渉責任者の発言〕 19511/26

・“西村条約局長から行政協定の交渉経過や内容を聞いた若き日の中曽根康弘が、「要するに、この協定は日本をアメリカの植民地化するものですナ」とただ一言残して立ち去った”(外務省「平和条約の締結に関する調書Ⅷ」19805月〕

・寺崎太郎外交自伝「行政協定のための安保条約、安保条約のための講和条約」「本能寺は行政協定にこそあった」

・国内では、占領軍への批判は一切禁止の戒厳令状態、国会は「ポツダム宣言にもとづく全面講和」を求めた日本共産党川上寛一衆議院議員が除名処分になるなど機能せず。

→ 安保体制は、いかなる意味においても日本国民の選択の結果ではない。

 

2) 経済的従属  具体的には ・・・一例だが

➀米経済・財政そのものを下支え

08年の米国債残高106998億ドル。このうち45%を海外で売却。購入第二位が日本6260億ドル(62兆円)。

②貿易自由化の対日圧力、日本農林業の破壊

50年代からの繊維交渉、70年代の鉄鋼、カラーテレビの自主輸出規制。牛肉、オレンジの自由化。ミニマムアクセス米として毎年77万トン輸入。自給率は37%へ。丸太関税ゼロ。

③構造改革路線の押しつけ  貧困と格差の自律的発展の道を

・日本経済の弱体化 85年プラザ合意 対米貿易赤字解消のための異常な円高 1ドル80円、3%の金利差政策…日本企業の多国籍化の契機に、/日米半導体協定~世界の圧倒的シェアを占めていた日本企業の競争力制限 

89年からの日米構造協議/公共工事の押し付け 430兆円さらに630兆へ、財政破綻と環境破壊/新自由主義の導入アメリカ中心の多国籍企業の利益確保…株主資本主義の導入、混合医療の拡大、派遣労働導入、大店法廃止、郵政民営化、 /経団連役員企業 株式の3割が外資/安倍「日本再生戦略」日米構造協議の遣り残し課題

・日米FTA等 多国籍企業の利益のための究極の協定。あらゆる非関税障壁の撤廃、企業が国を訴える仕組み

④原発依存の背景にも対米従属の影/日米原子力協定で、核保有国でなく核燃料の再処理を認められる唯一の国

 

3)軍事的従属

①米軍基地

・首都含め133か所(うち自衛隊との共用47か所)。東京23区の1.6倍の広さ。4万人の米兵〔世界はピーク時61万人から28万人に激減〕/海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍など、日本の防衛とは無関係の部隊~ワインバーガー当時国防長官「沖縄に駐留する米海兵隊は、日本防衛の任務を割り当てられていない」「米は日本防衛だけに専念するいかなる部隊も日本に維持してはいない」(83年米上院歳出委員会国防小委員会)

*5条 米軍は日本を守っているか?  「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」~ 米国、開戦の権限は議会。「議会にかける」としか書いていない。

・ベトナム戦争 B52など出撃基地、後方支援基地としての役割。「極東」の範囲拡大、出撃を「移動」とごまかし、「事前協議」が機能しないことを証明・・・など、侵略戦争を支える安保条約の本質を明確に。

・日米軍事一体化の強化  安保法制、共同訓練の増加、米製高額兵器の爆買い

②米軍駐留経費

・負担額は27の米同盟国のうち日本を除く26か国の合計額より多い。年間8千億円 78年~2020年 計24兆円

・思いやり予算(日本人従業員の給与、水光熱費、訓練移転費、提供施設整備費(ダンスホール、掩体壕、ゴルフ場など))は7862億円から始まり、19年度1974億円、累計7兆円( →トランプ政権8700億円を要求)

・米軍のグアム移転費など米軍再編経費 1670億円(19年度)。この15年で1兆6千億円

・米軍の辺野古新基地建設 すべて日本政府負担 当初3500億円から9千億円へ/沖縄県試算2兆5500億円

③占領時代の継続・・・日米核密約

・日米安保の59年改定で、独立国としての体裁を整える必要。核兵器の問題は「密約」で「従来どおり」。

・米軍の配置の重要な変更、戦闘作戦行動のための基地の使用は、「事前の協議の主題とする」と明記

→が、核兵器の持ち込み(イントロダクション)は「装備の重要な変更」だが、飛来や寄港(エントリー)は対象外。

*極東有事の際の指揮権は米軍に。/朝鮮戦争(休戦中)で、在日米軍基地の使用の地位協定がある

 

4)外交的従属

・核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議。日本は棄権した25カ国の1つ。

・戦後、米国の戦争、武力行使に反対したことなし。イラク戦争 「同盟国だから支持する」

★「安保条約廃棄、対等・平等日米関係」をめざす綱領路線は、異常な従属の歴史を断ち切り、一大変革なる。

→ 安保破棄と全米軍基地の撤去は、日本の意志でできる(安保改定60年) 70年代以降の新しい局面

「第 10 条 この条文は、日米安保条約は、当初の 10 年の有効期間(固定期間)が経過した後は、日米いずれか一方の意思により、1 年間の予告で廃棄できる」

 

