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コロナ禍・学校再開 と「子どもの権利条約」  声明など

 教育研究者で土佐町議でもある鈴木大裕氏のFBより

「コロナ休校で、学校のありがたさを感じた人は少なくないと思います。塾でも託児所でも食堂でも公園でもない学校という特別な場所。そんな学校の再開を楽しみにしていた子は全国にいたはずです。子どもたちが学校の何を楽しみにしていたか、行政は耳を傾けていますか?授業時間の確保ばかり気にして、子どもたちの喜びを奪っていませんか?学校は人を育てる場所です。授業はその一部にすぎません。学校から授業だけを抽出してしまえば、教育は商品化し、合理化が進みます。受験勉強も、オンライン学習も、特化してやってきた塾や民間企業の方がノウハウがあります。効率化を突き詰める中で学校は存在意義を失い、塾のカリスマ講師の授業をオンラインで一斉配信すれば良いとの意見も出てくるでしょう。授業をオンラインでやれば良いなんて、そんな簡単な話じゃないんです。」

子どもを主人公に。その考えのもととなる「子どもの権利条約」。コロナ禍に対して、子どもの権利委員会からのメッセージ、声明など

【学校の再開にあたり、日本の先生方へ 国連子どもの権利委員会委員・弁護士 大谷美紀子 メッセージ 】

以下は平野裕二の子どもの権利・国際情報サイトより

【国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明 4/8

【国連・社会権規約委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と経済的、社会的および文化的権利に関する声明 4/17

 

2020526日  日本ユニセフ協会(会長:赤松良子)は、新型コロナウイルスの影響による休校からの学校再開にあたって、全国の教育委員会や学校宛てに、国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子弁護士(当協会理事)からのメッセージをお届けします

 

【学校の再開にあたり、日本の先生方へ 国連子どもの権利委員会委員・弁護士 大谷美紀子】  

 ■子どもたちの“反応”はさまざま

 子どもたちの多くは、学校の再開を待ち望んでいたことと思います。同時に、友だち同士の触れ合いにも神経質になっている子どもたちもいて、再開後の学校では、トラブルも起きやすいかも知れません。休校中の生活リズムから戻れなかったり、休校中の学習の状況のために、学校再開後により大きな学習の遅れを抱えたりする子どもたちもいるかも知れません。そうした心配から、学校に行くことが不安な子どもたちもいるでしょうし、また、休校前に学校生活の中で悩みを抱えていた子どもたちは、学校の再開をむしろ不安に感じているかも知れません。

 ■学校が安心できる場所であり続けられるように

 家庭で、地域で、国中・世界中で、おとなたち自身が、不安とストレスを抱えながら感染症とのたたかいに取り組んでいる中で、子どもたちが受けている影響は想像にかたくありません。このような状況の中で、子どもたちにとって、学校が安心できる場であり、学校では、子どもたちにとって一番大事なこと―学習や健康、遊び、安全、心のケア、不安をおとなに聞いてもらえる、相談ができる、気付いてもらえる、助けてもらえる―そうしたことが何よりも重視されるよう、学校再開後の様々なルール作りや活動の中で常に意識されるようにと願います。

■子どもたちのアイディアと協力を引き出そう

 子どもたちは、おとなから、あるいは、テレビやSNSで、たくさんの情報を見聞きして、不安や疑問を感じていることと思います。おとなは、緊急事態に対応するのに必死で、子どもたちには、決まったことを伝え、守るように言うだけという場面が多かったと思います。再開後の学校における、感染を防ぐためのルール作り、遅れた学習をどう取り戻すのかなど、たくさんの課題の解決について、ぜひ、子どもたちの意見をきいてみてください。子どもたちと一緒に考え、決めて実行することで、子どもたちも積極的にアイディアを出し、協力してくれるのではないでしょうか。前例のない感染症とのたたかいの中で、子どもたちが、一人一人の行動が自分や周りの人たちを守ることになると知り、おとなと一緒に自分たちにかかわる重要な場である学校生活の新たなあり方のルール作りに参加した経験は、子どもたちにとって、大きな意味を持つことと思います。

