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「減らない年金」はどうすれば実現できるか   ――マクロ経済スライド廃止の展望(メモ)

 党製作委員会の垣内亮さんの論稿の備忘録(前衛2019.12)

 低年金者ほど削減幅が大きいマクロ経済スライドのひどさと原因を解明。

そのうえで、「減らない年金」と「暮らせる年金」の複眼の視点で、標準報酬上限の引上げ(事業主負担は上限トップ)とベンド方式の採用、厚生年金と国民年金の財政統合という提案について、政府の「財政検証」をベースに考察。また、中間層への配慮と、保険料逃れ対策もあわせて指摘する。

具体的、現実的な裏付けをもった政策・提案であることを実感できる。下段にメモ(年金制度の基本部分は一部略)

【「減らない年金」はどうすれば実現できるか   ――マクロ経済スライド廃止の展望】

■日本の年金 修正積立方式
・戦前 積立方式(戦費調達のため)、が、戦後の悪政インフレで積立金が消滅
・現役世代の保険料で、現在の年金生活者への給付を行う賦課方式
・ただし、保険料収入が給付わり大きい時は、積み立てて、その運用収入も年金財政に入る。
・将来的には、積立金も取り崩されて給付にあてられる。完全な賦課方式でなく「修正積立方式」

■マクロ経済スライドとは
・現役世代と年金受給者の人口比を考慮して年金額を調整する仕組み 「人口比率スライド」の方が正確

①保険料固定、給付削減の仕組み
・将来の人口変動、就業率、物価・賃金の水準、積立金の運用利回りにどの指標を想定し、給付と保険料の水準を家解散。おおむね5年毎に見直し。
・04改悪(マクロ経済スライド導入)前は、年金給付額を固定(物価・賃金スライドはあり)し、保険料を5年毎見直し → どこまでも保険料がたかくなり、半分を負担する経営側から、保険料率上限の要求
・04改悪…発想を逆転/ 保険料を固定し、5年毎に、「その保険料で払える年金額」を計算
・調整率 当初0.9%。定年延長の影響で現在は0.2~0.3%。最高時は1.6%と想定

②調整終了機関の設定
・各年度の調整率は機械的に決定… 全体の削減額は、調整期間の長さできまる。
・年金法の「財政均衡」…「前年度末の積立金が、その年度の給付の①年分が残っていること」
  100年後の積立金が1年分以上になる。そのために必要な「調整期間」を設定
→ 「100年安心」とは、100年間年金財政がもつ、ということ。老後の暮らしが100才まで安心ではない

③所得代替率
・給付を、いくらでも削るわけにいかないので限度を設定 「モデル世帯の所得代替率50%」
  現役男性サラリーマンの平均手取り収入が基準( 現在、35.7万円)
   モデル世帯 夫は平均的収入のサラリーマン、厚生年金40年加入。妻は専業主婦 .
・19年度61.7%。マクロ経済スライドを実施すると、2割削減となる

④7兆円の年金削減
・志位質問 安倍答弁(6/19党首討論) 
「マクロ経済スライド中止」に対し「廃止するには7兆円の財源が必要」と答弁し、削減額を「自白」

■低年金ほど削られる――財政検証結果の問題点

・8月27日「財政検証」を発表。5年前に比べ3ヶ月遅い…参院選前の発表を避けた
→ もっとも経済情勢がいいケースでも、削減が27年間続き、基礎年金が3割近く減らされる試算

① 試算の前提条件 
社人研の人口推移データをもとに、出生率、平均寿命3段階、実質成長率0.9~▲0.5%まで6段階について、物価、賃金の上昇率、積立金運用利回りなどを想定して試算

② 計算の方法
・出生率、平均寿命、就業率・賃金上昇率を決めれば将来の保険料収入が計算できる
・物価情報率、マクロ経済スライドをいつまで続けるか、を指定すれば、将来の給付額を計算できる
・各年度の収入(保険料、運用益、公費)と支出(給付)から差引額を計算。±を積立金残高に反映
→ 100年後の積立金残高が次の年の給付額をまかなえる設定に

③ 計算結果
・経済ケース1 実質成長率0.9%の場合でも、基礎年金の削減は2020年度から46年度まで27年間続く
→ 基礎年金は、3割近く低下。報酬比例部分をあわせモデル世帯の調整終了後の代替率51.9%、2割低下
・他の経済ケースでは、代替率が50%割れ。経済ケース1でも出生率低下、寿命が伸びれば5割割れ
→ マクロ経済スライドだけでは、5割を維持てぎず、他の方法が必要

