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「嫌韓」の歴史的起源を探る~歪んだ韓国観の3つの系譜とその断末魔(メモ)

加藤直樹・ノンフィクション作家の論稿(前衛201912)からのメモ

まるで熱病のような韓国叩き…その根底に、近代日本150年の自国認識とメダルの裏表にある韓国・朝鮮認識…、尊王思想による属国視、進歩主義に基づく劣位視、「藩屏」論による客体視、という系譜があると解析。

そして、この認識が90年代以降の現実と大きく遊離し、揺らぎ失効しつつある、と分析する。

「嫌韓」の激しさ、切迫さは、近代日本の歪んだ韓国・朝鮮認識の断末魔、同時に日本の自画像の断末魔と指摘し、近代日本の自己意識の再編が、あたらしい時代にむけて必要と解く。

 きわめて興味深く読ませてもらった。以下、備忘録。

【「嫌韓」の歴史的起源を探る ~なぜ、日本のメデイアの韓国報道は歪むのか。韓国報道を歪ませる「眼鏡」の系譜~】

 加藤直樹・ノンフィクション作家 前衛201912

◆まるで熱病のような韓国叩き、一流の知識人たちのゆがみ

・一連の言説には、他の国には決して向けられることのない情念と歪みがある。
→論調には、通底するメッセージがある / 韓国は異常な国、韓国人は感情的で浅はか、韓国は日本を侮っているが日本人の方が優れているので、日本に歯向かう目論見は必ずや破綻する、日本は韓国を甘やかしすぎた 

・日韓の間に存在する全ての差異、立場の相違を「韓国は異常、特殊」の上で癇癪する傾向。/裏を返せば、韓国に対する時は、「日本は、正常、普遍そのもの」が自明の前提となる
→植民地支配を許されないとする韓国の認識は「特殊」、植民地支配は許される?(メモ者 すぎさった解決済みの過去の話)という認識が「普遍」なる

◆歴史的な根深さ  100年前と現在の主張の同一性

※例えば100年前の1919年3.1独立運動を報じたメデイアの論調(山中速人著)
当初~大多数の朝鮮人は「独立の何たるやを理解して騒動に加わりたるものに非ず。一時の群集心理衝動に出たもの
運動が拡大~「悪辣なる野心教…扇動者は米国教師」…無知な朝鮮人を背後で操る国際的「反日」陰謀を匂わす、一方、独立宣言の発表に導いた天道教(東学)の指導者に対し、「独立運動を利用し…朝鮮国王たらんとする大野望を抱いて居る」「宏壮の邸宅を構へて数名の妾を蓄へ」 と真偽不明のスキャンダルを掻き立てる

・憲兵隊の発砲によるデモ隊死亡 「○人が死傷」とあっさり書く、/が、群衆の反撃で憲兵隊にごく僅かな死者が出ると「壮烈」「惨殺」という文字が踊る。
・「示唆運動者にあらず暴民」「鎮撫せざれば其危険図り知るべからず」と政府に強硬策を求める。朝鮮人は「緩むれば附上がり、嚇せば縮む鮮人の通有性」を持つから、ガツンとやればおとなしくなるというもの

⇒  3.1独立運動に対する当時の論調も、今の「嫌韓」の論調も、ほとんど同じ主張/ 今の私達が100年前と同じ歪んだ韓国・朝鮮認識の枠組み=「メガネ」に閉じ込められているからに

★人は現実を無編集のまま見ることはできない。必ずそれを整理し、ふさわしい位置を与えるための編集を、ある知的枠組み、世界観、イデオロギー、パラダイム = 「メガネ」を通して行っている
→このメガネが韓国・朝鮮認識では相当に歪んでおり、膨大な情報も最新の知見も、このメガネを通せば、「愚かで、感情的で、甘えた反日集団」という像に編集される/ しかもメガネは掛けている人に存在を認識サせないから、本人は韓国を客観的に見ているつもり
→このメガネは、歴史的に形成されたもの。/その形成過程を可視化し、メガネを可視化していくことが、歪を克服する手かがりになるはず。