 ■差別や偏見について考え、話し合う時間を

 特に、子どもたちにかかわる重要な問題の1つに、子ども自身やその家族が新型コロナウイルスに感染したとか、感染した人が近隣に住んでいるとか、家族が病院や感染者を受け入れているホテルで働いているといったことが、いじめや差別につながりやすいという深刻な問題があります。新型コロナウイルス感染症についての正しい知識を共有する、災害や緊急事態において差別や偏見が起きやすいことを知るなど、こうした差別や偏見を起こさないためにはどうすれば良いかを、子どもたちと一緒に考え、取り組んでいくことが大切だと思います。

 ■暴力や虐待など心配な兆候に注意を

 学校が休校中、家庭の中での暴力・虐待や、オンライン上でのトラブルに巻き込まれる子どもたちが増えていた可能性が懸念されています。学校再開時には、また、その後も、新型コロナウイルス感染症の不安や経済問題などが続く中で、学校での子どもたちの様子に変化や心配な点はないか、よく注意をして、必要な支援につなげていただければと思います。

 

 

【国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明 4/8

 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックが子どもたちに及ぼす重大な身体的、情緒的および心理的影響について警告するとともに、各国に対し、子どもたちの権利を保護するよう求める。

 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックの影響による世界中の子どもたち(とくに、脆弱な状況に置かれている子どもたち)の状況について懸念を表明する。とくに緊急事態および義務的ロックダウンを宣言した国々において、多くの子どもたちが身体的、情緒的および心理的に重大な影響を受けている。

 10の人権条約機関が発した宣言に加えて、委員会はさらに、各国に対し、COVID-19パンデミックが突きつける公衆衛生上の脅威に対処するための措置をとるうえで子どもの権利を尊重するよう促すものである。とくに委員会は、各国に対し、以下の措置をとるよう求める。

 1.今回のパンデミックが子どもの権利に及ぼす健康面、社会面、情緒面、経済面およびレクリエーション面の影響を考慮すること。当初は短期のものとして宣言されたとはいえ、各国の緊急事態宣言および(または)災害宣言がより長期間維持され、人権の享受に対するさらに長期間の制限につながる可能性があることは明らかになっている。委員会は、危機の状況にあっては、公衆衛生を保護するため、一部の人権の享受の制限につながる可能性がある措置が国際人権法において例外的に許容されていることを認識するものである。しかしながら、このような制限は必要な場合にのみ課され、比例性を有しており、かつ最小限のものに限られなければならない。加えて、COVID-19パンデミックのために財源の利用可能性に相当の悪影響が生じる可能性があることは認知しながらも、これらの困難は条約実施を阻害するものとみなされるべきではない。このような困難にもかかわらず、各国は、パンデミックへの対応(資源の配分の制約および資源の配分に関する決定を含む)が子どもの最善の利益の原則を反映したものになることを確保するべきである。

 2.子どもたちが休息、余暇、レクリエーションおよび文化的・芸術的活動に対する権利を享受できるようにするための、オルタナティブかつ創造的な解決策を模索すること。このような解決策には、社会的距離を保つための要領およびその他の衛生基準を尊重する監督下での野外活動(少なくとも1日1回)、ならびに、テレビ、ラジオおよびオンラインにおける子どもにやさしい文化的・芸術的活動が含まれるべきである。

 3.オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。オンライン学習は、教室における学習に代わる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られているもしくはまったくない子ども、または親による十分な支援が得られない子どもにとっては、課題を突きつけるものでもある。このような子どもたちが教員による指導および支援を享受できるようにするための、オルタナティブな解決策が利用可能とされるべきである。

 4.緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、子どもたちに栄養のある食事が提供されるようにするための即時的措置を起動させること。学校給食制度を通じてしか栄養のある食事を得られない子どもたちも多いためである。

