会計年度任用制度の悪用…非正規 期末手当新設で月給減(時短で)「生活できない」/ 正職員「仕事の負担増」
会計年度任用職員は、処遇改善を目的としていめが、ひどい実態が横行している。月給を下げて、期末手当を含めて、とんとんか若干増える程度にするというもの。
会計年度任用職員には、フルとパートの二種類があり、フルは、退職手当もでる。よって8時間フルタイムの非常勤職員を、経験年数7年とかでは、日給もあがるのだが、仕事の内容を精査した結果、「6時間のパートで対応できる」とし、月の支払額を削減し、手当含めて、年間で若干引き上げる、という手法。
が、この手法は、減った二時間分のしわ寄せが正職員の負担となり、行政全体のパフォーマンスが低下するという別の大問題もある。
昨日高知市の議案勉強会で、財務部、総務部の話では、対象は1200人。すべてフルで対応すると8億円いる。
・フルとパートの割合は… 「半々ぐらいではないか。いま職場で調整・議論中」「現状は、非常勤を募集してもなかなか集まらない状況があるが、すべてフルにすると8億円かかる」
・財政再建プランと前提、会計年度任用制度で見込み… 「財政計画では、3.5億円を見込んでいる。国からの情報では手当分は財源措置するので、8億円のうち4億円が手当分。満額なら5千万円足らない」
一方、高知県は「原則、パート」で、ただでさえ多忙化な県庁のパフォーマンスの低下が心配される。
政府は、財源確保について一般的な事しか言わず、形ばかりの「改善」に押し込もうとしている。が、高知市の例からいくと、全国の「改善」分はあまりにすくない(総額が変わらず、手当分を国が財源措置するなら、自治体の資金的余裕が拡大されるたけ) ?
【非正規公務員に賞与 都道府県、人件費130億円増 来年度から 東京12/2】
【「生活できなくなる」期末手当新設で月給減…非正規公務員の悲痛な声 西日本11/5】
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非正規労働者の待遇改善を含む政府の「働き方改革」を背景に、四十七都道府県が来年度から、非正規の職員にもボーナスに当たる期末手当を支給することが一日、共同通信のアンケートで分かった。都道府県の非正規職員は二〇一六年で十三万八千人。年間の人件費は判明分だけで計約百三十億円膨らむ見通しで、国の財政支援を求める声が相次いだ。年末の政府予算編成で焦点の一つになりそうだ。
改正地方自治法などが来年四月に施行され、市区町村も含め期末手当が支給できる。自治体全体の非正規職員は六十四万三千人で、事務職員や教員、保育士などが多い。平均月給は一七年度の事務職員で十四万五千円。「官製ワーキングプア」とも呼ばれ、手当支給でも待遇は大きく改善しないとの指摘もある。
十~十一月に実施したアンケートによると、二十府県が人件費の増加見込み額を明らかにした。
トップは人口規模の大きい千葉と福岡の十五億円で、最少は長崎の約九千百万円。山梨だけは、業務の見直しなどで約九百万円減少する見込みと回答した。残りの二十六都道県は「金額を精査中」などとした。
期末手当の水準は対応が分かれた。四十都道府県は正規職員と同水準とする方針で、夏と冬を合わせて月給の二・四〇~二・六〇月分を支給する。一方、群馬、長野、鳥取の三県は「段階的に引き上げる」などとして正規より低い一・四五~二・〇〇月分にとどめた。四府県は検討中とした。
総務省は法改正に伴う人件費の増加分は、地方交付税で手当てする方針だが、政府内には「自治体が行革を進めて自ら財源を確保するべきだ」との意見もある。このため四十二都道府県が十分な財源が確保されないのではないかと「懸念している」「やや懸念している」と回答した。
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◆来春に新制度
「月給が減らされて生活ができなくなる」。福岡県内の自治体で非正規職員として働く女性から特命取材班に悲痛な声が寄せられた。いまや市町村で働く職員の3人に1人は非正規雇用。保育現場や図書館など住民とじかに接する職場に多く、非正規なしに公共サービスは維持できないのが実態だ。何が起きているのだろうか。
女性は週5日フルタイムで働いて月給は10万円台半ば。来春から勤務体系が見直され、月給が1万~2万円減る方向だという。「新たに期末手当(ボーナス)を出すから年収は変わらないと言われるけど、月給が減ると日々の暮らしが立ち行かない。正規職員並みの業務を担っているのに…。私たちは都合よく働くロボットじゃない」
地方の非正規職員の制度は来年4月から大きく変わる。地方自治法などが改正され、期末手当が支給できるようになる。経験年数に応じた昇給も可能だ。「同一労働同一賃金」が進む民間以上に格差が指摘される非正規公務員の待遇改善が目的だった。◆「年収維持か、アップしてもごくわずか。待遇改善にはほど遠い」
給与体系を具体的に決めるのは各自治体で、制度設計が大詰めを迎えている。福岡市は期末手当を正規並みの2・6カ月分支給する。一方、月給は3万円ほど下がる職員もいる。市の担当者は「正規職員と業務内容を比較して適正な金額にした。年収で見ると改正前を下回らないようにしている」と説明する。
期末手当を支給する代わりに月給を下げ、年収は変わらない-。
「全国の自治体でこうした動きが相次いでいる。年収維持か、アップしてもごくわずか。待遇改善にはほど遠い」。非正規公務員の実態に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治さんはこう指摘する。
人件費上昇を抑えようとフルタイムをパートに切り替えるほか、正規と比べて初任給を低く設定したり、昇給を抑えたりする自治体が多くあるという。
自治労総合労働局長の森本正宏さんは「年収がもう少し上がると期待していたが現状は厳しい」と話す。◆予算に限界も
自治体側にも事情がある。行政改革で正規の人員削減を求められる中、業務負担は増すばかり。人件費の安い非正規を増やすことでしのいできた。今回、国が先導する「待遇改善」だったはずだが、開始まで半年を切っても財源確保の具体的な形は見えてこない。
長崎県佐々町は非正規(192人)の割合が日本一高く、全体の6割強を占める(2016年総務省調査)。来年4月以降、期末手当を支給し、試算では最大約5500万円負担が増える。町の予算規模は約60億円。担当者は「国の補助があるのか注視している」。他の市町村からも「財源が示されないまま待遇改善と言われても、対応には限界がある」との声が漏れるが、総務省の担当者は「補助については検討中」との説明にとどめる。
上林さんが提唱するのが、自治体の貯金とも言える「財政調整基金」の活用だ。税収減などに備えたもので、16年度末で全国の基金総額は約7兆5千億円。10年間で8割も増えた。
上林さんは「このままでは大事な役割を担う非正規職員が辞めてしまい、必要とする人に公共の支援が届かなくなる。待遇改善は公共サービスの質を維持する上での生命線だ」と強調する。 (斉藤幸奈)
【ワードBOX】自治体非正規職員の新制度
自治体によってさまざまな任用がされていた非正規職員の大半を新設の「会計年度任用職員」に移行し、期末手当が支給できるようにする。2017年に地方公務員法や地方自治法が改正され、施行は20年4月。自治体の非正規職員は約64万人(16年総務省調査)で05年と比べて4割増えた。フルタイム勤務の年収は約200万円で正規職員の3分の1以下とする試算がある。
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