★歪んだ認識の歴史的起源… 尊王思想による属国視――進歩主義に基づく劣位視――「藩屏」(はんぺい、防護)論による客体視、という系譜でおさえることができる、と考える。

 

◆尊王思想による属国視

①朝鮮支配は、日本の「栄光」のエポック
・下町風俗資料館(東京・上野)の大正期の子どもむけ「双六」/古代から現代に至る日本の歴史を賛美するもの
 スタート近く 神功皇后の「三韓征伐」、中間に、秀吉の「朝鮮出兵」ゴール近くに「韓国併合」
→この3つが他よりも大きなコマで好意的に表現…いかに朝鮮支配が日本の「栄光」のエポックと考えられていたかを示すもの。特に、神功皇后の存在感の大きさが印象的。/神功皇后の存在自体は神話にずきないが、戦前の教科書では史実として記述、紙幣にも肖像画が描かれていた
→ 日本の朝鮮支配の正当性をアピールするために必要な物語
( 明治以降、「古代において日本は朝鮮を支配しており、一体であった」とし、朝鮮侵略を合理化する「日鮮同祖論」の前駆形態 )
川瀬 貴也「なぜ日本は、韓国に対して「上から目線」になってしまうのか」より 2019/12/13 現代ビジネス

・戦後、神功皇后は、すっかり忘れられたが、問題はそれで終わらない
→ この神話の背景に、日本という国の自己認識を規定する、もっと大きな世界観の問題

・近代国家…支配の根拠となる正統性が必要
→ 幕末のナショナリズム運動は、それを「天皇」に求め、明治維新を実現
→ その思想的源流 「水戸学」 → その起源は「国学」→ 国学は「古事記」「日本書紀」の中に“本来の日本”を探し求め、「皇国」というビジョンを見出す

②「古事記」「日本書紀」とはなにか ~ 世界観の組み換え 
・八世紀の「倭国」の指導者が、「日本」という新しい国を始める上で必要な神話を作り上げたもの
・当時、北東アジアは激動期 / 倭国の指導者たちは、それまで朝鮮半島の離れ小島として地域の勢力争いに深く関与していた / 高句麗、唐と同盟をむすぶ新羅、という強大な勢力の登場で、朝鮮半島の足場を失う。
→ そのため、日本列島を中心とする新しいアイデンティティをつくる必要に迫られた
・その過程でつくられたのが「日本」という国号、「王」に代わる「天皇」の称号

・呼び名の変更ではなく、世界観の組み換え
 日本は、倭国とは異なり中国の冊風をうけず、自らを中国と対等な「小帝国」と見なし、朝鮮諸国を日本に臣従する国(属国)とみなすことにした … もちろん実態の伴わない、「こうでありたい」というファンタジー

※古代文学を研究する神野志隆光の解説
「日本」国号 「日(太陽)」との特別の結びつきを示唆。中国皇帝が正統性を「天」に求めたことを意識したもの
「天皇」 中国の古典にも登場する「皇帝」の別称 /皇帝と王の違い…「天」に承認された中国の指導者が「皇帝」。その皇帝が冊風した周辺民族の指導者に与える爵位が「王」
⇒ 新生国家「日本」は、自らを中国と同格の帝国と規定した
・帝国である以上、臣従する諸民族の存在が必要で、その指導者を「王」に封じなければならない
→それを、朝鮮諸国に求めた/ 神野志 「大宝令」の「隣国は大唐、藩国(属国)は新羅なり」を示している
⇒実際に臣従をもとめたが、統一新羅と渤海に拒否される/ が、日本は、自らを帝国として演出

・「記紀」…帝国との日本を神話によって演出
 「西方に宝の国あり」と、神のお告げに従って半島に渡りね新羅を討ち、百済、高句麗をも服属させたいという神功皇后の「三韓征伐」は、その一部をなしている。