 5.子どもたちへの、保健ケア、水、衛生および出生登録を含む基礎的サービスの提供を維持すること。保健制度への圧力の高まりおよび資源の欠乏にもかかわらず、子どもたちは保健ケアへのアクセス(検査および将来開発される可能性があるワクチン、COVID-19関連の治療およびCOVID-19とは関係のない治療、精神保健サービスならびに既存疾患の治療へのアクセスを含む)を否定されるべきではない。子どもたちはまた、緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、清潔な水および衛生設備にもアクセスできるべきである。出生登録サービスは停止されるべきではない。

 6.子どもの保護のための中核的サービスを必須サービスに位置づけ、これらのサービス(必要な場合の家庭訪問を含む)が機能し続けかつ利用可能とされ続けることを確保するとともに、ロックダウン下で暮らしている子どもたちに対し、専門家による精神保健サービスを提供すること。子どもたちは、外出制限により、家庭におけるいっそうの身体的および心理的暴力にさらされ、または過密でありかつ最低限の居住適正条件を欠いた家庭で過ごすことを余儀なくされる可能性がある。障害および行動上の問題がある子どもたちおよびその家族は、密室においてさらなる困難に直面しかねない。各国は、電話およびオンラインによる通報・付託制度ならびにテレビ、ラジオおよびオンライン経路を通じた注意喚起・意識啓発活動を強化するべきである。COVID-19パンデミックの経済的および社会的影響を緩和するための戦略にも、子どもたち(とくに貧困下で暮らしている子どもおよび十分な住居にアクセスできていない子ども)を保護するための具体的措置を含めることが求められる。

 7.パンデミックが引き起こす例外的状況によって脆弱性がいっそう高まる子どもたちを保護すること。これには、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子ども、移住者・庇護申請者・難民・国内避難民である子ども、マイノリティおよび先住民族の子ども、HIV/AIDSを含む基礎疾患がある子ども、自由を奪われている子どもまたは警察の留置場、刑事施設、閉鎖養護施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもならびに施設で暮らしている子どもが含まれる。各国は、COVID-19パンデミックに対処するための措置において差別を受けないすべての子どもの権利を尊重するとともに、脆弱な状況に置かれている子どもたちを保護するための焦点化された措置をとるべきである。

 8.あらゆる形態の拘禁下に置かれている子どもたちを可能な場合には常に解放するとともに、解放することのできない子どもたちに対し、家族との定期的接触を維持するための手段を提供すること。多くの国は、施設で暮らしている子どもまたは自由を奪われている子ども(警察施設、刑事施設、閉鎖施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもを含む)との面会および接触の機会を制限する措置をとっている。これらの制限は短期的には必要な措置とみなされうるものの、長期に及べば子どもたちに著しい悪影響をもたらすことになろう。子どもたちは常に、家族との定期的接触を、直接ではないにせよ電子的通信または電話を通じて維持することを認められるべきである。緊急事態、災害宣言または国の命令による外出制限の期間が延長される場合、このような面会を禁止する措置の再評価を考慮することが求められる。移住の状況下にある子どもたちは拘禁されるべきではなく、また親がいっしょにいる場合には親から引き離されるべきでもない。

 9.COVID-19に関連する国の指導および指示に違反したことを理由とする子どもの逮捕または拘禁を行なわないようにするとともに、逮捕または拘禁されたいかなる子どもも直ちに家族のもとに帰されるようにすること。

 10.COVID-19および感染予防法に関する正確な情報を、子どもにやさしく、かつすべての子ども(障害のある子ども、移住者である子どもおよびインターネットへのアクセスが限られている子どもを含む)にとってアクセス可能な言語および形式で普及すること。

 11.今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。

 2020年4月8日

  

【国連・社会権規約委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と経済的、社会的および文化的権利に関する声明 4/17