④ 基礎年金に削減が集中
・報酬比例年金 ケースにより調整の必要がなく、必要な場合でも10年余で終了
・基礎門金 2040~50年代まで調整が続く見通し
・「人口中位・経済Ⅰ~Ⅲ」ケース 
報酬比例の調整期間0-6年、削減率剤代2.8% /基礎年金 期間27-28年、削減額26-28%
・マクロ経済スライド導入時  調整期間は同じ、削減率はほぼ同じとなる見通し、と説明/が、マクロ経済スライドは「低年金をいっそう削減する」という「悪魔の仕組み」
→ 田村元厚労省なども「一番の問題」など、なんらかの見直しに言及

⑤ 基礎年金に削減が集中する原因
・厚生年金財政と国民年金財政のそれぞれで、別個に財政均衡を実現する試算
・「別個に」・・・とは
1)国民年金の財政均衡の条件を試算し、基礎年金の調整終了年度を決める
2)基礎年金の調整終了年度を前提に、厚生年金の財政均衡の条件を試算し、報酬比例部分の調整終了を決める

・国民年金財政の方が、よりひっ迫している/低所得者が多い、事業主負担がない積立金の額も低い
→ 削減率が大きくなる/一方、厚生年金は、基礎年金を削れば、基礎年金への拠出金の負担が削減されるので、報酬比例部分の削減が少なくてすむ

⑥ 基礎年金の給付は一本化されたが、財政と統合されていない
・基礎年金… 過去に国民年金加入か、厚生年金加入かに関係なく、加入年数に応じた定額の年金を受給
・財源 基礎年金の給付総額を、各年金制度の被保険者の合計数で頭割りし、各年金財政から「拠出金」を出す
~ 3号保険者の拠出金は、厚生年金が負担/ 国・自治体から拠出金の1/2が各年金財政に繰入
・国民年金財政 余裕がく、マクロ経済スライドでよる「拠出金」の削減がより必要になる
・財政も統合すれば、この矛盾はなくなる。田村氏なども指摘

■減らない年金にするための方策

・基礎年金の公費負担を引き上げる
・年金財政を統合する
・厚生年金の加入対象の拡大、賃上げ、経済成長、少子化対策
・標準報酬の上限拡大

① 公費負担を引き上げる場合の試算
・マクロ経済スライドを実施しない場合の試算結果を推計/公費負担をどこまで増やせば財政均衡するか試算/
「人口中位・経済Ⅰ-Ⅲ」の標準ケースに加え、出生率の低位・高位の場合、厚生モ年金の適用拡大も試算/あわせて標準報酬の引き上げた場合も試算

・出生中位ケース 公費負担 60-65%  →2.4~3.6兆円像
 19年度の公費負担50% 国民年金(660万人)1.45兆円、厚生年金(3940万+830万人)10.45兆円
・少子化対策の前進、標準報酬上限引上げ、適用拡大の方策を組み合わせば、最も低い場合53%、約1兆円

② 年金財政を統合した場合の試算
・出産中位ケース 調整終了年度2046-47年が、統合すると、15年以上短縮することが可能
・標準報酬の上限アップ さらに5年短縮
・モデル世帯の所得代替率 58-60%程度 現在から最大でも6%の削減にとどまる
・出生率が改善すればね経済Ⅰ-Ⅱムースでは、調整なし

③ 2つの方法の長所と短所
(1) 公費引上げを軸とした方策
・制度の大変更が不必要、国民説明しやすい、直ちにマクロ経済スライド廃止の展望がでる。
⇔ 財源が必要 2-3兆円(年金受給者増による今後の増加分は無視 (2)を参照 )
☆「減らない年金」とともに「暮らせる年金」=低年金の底上げ、無年金対策がある
 共産党 将来的には全額国庫負担による最低でも月5万円の年金制度を提唱、5-6兆円必要/最低保障年金とのバランスを考慮した場合に、「減らない年金」を公費負担で対応するのが適切か(高額の年金受給者にも税金があらたに投入されることになる。反面、無年金者はなんの恩恵もない)、という問題がある。

(2)年金財政の統合を軸とした方策
・すぐに新たな財源投入が不必要/公費負担率を50%に維持した場合でも、マクロ経済スライドを廃止すれば、将来の基礎年金増額が増え、「7兆円の財源が必要」の半分、3.5兆円は公費負担が増加。ただし、今後20年以上にわたって徐々に増えていく。この点が、公費負担率の引上げとは異なる。
⇔ 制度変更の複雑さに加え、事実上、厚生年金から国民年金への財政支援の意味を持ち、厚生年金加入者(財界、労働組合も含め)から反対意見が出る可能性/制度の一体化をもとめる意見も(すべて所得比例にするのは困難)