※江戸後期、近代に向かって日本のアイデンティティを求める動きの中で記紀神話、朝鮮属国視も蘇つた
・本居宣長「古へ韓の国々は、多く皇国に服属して」いた … 幕末の危機感と政治的高揚の中で「征韓論」へ
・農学。佐藤信淵 朝鮮人を「撫育」「駕御」し、朝鮮を「支那を征するの根幹」と訴えた
・吉田松蔭 「朝鮮ごときは古時我に臣属せしも、今は即ちやや奢る」、「師をおこして三韓の無礼を討」ち「神功の未だ遂げざりし所を遂げ」と主張/ 平野国臣、真木和泉も征韓を唱えた

・天皇を擁立する新政府の誕生 / 征韓論はいち早く現実の選択肢に
 1868年、新政府の樹立を伝える国書の受け取りを朝鮮が拒否
→ 日本では「皇国を蔑視」「朝鮮は討つべし」の声があがる /が、朝鮮の拒否は、国書は、これまでの「日本国王」に代わって「皇」「勅」の文字があることから。日本の下位に置かれることを意味する
→ 「王」が「皇」を認めないのは「蔑視」だ、という日本の傲慢さのあらわれ

・その後も記紀神話にもとづく「天壌無窮」「万世一系」の皇帝を戴く大日本帝国で、朝鮮属国視は、メデイア、知識人の言説、教育をなどを通じ社会に浸透

・嫌韓論の起源は、ここまで遡る… 日本と対等に振る舞おうという態度自体が、日本への「甘え」であり、「侮り」だという前提が無自覚に存在している。

 

◆進歩主義による朝鮮の劣位視

・明治以降に日本が参入した近代世界…西欧列強を頂点に、それとの距離で測られる「進歩」を基準として各地域を評価する世界
・華夷秩序の中で、朝鮮を属国視する神話を作った日本/今度はその近代版=「進歩」を基準に劣位像をつくった/ それは朝鮮属国視に接ぎ木され、成長

・福沢和吉「文明論の概略」 文明は「野蛮」「半開」「文明」という順序階級を踏んで進む。頂点が西欧諸国。その位置によって、地球上のすべての地域は、相対的に評価される/半開でも野蛮に対すれば文明。/日本の政府、知識人が務めるのは、この階段を上がること、時間軸の上を欧米を追いかけて走ること
・福沢 1881年朝鮮使節団と面会 朝鮮の実情を聞いて「30年前の日本なり」と表現
→ 決定的に新しい朝鮮認識が始まっていた

※「日本の同じ時代に存在していた朝鮮が、実は30年前の日本と同じ」・・その意味するところ
 日本人の側が、自らの過去を朝鮮に投影していること / 朝鮮の進むべき方向が今の日本であり、朝鮮の望ましい未来は、日本と同じになること、を意味している
⇒「30年前の日本」…認識の大転換/ 同時代を生きる他者でなく、日本人にとっては他者性のない既知の過去
/ 対等に学び合う関係にはない

・福沢の傲慢な進歩主義/「亜細亜東方に於いて此首魁盟主に任ずる者は我日本なり」「武以て此れを保護し、文以て之を誘導し…止むを得ざる場合に於ては、力を以て其進歩を脅迫するも可なり」
・朝鮮半島の覇権をめぐって起きた日清戦争/ 福沢「文野(文明と野蛮)の戦争」であると宣言
・内村鑑三「日本は東洋に於ける進歩主義の戦士なり」

※進歩主義 朝鮮史研究・梶村秀樹~明治から昭和初期の進歩的な経済学者が、朝鮮には内在的な発展は存在しないという「朝鮮停滞論」を展開したと批判 /「西欧を基準において…日本の『封建的』要素、『特殊性』のみを一面的に強調していく方法論自体に発して」いる
→西欧に「遅れている」日本という視点を、そのまま朝鮮に振り向ければ、朝鮮は「一段と遅れている」という図式になってします。
→ これは「進歩」「近代化」一般のモノサシだけではない/ 朝鮮の「進歩」は、日本と同じになることだという図式が、無前提に設定。日韓の差異が、すべて「日本より遅れている」という解釈に流し込まれる
・西欧に対して「特殊」の日本が、朝鮮に対しては「普遍」となり、朝鮮が「特殊」へ位置づけられる