Ⅳ 異常な大企業・財界中心

○党の立場「大企業打倒」「大企業敵視」ではない。不当な横暴を取り除き、経済力に応じた社会的貢献を果させる」

○“大企業の繁栄は日本経済の繁栄だ”という誤まった見方→ 事実による告発が経済政策の転換の力となる。

長時間過密労働、過労死・過労自殺。非正規労働者が3分の1、若者・女性は2分の1。女性賃金が男性の7割、貧困と格差の拡大・・・日本が労働者を守るルールがない「ノンルールの国」。

 

1)日本社会・経済の矛盾の告発(第二章第6節)

◆「ルールなき資本主義」の告発⑴

➀ILO(国際労働機関)の条約で日本が未批准のもの

・1号(一日8時間、週48時間労働)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)などの労働時間・休暇関係の条約は一本も批准してない。米と日本だけ/105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇の禁止)、158号(解雇規制条約)、175号(パートタイム条約)も未批准/批准は18348

②国連女性差別撤廃条約(1979年)

・雇用の男女平等、女性の社会進出、家庭と仕事の両立など、あらゆる差別の撤廃を義務づけた画期的な条約。形式的に批准しただけで実質はまったく実行してない。撤廃委員会から、毎回、強い批判をうけている。

 

◆「ルールなき資本主義」の告発(2

➀EU全体のルール

・週48時間を越えた労働を禁止した「労働時間指令」、「パートタイム労働者とフルタイム労働者の均等待遇を定めた「パートタイム労働指令」雇用契約期間の定めがある労働は合理的理由がある場合に限定する「有期労働指令」等。

・EU全体で非正規労働者の割合は1割程度。

・ドイツの失業給付。「失業給付1」 1年以上働いた場合6ヶ月、3年以上は18ヶ月。最高32ヶ月。給付額は現役の60%。「失業給付2」(失業給付期間が終わっても仕事が見つからない人。就職決定まで給付。雇用保険の未加入者も対象〕 支給額は現役の50%程度。この期間の医療、年金は政府負担。

・フランスの失業給付。3段階。最長60ヶ月、5年間。その後も就労できない場合、「最低所得制度」で月13万程度(二人世帯)、医療費無料、住宅手当ては別途支給。公共交通機関が無料の自治体も。

 

②日本はどうか

失業給付は5ヶ月(自己都合 20年以上の保険加入が条件)、最長11ヶ月(会社都合 同20年以上 45歳から60歳未満に限る)。失業者で失業給付を受けている割合はわずか2割。/雇用によらない働き方の推進

 

「社会保障は労働者階級のもの」…どんなひどい条件でも働かざるを得ない状況を制限/イギリス 20世紀初頭の「貧困の発見」にもとづく政策「失業保険」「無拠出年金制度」創設〔ブースの雇用政策〕/時短も、失業対策

(「半失業」、産業予備軍を人為的に解消・・・資本蓄積の一般法則「富と貧困の蓄積」への社会的バリケード)

 

◆税制などにみる大企業の支配 

89年消費税導入 15年決算の27年間~ 305兆円の消費税収、法人3税の減税分は262兆円 

法人税率 198851.55→201829.374%/ 法人税の実質負担率は中小企業20%、大企業12%。

②下請けへの犠牲転化   単価引下げ、消費税負担 /日本経済の2重構造。/ヨーロッパでは対等、

③タックスヘイブンなど税の空洞化     各国政府も問題視

 

◆日本経済の基盤を特別に弱いものに /重要な見方

・長い目で見て、改革のメスをいれるべき、重要な焦点の問題に力点、真の構造的問題

・逆立ち財政、ルール無き資本主義、人権問題、中小企業と農業の異常な困難、環境問題、アメリカ経済介入

 

*日本の電器産業の敗北 目先の利益で、韓国、中国へ技術移転・育成→収益悪化には技術者を大量解雇(技術の流出へ)。/属米の弊害 86年日米半導体協定。株主資本主義のおしつけで長期的な開発・ものづくりに打撃

 

■第4章 民主的改革の中身と発展

 2章の現状規定に対応した政策・方針。その上で、理論的な発展など中心に報告する

(1)天皇制と憲法問題

①、憲法の天皇条項は、「天皇は国政上の権能を有しない」、憲法に定められた「国事行為」に制限…他の立憲君主制の国にはない権力をまったく有しない日本独特の「制度」。

③憲法の規定を厳格に守らせ、天皇を利用しての反動化の策動を許さないことが政治上の重要課題。

③同時に1人の個人が世襲で「国民統合」の象徴になるというのは民主主義、人間の平等の原則と相容れない。「存廃」は将来情勢が熟した時に国民の総意によって解決

  →「民主共和制の政治体制の実現をはかるべき立場に立つ/民主的改革の22項目で唯一「立つ」

~この結果、「改憲反対」「憲法の全条項を守る」という立場を鮮明にすることが可能に。

 