・よって、当面は「財政統合」に留める= その場合、厚生年金からの財政支援となる
→が、厚生年金加入者が損をするわけではない/基礎年金部分の削減が小さくなれば、年金の目減り小さくなる/ほとんどの人は、厚労省の試算より、給付額が増える
・財政移転の規模は大きくない   基礎年金への公費普段12兆円のうち国民年金は1.45兆円、12%
→マクロ経済スライド廃止に7兆円/1/2公費負担。残り3.5兆円の12%4200億円。財政移転の規模はこの程度

・国民年金には、本来なら厚生年金に加入すべき被雇用者が少なくとも400万人含まれる
→この人達が保険料をきちんと払えば8000億円。厚生年金なら半分は事業主負担なので、財政移転は本来負担すべき額に匹敵するもの。

④ 標準報酬上限の引上げとベンド方式の採用
・厚生年金保険料 8.8万円から62万円までの31段階の標準報酬に保険料率かけて計算
  60.5万円以上の人はすべて同じ「月給62万円」とみなして計算
・賞与についても、上限は1回につき150万円。
・62万円×12月 + 150万円×2回   年収1044万円 で保険料が頭打ち
→ 数千万円、1億、数億円の人も同じ保険料

☆日本共産党の提案
・標準報酬月額の上限  健康保険、介護保険と同じ139万円に引き上げる/1.6兆円の保険料収入増
・賞与は上限を撤廃… 月給をへらして、賞与にまわすことで保険料逃れを防ぐため
・事業主負担分の保険料については、すべて上限を撤廃/給与・手当の総額✕保険料率 3400億円
→ 統合による財政移転分のほとんどが、事業主負担の増加でまかなわれる

・増えた保険料をそのまま給付に充てると、高額所得者の年金がさらに増大
→ 「減らない年金」のための財源が少なくなる

・年金給付の「ベンド方式」の導入
 アメリカ年金制度 保険料は収入に比例/年金額は、賃金月10万円まては90%反映、それを超えて60万円までの部分は32%、それを超えた部分は15%を年金額に反映させる仕組み
→ グラフにすると2箇所の折れ曲がる(ベンド)点が存在するので「ベンド方式」と呼ばれる
・第一のベンドポイントは、最低保障年金的な考え、第二のポイントは、高所得者の年金額の抑
・標準報酬62万円超の部分の年金反映率をね62万円以下の6割程度にすれば、年金給付増は0.6億円
→ 差額1兆円があらたな在圏となり、事業主負担の上限撤廃とあわせ、1.4兆円近い財源。/保険料収入がすぐに増えるが、給付に徐々にしか増えないので、実質的な財源はさらに増加

⑤ 中間層への配慮と、保険料逃れ対策
・標準報酬月額引き上げの注意点… 年収1000万円程度の層は、決して「富裕層」ではない。
   家のローン、子どもが大学、親の介護施設入居などがあれば、決して・・楽ではない場合がある
・この層は、税の年相控除の廃止、配偶者控除の所得制限、給与所得控除の縮小など連続的な負担増があり、一定の配慮が必要
→ ベンドポイントをもう少し高く設定、社会保険料控除の扱いにも配慮が必要
→児童扶養手当の拡充、高校授業料無償化など、所得制限で給付が制限/この制限の緩和・撤廃

・中間層の配慮とは逆に/年数数千万円~数億円の大企業役員の場合、役員報酬を株式で支払うなどの方法で、保険料負担を逃れる動きが強まる可能性があり、対応の検討が必要

■おわりに  老後の生活を支えるため、

・「減らない年金」とともに/年金から天引きされる各種保険料、医療・介護の自己負担の軽減/最低保障年金にてって「暮らせる年金」にしてくいことが重要

(メモ者
・年金制度は、20世紀初頭のイギリスで、「生きていくためにはどんな悪い条件でも働かざるを得ない」という状況が、労働者全体の貧困を招いているとし、年金、失業給付などで、高齢者、障害者を労働市場から引き上げることで、労資間の力関係を改善し、貧困をなくす、というブースの雇用政策が出発点。
→  年金充実は、現在の働く世代の雇用条件の改善
→  年金生活者の消費が地域経済、地域の仕事を支える
→  若者の働く環境の改善、将来の不安解消により、結婚・子育のハードルの低下
という点に於いて、総合的にその意義を、掴むことが重要である )


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