 

◆「藩屏」論による客観視

・日清戦争へと向かう頃/朝鮮属国視と進歩主義が絡まり合い、日本の朝鮮進出を正当化し、さらに朝鮮を日本の「藩屏」とする議論が浮上

・福沢1887年 「朝鮮は日本の藩屏なり」の論説発表 /日本を守るためには「遠く島外の地」にまで進出し「防御線」を張る必要があり、それが「必ずや朝鮮地方たるべきや疑に容れず」
・この思想を正式の国家戦略としたもの 1890年 第一回帝国議会の山縣有明首相の演説「主権線/利益線」

・朝鮮が日本の防壁 = 朝鮮は、日本の「手段」「道具」であることを意味する
→ この論理を正当化するには、朝鮮の主体性やその可能性の否定が必要となる/ 「独立を保つ能力がなく、必要な改革を行う能力がない」とする朝鮮観が形成される。「朝鮮停滞論むなどもその1つ

・他者としての主体としての朝鮮の否定 ~ 韓国政治史研究の森山茂徳は「朝鮮客体観」と呼ぶ
→ その後、保護国化、主体を全面否定としての韓国併合=客体化の完成

・現在も、大衆紙、ワイドショーで、韓国の脆弱性を主張する言説として現れている 「経済が崩壊する」「周辺国の強い姿勢にうろたえている」などなど

★その他の系譜
・3つの系譜以外に・・・植民地経験をつうじた民衆次元の朝鮮蔑視の形成もある
・民衆弾圧のために植民地戦争な兵士として動員された体験…武器でおとる朝鮮人義兵を一方的に殺害、村を焼き払う治安戦など通じて、「非人間的に扱って構わない対象」であると「学習」したのだろう。
「百発百中ね拾に愉快を覚えた」(井上勝生「明治日本の植民地」)、「ああ、こいつらは馬鹿だ。下等だ。こいつらは徹底的にやってもいいんだな」(「聞書水俣民衆史5 植民地は天国だつた」)

・朝鮮憲兵隊司令部編『朝鮮同胞に対する内地人反省資録』1933年 。
「朝鮮統治の静謐(せいひつ)を破り、朝鮮の人心を紊(みだ)るものは、所謂共産主義思想でも社会主義機構でも、独立思念でもない、無思慮無分別なる内地人の軽率なる言動にあるといつても過言ではなからうと思ふ」(はしがき)~ 日本人(内地人)による朝鮮人差別の実例を並べて告発したもの。このようなパンフレットの必要性を憲兵隊が感じるほどに、日常的に凄まじい差別が横行していた。パンフレットの目次から・・・
「内地人と思つて丁寧に散髪し後で朝鮮の人だと知つて侮辱す」「火事と聞いて駆け付けたが朝鮮の人の家と判つて皆引返す」「朝鮮の人と聞いて今は忙しいと診察を拒絶したお医者さん」「『朝鮮人の頭は犬と大した相違はない』と侮辱す」などなど…。
(前述 川瀬 )

 

◆1945年以降は変化したか

・大日本帝国が解体され朝鮮が植民地支配から解放された1945年以降、朝鮮認識は変化したのか
・こと韓国・朝鮮に対する認識は、1945年が深い切断線をなしていない
→ 3つの系譜を、構成する1つ1つの要素を戦後について吟味すれば明白

①天皇の地位は「象徴」となり、記紀神話にもとづく天壌無窮の皇族という観念は、制度的には否定された
・が、朝鮮属国視を含む記紀神話やそれに基づく日本の優越性という幕末以来の観念と「象徴天皇」を切り離せるのか、という問は、忘れさられている

②進歩主義にもとづく朝鮮劣位視はどうか
・戦後日本は、敗戦を周辺諸国への侵略の破たんと捉えず、近代的な組織、装備を備えた米軍への敗北と捉えた
→ その結果、問題は「進歩主義」の不足と考えられ、日本を破滅に導いた負の要素は「封建遺制」「半封建」というた進歩主義の枠組みで総括/日本の「進歩」そのものを疑う議論は、こく一部だけ
→ 結果、韓国・朝鮮に対する進歩主義的な劣位視は、無傷のまま残った