(2)大企業への民主的規制

①空想ではなく現実に根を持つ実現可能な方針を提起

○すでにヨーロッパなどでつくられた到達点、国際的、世界史的裏付けがある。

○すでに日本は国家による経済への介入の仕組みができ上がっている。この介入の形態、国民の利益のために活用する。インフラ整備、研究開発の援助など多岐にわたる。

○日本経済のまともな発展が、民主的規制を求めている・・・目先利益のための長期的なものづくり、人材育成を放棄。賃金低下、貧困の拡大による経済の低迷。「合成の誤謬」

②「負担能力に応じた負担」~税の空洞化の阻止/ タックスヘイブンでの税逃れだけで2030兆円

 

(3)安保条約廃棄と日米友好条約

○国民的多数派を作ることは、民主連合政府実現への最大のかなめ。独自の系統的な告発、運動が必要

*同時に国民的矛盾の深まり…=地位協定 知事会が抜本改定を提言(201889)

 

(4)自衛隊と憲法規定の矛盾の解決

➀ 憲法9条の先駆性

戦争の違法化という20世紀の世界史の大きな流れのなかでもっとも先駆的な内容/世界の現状が日々証明

②自衛隊は明確に違憲

世界でも有数の巨額の軍事費(第7位)、最新鋭の近代兵器で武装した軍隊を「戦力ではない」は通用しない。

③憲法9条と自衛隊の現実との矛盾の解決

自衛隊の現実にあわせて憲法を変えるのではなく、9条の完全実施にむけ現実を改革する。

国民の合意を尊重しながら段階的に実施/先行する政権が築いた矛盾を引き継ぎながら、解消をめざすもの

 

○解消への3つの段階

・第一段階 安保条約廃棄前の段階。海外派兵の拡大など9条のこれ以上の蹂躙を許さない。軍縮への努力。

・第二段階 安保条約が廃棄、日米軍事同盟から脱却した段階。○安保廃棄の国民的合意と自衛隊解消の国民的合意とは別個の問題。国民の体験を通じて合意を形成していく。

自衛隊の民主的改革──米軍との従属的な関係の解消、政治的中立性の徹底、大幅軍縮などが課題に。

第三段階 、国民の合意で憲法9条の完全実施。憲法にもとづく平和外交で世界とアジアに貢献。アジアの平和的安定の情勢が成熟を背景に、国民的合意にもとづき自衛隊解消への本格的な措置にとりくむ。

○確固とした平和友好の枠組みの構築により、常備軍によらず安全を確保することが可能になるというのが、わが党の展望であり目標。/各国経済の相互依存の世界史的な発展が、その経済的土台となっている。

(「常備軍」とは-平時から編制されている専門的な軍隊。戦時に動員される予備・後備軍や民兵と区別される)。

 

④自衛隊「活用」問題

・解消にむけた過渡的な時期に急迫不正の主権侵害、大規模災害などに際し、国民の生活と生存、基本的人権、国の主権と独立など、憲法が立脚している原理を守るために、可能なあらゆる手段を用いることは政治の責務 ~憲法の完全実施と国民の命を守る両方を実現するための責任ある方策。 /実践的には研究課題でもある

・ただし、いま問われている最大の問題は、自衛隊の是非ではなく、海外での武力行使の是非。

 

 

■第4章 統一戦線と多数者革命

統一戦線を構成すべき勢力

○それぞれの階級・階層全体の利益が日本の民主主義的な変革の利益と一致する勢力 /階級構成-労働者階級82%、農林漁業従事者3.2%、都市型自営業者9.6%、資本家階級2.5%、軍人・警官・保安1.7%。99%が結集できるもの。

○宗教者との共同の重視 「信教の自由を保障」「政教分離を守る」「いかなる社会発展の段階でも貫く」「地上の問題では平和、人権、くらし、民主主義の問題について一致点で協力する」

 

②「政党の組み合わせ」ではなく日本社会が求める民主的改革の目標から出発する

○政党間の共同は大事だが、統一戦線の全体にとっては部分の問題。「民主的党派」と具体名はいわない。

○統一戦線の歴史 〔党史で〕

80年社公合意。安保、自衛隊肯定、共産党排除。革新統一の協定という公党の信義を無視したもの。

・無党派と日本共産党との共同を探求―革新懇の結成へ。→ 今日の「市民と野党の共同」に発展

 

③要求での統一行動   各分野で広がっている「一点共闘」 /より幅広い合意への前進 (市民と野党の共同)

④国民要求に基づく運動を民主的改革の目標の多数派形成とむすびつける 例〕野党共同のもと合意の前進

⑤強大な日本共産党の建設こそ統一戦線発展の決定的条件

 