 訳者注/この声明自体は4月6日に採択されたものである。以下の訳は先行未編集版に基づいている。

 I.はじめに(略)

II.パンデミックが経済的、社会的および文化的権利に及ぼす影響(略)

 III.勧告

10.規約上の権利および義務がこの危機の最中にも保護されかつ履行されることを確保するため、国は一連の緊急措置をとるよう求められる。とくに、パンデミックへの対応は、公衆の健康を保護するために入手可能な最善の科学的エビデンスに基づいたものであるべきである [4]

[4] 社会権規約委員会、一般的意見25号(2020年、科学)参照。

 11.とられた措置によって規約上の権利が制限される場合、当該措置は規約第4条に掲げられた条件を遵守するものであるべきである。要約すれば、当該措置は、COVID-19によってもたらされる公衆衛生上の危機と闘うために必要であり、かつ合理性および比例性を有するものでなければならない。パンデミックに対応するために締約国が採用する緊急措置および緊急権限は、濫用されるべきではなく、かつ公衆衛生の保護のために必要でなくなった段階で速やかに解除されるべきである。

 12.パンデミックへの対応においては、すべての人々の固有の尊厳 [5] が尊重されかつ保護されなければならず、また規約によって課される最低限の中核的義務が優先されるべきである [6]。このような困難な状況にあって、司法およぶ効果的な法的救済へのアクセスは、ぜいたくなどではなく、経済的、社会的および文化的権利(とくに、もっとも脆弱な状況に置かれたおよび周縁化された集団が有するこれらの権利)を保護するために不可欠な要素のひとつである。したがって、たとえば、法執行官がドメスティックバイオレンスの事件に対応すること、ドメスティックバイオレンスに関するホットラインが運用されること、ならびに、司法および法的救済への効果的アクセスがドメスティックバイオレンスを受けた女性および子どもにとって利用可能であることは、欠かせない。

[5] 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の前文参照。

[6] 社会権規約委員会、一般的意見3号(1990年、締約国の義務の性質)、パラ10-11参照。

 13.危機に対する包括的なかつ調整のとれた保健対応を確保する目的で、国が、官民両部門の保健資源が住民全体の間で動員されかつ共有されるようにするための適切な規制措置をとることは不可欠である [7]。今回の危機に最前線で対応する存在として、すべての保健従事者に対し、感染から身を守るための適切な防護服および防護具が提供されなければならない。保健従事者が意思決定担当者による協議の対象とされ、かつその助言に正当な考慮が払われることも不可欠である。保健従事者は、COVID-19のような疾病の拡散について早期警報を発し、かつ予防および治療のための効果的措置を勧告するうえで、きわめて重要な役割を果たしている。

[7] 社会権規約委員会、一般的意見14号(2000年、到達可能な最高水準の健康に対する権利)参照。

 14.締約国は、健康に対する権利を含むすべての経済的、社会的および文化的権利の全面的実現のために、利用可能な最大限の資源を振り向ける義務を負う。今回のパンデミックおよびそれと闘うためにとられている措置はもっとも周縁化された集団に不均衡な悪影響を及ぼしているため、国は、これらの周縁化された集団にさらなる経済的負担を負わせないようにする目的で、もっとも公正なやり方でCOVID-19と闘うために必要な資源を動員するべくあらゆる努力を行なわなければならない。資源の配分においては、これらの集団の特別なニーズが優先されるべきである。

 15.すべての締約国は、脆弱な状況に置かれた集団(高齢者、障害のある人々、難民および紛争の影響を受けている住民など)ならびに構造的な差別および不利益の対象とされているコミュニティおよび集団を保護し、かつパンデミックがこれらの集団に及ぼす影響を緩和するため、国際協力等も通じ、焦点化された特別措置を緊急にとるべきである。このような措置には、とくに、水、石鹸および消毒剤がないコミュニティにこれらを提供すること、すべての労働者(資格外移住労働者を含む)の職、賃金および諸給付を保護するための焦点化されたプログラムを実施すること、パンデミック中の立退き強制または住宅抵当権実行手続を一時的に禁止すること、困窮しているすべての人々に食料および所得保障を確保するための社会的救援および所得支援プログラムを実施すること、ロマなどの脆弱な状況に置かれたマイノリティ集団および先住民族の健康および生計を保護するための特別に調整された措置をとること、ならびに、すべての者が教育目的のインターネット・サービスに負担可能な費用でかつ公正にアクセスできることを確保することが含まれる。