③「藩屏」意識とどうか
・日韓会議で、日本側主席代表「日本は36年間、禿山を青く変えたとか、鉄道を建設し…多くの利益を韓国人に与えた」(久保田発言1953年)に象徴されるように、日本政府は、戦後も韓国併合条約と同じ大義名分(保護、福利の増進)で、植民地支配を肯定
・さらに、冷戦下で、韓国が共産主義の侵攻を食い止める「反共軍事基地」となり、日本はその後方基地に。
→ 再び、韓国は日本の「藩屏」に位置づけられることを意味

・韓国を「藩屏」とすることで、軽武装路線の経済国家となりも高度成長(メモ者 朝鮮特需、ベトナム特需の「恩恵」)を実現した日本… 韓国、台湾との間で、日本を頂点とする分業体制を形成、東アジアの経済発展、技術的高度化を牽引する、大衆文化においても、日本は東アジアの中心だった。
→多くの人が、戦前と同様、日本の東アジアの進歩の「首魁盟主」と考えたことで、認識の断絶は起きなかった。
・この姿、構図は、冷戦崩壊まで、続いた。80年代「ジャパン アズ ナンバーワン」とまでに。
・88年 ソウル五輪 日本メデイア「韓国は20年前の日本を見ているよう」と報道

 

◆日本の自画像が揺さぶられた90年代以降

・冷戦体制の終焉=新興国が経済的に台頭するグローバル化の開始
・日本にとっては、東アジアにおける独別な拠点であった時代の終焉(メモ者 ソ連が崩壊に向かう中、米国を脅かすのは日本の経済力との認識の強まり。プラザ合意、日米構造協議、日米半導体協定などなど)、長期の低迷期に入っている。

・韓国 軍事独裁政権を民衆のたたかいで転換。グローバル化で、東アジアの雁行モデルの解体。新興国市場に進出
(メモ者 日本の半導体メーカーの間のシェア獲得競争の中で、より安い製品をめざし、韓国などにコピー工場の建設、技術移転が進み立場が逆転、日本のメーカーでリストラされた技術者を雇用するなど開発力でもかなわなくなった) /映画、ドラマ、K-POPなど大衆文化でも、オリジナルかつ世界性をもったコンテンツを発信

※この変化は、日本の韓国・朝鮮観をこれまでになく揺さぶっている/これが今日の「嫌韓」を規定する歴史性

①「進歩主義による劣位視」が無効に
・80年代までは「20年前の日本」として、他者性を否定することができた「韓国」…もはや「20年前の日本」でも、「今の日本」でもなく、日本とは違った「進歩」の道のりをたどった他者として登場
→ 日本近代を普遍とし、朝鮮を特殊とする韓国・朝鮮観を根底で脅かしている

②民主化・脱冷戦化・脱軍事化に伴い、韓国は日本の「藩屏」でなくなった
・韓国は、反共軍事基地であることをやめ、平和の実現と民族分断の克服という目的に向かって主体的に動くように変化。⇔ 日本人が信じる日本の「国益」(メモ者 日米同盟命!)と、真正面から反している。

③民主化、脱冷戦、経済発展に伴い、韓国から日本の植民地支配を問う声が大きくなった
(76年 国際人権規約の発効など、植民地支配など過去の抑圧に対する賠償、救済のルール化)
・韓国から「あなたたちの近代こそ『進歩』どころか『野蛮』だったのではないか」という問いかけ
→ 日本人が信じてきた自国の優位性や正当性を脅かしている。