◆国会活動の綱領上の位置づけ

➀革命運動の全過程を通じて国会闘争が重要な意義を持つ。 国民主権という原理にたった活動。

②国会の多数を占めたときの展望/民主連合政府を作ることが「できる」可能性が生まれる。戦前は不可能

③党の信条=国民が主人公/国民の合意にもとづき一歩ずつ改革をすすめる「国民が主人公」が党の信条にもとづく基本的路線 /・複数政党制、選挙をつうじた政権交代などは当然の原則

 

◆2つの政府に関する方針

➀民主的改革をすすめる民主連合政府

②「さしあたって一致できる目標の範囲」での統一戦線の形成とそのうえにたつ政府。

2015年9月19日の「戦争法廃止の国民連合政府」提案はもっとも現実的、」実現可能な政府 

 

■ コロナ禍が炙り出した日本政治の矛盾

Ⅰ 新自由主義の席捲とその破綻

(1)新自由主義とは・・・すべてを市場にゆだねれば活性化する、という考え   

70年代後半からの世界的不況のもとで誕生  「福祉国家」 「大きな政府」攻撃

(アダム・スミスの自由主義・・市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、 「神の見えざる手」によって、も結果として社会全体において適切な資源配分が達成される、という主張。これを受けて「新」と言われる)  

 

2)グローバル化の席捲  90年代以降  ソ連・東欧の崩壊・・世界が1つの市場経済に。ICT革命

  →アメリカの巨大金融・情報企業を軸として「世界統一ルール」の追求

   90年代からはじまる橋本「6大改革」とその推進役の小泉「改革」 ・・・非正規雇用、市場化、TPP、日米ETA

 

(3) 新型コロナ禍のもとで顕在化した脆弱さ 日本の実態  志位講演

・数百万の休業者 その半数は、派遣、パート、アルバイトなどの非正規雇用労働者

・ICU(集中治療室) 人口10万人あたり5床、ドイツの6分の1、イタリアの半分以下

・医師数 人口1千人あたり2・4人 OECD加盟36カ国中32位、OECD平均から見ると14万人の足らない水準

・保健所数は1990年の850カ所から、2019年には472カ所へと激減

・医療従事者 過酷な長時間労働、介護・障害福祉・保育では、労働者平均より月10万円も賃金が低い。

・日本の社会支出 対GDP比22・7%、ドイツ27・0%、スウェーデン26・7%の8割、フランス32・2%の7割

・教育への対GDP比公的支出 日本は2・9%、OECD35カ国中、最下位

 

~ 新自由主義批判と、この路線からの転換を求める声が起こっている  志位講演7つの提案

第一は、ケアに手厚い社会をつくる                   

第二は、人間らしく働ける労働のルールをつくる

第三は、一人ひとりの学びを保障する社会をつくる       ★20人学級の急速な高まり/アメリカ若者 核兵器ノー7割

第四は、危機にゆとりをもって対応できる強い経済--内需と家計、中小企業を経済政策の軸にすえる

第五は、科学を尊重し、国民に信頼される政治をつくる

第六は、文化・芸術を大切にする国をつくる

第七は、ジェンダー平等社会をつくる  「世帯主」規定の廃止を、提案

★情勢を根本からとらえる  日本社会の2つの特徴から生み出される矛盾はなくならない

  この矛盾があるがきり、ジグザグはあっても、解決をもとめ、国民的多数派が結集される展望がある。

 

 

■第三章  世界の動きをどう見るか

・新綱領~20世紀論をさらに進化。21世紀の世界の発展的な展望をとらえる立場を徹底。希望と確信のもてる改定

~ それは「中国論」の改定からはじまった。 それが、世界論、未来社会の展望まで、新たな地平をひらいた。

・以前の綱領・・・中国などを、「社会主義をめざす新しい探究が開始」され、「21世紀の世界史の重要な流れの一つになろうとしている」と規定。この部分を削除

・・・ 香港、ウイグル地区での人権抑圧、東シナ海・南シナ海での覇権的行動、核兵器固執への転換

 

Ⅰ 中国論の展開が、世界論、未来論にあらたな力を

(1) 植民地体制の崩壊が文字通り「世界の構造変化」の中心にすえられた、21世紀の希望ある変化を押し出した

①21世紀の新しい流れとして、綱領に第9節を新設

核兵器禁止条約、平和の地域協力、国際的人権保障などの動きを、植民地体制の崩壊という「世界の構造変化」がもたらした希望ある変化 ~ 一握りの大国から、世界のすべての国ぐにと市民社会に国際政治の主役が交代するプロセスが進行していることを明記

 

② ソ連崩壊の意義・・・「冷戦体制」に封じ込められていた運動、各国の動きが解放され、国連総会が、大国の横暴を断罪する場への大きく転換(24大会)

・ロシア革命の意義  植民地体制の崩壊の促進として位置づけ直す

 *画期的だったレーニンの「平和についての」布告1917年  戦争が生存権だった時代に無賠償無併合の戦争終結方針(1918年、ドイツと講和)、民族自決権の宣言と帝政ロシアが併合した地域の独立化の実践