 16.すべての労働者は職場における感染リスクから保護されるべきであり、国は、雇用主が最善の実践であると認められた公衆衛生戦略にしたがって感染リスクを最小限に留めることを確保するための、適切な規制措置をとるべきである。このような措置がとられるまで労働者に就業義務を課すことはできず、労働者は、十分な保護のない状況で働くことを拒否したことを理由とする懲戒その他の処罰から保護されるべきである。加えて、国は、パンデミック中に労働者の職、年金およびその他の社会給付を保護し、かつ、たとえば賃金助成、税の支払い免除および補完的な社会保障・所得保護プログラムの確立を通じてパンデミックの経済的影響を緩和するための、即時的措置をとるよう求められる [8]

[8] 規約に基づく労働者の権利の保護一般について、委員会の一般的意見18号、19号および23号を参照。

 17.食料品、衛生用品ならびに必須医薬品および医療物資による不当利得を防止するための規制措置も取られるべきである。推奨される措置としては、パンデミック中はこれらの物資に対するすべての付加価値税を解除すること、および、必要不可欠な食料品および衛生用品の費用を助成することによって貧困層がこれらの品物を負担可能な金額で入手できるようにすることなどが挙げられる。

 18.パンデミックに関する正確かつアクセシブルな情報は、ウィルスの感染リスクを低減させるためにも、危険な差別から住民を保護するためにも、不可欠である。このような情報は、脆弱な状況に置かれた集団(COVID-19感染者を含む)に対するスティグマ化および有害な行動のリスクを低減させるためにも高い重要性を有する。このような情報は、アクセシブルな形式ならびにすべての現地語および先住民族言語で、定期的に提供されるべきである。すべての生徒(とくに、より貧しいコミュニティおよび地域の生徒)が負担可能な費用でインターネット・サービスおよび必須技術機器に速やかにアクセスできるようにするための措置をとり、パンデミックのために学校および高等教育機関が閉鎖されている間、生徒がオンライン学習プログラムから平等に利益を得られるようにすることも求められる。

 19.COVID-19パンデミックは世界的危機であり、規約に掲げられた中核的原則のひとつである国際的な援助および協力の決定的重要性 [9] を浮き彫りにしている。このような国際的な援助および協力には、研究、医療器具および医療物資ならびにウィルスと闘う際の最善の実践の共有、危機の経済的および社会的影響を軽減するための調整のとれた行動、ならびに、効果的かつ公正な経済的回復を確保するためにすべての国が共同で行なう努力が含まれる。脆弱な状況および不利な立場に置かれた集団ならびに脆弱国家(後発開発途上国ならびに紛争状況および紛争後の状況にある国を含む) のニーズが、このような国際的努力の中心に位置づけられるべきである。

[9] たとえば、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約第2条(1)、第11条および第15条参照。

 20.締約国は、COVID-19と闘うための国際的努力に関連して域外的義務を負っている。とくに先進国は、パンデミックの被害を受けている世界の最貧層による必須用品へのアクセスを妨害することになる医療器具の輸出制限といった決定を行なわないようにするべきである。さらに、締約国は、一方的な国境管理措置によって必要な物資および必須物資(とくに基本食料品および保健機器)の流れが阻害されないようにすることを求められる。国内供給確保の目標に基づくいかなる制限も、比例性を有しており、かつ他国の緊急のニーズを考慮したものでなければならない。