※これらの点は、ある程度は中国についても言える…日本とは全く異なる政治社会モデルを通じ、日本を遥かに凌駕する経済発展をとげたことの衝撃は大きい。

⇒これらは、韓国・朝鮮観、東アジア観だけでなく、近代150年の日本人の自画像を深刻に揺さぶっている

以上のような歴史を踏まえ・・・

★21世紀日本の「嫌韓」言説 → 近代日本における韓国・朝鮮認識の反復
・「韓国は異常な国であり、韓国人は感情的で浅はかな人々」・・進歩主義的な韓国劣位視
・「韓国は甘えている、侮っている」…「本来は日本の格下なのに、日本の寛容さにツケ込んで対等にはりあおうとしている」という語られない前提を隠し持つ尊王思想にもとづく属国視
・韓国の進歩的政権誕生を「赤化統一」への警戒を叫んだり、その破たんを嘲笑まじりに予言してみせる心性…「藩屏」視に由来

※「藩屏」視と「嫌韓」の関係 いくつかの事例
・08年、李大統領がアメリカ産牛肉の輸入再開を強行…BSE不安から数十万人規模のキャンドルデモが連日実施
→ネトウヨが口を揃えてデモを嘲笑 /李も「韓」だが、ネトウヨが嫌ったのはデモだけ
・17年 崔順実(チェ・スンシル)ゲート問題 日本のワイドショーが連日・長時間報道
→が、朴槿恵の弾劾を求めるキャンドルデモが始まると、報道はぱたりと止む
・19年 曹国(チョ・グク)の法相就任めぐる騒動を「タマネギ男」と嘲笑し連日報道
→が、曹国人事を支持する進歩派の集会が数十万人に達しても取り上げず、一方、保守派の集会は大々的に報道
・徴用工明代 韓国側の論理を内在的に理解しようとせず、国際法違反、異常とか否定に終始
→相手国を独自の利害、価値観を持つ「他者」と認め、妥協。工夫で互いに利益となる関係を築くという、他の国との関係では当たり前のことで、韓国にはできない /「藩屏」視=客体であるから

⇒「嫌韓」と言っても、嫌いな「韓」と、そうでない「韓」が明確にあるということ/ その基準は、日本の「藩屏」となる「韓」なのか、そうでないのか、という点

★  〃    同時に、その「失効」
・なぜ、これほど長く執拗に、ヒステリックで切迫した声音なのか…単なる「反服」でなく、その失効の叫び
→ 韓国・朝鮮認識は、日本人にとって、常にね日本の自己認識と表裏一体のもの / 韓国・朝鮮認識が失効しつつあるということは、近代150年の日本の自画像が失効しつつあること

・指標として一例) 最近まで「韓国のコンテンツはことごとく日本のパクリ」 ネット上の言説
→ ばかげた主張だが、興味深いのは、日本の自画像の失効ぶりが映し出されている
①「ことごとくパクリ」との認識が、年を追うごとに現実から遊離
 映画、K-POP、コスメなど大衆文化から情報通信技術、SNSサービスまで、リノベーティブなものはほとんど韓国から来ている感がある。

②仮に「パクリ」だとしても、なぜ無前提に「日本」なのか
 アメリカのパクリ、フランスのパクリである可能性は無前提に排除/日本が雁行モデルの先頭を行く、東アジアの「首魁盟主」であり、周辺諸国は、日本の文化的影響下にあった30年前の世界への固執が隠されている

★「嫌韓」の切迫さ…30年前まで日本の優位性、普遍性を証明していた韓国認識・自己認識が、現実から遊離し、失効しつつふることへの焦りを示すもの
・ 近代日本の歪んだ韓国・朝鮮認識の断末魔、日本の自画像の断末魔
・ 断末魔のあがきほど怖いものはない/韓国認識の「メガネ」を取り替える作業を一日も早く進めるべき
→ 単なる「侵略の反省」という主観的なものでなく、日本近代の自己認識の再編であるべき

・例)日本中心の進歩主義に立つ歴史認識の失効… 日本では実現できなかった民主共和制が韓国では実現したことをどうとらえるか、なぜその意味を真面目に考えずに住んでいるのか

・韓国の他者性を否定することで自画自賛の日本像をつくるのではなく、逆に、現実の他者としての韓国を受け止め、それを鏡として近代日本の自己認識を再編する作業が必要
→ それは、150才の近代日本に引導を私、新しい日本を準備する作業の一環となるはず

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