 → ドイツとの戦争遂行の理由づくり、対抗策としてウイルソン14か条の宣言

 → 191820年 列強国のソ連への干渉とその打破/ 「国際的な間接的支援」を強調=道義の持つ力の発揮

(「積極的努力」には、他に、8時間労働宣言、「勤労し搾取されている人民の権利宣言」、女性参政権など /ILO結成にむすびついた)

 

2) 「構造変化」の内容に、「人権を擁護・発展させることは国際的な課題」を加筆

「人権の問題では、自由権とともに、社会権の豊かな発展のもとで、国際的な人権保障の基準がつくられてきた。人権を擁護し発展させることは国際的な課題となっている」

*1945「国連憲章」、48年「世界人権宣言」、66年「国際人権規約(自由権、社会権)」、79年「女性差別撤廃条約」、89年「子どもの権利条約」、90年「移住労働者権利条約」、92年「少数者の権利宣言」、06年「障害者権利条約」、07年「先住民の権利宣言」など /ジェンダー平等

・ドイツ・日本での人権蹂躙がWWⅡに結び付いた教訓から「国際的な人権保障」の考え方が登場(ILO、フィアデルフィア宣言も同様 「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」 ) 

 

(3) 資本主義と社会主義の比較論から解放され、世界資本主義の矛盾そのものを正面からとらえ、この体制をのりこえる本当の社会主義の展望をよりすっきりとした形で示すことができるようになった

 

Ⅱ 貧困と格差の空前の拡大、気候変動・・・資本主義の世界的な矛盾の焦点として特記 

〇24大会綱領・・・「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」(9節)によって、「広範な人民諸階層の状態悪化」「貧富の格差拡大」「くりかえす不況と大量失業」「国境を越えた金融投機の横行」「環境条件の地球的規模での破壊」「植民地支配の負の遺産の重大さ」「南北問題」などの矛盾と困難が絶えず広がっているのが現代の資本主義

28大会年改定/ 格差と貧困の拡大、気候危機 を 「資本主義の世界的な矛盾の焦点」として特記

 

1) 新型コロナ禍が浮き掘りにした矛盾 ~ 貧困の拡大

①  格差拡大は、パンデミックのもとで急速に加速

 貧困層ほど死者が多い――所得の格差が「命の格差」に直結していることが、世界中で大問題に

米国のブルッキングス研究所 黒人やラテン・ヒスパニック系の死亡率は、45歳から54歳では、白人の6倍以上

 日本 ネットカフェ難民を路上生活に追い出し、非正規雇用、ひとり親世帯から仕事と収入を奪っている

 富裕層 各国の中央銀行の金融政策で、株価は急速に回復、資産が急増。

  米誌『フォーブス』の「世界の富豪」リストからの試算/世界のビリオネア=資産10億ドル以上の億万長者の資産の合計 、3月18日時点の8兆ドルから7月10日時点で10・2兆ドルへと、2・2兆ドル=約230兆円も増加、

→ 7月13日、世界の富豪83人が、「私たちに大幅な課税を」という訴えを出すほどに・・・

 

② 先進国と途上国の格差拡大の矛盾   途上国は、他の感染症への追い打ち、貧困の悪化、食糧危機に

WHO ロックダウン(都市封鎖)を行うと、3大感染症による死者がそれぞれ数十万人以上増えると警告

  世界銀行 4千~6千万人が極度の貧困に陥ると警告

世界食糧計画(WFP) 直接的な措置が取られない限り、2億6500万人が危機的なレベルの飢餓に直面

 

★新型コロナウイルスの特異性 

無症状・発症前に感染力を持つ、8割無症状・軽症、~グルーバル化に対応したウイルス。人の移動・集積を寸断

RNA型、変異が早い ワクチン開発の困難 ~抗体依存性感染増強/サーズ17年、エボラ40年 ワクチン未完成

→ 世界全体で、ウイルスを抑制しないと、パンデミックは収まらない   世界から貧困の一掃が人類的課題に

 

2) 気候危機と新型コロナ  ・・・利潤第一主義の生み出した危機  「あとは野となれ山となれ」

 ①気候危機  産業革命以来の化石燃料の大量放出/大量生産・大量消費・大量廃棄

≪参考≫ 気候危機に対する世界の動き

・パリ協定 地球温度を産業革命前から1.5度以内抑える/21世紀後半には化石燃料からの温暖化ガス排出がゼロに化石燃料が無価値になるリスク/福島原発事故(巨大なリスクと高騰する安全対策費)

 ここから世界の機関投資家、多国籍企業のもとで「脱炭素」「脱原発」(投資の対象としない)の巨大な動き再生可能エネルギー、電気自動車へのシフト/再エネ100%で企業活動を営むことを目標に掲げた企業への認定「RE100」/アップル、グーグル、マイクロソフト、GMBWM、コカコーラなど欧米など90の多国籍企業が参加 。日本 リコー、積水ハウスのみ/2015年石炭関連企業へ保険引き受けを停止する保険会社も増加。仏アクサ、英ロイズ、独アリアンツ、スイス・チューリッヒ保険など、欧州系中心に15社 /日本の保険会社はゼロ

