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「ダーウィンの進化論」に関して流布する⾔説についての声明  ⽇本⼈間⾏動進化学会 6/27

誤用の指摘は直後からあったが、この声明は「『変化できる者だけが⽣き残れる』と信ずるのであれば、誤った科学を根拠にするのではなく、個⼈や団体の信念として表明するべきだと考えます。」ときっぱり。

指摘をうけても「ダーウィンも喜んでいる」と、反知性ぶりを「披露」して恥じない自民党。これに慣らされてはいけない!

なお、「本学会は, 人間の諸活動——行動や心理, さらには芸術や病理なども含む——を進化的な観点から, 理論的・実証的に研究しようと志す研究者たちの集まりです。」とある。

【 「ダーウィンの進化論」に関して流布する⾔説についての声明 】

【 「ダーウィンの進化論」に関して流布する⾔説についての声明 】

2020 6 27

⽇本⼈間⾏動進化学会 会⻑

⻑⾕川眞理⼦

⽇本⼈間⾏動進化学会 理事会

(副会⻑) ⽵澤正哲

(常務理事)⼤槻久、⼤坪庸介 、⼩⽥亮、中⻄⼤輔、平⽯界

(理事)⻲⽥達也、佐倉統、⾼橋伸幸、瀧本彩加、中丸⿇由⼦、橋本敬

橋彌和秀、三船恒裕、明和政⼦、⼭本真也、他 4

 

インターネット上の⾃由⺠主党広報ページに、ダーウィンの進化論が誤った形で引⽤されて議論になっています。この件に関連して⽇本⼈間⾏動進化学会理事会からの⾒解を述べます。

 本学会は、現代⽣物学の成果を踏まえて、進化という観点から⼈間の⾏動や社会を理論的・実証的に理解することを⽬指して設⽴された集まりです。

歴史を振り返るとダーウィンの進化論には、思想家や時の為政者によって誤⽤されてきた苦い歴史があります。⽣物進化がどのように進むのかという事実の記述を踏まえて、「⼈間社会も同様の進み⽅をするべきである」もしくは「そのように進むのが望ましい」とする議論は「⾃然主義」と呼ばれてきました。これは「⾃然の状態」を、「あるべき状態だ」もしくは「望ましい状態だ」とする⾃然主義的誤謬と呼ばれる「間違い」です。論理的には成⽴しないはずの議論であるにもかかわらず、進化論と⾃然主義が結びつくことによって、肌の⾊、⺠族、性別、能⼒の有無などによる差別や抑圧が正当化されてきた歴史が厳然と存在します。そして現代においても、⾃然主義の⽴場から差別や暴⼒を正当化する⾔論は失われていないのです。科学という権威を利⽤して政治的な主張を展開しようとする中で、そもそもダーウィンが主張したことのない⾔説が編み出され流布されるような事態まで起きています。

 ダーウィン的進化とはランダムに⽣じた変異の中から、環境に適さないものが淘汰されていくプロセスです。現代の⽣物学では、この進化というプロセスから、いかに⽣命の多様性が⽣み出されてきたのか研究され明らかになってきました。私たちの先⼈たる科学者たちは、ダーウィンの進化論が誤⽤され、政治的に利⽤されることに警鐘を鳴らし、その問題を解決しようと努⼒してきました。しかし現代においてもなお、特定の政治的主張に権威を与えるために、進化を含む科学的知識が誤⽤される事例がしばしばみられます。このような誤⽤がいまだに流布し続けていることは、私たち科学に携わる者の努⼒不⾜だと⾔わざるを得ません。進化の視点から⼈間⾏動と社会を理解しようとする専⾨家の集団として、⾮⼒を痛感し、深く反省しています。そして私たちには、進化のありようを、安直に社会の望ましいあり⽅として提⽰することの危険性について、社会に警鐘を鳴らす責任があると信じています。

 インターネット上の⾃由⺠主党の広報ページ「憲法改正ってなあに ⾝近に感じる憲法のおはなし」内における4コママンガ「教えて!もやウィン」第 1 話「進化論」(引⽤ 1)は、こうした誤⽤の⼀例です。

 

ダーウィンの進化論ではこういわれておる

最も強い者が⽣き残るのではなく 最も賢い者が⽣き延びるのでもない。

唯⼀⽣き残ることが出来るのは 変化できる者である。

 

このようにダーウィンの進化論を「引⽤」した上で、特定の政治的主張が⽀持されています。

しかしダーウィンの著した⽂献にこのような記述はなく、メギンソン(Leon C. Megginson) が⾃⾝の解釈として述べた⽂章が、あたかもダーウィンが主張したかのように誤って流布したものだと指摘されています(引⽤ 23)。また、進化論は変化できる者のみが⽣存できるとは主張していないのです。進化は「集団中の遺伝⼦頻度の変化」のことであり、個体の変容に関する⾔及ではありません。さらに、すでに述べたように、⽣物の進化のありようから、⼈間の⾏動や社会がいかにあるべきかを主張することは、論理的な誤りです。

 私たちはここで、特定の政治的意⾒を主張するものではありません。いかなる⽅向性・内容であっても、ダーウィンの進化論という科学的知識が、社会的影響⼒を持つ団体や個⼈によって(それが意図されたものであるかどうかにかかわらず)誤⽤されることについて、反対を表明するものです。

 「変化できる者だけが⽣き残れる」と信ずるのであれば、誤った科学を根拠にするのではなく、個⼈や団体の信念として表明するべきだと考えます。

 

以上

 

引⽤

  1. https://www.jimin.jp/kenpou/manga/first/
  2. https://www.darwinproject.ac.uk/people/about-darwin/six-things-darwin-neversaid/evolution-misquotation
  3. http://oasis.andrew.ac.jp/~matunaga/history.html

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