教員・変形労働制 教育長「導入考えてない」 19年12月高知市議会
2019年12月高知市議会で、日本共産党の浜口かず子市議の質問に対し、教育長は、月45時間以内の残業を目標に改善にとりくんでいる途上であり、「現状では導入を考えてない」と答弁した。
また、政府が「まとまった休みが取れる」と説明していることにも、年休すらとれない状況がある、と指摘。高知市の教員の有給取得率は38.0%にとどまってることも明らかにした。
教員の働き方改革(変形労働制)について 2019年12月高知市議会 浜口かず子市議質問
過労死など、教員の異常な長時間労働など、働き方の改革を理由に、公立学校に「一年単位の変形労働時間制」を導入する法案(公立学校教職員給与等特別措置法(以下、給特法)改正案)が今月4日、成立しました。「繁忙期」の労働時間を1日10時間を限度に延長する一方、「閑散期」の労働時間を短くして、年平均で、見かけ上、週40時間以内に収めるというものです。今の際限のない長時間労働を引き起こした、給特法の4%の調整額と引きかえに労働基準法第37条の割増賃金の適用を除外し、残業代を支給しない枠組みには一切手をつけず、1日8時間労働という大原則を壊す労働法制の大改悪、憲法違反の法律です。
しかも、もともと厚労省の通知は、変形労働制は「恒常的な時間外労働がない」ことを大前提にしています。ところが、本市でもすでに業務改善の取組みを進めているモデル校調査で、残業時間が週80時間の過労死ラインを超える教職員が小学校で9. 3%、中学校20. 9%、健康障害のリスクが高まるといわれる週45時間を超えるのが、小学校44. 0%、中学校61. 6%と、時間外労働が蔓延し、病休者が相次いでいます。市立学校教職員の働き方改革プランで、月1日以上の一斉退校日や週2日以上の部活休養日の設定などを導入し、パソコンによる勤務時間管理システムの導入がされますが、家に持ち帰る業務は把握されず、正確な業務時間は分からないままです。しかも、来年度からは英語やプログラミング教育が本格導入されるなど、変形労働制でいくら見かけ上の残業時間を減しても、長時間労働に一層の拍車がかかるのは火を見るより明らかではないでしょうか。
①教員の多忙化に拍車をかける変形労働制は真の働き方改革にはならず、導入の根拠はないと考えますが、教育長の見解を伺います。
制度の導入には、自治体での条例制定が必要です。文科省は恒常的な時間外労働がないことが導入の前提としながら、一方で「月45時間、年間360時間以内」の時間外労働を可能とする「上限ガイドライン」を示し、国会では「全員が守れなければ導入は出来ない」と答弁しています。
②本市の実態に照らして、上限ガイドラインを遵守し、導入できるとお考えなのか、教育長に伺います。
また、夏休み期間中を「閑散期」として、休日をまとめ取りするとしていますが、教員は夏休み中も、研修、補習、部活指導などの業務があり、年休すら取れないと言います。
③現在の教員の年休取得状況(取得率)を教育長に伺います。
休日はまとめてとればいいものではありません。全国の公立学校では毎年5千人の教員が精神疾患で休職に追い込まれています。福井県で中学教師になる夢が叶い、意気揚々と働いていた嶋田友生さんは、初任者研修を受けながらクラス担任や経験のない部活の顧問など長時間の時間外勤務が続き、その年の10月に命を絶ちました。彼の5月の日記には「今、欲しいものはと問われれば、睡眠時間とはっきり言える。寝ると不安だし、でも体は睡眠を求めておりどちらへ進むも地獄だ」と記されています。さらに、校長など管理職が一人ひとりの教員から事情を聞き取り、変形制の対象教員を決め、年間スケジュールに合わせて労働日や労働時間を決めるなどしなければなりません。すでに導入している国立大学附属校では年間9パターンのスケジュール作成の事務負担がのしかかり、副校長・教頭の勤務時間が際立って長くなっています。このような見かけ上の残業を削るために、新たな負担を増やす点でも大きな矛盾を生むものです。教職員が子ども達一人ひとりに向き合い、人間らしく働ける「働き改革」のためには、先生を増やし、30人学級の導入などによる抜本的な対策以外にありません。多忙化に拍車をかける変形労働制導入はすべきではないことを重ねて求めます。
◆答弁メモ
・教育長 月45時間以内の残業を目標に改善にとりくんでいる途上であり、「現状では導入を考えてない」
高知市の教員 年休取得率38.0%
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