・生産力の高度化という資本主義の生命力を示すもの。同時に社会的コントロールにより未来社会を準備するもの

・原発・石炭火力に固執する日本は・・ 

 

② 新型コロナ 自然界への秩序な介入がもたらしたもの/が、 「感染症と文明」「ウイルスと生命」には深い関係

・「文明は感染症のゆりかご」  農耕・定住、野生動物の家畜化(1万年前)=人口増・都市の形成とともに発生

・人類は何度も大規模な感染症による災禍をくぐり、免疫の獲得、都市衛生の整備で、乗り切ってきた

・この40年、新たなウイルスが続々発見。1980年天然痘撲滅宣言 以来、40種の新たな感染症ウイルスとの遭遇

→ 乱開発、地球温暖化 人間の自然への無秩序な介入、ウイルスの生息場所の拡大(永久凍土の融解など)

・ウイルス・細菌への新たな認識  地球を支える基本構造 

 ウイルス 総数1兆の1千兆倍、繋げると銀河系 65 個分の長さ。総重量アフリカ象15億頭分、海水1ml 1千万個

   ガンと闘うもの、植物に干ばつ耐性や耐熱性を与えるもの、二酸化炭素の蓄積や雲の形成に関わるもの等

 細菌 総数 海洋だけで100億の3乗で、総重量アフリカ象2400億頭分、総人口の3千倍。人体に1兆個・数㎏

*40億年前 原始細胞の誕生 35億年前 細菌の誕生、ウイルスの存在 ~地球は、ウイルス、細菌の星

 → 人体は、ウイルスと細菌のネットワークで出来ている /ヒトゲノム2.5万。ミジンコの7割。

  • マルクス 「人間と自然との物質代謝」の「攪乱」(資本論) /「人間は直接に自然物である」(ドイツ・イデオロギー)

 

Ⅲ 綱領 力を発揮する世界論   ・・・  新型コロナ禍の克服にむけて    

・パンデミックを、諸政府と市民社会の連帯で克服する点で、改定綱領は大きな力に /関係する改定部分

  • 中国論の展開 
  • アメリカ帝国主義論  「世界の警察官」などは削除し、軍事的覇権主義・地球規模での軍事網など、より汎用性のある規定に改定。また「世界の構造変化」をうけての弾力的な見方( 外交的解決する場合も) を補強
  • 「いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流」を補足・・・ 中国、ロシア

 

(1) 米国と中国の体制的矛盾が噴き出し、対立が深刻になっている ~国際的協力の障害物

■米国・トランプ政権――「自国第一主義」で国際協力に背を向ける 

WHO脱退を通知、一方的経済制裁。人種差別・分断と対立をあおる態度

・4月2日 新型コロナウイルスに関する国連総会決議 「人権の完全な尊重の必要性を強調し、いかなる形態の差別、人種差別、排外主義もパンデミック対応ではあってはならない」

・党/ トランプ政権に対し、WHOからの脱退の決定を撤回することを、強く求める

■中国――人権侵害と覇権主義という体制的問題点がむき出しになった

・コロナ対応の初動の遅れ  遺伝子情報の隠蔽、警鐘をならした医師、ジャーナリスの弾圧

(SARSの際、治療の現場指揮を執った83歳の鍾南山医師が1月18日、政府専門家チームのトップに就任し、一変)

・台湾のWHO加盟に強硬に反対

・「香港国家安全維持法」の強行、「一国二制度」の国際公約を踏みにじる。東シナ海や南シナ海での力による現状変更をめざす覇権主義的行動を、エスカレート

 

★28大会の綱領一部改定が力を発揮/「社会主義をめざす国」削除、世界の大国の覇権主義行動を正面から批判

 

(2)パンデミック収束へ――国際社会の連帯と協力を呼びかける ~ 希望と展望を示す日本共産党 

.国際社会の連帯と協力は、一歩一歩、前進している

 4月2日、国連総会決議 「新型コロナウイルスとたたかう地球的連帯」をコンセンサス(一致点)で採択

 5月19日、WHO総会決議 「新型コロナウイルスへの対応」を全会一致で採択

 7月1日、国連安全保障理事会 世界的な即時停戦を呼びかける決議を、全会一致で採択

 日本を含む15の国の科学者団体 、国際協力の緊急的必要性を訴える呼びかけ

 

  1. 感染症対策に国際協調で取り組んできた歴史――いまこそ発展を

・冷戦下、1950年代以降、ポリオ(小児まひ)に対して、米ソは協力して生ワクチン実用化

・60年代以降、天然痘根絶プログラム 米ソ協力が実現し、1980年の天然痘根絶宣言へ

・2014年 エボラ出血熱 米国・オバマ政権が積極的な役割を発揮し、「国連エボラ緊急対応ミッション」が設立

 