 21.国はまた、開発途上国にさまざまな債務救済の仕組みを認めるなどの措置によって、パンデミックとの闘いにおけるこれらの国々の財政的負担を緩和するために、国際金融機関における議決権を用いることも求められる。締約国はまた、COVID-19関連の科学的前進(診断、医薬品およびワクチンなど)の利益にすべての人がアクセスできるようにするため、適用される知的財産権制度における柔軟な運用その他の調整も促進するべきである。

 22.一方的な経済制裁および金融制裁は、保健制度を弱体化させるとともに、とくに医療器具および医療物資の調達との関係で、COVID-19と闘うための努力を阻害する可能性がある。このような制裁は、COVID-19保健パンデミックと効果的に闘うために必要な資源に被制裁国がアクセスできるようにするため、解除されるべきである [10]

[10] 社会権規約委員会、一般的意見8号(1997年、経済制裁と経済的、社会的および文化的権利の尊重との関係)参照。

 23.パンデミックというものは、国境を越える脅威に立ち向かうための科学的国際協力が必要であることを示す、きわめて重要な例である。ウィルスその他の病原体は国境を意に介さない。十分な措置がとられなければ、地方で発生したエピデミックがたちまちパンデミックと化し、破壊的な影響をもたらす可能性がある。この分野における世界保健機関(WHO)の役割はなくてはならないものであり、支持されるべきである。パンデミックと効果的に闘うためには、国内的解決策では不十分であるため、国際協力に対する各国のいっそうのコミットメントが要求される。国際協力の増進は、たとえば潜在的病原体に関する科学的情報の共有を通じ、パンデミックに対応する各国および国際機関(とくにWHO)の備えの強化につながるはずである。また、パンデミックとなる可能性があるエピデミックの発生に関して各国から提供される、時宜を得た透明な情報に基づく早期警報機構の改善にもつながることが期待される。これにより、これらのエピデミックを制御してパンデミックに発展しないようにすることを目的とした、最善の科学的エビデンスに基づく早期介入が可能となろう。パンデミックが発生した場合、とくに医療分野で最善の科学的知識およびその適用方法を共有することが、疾病の影響を緩和し、かつ効果的な治療およびワクチンの発見を加速させるために、きわめて重要となる。さらに、パンデミック後は、将来起こり得るパンデミックのために教訓を学び、かつ備えを強化するための科学的研究が促進されるべきである。

 24.COVID-19は、公的保険制度、包括的な社会的保護プログラム、人間にふさわしい労働、居住、食料、水および衛生のシステム、ならびに、ジェンダー平等を増進させるための制度への十分な投資が持つ、きわめて重要な役割を浮き彫りにしている。このような投資は、世界的な保健パンデミックに効果的に対応し、かつ、複合的かつ交差的形態の不平等(国内および国家間の双方における所得および富の奥深い不平等を含む)に対抗していくうえで、きわめて重要である。

 25.最後に、委員会は、すべての締約国に対し、COVID-19パンデミックに対処するための資源の臨時動員が、規約に掲げられた経済的、社会的および文化的権利の完全かつ平等な享受に向けた長期的な資源動員の弾みとなることを確保するよう、呼びかける。そうすることにより、締約国は、世界人権宣言に掲げられた、自由な人間が「恐怖および欠乏からの自由」を享受する世界の実現という理想を達成するための土台を築くことになろう。国内的および国際的な協力および連帯を促進するための機構を整備し、かつ経済的、社会的および文化的権利の実現のために必要な制度およびプログラムに相当の投資を行なうことにより、世界は、将来のパンデミックおよび疾病によりよく備えることができるようになる。委員会は、規約に基づくさまざまな任務を果たしていくことを通じ、COVID-19パンデミックが経済的、社会的および文化的権利に及ぼす影響を引き続き監視していく所存である。

 更新履歴:ページ作成(2020年4月21日)。/冒頭に全訳へのリンクを追加(4月30日)。

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