3.パンデミック収束への国際協力を――日本共産党の四つの呼びかけ 5/21

①医療・保健における大規模で包括的な協力 

問われているのはWHO総会決議に明記された内容を実行する米中両国政府も含めた各国政府の意思

.途上国に対する国際的支援  債務免除、食料支援(移動の制限、バッタの大量発生)

③世界の紛争地での即時停戦、核兵器廃絶をはじめ軍縮を行い、コロナ対策に力を集中すること

真の安全保障・・・ 社会保障とそれを支えるケア労働 /軍縮でコロナ対策予算を

④富裕層などへの課税でコロナ対策の財源をつくるなど、より公正な世界をめざすこと

WHOをはじめとした国際機関は、企業に対して拠出を呼びかけ、米富裕層「われよれに課税せよ」

 

 

Ⅳ 社会主義への新たな期待 ~ 資本主義の矛盾の顕在化の反映

*アメリカの有力外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(2020年1―2月号)

「資本主義の未来」を特集/ 「資本主義は危機にある。......気候変動は今や人類生存の将来を危機にさらしている。......人々の生活の質をぼろぼろにした経済崩壊と同様、環境の悪化は資本主義の危機に根がある。そのどちらの課題も、オルタナティブな経済モデル――社会主義の理想を現代に適合させることにより真の改革への渇望にこたえるようなモデル――を採用することで、対応できる」

*米誌『フォーブス』(5月26日付) 「資本主義は、コロナウイルスがパンデミックを起こす前からすでに緊張にさらされていた。…アメリカ人の多くが、システムが不正だと感じ、勤勉とルール順守はもはや成功を保障しない、と訴えていた。…これらの感情は今春、特に若者の間で加速している。2月の終わり、新型コロナ時代前の最後の週に、フォーブスは30歳未満のアメリカ人成人1000人を対象に資本主義と社会主義について調査した。半分は前者を支持し、43%が後者を肯定的に評価した。10週間後(8万人が死亡し、2000万人が失業した後)、再び調査したところ、結果は悲惨だった。47%が社会主義に賛成し、46%が資本主義に賛成していた。普遍的な最低所得保障、家賃免除、雇用保障などの考えが周辺から主流に急速に移行し、これらの感情変化が大衆的に広まっているのがわかる」

*霊長類の研究で著名な京都大学総長・日本学術会議会長の山極寿一氏、「赤旗」インタビュー(6月20日付)

 「(新しい感染症は)人間がこれまで安定していた生態系を開発によって破壊を進めたために起きています。問題は、利潤をあくまで追求し、利潤を将来の投資に向けるという資本主義の原則です。資本主義はそのための自然破壊をためらわないのです。資本主義は、自然が“文句”を言わないために、自然を『搾取』してもいいと考えます。……先進国の中に、発展途上国の手つかずの自然資源を利用して利潤を上げようとしている国があります。違うやり方を入れていかないと世界はもたないと思います。コロナ禍のもとで、誰もが資本主義は限界だと感じているのではないでしょうか」

*小林節慶応大学名誉教授 党創設98周年へのメッセージ 「まさにいまこそ、共産主義が正当に評価されるべき時が来ていると思います」

★「世界史の進行には多くの波乱や曲折、時には一時的なあるいはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義を乗り越え、社会主義に前進することは、大局的には歴史の不可避的な発展方向である」10

■5章 未来社会論/社会主義・共産主義の社会めざして

Ⅰ 来社会論  24大会改定の中心点

「生産手段の社会化」が中心的な目標

  • 生産手段の私的所有が生み出す利潤第一主義から解放する  /国民が経済の主人公に

 ・人間の全面的発達こそが、未来社会の目的と、明確に

 

人間の発展と社会の躍進との相互作用  真に人間的な社会への飛躍

・「生産手段の社会化」の意義/「生産手段の社会化は、……労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす」  /時間は人間発達の場 ()マルク「賃金価格利潤」)

・自分のもつ人間的能力を自由に発展させる。それが社会全体の活力ある発展を可能にする相互作用を強調

 

Ⅱ 28大会改定  「発達した資本主義国での社会変革は社会主義・共産主義への大道」とズバリ押し出した

 ~ 未来社会の魅力を正面から掲げることが可能に  / 中国論の展開による

 

(1) 今のたたかいは、そのすべてが未来社会を根本的に準備する、と強く押し出した

 

・「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」/そこには「特別の困難性」と「豊かで壮大な可能性」があると明記

  • 特別の困難性  マスコミ、教育含む社会制度など、意識面での支配
  • 豊かな可能性 として 5つの要素を列記・・・「資本主義の高度な発展そのものが、その胎内に、未来社会に進むさまざまな客観的条件、主体的条件をつくりだす」

1. 高度な生産力

2. 経済を社会的に規制・管理するしくみ 

3. 国民の生活と権利を守るルール

4. 自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験  

5. 人間の豊かな個性 

 

2) 5つの要素/特に重要! 人民のたたかいによって現実となる要素

・「資本主義の高度な発展が必然的につくりだす要素」 と 「人民のたたかいによって現実のものとなる要素」がある

①労働時間の短縮、環境保全、社会保障の充実、学費の無償化、ジェンダー平等など「国民の生活と権利を守るルール」は、たたかってこそ現実のものとなる。

  • 「自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験」・・・自由と民主主義を守り、発展させる国民のたたかいの歴史的経験を積み重ねてこそ、未来社会に確実に引き継がれ、発展させることができるもの。
  • 「人間の豊かな個性」の発展・・・ 資本主義社会のもとで物質的基盤をつくる・・・人格の形式的独立性、商品文化の発達による市場の拡大(資本の文明化作用)、自らを労働力商品として個性化・差別化   

→が、全ての人が生まれながらにして平等だという民主主義の感覚、個人の尊厳が何よりも大切だとする人権の感覚、国民こそが国の主人公であるという主権者意識など・・・人民のたたかいによって歴史的に形成されてきたも~ ソ連・中国など遅れた到達点から出発した困難さ。その失敗を正面からとらえることで/今日のたたかいの意義がより深くつかむことが可能に。

 

【綱領に明記した「ジェンダー平等社会」の内容と意義】

①ジェンダー平等が世界的な目標に

2015年の国連総会で193カ国の全会一致で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)

2030年までに世界が達成をめざす17の目標・・・ 5番目に「ジェンダー平等の実現」。そして「ジェンダー平等はすべての目標達成のカギ」と位置づけられた・・・ 貧困解消、働き甲斐・経済成長にとっても不可欠

 

②ジェンダーとは何か 

・ジェンダー 「社会的・文化的に形成された性別」と訳される

→が、この定義では、ジェンダーがとらえた権力性、政治性が見えてこない。

・ジェンダー規範・秩序

 支配勢力(現在では、資本家階級 )が、自分たちに都合のよい市民を作り出すために・・・ 自ら選択してそう仕向けるように・・・「男らしさ」「女らしさ」など「こうあるべき」という規範、枠組みによる政治支配の仕組み / 労働、教育、社会保障制度なども権力性をもち、ジェンダー規範を内面化・日常化させるものと利用されている、ととらえる 

 

*アメリカの専業主婦 子育て・家事で終わる人生への不安と問いかけ

   「名前のない問題」/「個人的なことは政治的」のスローガン

*男性に企業戦士、女性に子育て・介護・家事 搾取の強化、税・社会保障負担の軽減 

*稼ぎのいい夫を捕まえ、専業主婦として子どもの教育に熱中、「いい学校・いい企業に」=「幸せな家庭」「勝組」という文化 /国民分断

 

③ ジェンダー秩序=「支配の仕組み」への対抗軸が、「個人の尊厳」

・ジェンダー平等= 多様性を認め、「個人の尊厳」が、その軸 ・・・ LGBT+問題は、不可欠の構成要素

*性的マイノリティ差別 の 本質 

・国家に都合のよい国民の型、社会秩序の維持のために「異物」の排除 支配層の統治戦略

・苛烈な競争社会(自己責任論)のもとで発生する不満、うっぷんのはけ口として、より弱い立場の人への攻撃

→ パワハラ・セクハラ、ヘイトにも共通の土台

LGBTなど多様性を求める運動は、「居場所のない状況」を、前向きに克服する動き /#MeToo運動は、自己を抑圧しているジェンダー規範から、自らを解放するとりくみ。

→ 居場所のない状況においこまれている国民、特に青年にとっては「自分のこと」として共感と連帯のひろがり

 

④ 変革者の自己変革・自己解放   第二決議との関連

・本格的な市民と野党の共闘時代に入り、国民との関係、党組織(党生活)のあり方など作法の自己変革が求められている/ ジェンダー規範・秩序の内面化の克服も、その一環

→ リスペクト、個人の尊厳、聞く・つながる等 /同時に、未来社会の担い手としての「作法」の獲得 

・「多様性の尊重」⇒ その文脈を自分の中に内在化 = 自己認識・評価にとっても「鋳型」からの解放に通じる

 

 

■結び  綱領の新しい世界論・未来論を、日本のたたかいを前進させる力に

・新型コロナ禍は、資本主義の矛盾を顕在化し、新しい社会への大規模な模索を生み出している。

同時に、政治と暮らしが密接につながっていること、一人では生きていけないことなど、国民の意識に大きな変化

・社会変革の大激動の時代に、綱領という確かな羅針盤を持つ日本共産党の党員として生き、活動をしている意義

「今のたたかいは、未来社会と地続きでつながっている。そのすべてが未来社会を根本的に準備している。」~ 未来社会という、大志とロマンのなかに現在のたたかいを位置づけ、たたかいの大きな前進をかちとろう。

・改定綱領は、その力の源泉。おおいに学びあいましょう

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